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コンサル・VCで幅広い企業と対峙してきた2人から見て、転職マーケットってどう見えてるんですか?

就活サイト「ONE CAREER」を運営していたワンキャリアが、“次のキャリアが見える、転職サイト”として「ONE CAREER PLUS」の提供を開始し、約2年が経過しました。

ONE CAREER PLUSを運営するメンバーも、組織の拡大に伴い、少しずつ増えています。現在、メディアチームをけん引する喜多と石川は、それぞれベンチャーキャピタル(以下、VC)と外資系コンサルティングファームの出身者です。

今回はこの2人に、戦略サイドにいたメンバーからは転職マーケットがどのように見えているのか、今この市場で働く魅力について聞きました。


▼こんな人に読んでほしい

・転職マーケットに関心のある方
・戦略系の業務や職種に従事している方
・新規サービスの立ち上げに関心のある方
・仕事への価値を見出せる方、もしくはそうなりたい方


▼プロフィール

喜多 哲平:早稲田大学政治経済学部卒業。在学中にワンキャリアにて長期インターン。2019年に新卒でJAFCOにキャピタリストとして入社し、ソーシングから投資実行までを実施。2020年にワンキャリアに復帰。以降、ONE CAREER PLUSの立ち上げ・事業開発を一貫して担当。現在はメディアチームをけん引し、プロダクトの戦略検討および制作から各種企画の立案・実行、広告・SEOをはじめとするマーケティング業務など、プロダクトの戦略〜実行まであらゆる業務を担当する。

石川 広華:新潟県生まれ。京都大学法学部卒業。在学中にワンキャリアにて長期インターン。2019年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。エネルギー・小売・通信・製造・行政等多岐にわたる業界のクライアントと協働。プロジェクト外の組織活動のリードも多数経験する。2022年にワンキャリアに復帰。社長室にて取締役直下での経営関連プロジェクトのマネジメントや、ONE CAREER ACADEMYの立ち上げ責任者などを務める。現在は、社長室と兼務でONE CAREER PLUSのメディアチームをけん引中。

コンサル・VCで幅広い業界を目にしてきた2人が振り返る、これまでのキャリア

ー これまでのキャリアについて簡単に教えてください。

喜多:新卒でJAFCOに入社し、スタートアップのソーシングを担当しました。日々発信されるプレスリリースなどチェックし、新しい会社情報を見つけては、その会社の社長に話を聞き、投資の検討と実行をするのが僕の業務でした。入社から約10ヶ月が経過し、ソーシングから投資までを2.5周したぐらいで退職を決意します。

投資は意義があることと理解している反面、一個人としてはリアリティを感じられなかったからです。どの社長も、日々泥臭いことをしているのは言葉としては分かるものの、自分で手を動かしたことのない僕が彼らと事業の話をしても血が通ったディスカッションができませんでした。また、自らが会社の中に入り、自分たちの手で事業を創ることで、熱量をより身近に感じたいとも思いました。


石川:私は新卒でマッキンゼーに入社し、約3年間の在籍中に8つの案件に携わりました。業界が全て異なるのが特徴です。プロジェクト外の組織活動においても、何度かリードを経験しました。プロジェクトも組織活動も自分が関わりたいように入らせてもらえたのがマッキンゼーでした。

3年目にマネジメントを担うようになった頃から、次のキャリアについて考え始めましたが、どう考えたらいいのかが分かりませんでした。試しに転職サイトに相談・登録をしても、自分が欲しいと考える手掛かりとなる情報に辿り着けない.....そんな中、(ワンキャリア代表の)宮下さんに相談するなかで、あれよあれよと私もワンキャリアに戻っていました。

転職市場は負が多いマーケット。本来あるべき形にしていきたい

ー 戦略サイドからあらゆる企業を見てきたお2人が、数あるマーケットの中から、転職市場を次のフィールドに選んだ理由を教えてください。

喜多:僕は転職市場を負の多いマーケットだと思っています。提供者側は参入障壁が低いことから、さまざまなプレイヤーがいます。一方で、求職者側はさまざまな悩みを抱えているケースが多いことから、ある意味でコンプレックス商材に近いと思っていて。

レッドオーシャンの業界であるため、求職者の利益を無視し、エージェントや売り上げの都合で転職先を紹介しているケースも少なくありません。今の転職マーケットを、正しい形、あるべき形にする必要があるのなら、その方向に持っていきたいと思いました。

石川:個人的には、複雑な問いを解きたくて事業会社に来ました。HR業界をテーマに選んだのは、特に向き合う問いが複雑だと思ったからです。中でも転職は、個人が一定のキャリアを歩んだ上での意思決定のため、就活生ひとりひとりの間に生まれる認識や理解度の格差よりも、振れ幅が大きいのが特徴です。この状況下で、転職市場におけるキャリアデザインの基盤を整えるのは難易度の高いことですが、問いに向き合うという意味では楽しそうだと考えました。

もう1つの理由は、転職マーケットのニーズは年々増える一方で、実際に転職している人は横ばいという点です。この差分が起きるということは、明らかに歪みが大きくなっていると言えます。


(引用元:リクルートワークス研究所 転職希望者の約87%は1年後に転職していない 図表1 転職希望者と転職者の推移(1968~2021年)https://www.works-i.com/project/mobility/column1/detail001.html)

ワンキャリアは新卒市場において、何者でもなかったところからマイナビに次いで2位になり、新卒就活のインフラにまで成長しました。もし同じ現象を転職マーケットでも起こせたら、規模も歪みの大きさも、より大きな変化をもたらせるでしょう。新卒市場を変えた成功体験を持つワンキャリアだからこそ、転職マーケットの変化にも一番近いプレイヤーだと思いました。

意思決定のカギは、どれだけ確からしい情報を与えられるか

ー 転職マーケットは本来どうあるべきだと思いますか?

石川:前提として、キャリアのトレンドを創る存在が必要だと思います。例えば、今の外銀やコンサルの人気を最初に作り出したパイオニアのようにです。その上で、転職におけるパイオニアたちがどのような考え方をしているかを理解することが一番のヒントになると思います。

とはいえ自分の大事な意思決定をするにあたって、必要とする情報は「確からしいもの」でないといけません。では、確からしい情報とは何なのか。私たちは、自分が経験したこと、もしくは自分と同じような経験をした人が言ってることだと思います。

例えば、商社やコンサルで5年間働くと退職しにくくなるという話をよく聞きます。新しい環境に行くことで給料や待遇が下がる可能性もありますが、上がる可能性もあるはずです。ではなぜ多くの人が残るという判断をするのか。それは、経験の確からしさよりも外の情報の不確かさが勝るからだと私は考えています。逆に言えば、外にある情報が相当確からしいものであれば、その情報を元に意思決定をしやすくなります。

ー 今、求職者が外から手に入れることのできる「確からしい情報」とは何なのでしょう。

石川:今の転職市場だと、エージェントの話に頼らざるを得ません。しかし、エージェントによって知識も持っている求人にも差があり過ぎるのが現状です。

喜多:もちろんエージェントから聞く情報があっても全然いいと思います。一方で、リテラシーが高い人たちなら、自分たちでも情報を調べ、仮説や解をある程度出せるとも考えていて。

今、問題なのは、リサーチと仮説検証の両立を求職者ができないことです。あくまでもエージェントは、いろんな情報収集の手段の1つであるべきだと思います。その上で、求職者が自分で正しい情報を得て、かつ考えることができるプロダクトが転職マーケットには求められています。

石川:この外にある情報をいかにして確からしいものにしていくかは、データでしかできないと私たちは考えています。外にある情報を、自分や周辺が持っている内容と同じぐらい確からしいものにし、求職者の意思決定に組み込めるようにする......それが、今後ONE CAREER PLUSで行いたいことです。

データとして扱えるコンテンツを意識したからこそ、マニアックな設計になった

ー 確からしい情報を求職者に届けるため、ONE CAREER PLUSではどのような取り組みをしていますか?

石川:ONE CAREER PLUSでは、大きく2つの方法を用いて、確からしい情報を求職者に届けています。1つは、クチコミ情報を元にしたキャリアデータです。転職体験談、成功体験談、企業クチコミの3つを集めています。

もう1つは、記事や動画に代表される、コンテンツです。私たちが提供したいのは、正解が書かれた記事ではなく、求職者の皆さんがデータの1つとして扱える記事です。例えば、外部の専門家に職種について深堀りしたり、経験した人だから語れるキャリアパスの良さなどを聞いたりしています。


喜多:コンテンツのポートフォリオは、業界と職種で分類した上で、それぞれの年次ごとにニーズを分解し、狙うべきターゲットを決めていきます。石川さんが担当している「キャリナレ!」などがそうです。

(記事:キャリナレ!職種解説 人事編

ー それで、きめ細かいコンテンツを量産できるわけですね。

喜多:ターゲットを相当絞った状態で深くニーズを掘り下げているため、刺さる人にはしっかり刺さるコンテンツになるのです。今後もコンテンツのラインナップがどんどん増え、よりマニアックなメディアになると思います。

ー どのような課題感から、マニアックなメディア設計にしたのですか?

喜多:そもそも転職マーケットは構造的に内容がふわっとした記事が多くなりがちなんです。基本的に、エージェントへの相談がマネタイズポイントになるマーケットなので、記事ではふわっとさせておいてエージェントに相談できるようなコンテンツ設計にしておけば、記事を読んでも課題が解決しなかった求職者が、相談のためにリンクを踏んでくれるから。

ONE CAREER PLUSでは、ユーザーが自分自身で情報取集ができる世界を目指しています。記事を読んだ求職者のなかには、他社サイトから応募し、転職先が決まる人がいるかもしれません。しかし今は、1人でも多くの求職者に「この記事を読んで良かった」と体感してもらうことに注力しているため、特に気にしていないです。

ー お2人とも今はコンテンツ作りに注力されているのでしょうか?

石川:コンテンツを作るチームというよりは、ONE CAREER PLUSに関わる全てのアセットを創るチームであるという位置付けです。編集長としてのコンテンツのポートフォリオの定義・企画・制作、プロダクトオーナーとしてのサービスサイトのKPI設計や改善、マーケターとしての各種SNS・広告運用を含めたユーザー・キャリアデータ獲得施策など、アセットを創り長期にわたり保持するためのあらゆる項目をリードしています。ある意味で、メディアに関わる全要素の戦略サイドを担うのが私たちです。

目線が事業や社会に向き、仕事への価値を見出せる人と働きたい

ー ONE CAREER PLUS事業部は、どのようなフェーズの組織ですか?

喜多:組織としては、人数の増加に伴い、多様性が高まってきたフェーズです。さまざまなキャリアを持つ人が入ってきたため、対応できる課題の幅が広がり、事業がスピードアップしていると思います。いろいろな観点が増えたことで、組織としてのバランスも良くなり、お互いに助け合える余裕もでてきました。

ー カルチャーについて教えてください。

石川:一言でいうと、正義感の強い学級委員長タイプが損をしない世界です。例えば、チーム内に自分の業務にだけ専念する人と、上手くいかない部分もあるなかでボールを拾うという意識を持ち、チームに貢献する気持ちがある人がいたとしましょう。

ONE CAREER PLUSとしてどちらの人に投資するかというと、後者のタイプです。なぜなら、まだ1人1人に箱を用意して、その中で頑張ってほしいというフェーズではないから。今は、いろいろな人と関わるなかで、自分がやると言ったことには責任感を持って取り組み、困ってそうな人に自分から声を掛けられる面倒見の良い学級委員長タイプが重宝されます。

ー 今後ONE CAREER PLUSを拡大していくにあたり、どのような方と一緒に働きたいですか?

喜多:その仕事をやりたい・やりたくないではなく、目線が事業や社会に向いている人とご一緒したいです。

石川:どのような仕事でも価値を見出せる人、もしくはそうなりたい人です。まだチーム全体でアセットの価値を高めていく立ち上げフェーズだからこそ、短期的・直接的な成果が見えづらいです。課題解決や目標達成に必要な仕事を選り好みせず取り組める人と一緒に働きたいです。また、余白や自由度が高い組織のため、自分で仕事をデザインするのが好きな人には合うと思います。

ー 最後に、今後どのようなことに挑戦したいかを教えてください。

石川:来期は私たちがこれまでに貯めてきたアセットを、会社の業績に変換し始めていく時期です。これまでは求職者の皆さんに情報収集などの面でスポットで利用いただくことが多かったですが、ONE CAREER PLUSをご利用いただく接点を少しでも増やし、その範囲を拡張していけたらと思っています。それが結果的にONE CAREER や展開を模索している教育事業などの領域につながるからです。

それこそ転職業界も将来は不動産業界の物件探しのように、求職者が転職するときの判断基準を提起できるようになればと考えています。

「キャリア」という難しく面白い問いに大きな変化を生み出せると信じて、事業を育てることに全力を注ぎます。

今回の記事では、コンサル・VCの経験者であり、ONE CAREER PLUSのプロダクト戦略を担うメディアチームのメンバーに焦点を当てました。ワンキャリアのことが少しでも気になった方、ぜひ以下のリンクから気になるポジションをのぞいてみてくださいね!

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執筆・撮影:スギモトアイ
取材・編集:山下 麻未


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