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採用とマーケティングの親和性 ~ 新米人事のつぶやきVol.1

「え?私が人事ですか?」

色々あって今年の1月から人事になったわけだが、もともとマーケターとしてチームを率いていた私。30歳という節目でのJOB Changeを経験することになる。人事未経験の私がいきなり人事になることに一抹の不安があったが、楽観的な自分が「大丈夫だよ、どうにかなるよ!」と囁いていた。

もともとBEENOSの子会社(事業会社)でマーケティングマネージャーとして、運営していたサービス認知の拡大や集客などを担当していた私だが、当時は様々な手法を用いた施策を行なっていた。WEB広告、アフィリエイト提携、記事提携をはじめとする集客や、一度サイトを訪れたお客様に買ってもらうようなページ設計、キャンペーン企画なども広く担当をしていたのだ。

人事を任されて、私はまずは採用に着手することになる。それは何故か。どうしても季節や時期に左右されるのが日本の新卒採用の現状だ。これには違和感しか感じないのだが、その話は別の機会に。さて世の中は4月に向けて新卒採用への動きが活発になってくる。私が就活をしていた2008年当時より各社の動き出しは早く、どんどん内定が出されていく。

そんな中一つ気がついたことがある。

「採用とマーケティングって一緒じゃん!?」

ここから採用とマーケティングの関連性について語りたい。まず売りたい商品は当社BEENOSである。それを購入するのは学生の皆さん。マーケティング担当は私のような採用担当者。生産者はBEENOSで働く従業員の皆さんで、成果を確認するポイントは学生の入社としよう。そうすると、どのチャネルでどのようなメッセージを発信するか、どれだけの学生にBEENOSを知ってもらえるかという発想になっていく。

補足を一つ入れておくと、企業もしっかり学生を選ぶので必ずしもこの例えが正しいとも思わないが、実際に商売の世界でも売り手が買い手を選ぶというシーンが存在する。本当は恋愛の例えが一般的なのだが、自分のマーケティング経験と繋げた方がしっくりきたのでご容赦いただきたい。

さて、話を戻す。成果ポイントが入社だとしても、採用担当は成果をあげる(入社させる)ことだけにフォーカスすればいいのだろうか?学生と企業がお互いに納得し、お互いの存在に満足をしないと雇用関係は長続きしない。つまり入社後の学生が転職をするか我々会社側が辛い評価をしなければならなくなる。マーケティングにおいてLTV(ライフタイムバリュー)という概念がある。それは一人の顧客が自社のサービスに対して、生涯に渡りどれだけのお金を落としてくれるか見積もる手法だ。何故こんなことを考える必要があるのか?それは1回の購入で1000円お買い上げの費用をのぞいて利益が100円でたとしよう。マーケティングコストとして投下できるのは100円未満ということになる。しかしこの顧客が年間10回、10年にわたって購入したとすと、10年間で100商品で10,000円の利益をもたらしてくれることになる。そうするともっとマーケティングにお金を使えるわけだ。(※とはいえ、ほとんどの企業では1年で時間を区切って1年間でいくら回収できるか算出する)この顧客の獲得に使えるお金の許容限界値を限界CPAと呼ぶ。


「学生のLTVとCPAってどうやって算出する?」

新卒採用にも当然お金がかかるし、優秀な学生をなんとしてでも採用したい。優秀な学生とは「生産性の高い従業員に育つポテンシャルのある学生」の採用である。入社後に高い生産性を発揮してくれる人材はLTVが高いと言える。優秀な学生はLTVが高く同時にCPA(1顧客の獲得コスト)も高い場合が多い。ちょっとこの状況をショッピングに置き換えて考えてみよう。顧客(学生)は買い物上手(優秀)であればあるほど競争優位に立つし、より条件のいい商品(企業)を購入(入社)するだろう。優秀な学生はそうでない学生と比較すると数も少ないし、各社争奪戦になるので採用費も高くつくのだ。

例えば当社に興味を持ってくれるBクラスの学生を100万円かけて10名連れてきて、同じコストでAクラスの学生を10名連れてきたとする。先に述べたように競争優位性の高い Aクラスの学生は他社からの熱烈なラブコールに応える可能性が高い。そうなると同じ100万円と工夫を加えても最終的に残る学生は少数になる。すると1名あたりの採用単価はAクラスとBクラスでも開く。

しかし多少コストが高くついても、Aクラス人材の方が長い目でみたらLTVとして会社に還元をしてくれるので、Aクラス人材の採用に妥協は許されない。入社後数年かけて成長するのだが、人事としてはそれぞれの新卒の学生が会社にもたらしたインパクトを算出して答え合わせを行うのだ。採用において好循環ができると企業としては高い角度で成長ができるし、こういったAクラス人材が他のAクラス人材を惹きつけるという側面も期待できる。

「じゃお金で解決するの?」

お金の話ばかりしていると「お金のことしか考えていない人事」と思われても仕方がない。でもそれは違う。みなさんも普段ショッピングするときに商品が安いだけで商品を購入はしないだろう。場合によってはそうすることもあるかもしれないが、その商品の利用目的が人生を左右するお買い物だったらどうするだろう?質を気にするのではないだろうか。これは学生が就活において給与等の条件だけで入社を決めてしまう事と通ずる部分がある。

最近特に商品の質や生産者の顔も重視される時代になってきた。つまり商品の周辺にあるストーリーも購入時の意思決定要素になるのだ。優秀な学生の採用においては条件面だけでなく、会社のミッションやビジョン、働く従業員の様子、どれだけその会社で成長できるのかというイメージが重要になってくる。マーケティングにおいて商品を売るときに商品の背景を売るのと何ら変わらないのだ。

お金は数字であり、最終的な採用の振り返りをする時にとても便利で客観性のある指標になる。マーケティングでいうKPI(Key Point Indicator:重要指標)として設定ができる。どれだけ効率よく採用活動ができているか、また昨対比でどういう推移なのか確認もできるのだ。


「どうせ書くなら個性を出していこう!」

記事を書くなら私の経験が活かせる内容がいいので、人事・採用・マーケティング・事業企画・グローバルといったキーワードの掛け合わせで執筆していきたい。情報が溢れる時代で通り一辺倒な内容では誰の目にも留まらないまま埋もれてしまう。この記事を書く時間も費用対効果を考えて書いている。人事の考えや想いが応募者の目に止まって興味を持ってもらえたら面白い。


▼参考までに今後の執筆記事の成果を確認する方法

成果=(1名辺りの限界採用コスト)-(自分の時給×1記事辺りの平均執筆時間×執筆記事数)/ (この記事経由の採用人数)

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