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MAツール導入時に役立つテンプレも公開。東証1部上場企業でのMA導入プロジェクトの裏側

この記事はnoteからの転載です。

こんにちは、東証1部上場企業のブイキューブで、BtoBマーケティング支援サービス『GAX』責任者を務めている佐藤岳です。

私は2015年11月にブイキューブへ入社、2016年4月からはマーケティング本部長として、ほぼゼロベースからBtoBマーケティングの組織づくりを進めてきました。その結果、2020年にはマーケティング活動からの新規受注を2016年比で9倍成長を実現。

そうした過程において、私が実際にブイキューブでどのようなことに取り組んできたのかを、「BtoBマーケ組織づくり」や「顧客理解」という観点からこれまでのストーリーでご紹介してきました。

そして現在、これまでの経験から得られた知見やノウハウを提供するサービスとして、2021年1月からGAXの提供を開始しているのですが、ご相談いただく企業様の抱える課題の1つに「MA(マーケティングオートメーション)導入・活用」が挙げられます。

そこで今回は実際にブイキューブでもあった「MA導入」に至るまでの課題、そして具体的なアプローチについてご紹介します。

ブイキューブであった「MA導入」における実際の課題

私が2015年11月にブイキューブへ入社したタイミングではリード・ジェネレーション(見込客の創出活動)に課題があり、具体的には「施策はすべてエージェンシーへ丸投げ、展示会で2万件近いリストを獲得しても、成約はわずか11件のみ」といった非常に効率の悪い状況となっていました。

当時、ブイキューブではWebフォームや見込み客管理、メール配信ができるツールに加え、セミナー申込管理にはまた別のツール、そしてCMSには別のクラウドサービスを利用していました。

しかも「セミナー申込管理」SaaSと「Webフォーム・メール配信」SaaSでは、Webフォーム、見込客管理、リードスコアリング、Salesforceとの同期と、各ツールで同じ機能を有しているSaaSを目的別に利用しており、コスト負担だけでなく、運用の負担も少なくありませんでした。

さらに、「Webフォーム・メール配信」SaaSはSalesforceと同期していましたが、「セミナー申込管理」SaaSは、Salesforceと同期していませんでした。ゆえに、一人のお客様がセミナーに申込した後にお問い合わせしてきた場合、そのお客様の行動履歴を統合して確認することができませんでした。

また、名寄せ機能がなかったため、たとえば同じお客様が3種類のeBookやホワイトペーパーをダウンロードすると、3人がコンバージョンしていると集計されてしまい、見込み客の行動履歴を適切に一元管理できていない状況でした。

見込み客の行動履歴が一元化されていないがゆえに、どの見込み客が確度の高いお客様なのかが把握できていないので、結果的に確度が高い見込み客がいたとしても、アプローチできていないという状態が続いていたのです。

前回のnoteでもお伝えしましたが、営業パーソンはマーケティング部門から見込み客のフォローを依頼されても、その見込み客の導入検討の状況や確度が不明確だと、効率的な受注に繋がらるかわからず、ノルマを達成できない懸念があるため、どうしてもフォローが後回しになってしまいがちです。

実際にブイキューブでは、出展した展示会で来場者様からご提供いただいた名刺やアンケートの結果がデータ化され、「Webフォーム・メール配信」SaaSにインポートされるまで2ヶ月かかっていました。展示会来場者へのフォローを行うにしても、メール配信のためには膨大な作業が必要で、1つのメールを配信するための準備にのに最短でも3時間かかるなど、メール配信の人的負荷が非常に高く、さらにはステップメール配信もできないものでした。

当然ながらお客様の興味関心に応じた自動メール配信はできていませんから、配信作業に忙殺されるばかりで、適切なリードナーチャリングができていない状況だったのです。

エージェンシーからのアドバイスに従ってリードスコアリングを設定し、Salesforceと同期していたのですが、そもそも見込み客情報を一元管理できていませんから、誰もスコアリングをベースとしたアクションを取っていませんでした。

マーケティング部門は、お客様のデータを一元管理し、お客様の行動履歴や興味関心を明確にしたうえで、自社製品やサービスへ興味・関心が高い、導入検討の確度が高いお客様を明確にすることが求められるのですが、60万円もマーケティング関連SaaSに費用をかけ、エージェンシーにコンサルティング料金をお支払いしていたのにも関わらず、お問い合わせされてきたお客様のみしか営業がフォローができていない状況でした。

MA導入プロジェクト成功のために実際に取り組んだこと

そこで前述の課題を解決すべく、下記を目的としたMA導入プロジェクトを立ち上げます。

  • マーケティング関連ツールのコスト削減、およびツールの一元化
  • 見込客情報の一元管理
  • メール配信の運用効率化
  • お客様の興味関心に応じた情報提供

プロジェクトのはじめに、MAの基本設計となる顧客のライフサイクルステージを定義すべく、まずは組織横断での顧客理解に取り組みました。顧客理解については下記ストーリーに詳しく書いております。

営業本部とマーケティング本部で一緒にペルソナ・カスタマージャーニーを設計したことで、見込み客獲得からナーチャリング、受注に至るまでの全体感を組織横断で理解し、その上で企業側はどのようなアプローチが必要であるかを見える化しました。

そしてカスタマージャーニーをもとに、ライフサイクルステージを定義していきます。なお、カスタマージャーニーとは買い手視点の購買プロセスを表したものに対し、ライフサイクルステージとは売り手視点でのお客様の段階を表現したもので、具体的にブイキューブでは「サブスクライバー」「リード」「MQL」「SQL」「商談」「顧客」といった形で分類しています。

ライフサイクルステージを設定することで、お客様がいまどの段階にいるのかを明確にすることができ、個々のお客様がいまライフサイクルステージのどの段階にいるのかをマーケティングと営業の関係者で共通認識を持つことで、お客様の状態に応じた適切なアプローチが可能になります。

そしてライフサイクルステージの各段階に応じた学習マテリアルやコンテンツを、お客様から提供していただく情報と引き換えに提供することで、お客様の学習行動を後押しします。

実際にブイキューブでは、商材であるテレビ会議システムのカスタマージャーニーに沿ったライフサイクルステージを定義し、どういったコンテンツをオファーすべきか、また各段階をクリアするための条件や取得する項目を定義していきました。これらの条件や取得項目などが、MAの基本設計となります。

カスタマージャーニーに即して制作したコンテンツ

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V-CUBE Box 導入事例
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V-CUBE BoxとPolycom HDX8000を接続し、テレビ会議と資料共有ができるのか検証(後編)
初めてテレビ会議システムの導入を検討している企業様
導入済のテレビ会議システムの部分的な入替や拠点拡張を検討している企業様
テレビ会議システムの全面的な入替を検討している企業様

次に行ったのが、マーケティング・プロセスの見直しです。従来のマーケティング・プロセスでは、ステップが細かく定義されていたものの、上述の通り課題が山積みで、ステップ通りのアプローチをとることができていませんでした。

また、マーケティングの業務プロセスとMAツール活用が連動していなければ、「MAで結局なにをするんだっけ?」と、ただツールを導入しただけになってしまうため、メンバーが自走して動けるようになるためにもマーケティング・プロセスを簡易化。業務プロセスとMAの位置付けを明確にしました。

そしてオンライン、オフラインすべてのマーケティング施策で獲得した見込み客情報をどのようにMAツールに集約させ、スコアリングをどのようにすべきかを設計していきました。

そうした設計をもとに、実際に導入するMAツールは何が最適であるかを比較検討していきます。ブイキューブでは、RFP(Request for Proposal:提案依頼)を作成し、ツールベンダーおよびMAエージェンシー各社へ打診。そして機能面、ユーザビリティ面を細かく点数をつけて比較していきました。

評価選定で実際に活用したフォーマットは、こちらからダウンロードできます

最終的には実際にMAツールを利用するメンバー6名に、自分が利用したいツールに投票する方式で採決を行い、満場一致でHubSpotに決定しました。

そしてHubSpot導入プロジェクトが2016年1月末にキックオフ。2ヶ月後の3月末までに準備完了、4月1日からの利用開始を目指し、プロジェクトを進めていきます。プロジェクト自体は6つのフェーズにわけ、活動目標と概要、実行体制、WBS、主要成果物を定義し要件定義、設定構築を進めていき、目標よりも少し早まった3月30日に運用を開始することができました。

ブイキューブのHubSpot 導入プロジェクトのWBS(XLSXファイル)を貼っておきます。ご参考にしてください。

商談件数は前年比170%増。マーケが営業から頼られる存在へとなっていった

※HubSpotで構築したブログメディア INSIGHTS SHARE (現:テレワークナビ

MA導入実現によって、まずマーケティング関連ツールにかかっていたコストが半減。さらにできることも増え、大きな負荷となっていたメール配信業務も劇的に改善することができました。

そして営業本部はマーケティング本部が創出するリードへのフォローを後回しにするような状況でしたが、MAによってフォローすべきお客様が明確になり、またお客様の行動履歴を一元的に把握できるようになったことで、リードの効果的な活用が実現。効率的な案件創出ができるようになっていきました。

実際に案件が生まれ始めていったことで、営業本部としても「マーケは案件創出に協力してくれている」という認識が生まれ、これまで対立関係にあった営業とマーケティングの関係性も改善されていきます。

マーケティング本部からのリードは当てにされていなかった状態だったのが、MA導入後は営業本部から「こういった業種、業界のお客様の案件がほしい」などとリクエストがくるようになり、案件が少ないエリアの営業担当からは「助けてほしい」と相談を受けるようになるなど、マーケティング本部に対する営業本部からの信頼度が増していったのです。

その結果、商談件数は前年比170%増を実現。結果的に受注件数、売上も増えていき、事業成長に貢献できるマーケティング活動が実現したのでした。



まとめ:マーケ部門だけで進めると失敗する。いかに営業を巻き込むかが成功の鍵

MAを活用し、成果を出していくためにはマーケティング部門と営業部門の連携は必至です。むしろマーケティング部門だけでMA導入を進めてしまうと、効果的なMA活用は実現できません。

そのため、いかに営業部門との協力体制を構築できるかがポイントです。上述の通り、ブイキューブではペルソナやカスタマージャーニーの設計を、マーケと営業が一緒になって進めていきました。

顧客理解を組織横断で行うことで、誰に何をすべきかといったアプローチに対しての共通理解が生まれ、施策一つひとつに対して関わる全員が当事者意識を持ち、行動することができるようになります。そして成果が出たときはやはり嬉しいものですし、営業部門もより提案をしっかりと行おう、フォローを行おうというマインドに変化していきます。

MA導入においても、なぜMAが必要なのか、MAによって営業側にはどういったメリットがあるのかをしっかりと説明することを忘れてはいけません。実際にブイキューブでは、リリース前に営業側への説明会「営業活動の効率化に向けたHubSpot運用開始のご連絡」を開催。

説明会では、Salesforceの案件情報へのHubSpotのスコアリングを表示し、受注確度および行動履歴の見える化によりニーズに沿った提案の実現ができるということ、そしてマーケは確度の高い見込み客情報の獲得を目指していくことを伝えました。

また、運用しながら生まれる課題も一つひとつ対応し、改善の都度、営業側へ丁寧に説明。そして営業側の要望も反映していくなど、地道にチューニングを進めていき、効率的な案件創出、受注件数増加を実現していったのです。

これからMA導入を進めていくというBtoBマーケ担当者の方は、MA導入は組織横断でのプロジェクトであるという認識を持ち、営業部門を巻き込みながら、ぜひ今回ご紹介したテンプレなども活用いただき、プロジェクトが成功するよう進めていってください。

今回の記事では、MAの導入についての取り組みについてご紹介しました。MAの活用については、また別の機会でご紹介したいと思います。

なおMA導入の翌年2017年には、導入検討の確度が高いと思われる見込み客へ迅速にアプローチすべく、インサイドセールス部門の立ち上げを行いました。次回の記事では、インサイドセールス立ち上げについて、詳しくご紹介していきます。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。