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四分の一を以って、不時の用意に備える

みなさんこんにちは、社長秘書・人事の黒木です。

今日は私たちの会社が大切にしている考え方について紹介します。表題にある文章は、経営哲学として定める「四分法」の一節です。弊社は四分法の精神に則り、社会性と永続性のある企業を目指しています。

【四分法】
四分の一を以って、お客様と従業員満足のために為し
四分の一を以って、事業の発展のために為し
四分の一を以って、社会における役割を果たすべく奉仕し
四分の一を以って、不時の用意に備える

言いかえると、利益の1/4を現在の事業継続のために使い、1/4を事業の投資に使い、1/4を社会貢献のために使い、1/4を予期せぬ事態に備えるということ。上記の条文が堅い言い回しになっているのは、この考え方がもともと仏教から来ているものだからです。

この四分法は会社経営についての考え方ですので、普段それほど頻繁に耳にするものではありません。しかし、最近は自社の経営の根底に四分法があることに、強い安心感を覚えています。それは「四分の一を以って、不時の用意に備える」という一節が、まさに今のことだと感じるからです。

■緊急事態下における四分法の存在
4月7日、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、政府は7都府県を対象とする緊急事態宣言を発令しました。私たちはその1つ、兵庫県で事業を展開する企業です。本部は大阪府と兵庫県の境である尼崎市という土地にあります。

社会全体で新型コロナウィルスの話題が増えていくなかで、度々難しい判断を迫られてきました。それは会社としても、従業員としても同じことです。

経営陣は「このままサービスを提供していいのか」、「『要請』が『指示』に変わったらどうするか」を検討し続けるなかで、従業員の収入を維持することを常に考えています。

また従業員は「いつまで出勤できるのか」、「いつまで出勤していいのか」という不安を抱き働いています。さらに、日々のニュースでは新型コロナウィルスの影響により、様々な業種の企業が倒産しているという報道を目にする機会も増えてきました。

■春、新入社員に向けて
日本全体がコロナ関連の対応に頭を悩ませるなか、春は来て、多くの人に見られることはなくとも桜は美しく咲き誇り、会社には新卒社員が入社しました。新入社員にとって、迎え入れる会社にとって、春は運命の出会いの季節ですよね。

例年であれば入社式と集合研修で10日間のプログラムを組み、新卒を受け入れる弊社ですが、今年はそのような形で実施することはかないませんでした。

例年とは異なる状況で新入社員を迎え入れるにあたり、代表からの簡易なものではありましたが、新入社員に向けて会社が大切にしている考え方を伝える時間が設けられました。

そして、そのなかで耳に残ったのは、やはり四分法の「四分の一を以って、不時の用意に備える」という一節でした。私にとっては何度も聞く言葉であっても、このような状況のなかで社会に出ていく新入社員にとっては、安心感につながるものだったはずです。

■私たちは備えていたか
少し話が変わりますが、私が新卒で入社した企業は倒産しました。リーマンショックで景気がどん底になり、戻りかけたところで東日本大震災が起こったあとの出来事です。しかし、今私はそのことをマイナスには捉えていません。

1年半という短い期間で社会人として大切なことを学び、多くの楽しい仕事に取り組みました。また、自社の倒産という状況に直面したときに多くのことを考え、自らアクションを起こすという選択をした経験は、今の自分に欠かせないものだと感じます。

企業が長く存続していくこと、そして、長く存続する企業に就職することは、会社と働き手の双方にとってとても難しいことだと思います。しかし、企業が不測の事態に備えるように、私たち自身も不測の事態に備えていなければならないでしょう。

どんな状況にあっても私たちは今の生活をより良くしていく努力をし続け、変化に柔軟に対応していく意識を持ち続けなければならないのです。

■もともとは人々の生活に対する考え方だった四分法
さて、四分法の話に戻りますが、仏教からきていると説明した四分法は、もとを正せば企業ではなく、人々の生活を安定させるためのものでした。具体的には「釈尊 経済生活の教え」に次のような内容が収録されています。

――「その財を四分すべし、その四分の一をもって自己の生活をなし、四分の一を以って自己の事業を経営し、四分の一をもって社会の公共事業に奉仕し、最後の四分の一を貯えて、利殖をはかり、不時の用意に備えておけよ」こうした生活をすれば一代、安楽にすごして行くことが出来るであろう。

さらに言葉は次のように続きます。

――「若しそれが出来ぬような収入の少ない時は、四分の二を自己の事業に投じてよい。その代りに四分の一の生活費と貯蔵の四分の一とは動かしてはならぬ」このことを常に念頭に於いて自己の職業に全生命をぶちこんで、あせらず、なまけず、しんぼうづよく、生活して行くなれば、必ず将来この理想は実現できるという希望をもつことが大事である。

社会全体を見ると、会社が倒産しなくとも、サービス停止・従業員の自宅待機に際して給与一部カットという形で存続を図る企業もあります。そのような企業と、そこに勤める人にとって、今がまさに「若しそれが出来ぬような収入の少ない時」なのです。

企業と働き手、双方を苦しい状況に追い込んでいる今回の緊急事態。何とか気持ちを切らさず、一丸となって、立ち向かっていきましょう。

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