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オランダでエンジニアとして働く ~考察編~

今回はオランダで3社経験していることから、それぞれ会社別にメリットとデメリット、そこで得た新しい経験について、一般的な日本企業との文化的違いとその考察について書いていこうと思います。

同じ国でも会社が変われば文化がまるで違うことがわかりましたが、それは初めからある程度想像していましたし、一面だけを見てオランダの会社はこうだと盲信してしまうことを避けられればと。

1社目: Hugo.events (オランダ)

  • 特徴
    • 音楽イベント管理サービス、アンケート管理サービスなどを開発しているスタートアップ
    • インターンを除くと社員は自分を入れて5人
    • エンジニアチームはウクライナ人のCTO, フルスタックエンジニア(自分), オランダ人のフロントエンドエンジニアの3人と小さいチーム
    • Kickstarterで資金を集めて設立された会社だが、まったく儲かっていない (売上がまさかの0)
  • メリット
    • Dockerを2016年にして既に効果的に使いこなせていたり、新しく得られる技術が多かったこと
    • サービスがMicroservicesArchitectureで構築されていたので、プロジェクトに応じてGolang, PHP7, Node.jsと異なる言語を使う必要があったが、器用貧乏の自分の性に合った。チーム規模を考えるとDBを各サービス間で共有するといった厳密でないMicroservicesArchitectureは理にかなっていると思った
    • CTOの技術力が高くて勉強になった (CSは勉強しておいたほうがいいともアドバイスをもらった)
    • 毎週金曜日には無料でビールが飲める
  • デメリット
    • 自分の低い英語力による疲弊
    • 自分の低い英語力による理解不足
    • 収益が上がってないことに対する不安
    • 給料が安かった
  • ここで得た新しい経験
    • 金曜日に社内で無料でビールが飲める
    • 突然の即日解雇 (投資がストップして末端の自分が切り捨てられた。。。)
    • CTOを見ていて、新しい技術習得や、なにか調べるときのスピードの速さに驚いたこと。要因はいろいろあるが、確かな英語力があるとググったときに目的にたどり着くスピードは段違い。

即日解雇とか、まじで?って思ったけど社員がある程度危機感もって仕事をすることができるので、これはこれでアリだなと思った。日本の窓際に追いやられる陰湿なイジメとか非効率の極みで海外でも知れ渡ってて馬鹿にされてるけど、やっぱ馬鹿だと思う。しかし、これによって失業保険や生活保護受給者が増加する要因になるくらいなら企業側である程度そういった人材も許容すべきなのかとも思ったが、専門外なのでこの辺で。

2社目. 2Gears (ルクセンブルク, オランダ)

  • 特徴
    • Fin-techのスタートアップで、金融業界向けのリソース管理システムをBtoBサービスとして開発している
    • 社員は自分を入れて20人ほどで、エンジニアチームとビジネスチームの2チームに大きく分かれている
    • サーバーサイドはNode.jsで組まれているので、Javascriptが超重要。全エンジニアがフロントエンドもバックエンドも担当する。
    • ビジネスチームは金融大国ルクセンブルクにあり、Fin-tech Awordを受賞しただけあり、ビジネスはスタートアップながら大成功しており、世界中にクライアントがいる。
    • CEOとCTOは双子
  • メリット
    • 儲かっているので、前職で感じていた不安がまったくない
    • 金曜日以外でも普通にビールが飲める
    • エンジニアはTU Delftというオランダで一番レベルの高い大学からの卒業生が多く在籍し、とても優秀であったこと (自分の職歴上、歴代最高)
    • 特にボスは技術的にも人格的にもすばらしく尊敬できたし、そういう人の元で仕事ができること
  • デメリット
    • 自分の低い英語力による理解不足
    • 技術的なアンマッチ。個人的にGolangに傾倒していたが社内のプロジェクトで使う場面がないし、主観としてJavascriptの可読性の低さと冗長なコードにモチベーションが低下したこと
    • 特にフロントエンドで使われていたExtjsという巨大なフレームワークなんて覚えようというモチベーションがまったくわかなかったが、依存しているので避けて通れなかったこと
    • スケジュール管理が厳しいのでプレッシャーがすごい
    • エンジニアが優秀すぎてアルゴリズムが難解なので、休日も常に勉強しておかないと不安
    • 結果が出ないとすぐにクビになる。一人技術不足でクビになっていた
    • ほぼオランダ人で普通にオランダ語を喋ってて疎外感がすごい
  • ここで得た新しい経験
    • 毎日社内でビールが飲める。ビールを飲みながら仕事
    • エンジニア内にCS学位保持者が多数いる場合にのみ可能なハイレベルな設計と議論。ただただ同僚が優秀でCSの学位は関係ないかもしれないけど。
    • CTOはマネジメントもできるし自分でもガシガシ開発ができる。日本みたいに名ばかり管理職という無益なポジションがなくて素晴らしいと思ったが、むしろ、これが当たり前だよな。。。
    • Macbook proにつなぐ外付けディスプレイが2台もらえたこと。日本では1台ってのが多かった。
    • 会社を病欠しても有給は消化されず、何もペナルティーがないことを知った (こっちでは普通)
    • 入社後すぐに有給が25日もらえたこと

やはり会社がある程度儲かっていないと不安になる。財務状況は大事だと思った。

たま〜にボスがいない+天気がいいときはみんなで昼間から近所のBarに行って飲んでたけど、個人的には罪悪感を感じていた。これが癖になるとヤバイが、そういった柔軟な思考も必要だと思うようになった (しかし罪悪感が消えるわけではない)。

おもしろかったのは日本のメガバンクグループに営業する話があって、CEOが日本人の特徴を教えてくれと言ってきたので、日本人は自分たちが島国の閉じた国の人間であることは自覚している(少なくともこのメガバンクでグローバルビジネスのチームに所属している人間なら) ので日本のルールなんて気にしないでいいとは答えておいたが、時間にはうるさいので、遅刻は気をつけてねとアドバイスしておいた。しかし、打ち合わせの場に日本人は一人もいなかったとのこと。

エンジニアが優秀だと刺激的だけど、優秀すぎるとそれがプレッシャーに変わる。そういった環境下で英語力で劣る自分の理解力を考えるとかなり精神的にしんどかった。

興味ある技術と社内で使われている技術にも相違があるので、それを乗り越えるエネルギーがわかず自主退職することになったが、メンバーを尊敬していたし、日本人をわざわざ採用してくれたという恩義から会社に対しても強くloyaltyを感じていたので裏切るようで非常に辛かった。

3社目: BookerZzz (オランダ)

  • 特徴
    • ホテル予約サービスを2002年から開発している
    • 社員数は150人ほど
    • モノリスなシステムのマイクロ化を既に2年くらい継続しており、PHPの旧システムとGolangでの新システムでエンジニアチームが2チームに分かれている
    • 自分の所属はGolang TeamでタイトルはGo Developer
    • マーケ部、コンテンツ部、人事部など、エンジニア以外の部署が女性ばかりなので、全社として女性比率が高い
  • メリット
    • 自分が求めていた技術環境が既に実現されている。完全なCloud Native環境とMicroservicesArchitecture, gRPCでの各サービス間通信
    • Golangでの開発に専念できる(とはいえフロントエンドエンジニアが少ないのでよく手伝っていたが)
    • 超多国籍で自分のチームはオランダ人、トルコ人を除き、どの国籍も一人 (フランス人、ポルトガル人、ブラジル人、トルコ人、南アフリカ人、ルーマニア人、エジプト人、ドミニカン etc)なことが刺激的
    • 社内イベントが豊富 (スキーいったりキャンプしたり)
    • 月一でBar貸し切りイベント
    • 美女多し。日本にで実現しようとしたら外人のファッションモデルを集めるイメージ
  • デメリット
    • エンジニアのモチベーションが低すぎる (特にトルコ人がヤバかった)
    • 上記と似ているが、エンジニアが働かない (特にトルコ人がヤバかった)
    • 優秀なエンジニアがすぐに辞めていく
    • その結果エンジニアのレベルが低い
    • 挑戦する環境がない
    • やる気を出そうが結果を出そうが微塵も評価されない、なぜならボスもやる気がないから
    • 時間ばかり消費される非効率な運用が多い
    • 超多国籍であることはメリットでもあるが、チームにまとまりがなさすぎる。性格も様々で根拠がないことですら激しく自己主張して意見を変えないルーマニア人にはみんな困っていた。それが原因で今まで辞める人間が後を立たなかったが自分もそれが原因で辞めることに。
    • 出る杭は打たれるのは日本だけではない。足を引っ張る人は普通にいる。
    • 名ばかりボスがヤバすぎる。開発はできない、マネジメントはしない、働かない、やってることはメンバーのモチベーションを低下させることくらい。パワハラは日常茶飯事。
    • Open-mindedと言われるオランダながら、この会社に限っては無益なヒエラルキーが存在しており、ボスが無能すぎてやっぱり害悪でしかなかった。
  • ここで得た新しい経験
    • 会社が変われば文化が変わるのは当然だが、その違いは日本では考えられないくらい違うことを知った。だからこそ転職回数が多いことは単純にマッチングの問題と見なされ気にされないし、だからこそ海外で転職する際には文化的なマッチングの重要性を強く感じた。
    • ディスカッションで激しくぶつかって対立しても、ミーティングが終わると何もなかったかのようにみんなあっけらかんに普通に話している。日本だと引きずって陰湿なイメージが強いけど、そういうのはまったくなかった。EQ(心の知能指数)は超大事。
    • モチベーション低下後の話だが、周りに合わせるように10時出社の17時退社、実働6時間を実現。
    • 結果を出そうものなら足を引っ張るやつが普通にいること。若いチームであるがゆえに自分の給料は他のエンジニアよりも高く、それがふとした会話からメンバーに漏れ、妬みからか、そういった結果を招いたのではないだろうかと推測。貧しい国からの移住者もおり(外国人はほぼそういった国から来ている)、彼らの金への執着は半端ない。

2002年から続いているサービスなので運用色が強い。おそらく既にアーキテクトなどの優柔なエンジニアは次の会社に既に移ってしまい、入社時既にそういった優秀なエンジニアは少なかった。

多国籍企業への憧れも虚しくその幻想が砕け散ったが、それはそれでいい経験だった。日本人どころかアジア人は自分とマーケ部にいる香港人くらいでそれもまた自分からすれば刺激的な環境だった。

オランダ人はオープンで日本のような無益なヒエラルキーはないと言われていたけど、それでもこの会社ではそういったものが存在していて、やっぱ無益どころが害悪でしかないと再認識した。

いい意味でオランダで最悪の会社に出会った。いいところばかり見ていたら日本の会社は駄目だ〜なんて日本に戻ってから言うようになっていたかもしれないが、海外にだってイケてない会社は当然存在する。


様々な側面に対しての考察とまとめ

  1. ビジネス面

当たり前だが、開発するサービスを自国だけで展開するなんてことはまずない。
ただし日本の社会は特殊なので当然同じ発想ではやっていけないだろうし、日本人が何かサービスをグローバル化するのが大変のように海外からすれば日本の社会向けにローカライズすることもまた大変なんだと思う。とはいえ遠くない将来、少子高齢化が絶望的なレベルまで悪化した後、その状況下では国際競争力なんて今以上に低下しているわけで、さらに頼みの内需すら期待できなくなる。つまりこの先、グローバル化を実現できないような日本企業から潰れていくんだろうなあと。

こちらでは残業もなく、それどころか全然社員が働かないような会社も存在するにもかかわらず、会社が利益をあげて存続している。EUという土地的な利点もあるとはいえ、逆に日本の場合、長時間労働でしか存在意義を見いだせない会社が多く存在することを考えると、結局狭い日本だけでビジネスが集中しすぎていると思う。インターネットの世界ですらその有様なわけで、それはつまり、日本の「経営」者のレベルが低いと思えてならない。そして、そのしわ寄せが社員に向かうという皮肉。

OKR(Objectives and key results) は当たり前のように浸透しているが、機能しているかどうかはまた別の話。うちのチームに関してはチームメンバーまで目標の共有が行き届いてないと感じた。

2. 技術面

日本の一般的な会社の技術レベルを考えるとやはり日本は遅れていると思う。特にCloud Native環境はこちらでは2016年の時点で既にデファクトスタンダードとなっていると感じたし、そういった技術情報の進歩が早い分野は書籍化しにくく、日本語からしか情報をキャッチアップできないエンジニアが大勢いる日本社会では、技術革新のスピードが早い分野ほど、取り残されるんだろうなあと感じた。

技術を手段ではなく目的としてしまうのも日本固有。こちらではありえない。なぜそんな非論理的なことが日本では当たり前のように起きるか考えてみたが、英語で書かれたドキュメントから技術の本質を汲み取ることができない結果、使うことでしかどういうものか理解できないことと、学生の延長線上のようなプロフェッショナルとは到底言い難いエンジニアが、ただただ使ってみたいという願望を満たすことを優先した結果なのかなと。

3. 英語面

英語力が低いのはエンジニアにとって致命的。日本語だけで情報収集できる場面なんて誰でも知っている情報を集めるときにしか役に立たない。情報収集能力が低いことは生産性が低いことを意味する。

英語力は未だに同僚と比べても劣るが、2014年当時の自分の英語力はTOEICなら950点ほどだったが、このレベル感じゃまったく話にならず、就業当初は英語で会話しているだけで疲れてしまった。
日常会話の英語力を当てにしてはならない。仕事を通じて論理思考構築にエネルギーを取られることで英語で話すクオリティーが低下することに気がついた。
参考までに、現在の自分のレベルならTOEICなら満点を取れると思うけど、それでもEUで働く上で英語力は足りないと思う。つまりTOEICは日本人の低レベルな英語力を図るためだけに存在し、practicalなレベルであるかどうかを図るためのものではない。

たまにエンジニアは英語力がなくても海外就業できるという人がいるが、議論は頻繁に発生するし、そこで理解できず意見が言えなければ、言われたことだけしかできないわけで、それでは会社に貢献しているとは到底言えない。

英語力で見劣りする限りチームを牽引することはできない。若手ならともかく、チームの中で経験値で勝っているのにこういう状況に陥るとフラストレーションが半端ない。

3. 給与面

はっきり言って、これはEU内では期待しない方がいい。税金がとにかく高い。自分は給料の52%を持っていかれるだけでなく、市役所からその他もろもろ税金の催促がくるので、それ以上支払っている。給料面で期待したいのであればアメリカ一択と言えそう。とはいえ、EU内における海外からの就業者のほとんどは貧しい国からより豊かな国に移動してくるというケースだと思うし、現時点では日本人に給与面でメリットはないと思う。(しかし衰退の一途をたどる日本の状況を考えれば、すぐにメリットに変わると思う)

4. 福利厚生とか労働環境

  • 病欠で休んでも有給が消費されない
  • 初年度から25日の有給を付与
  • 残業はほぼない。むしろ規定時間を下回ることも
  • 同僚はまあ働かない
  • ビール飲み放題

5. その他

  • 日本人の大好きな精神論なんて誰も言わない。こっちでそんなことをしようものなら職場に宗教を持ち込まないでくれと一蹴されるだろう。必要なのは論理的道筋だけだと。
  • こちらの企業で働いてみて、日本企業の内装はあまりに地味すぎると強く感じた。
  • 日本(日本人)は職場に負の感情を持ち込みすぎ。上司が部下を感情全開で叱責するとか、そんな光景は見たことがない。自分もそうだが、日本人の心の知能指数EQが低すぎるのではなかろうかと推測している。
  • 個人的感覚だが、日本のフロントエンドエンジニアの技術力が相対的に低すぎると感じた。
    • 日本のサイトは軒並みUI/UXがヤバイ。例えば日本のサイトだと1クリックで可能であってほしいアクションに対して5クリックくらい要求されるとか。
    • これはフロント領域に立つ人間が相対的に技術力含め様々な知識が欠けていることが起因しているんじゃないかと。こちらではフロントエンドエンジニアだってデザインパターンについて熱く語れるし、コンピューターサイエンスの学位を持っているエンジニアも普通にいる。
  • 日本人の写真(を撮ること)好きは超有名だが、飯時とか特に嫌がられるのでEU圏内ではプライベートだけにしたほうがいい。LinkedIn経由で金曜日のオフィスでの飲み会に誘われ、ビールを飲みながら面接を受けたことがある。そのオフィスには多くのベンチャー企業が入っており、内装もとてもおしゃれだったが、自分がまったく写真を取らなかったことに対して、おまえは日本人だけどいちいち写真をバシャバシャ取らないからいいよねって皮肉?を言われた。自分もその辺の空気を察してはじめは控えていたが、今となっては自分も写真を取りたがる人をウザく感じるようになった。
    • 補足しておくと、そのときそのときのリアルを感じて楽しむことを優先すべきであって、写真なんて重要じゃないよって発想なのかなと。
  • EU内のTechイベントはかなり多い。アクセスしやすいのは大きなメリット。例えば、以下のようなイベントに興味がある。


当初の目的である、技術の習得、海外での開発スタイル、文化を知ること、結果として視野を拡げることは実現できたと思う。ただし、こちらで得た経験や価値観の変化は柔軟な考えの基に留めておきたい。つまり日本に帰った時にこちらの価値観を日本社会に押し付けるようなことはしてはならないし、結果としてそれがストレスになるのであれば自分が損するだけだと思う。

最後に、これは一個人の主観であり、あまり鵜呑みにせず、その辺を考慮して読んで頂ければ幸いです。

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