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ラオス事業で働く看護師にインタビュー!現地医療の実態や活動への想いを語る!

ジャパンハート第三の活動地ラオスで、実際に医療活動を行っている看護師にインタビューしました。

スタッフ紹介

名前:吉田 真弓

ポジション:医療事業部長・看護師

経歴:群馬県にある看護専門学校卒業後、地元の高度救命救急センターICUに勤務

2018年よりジャパンハート国際看護師研修生として活動開始。

2021年より現職。

趣味:映画、日本酒、登山

Q1: ジャパンハートではどのような業務を担当されていますか?

ラオスで行う医療活動の計画や調整などの管理をおこなっています。

診療や手術活動をする時は、本職である「看護師」として活動します。

月に1回以上は診療もしくは手術活動を行っていましたが、ここ1年ほどコロナウィルス感染拡大の影響により残念ながらほとんど行えていません。

そのため現在は、遠隔で診療活動の協力や後方支援という形で現地の病院と活動を継続しています。

ラオス事業は医療活動を届けるだけでなく現地医療者への技術移転を一つの目標としていますので、臨床活動を通して実地指導も行っています。

指導という言葉は便宜上使用していますが、現地の医療者と共に成長している感覚が強く、私も日々成長させてもらっています。

ここが国際医療協力の楽しさとやりがいの一つだと感じています。

また今後の活動のために、現地調査なども行っています。

実は看護師になる前、文化資源で地域活性を目的としたNGO団体に参加していたこともあり、いわゆる一般職の経験も少しですがあります。ですが、臨床医療が好きな私にとって、目の前に患者さんがいないオフィスワークメインの日々には当初戸惑いもありました。

日本で看護師をしていたときもドクターヘリを所有する高度救命救急センターという特殊な環境下で働いていたため、人を助けるということの本質、看護師として行えることへの限界など、日々考えさせられることが多くありました。

ジャパンハートに参加してからはミャンマー、カンボジアなどで活動させていただきました。そのなかで日本では考えられない現状を目の当たりにするとともに、日本医療現場では失われつつある医療の姿も感じることができました。喜ばしく貴重な体験をたくさん現地の人たちからいただきました。

直接ケアすることの重要性や喜びなどを知った上で、より多くの人たちへ医療を届けること、またその経験を日本や現地で活動する人たちに感じてもらい自分たちの力や可能性を広げていくお手伝いをする側に立ちたいと思い、playerからmanagementへ移行しようと考えました。

ついつい目の前にある、わかりやすい評価や現状に目を向けてしまいがちですが、長い目で見た時、経年変化を感じながら少しずつ進んでいくことに未来へ対する希望を感じられるのではないかと思い選びました。

正直今はコロナウィルスの影響で厳しい現状が続きますが、これから楽しみが増えていくのだろうなと思いを馳せていると笑顔と喜びを感じずにはいられないと思っています。

Q2: ラオスの医療状況について教えてください。

平均寿命

男性 :64.2歳 女性 :67.4歳(2020.WHO)

人口1万人あたりの医療者数

医師:1.8名 看護師・助産師数は8.8名(2013年 世界銀行)


日本のデータと比較していただくと、非常に低値であることがわかります。

ラオスの医療水準を語る上で必ず出てくる数字ですが、『5歳未満死亡率:1000人あたり63.9人(2018 ユニセフ)』であり、東南アジアで最も高い数字になっています。

また、医師になるためのコースを設けている大学は、ラオス国内に1校しかありません。

そして看護師になる3年制の学校は6校のみです。看護師の国家試験は2021年JICA指導のもと試験導入がされたところです。

タイとはほとんどの場所でメコン川を挟んでの国境しかありません。元々は同じ言語であったと言われているだけあり、タイ語とラオ語それぞれを話していても通じ合えるなど、隣国タイとは非常に近い関係性です。そのため、一定水準のラオス国民はタイへ医療渡航する人も多いと聞きます。困ったらタイに患者さんを搬送する現状も珍しくありません。

ラオスはそれぞれの県に県病院があり、その下に郡病院が存在します。郡病院は手術ができない病院も多いです。

ローカルスタッフの故郷の村では、体調が悪くなったらいわゆる伝統療法を行うことが一般的だそうです。

ラオスには鉄道(現在建設中)がなく、道路などのインフラも整っているところばかりではありません。そのため気軽に病院に行けない人たちも多い印象があります。

私たちの診療を受けにくる患者さんの中には、バスを乗り継ぎ険しい山道を1日がかりで来てくださる方もいらっしゃいます。

またラオスは50の少数民族が暮らしており各々の言語や文化を守っています。

言葉も通じない病院というものは、物理的にも精神的にも距離がまだまだあるのではないかと感じています。

Q3: 現在の医療活動について詳しく教えてください。

ラオス事業では、ウドムサというラオス北部にあります県病院で甲状腺疾患を有する患者さんへの治療活動を行っています。

ラオスは東南アジア唯一の内陸国であり山岳地帯が多いことから、昔から海産物の物流が非常に少ない地域でした。海藻類にはヨードという物質が多く含まれており、それが甲状腺ホルモンを作るのに重要な役割を担っています。ヨードが不足すると甲状腺機能に影響を及ぼす危険が増加します。バセドウ病や橋本病などが甲状腺疾患の一例です。

(甲状腺疾患についてはこちらの記事もご覧ください。)

甲状腺ホルモンの異常があると内科治療を継続的に必要とすることがあります。

甲状腺は頚部前面中心にあります。状況によってはその甲状腺が拳大に腫脹する方もいます。このような場合は手術が必要になります。

甲状腺疾患は女性に多いのも特徴の一つです。

ラオスの人たちの暮らしは、日本の昭和初期頃の様子に似ているのではないでしょうか。

私の祖母は大正生まれでお蚕さんを育て絹糸を紡ぎそこから反物を作っていたそうです。今なおラオスの地方に住む女性はそうした暮らしを守っています。

甲状腺が腫脹していれば普通の生活でも苦労するのだと思いますが、機織りや刺繍などをする時、どれだけ不便か…

私たちの診療に来たときは不安そうだった患者さんが帰るときには笑顔で安心して帰路につく姿や、どんなに暑い日も首にストールを巻いていた患者さんが手術を受けてそのストールを巻かなくなった様子を見ると喜びを感じずにはいられません。

また今後のラオス事業として大きく2つの活動を進めて行こうと考えています。

1つは、パークグム郡病院が主体となって手術を行えるよう活動協力を予定しています。(パークグムは首都ビエンチャンより車で1時間半ほどの場所です)

もう1つは、小児医療に特化した活動を検討しています。

こちらはまだ計画段階ですが、ラオスの医療水準を考えるととても重要な活動になるのではないかと考えています。

Q4: 医療の知識がなくても役に立てますか?

もちろんです!

日本でもそうなのですが、医療者ってどうしても偏ってしまうというか…

医療者の当たり前みたいなものも出来上がっていることが多いと感じています。

多角的な思考や取り組み、新たな刺激などを取り入れていきたいと考えているので、医療に固執していない発想で一緒に創っていければと思っています。

また、医療は人を助け、双方が幸せになるとは限りません。

そういったことばかりでないという現実をご理解していただいた上で、一緒に活動していただけるとより良い経験が得られるのではないかと思っています。

Q5: 最後に、ラオスに応募する方へのメッセージをお願いします!

新たなものを創り出すことは非常に力がいると思います。

ジャパンハートラオス事業はこれから多くの新しいことを進めていこうとしています。

ラオスという国は一時期、「忘れ去られた国」と言われたほどでした。

隣国の内戦などに巻き込まれ、「人口当たり世界一爆撃を受けた国」と言われるほど激しい戦闘に巻き込まれたにもかかわらず渦中の国ではないためか、広く知られていない事実です。

ラオス人は非常に穏やかです。何かあっても「ボーペンニャン(問題ない)」が口癖で、時間経過も緩やかです。そこにある生活を穏やかに丁寧に見つめ些細なことに喜びを感じられるそんな彼らの生活を守りつつ、未来への選択の自由がより増えるよう医療を届けたいと思っています。

私たちの活動はラオスという国そのもののように、一見地味なことが多いように感じます。ですがその活動がいつか誰かの豊かな未来につながると信じています。

多くの笑顔に包まれるような医療協力を、現地のスタッフと共に考え一緒に進めて行きたいと思ってくださる方をぜひお待ちしております。


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