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「評価しない評価制度」を立ち上げ。自分の生きる目標を、仕事の目標に。

キーエンスや外資系企業、人材系企業を経て、2022年4月にシグマアイにジョインした小林さん。メインの仕事は事業開発ですが、人材系のノウハウを活かしてシグマアイの新しい人事制度を立ち上げました。大学発のテクノロジースタートアップのシグマアイで、人事や評価はどうあるべきなのか?その狙いと未来に向けて見据えていることを聞きました。

【プロフィール】
小林 孝広(こばやし・たかひろ)

パイロットを目指し、米国大学に進学。操縦士免許を取得するが、ビジネスの世界に可能性を感じて、2006年にキーエンスに新卒入社。法人営業を担当した後、AIGにセールスコンサルタントとして転職。自身の会社も立ち上げて、学校再建を役員として推進。2020年より人材系の会社にて新規事業開発の責任者を務める。2022年4月にシグマアイにジョイン。主に事業開発や人事戦略・企画を推進している。

「シグマアイ初」の人事制度を、人材系企業でのスキルを活かして立ち上げる

-新しい人事制度を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

私は前職で人材系の会社に勤めていたこともあり、自分から手を挙げました。キャリア教育や働き方改革に関する新規事業を担当していたので、その知見が活かせると考えたのです。「新しい」というよりも、「シグマアイ初の人事制度」と言った方が正しいと思います。そもそも、シグマアイには、評価や給与体系を明確に規定した制度がありませんでした。12名の社員が在籍しているのですが、これからスケールさせていくためには、組織としてもきっちりとした人事制度が必要だと考えました。どのような成果を出せば、どのような報酬をもらえるのか、明確であれば組織に対するエンゲージメントが向上し、仕事に対しても健全なモチベーションを持ち続けることができます。また、採用活動を進めていく上でも、明確な給与テーブルと評価制度を明示することがプラスになると考えました。

人事制度自体が、クリエイティブでなければならない

-では、どのような制度設計を進めていったのでしょうか?

一言で言えば、「目標を自由に掲げられて、評価されない評価制度」になります。人事評価自体が私は非効率だと思っていて、誰しもが納得できる評価は難しいんですよ。評価する側とされる側で、お互いの腹の内を探りながら、嫌われないようにすることが目的になったり、評価されやすい数値を目標に掲げたりと、本来の目的からはずれていくことが多いと思っています。

そうなってしまうと、「シグマアイらしさ」を実現することができません。シグマアイはまだまだベンチャー企業です。個人個人が何らかの想いややりたいことを掲げていて、会社としてはその実現を応援することを公言しています。一人ひとりのやりたいことを、シグマアイのリソースを使って事業化したり、新しい価値の実装につなげたり、世の中を動かすことを奨励している。そういったクリエイティブな集団なのです。

人事制度は、そのカルチャーを損なうものではなく、より深く醸成させるものでなくては意味がありません。人事制度自体がクリエイティブなものでなくてはならない。その前提のもと、制度設計をスタートさせました。

「自分発」かつ「中長期」目標を掲げる、「評価しない評価制度」

-具体的には、どのような制度を立ち上げたのでしょうか?

KGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)といった指標を導入すると、「目標数値を達成するために働かなければならない」という意識が強くなりすぎて、クリエイティブな仕事ができなくなってしまう。

私自身も、前職では新規事業の責任者を務めていたのですが、KGIやKPIを重視していました。「目標は必達!」という営業色の強いカルチャーの中で、アジャイルな手法で世の中に無い事業を生み出すのは、なかなか難しかったのです。

そこで、シグマアイでは、OKR(Objectives and Key Results)を活用した「評価しない評価制度」を作りました。3〜5年後の「なりたい姿」を一人ひとりに描いてもらって、目の前の1年でどこまで近づくのか、具体的な目標を掲げてもらいます。「自分発」かつ「中長期」の理想に向かって邁進してもらうことで、クリエイティブな働き方ができると考えたのです。

「10年後は早期リタイアしてハワイで暮らしていたい」という目標でもOK

-OKRを活用した個人での目標設定は、どのように進めていくのでしょうか?

まずは自分がなりたい姿や、社会に提供したい価値を言語化してもらいます。そうすることで、自分自身の根源的なアイデンティティーに向き合うこともできますし、言葉にすることでこの会社でやるべきことを整理することもできる。その目標をもとに、月に1回、自己評価を行います。入社当初に掲げた目標を常に意識するためにも、高い頻度で振り返るようにしました。

シグマアイのミッション・バリューから離れていない前提になりますが、目標は個人が自由に考えることができます。その前提を満たしていれば、「10年後は早期リタイアしてハワイで暮らしていたい」という目標でもOKです。その目標を実現するために、「働く場所や時間にとらわれない、自由な働き方を享受できる社会をシグマアイの技術でつくる」というように、シグマアイのミッションにつなげながら、日々の仕事ができればいいのです。ぶっ飛んでいる目標を掲げても大丈夫。一人ひとりの社員に、クリエイティブな生き方・働き方をしてほしいと思っています。

生み出した価値をベースに、目標達成度を自己評価。上司は評価せずに承認する

-具体的には、どのような目標を個人で掲げているのでしょうか?

営業の藤倉さんは「映像に関するサービスを実現したい」、事業開発の髙砂さんは「障がいに関する問題解決をしたい」、元ゲーム開発職の吉岡さんは 「ゲーム業界の進化に関わっていきたい」といった目標を掲げています。それぞれの個性が出ていて、ご自身の人生で成し遂げたいことと、シグマアイの事業をリンクさせています。ある意味で、人生とシグマアイがシームレスにつながっているので、仕事にも強い当事者意識を持つことができて、よりクリエイティブな働きができると考えています。

単年度の目標も、KGI / KPIマネジメントで起こりがちな「タスク」や「数値」には極力触れないように運用しています。「生み出した価値」をベースに、自分自身で目標達成度を評価して、人事役員にプレゼンテーションしてもらうフローです。人事役員はその内容を「評価」するのではなく、「承認」する形にしています。あくまで主体は個人にあることを、明確にしたかったからです。評価するのは他人ではなくて自分。OKRによる評価と職級・給与のテーブルは密接につながっているので、「自分はこういう価値を生み出したので、1等級上の給与に上げてください」と交渉することもできます。

メンバーの想いや、中長期での目標を共有することで、業務効率が向上した

-かなり自由な評価制度ですが、気をつけていることはありますか?

客観性を担保しています。目標と評価を個人に委ねているとはいえ、独りよがりになってしまうと、協働するカルチャーが削がれてしまう。具体的にはOKRを社員全員に公開しています。人事関連の共有フォルダに、一人ひとりのOKRと自己評価をまとめたシートを格納していて、いつでも誰でも閲覧が可能です。

評価や昇給がフェアに行われるだけでなく、誰がどんな目標を追っているかを知ることができます。すると、社員同士で共有される情報が変わりました。「Aさんは●●の夢を実現するためにシグマアイにジョインしているから、こういう情報をあげると喜ぶだろうな」という認識をお互いに持ってもらうことで、業務の効率が向上しているように感じています。

-現場での運用はいつから始めたのでしょうか?

この10月からテスト導入を始めています。社員全員にOKRシートを書いてもらって、自己評価を行う営みをスタートさせました。この制度がうまく機能するかどうかは、2〜3年経たないと分からないと思います。改善するべき点があれば、変化させていくつもりです。状況に応じて変わっていくことは、シグマアイでは歓迎されています。あらゆることに対して柔軟なんですよ。このようなスタンスも、シグマアイの良いところだと思いますね。

「あつまれ どうぶつの森」の行動データは、キャリア教育に活かせるはずだ

-小林さん自身の今後のキャリアは、どのように考えていますか?

まずは、シグマアイをもっともっと「ぶっ飛んだ会社」、「クリエイティビティに富んだ会社」にしていきたいです。量子技術を活用したソリューションを社会に実装する中で、一人ひとりの社員が他では思いつかないようなことを実現して、社会貢献を実感できる会社になればと思っています。

私個人としては、中学生・高校生向けのキャリア教育に興味を持っています。学校で学んでいることをどのように社会につながるのか。やりたいことはどうやって実現できるのか。そのシミュレーションを提供できるサービスがつくれるといいな、と。私の8歳の息子が「あつまれ動物の森」や「マインクラフト」のような戦略シミュレーションゲームを好んで遊んでいるのですが、例えばそこでの行動データを見れば、子どもの趣味や嗜好はある程度は分かると思うんですよ。データの解析結果をもとに、未来のキャリアを提案してあげることもできるかもしれない。その自分自身の世界観を実現するべく、いま、シグマアイで働いているのです。

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