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趣味 するめいかの塩辛

いかの塩辛が好きだ。

笹塚の魚屋で売っていたいかの塩辛が本当に絶品だった。

もう先代のお祖父さんが亡くなってしまってあの味は食べられない。

店前を通る度に思い出としてあの塩辛が見えてくる。

舌には味の記憶が残っている。

店のお婆さんに作り方といかの品種と作るのにいい時期を聞いた。

よし作ろう。


いかはスルメイカを使う。

秋から冬の時期のスルメイカは肝が大きくなり塩辛に適しているとお婆さんが教えてくれた。

身と胴体を切り離して塩でよく洗う。

エンペラと下足は塩辛に入れても美味しくないので冷凍して他の料理に使う。


身は皮を剥いでよく水気を拭き取り冷蔵庫で一夜干し状態にし寝かす。

肝は他の臓器を取り除きしっかり水気をとり塩で覆い被せて一晩漬ける。

一晩漬け込んだ肝の塩を振り払い体液を絞り出す。

味付けはこの体液とお酒のみ。

身を5mm程間隔に切りよく和える。

シンプルにこのままでも美味しい。

柚子があってもまた美味しい。