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大学を中退してまでフリースクールを作った理由

わたしは現在、東京都目黒区で中高生向けのフリースクール(不登校の児童生徒を対象とした民間の教育施設)を運営しています。オープンしたのは2018年6月。同級生たちが大学4年生に上がる頃、わたしは大学を中途退学してフリースクールを設立しました。

「せっかく入学したんだから卒業しなよ」
「卒業した後に場をつくればいいじゃん」
「もったいない」

そんな声も多く寄せられましたし、身近な大人の方からは心配もされました。

今でも、「大学を辞めてまでつくるなんて、相当の覚悟があったんですね」なんて言われます。当時のわたしは「大学を辞める」ということを、微塵も迷わなかったのですが。

わたしが大学へ進学したのは、数学の教員免許を取るためでした。学校で居心地の悪さを抱える子どもたちを支えたい、そんな子たちが安心して過ごせる場を学校の中に作りたいと思ったからです。

でも実際には、学校の先生たちは常に多くの業務に追われていて、子どもたちと一対一で話すことはおろか、日々の教材研究さえもギリギリでこなしている状態でした。

教育について学ぶ中で、そんな先生たちの現状を知り、自分の目指すものと実際に向かっている場所にはズレがあるのではないかと感じるようになりました。

「このまま勉強を続けて免許を取っても、きっと後悔する」

一年半の休学を決め、自分の将来について再考することにしたのが、大学2年生の秋のことです。そして休学中にアルバイトをさせてもらった教育系Webメディアを通じて、「フリースクール」という場があることを知りました。

フリースクールは「何らかの事情で学校に行かない・行けない児童生徒が日中に通う民間の教育施設」を指しますが、いまの日本ではまだ法整備も間に合っておらず、補助金等もほとんどありません。しかしだからこそ、免許や認可・申請が必要なく、場と人さえ決まればすぐに開くことができます。

「少しでも子どもたちと近い年齢のうちに場づくりに携わりたい」
「これから大学卒業するとしたら、あと2年はかかる。その間に苦しむ子たちを放ってはおけない」

そんな思いから大学中退を決断し、今に至ります。

おかげさまでたくさんの方が訪れてくれ、オープンから一年経った2019年6月には、安定した黒字経営ができるようになりました。まだまだ足りないところ、未熟なところばかりのわたしたちですが、これからも子どもたちのため、ご家庭のため、社会のため、精一杯力を尽くす所存です。

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