カンボジアのカレー屋でかき氷を売る
カンボジアのカレー屋にてかき氷を販売し、3日間で1120ドル(カンボジア人平均月収の5倍)の売り上げを立てました。 ◼️経緯 長期インターンプログラムでカンボジアのプノンペンに2週間滞在。 プノンペン大学内で行われるJICA主催のお祭りに出店し、売り上げを作るプログラム。 売るもの、売り方は自由。 ◼️慢心と挫折 最初は、カレーを売る予定でした。 理由は「美味しくて好きだから」 初めの3日間は、日本から持ってきたジャワカレーとタイ米を合わせてカレーライスを作ることに没頭。 タイ米調達や、盛り付け、煮込む時間など、特に誰に対してどのような価値を提供するかは一切考えずに、ただ「美味しいから売れるでしょう」という理由でカレー作りを始める。 しかし、4日目にカンボジア人を寮に招いて行った試食会にて、大不評。 「こんな辛いもの食べられない」「美味しくない」「カンボジアのグリーンカレーの方が全然美味しい」とポジティブな反応を全く受けられず。 私たちは、カンボジア人の好みや食習慣など、相手のことを全く知らずに主観を根拠にカレー作りをしていることに気づかされました。 ◼️相手を知ること、そしてかき氷の誕生 大不評だった経験から、「相手のことを知るべき」と気付きを得ました。 そこから、相手のことを知るべく、以下2つのことを行います。 ・祭りの対象者であるカンボジア人学生100人に「祭りで何が食べたいか」をインタビュー ・インタビュー結果をもとにプロトタイプを複数作成しテスト 実際にカンボジア人学生100人にインタビューを行うと、「暑いから冷たいものが食べたい」「普段家などで食べていないものを食べたい」「日本らしいものが食べたい」という3つのインサイトを得ることが出来ました。 そこから、「かき氷」「抹茶タピオカ」「アイスクリーム」の3つをプロトタイプとして用意し、後日大学内で試食会を再度実施しました。 すると、かき氷が一番反応が良く、「これは面白い」「冷たくて美味しい」とポジティブなフィードバックを貰うことが出来ました。 こうして、「かき氷」を販売することが決まりました。 ◼️祭り当日、そして売り方の工夫 かき氷を作る機材や材料を調達、準備し、お祭り当日を迎えます。 試食会での反応通り、お祭り当日も我々の出店は大行列が出来ました。 しかし、序盤こそは物珍しさからお店に並ぶ人が多かったですが、次第に来店ペースが下がってゆきます。 そこで、2つのことを実行しました。 ・販売体制の見直し:来たお客さんに対応する受け身の売り方から、自分たちで声をかけて捕まえてくる能動的な売り方に変更しました。 ・お客さんと仲良くなり、興味を持たせる 実際にお店の前に、かき氷の写真を持って出てゆき、通りゆく人々に声を声を掛けていきました。 「これ見たことある?」「食べたことある?」「ちょっとトライしてみない?」と会話しながら興味を持たせ、そのままお店に連れて行く形を取りました。 これが売り上げを大きく伸ばした施策となり、かき氷を食べた人と仲良くなったことで、リピートしてくれる人や、友達を連れて来店してくれる人が出てくるようになりました。 そして、3日間かき氷を売り続け、最終的に1121ドルの売り上げを記録。 本プログラム開始史上、最高売上額を記録することとなりました。 長くなってしまいましたが、この経験が私にとってUXデザイナーとしての原体験となっています。 常にユーザーの視点やインサイトを等身大で知ること、そして仮説を立ててテストして行くこと、最後にユーザーとコミュニケーションを取りながら成果まで泥臭く繋げて行くことの大切さを、この経験で学ぶことが出来ました。 社会人で経験したどの話よりも、この経験を熱を込めて長く書いた理由は、私の社会人生活の基礎やデザイナーとしての考えが全て詰まっているからです。 最後までお目通しいただき、ありがとうございました。