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「こども誰でも通園制度」が誤解されがちなこと!


 異次元の少子化対策の目玉として話題の「こども誰でも通園制度」



 就労の有無に関わらず保育園を利用できるようにする制度で、僕らフローレンスが「みんなの保育園」という名称で政府に訴えかけてきた政策です。(https://www.komazaki.net/activity/2023/03/post13002/



 この制度、モデル事業に申し込み殺到なんていう嬉しい報道(https://www.asahi.com/articles/ASR626DNKR62OXIE00P.html)も耳にする一方で・・・



 保育現場を中心に、制度を不安視する声もちらほら聞こえてきます。



 「定員1枠に対し、日替わりで色んな子どもが来るってこと?」

 「保育士の負担が増えるんじゃ?」

 「たまに保育園に通うのってなんの意味があるの?」



 そんな人達に言いたい!



 皆さん、「一時預かり」をイメージされてませんか??、

 「一時預かり」と「こども誰でも通園制度」は全然違うよ、と。


【「使いたい時に使う」一時預かりとの違い】

 一時預かりって、親の用事などがある時に単発で使う制度なんですよね。



 冠婚葬祭や通院の際に、「どこか空いている保育園」に「2~3時間」子どもを預ける、というのがよくある使い方。



 それに対して「こども誰でも通園制度」は、「特定の保育園」に「毎週月曜日と木曜日」通う、というような定期保育のはずです。(少なくとも僕たちは定期保育を提案していました)


 この「定期性」の有無がめちゃくちゃ重要なポイントなんですよ!


 世田谷区で「一時保育室 カムパネルラ経堂」を運営している身として、一時預かりの必要性は十分認識しています。同時に、一時預かりではできることの限界があることもよーく分かってます。


 正直僕は、この制度が単なる一時預かりの拡大なら全然イケてないと思う・・・!



 もし政府が単なる一時預かりの拡大を「こども誰でも通園制度」でやろうとしていたら、みなさんと一緒にこども家庭庁の前でハンガーストライキして、止めにかかろうと思います。そのくらい、一時預かりと定期保育の間には違いがあります。


【「定期保育」がもたらす4つの効果】

 なぜ「定期保育」が重要なのか。その4つの効果をご紹介しますっ!



①子どもの育ち



 まず何よりもお伝えしたいのは、他の子どもとの定期的な交流は、子どもの育ちにとって間違いなく良い影響があるってこと。



 保育者なら誰もが頷くことですが、子どもは子どもの中で「育ち合う」もの。



 コミュニケーション能力知的好奇心の向上など、同世代の子ども同士の関わりの中でこそ獲得できるものはたくさんあります。



 実際にフローレンスの保育園で実施した定期預かりを利用した保護者からも、「ことばが増えた」「今までは口にしなかった食材を食べる気持ちが芽生えてきた」「子供の好きな事、できる事が増えた」なんていう喜びの声をたくさん聞きました。


②親への伴走



 また、定期保育利用者からのコメントの中には「子育ての伴走者」としての保育園の役割を評価するコメントもたくさんありました。



 利用者の実に8割(!)が「子育ての悩みや心配ごとについて相談できる先が増えた」と回答しているんですね。



 定期的に顔を合わせて会話するからこそ、保育士との間に信頼関係が築けます。「困った時の助っ人」である一時預かりとは全く違う、一緒に子どもを育てる「仲間」ができるわけです。



 それって、孤立しがちな現代の子育て家庭にとってめちゃくちゃ重要な支援じゃないですか?


③虐待の予防



 もう一つ、見逃せない観点はセーフティーネットとしての役割です。



 保育のプロが継続的に親子に寄り添うことで、単発の一時預かりでは気がつきにくい虐待の兆候にも気がつけます。



 気になることがあれば、保護者の話を聞いたり、相談に乗るなど働きかけもできますし、状況に応じて行政等の適切な支援につなげることも可能です。



 虐待などのリスクの高い無園児問題を解決するのに、「すべての親子が保育園と繋がり、見守られる」というのは最強のソリューションだと確信しています。


④保育園の負担軽減



 そして今一番懸念されている、受け入れ側の保育園の負担。



 単発の一時預かりって、正直事業者側の負荷がかなり高いんですよね。



 保育園に慣れていない子どもの預かりって保育士としてもハードだし、職員配置・電話対応・利用料徴収などの事務負担も大きいし、預かりがなくて空きができても、保育士は常駐しないといけなくて人件費は嵩むし…


 これが、定期保育になって「毎日違う子を預からなくてOK」「通常保育の空き定員での預かり」となるだけで、保育現場の負担は相当軽減されます。


【保育士の配置基準・処遇改善と両輪で進めよう】

 「こども誰でも通園?それより人手不足をどうにかしてよ。」「まずは保育士の処遇改善からでしょ」という現場の声はよく分かる。僕も、保育士の配置基準と処遇改善をずっと訴えてきたわけで。。



 だけど、それと「こども誰でも通園制度」の是非を混同しちゃいかんと思うんですよ。



 「こども誰でも通園制度」は進める。保育士の配置基準・処遇改善も進める。そうやって両輪で進める、というのがベストなのではないでしょうか。


【「子どもまんなか」な制度の実現を】

 保育園って、働いている親のためだけの施設じゃないんですよね。



 保育士という子どものプロが、一人ひとりの個性や発達段階に寄り添いながら、育ちをサポートしてくれるかけがえのない場なんです。


 親が働いていないことで保育を受ける権利が奪われてしまうのは全くフェアじゃない。



 「こども誰でも通園制度」は、すべての子どもの「保育を受ける権利」を保障する、「こどもまんなか」な素晴らしい制度だと思います。



 この制度の良さがもっともっと広まるよう、引き続き発信していきます。



 メディアの方!

 たぶん僕、このテーマで日本一話せると思うので、お声掛けお待ちしています!!



 こども家庭庁の方!

 「まだ制度の詳細は未定」って仰ってますが、万が一単に一時預かり広げましょうっていう話だったら、日本中でネガキャンして全力で止めにかかるんで、そこんとこよろしくです。