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Section2:1桁企業ステージを変える時の「方法論」

合算か、単一か

1桁企業のステージを上げようと考えた際、以下A~Cいずれのパターンを採用するかまずは考えることになる

A:複数事業合算型
B:単一事業拡大型
C:複合型(A+B)

A:複数事業合算型
-単一の事業体を無理に拡大することはせず、リスク無く成長できる範囲まで素早く立ち上げ、経営者にとって心地よい規模での運営を継続する
-周辺市場は当然のこと、飛び地(異業種)においてもマーケットニーズの有無を敏感に察知し、無理のない範囲で事業立ち上げを繰り返す
-複数事業を合算し、1桁上のステージに企業を成長させるやり方

B:単一事業拡大型
-Aとは異なり、単一の事業の成長を追求する(例:同一プロダクトの海外展開、出店拡大、EC展開 等)
-一部、周辺市場における事業展開を図ることも有るが、あくまでも本業への好影響を見込んだ取り組みで、収益の大部分は本業で行うことが多い
-単体事業で1桁上のステージに企業を成長させるやり方だ

C:複合型(A+B)
-収益の柱となるコア事業が一つ有り、関連性の薄いサブ収益源が複数あるパターン
-このパターンは同時並行で意図して作られることは少なくAもしくはBをまずは追求した結果として成立している場合が多い
-AとBは事業を発想する際の起点が大きく異なり、特にBは一定のリスクを負って事業拡大にチャレンジする性質が強いため、二頭を追うのは相当な難易度だ


経営者の志向性と市場の特性が影響

AもしくはB(もしくはC)のいずれを採用するべきだろうか?以下①と②を考慮して決定して欲しい

①経営者の志向性
②市場の特性

①経営者の志向性
-まずは、経営者としての志向性(得意・不得意)
一つの事業の構造を徹底的に理解し、未だ顕在化していないニーズに対してもイノベーティブな方法で果敢にチャレンジすることが出来る経営者はBが向いている
 典型的な特徴:ビジョナリー
 典型的な特徴:中長期的な時間軸
 典型的な特徴:イノベーター

-一方、属する業界以外のビジネスネタにも敏感で、すぐに結果が出るビジネスが好きな方はAが向いているだろう
 典型的な特徴:情報・人脈が豊富
 典型的な特徴:短期的な時間軸
 典型的な特徴:グロースハッカー

②市場の特性
-次に、市場の特性だ。市場によっては、どう足掻いても1桁乗せることが出来ない場合が有る
Bを選択できないケースが有る
-例えば、自社の売上高が100億円だったとしよう。仮に1,000億円を単一事業で目指そうとした場合、
少なくともマーケットサイズはそれ以上が必要だ
-仮にマーケットサイズが5,000億円あったとしても、TOP PlayerであるX社が300億円しかなかった場合、その市場は極めて分散的(フラグメント)であると言える
-確かに理屈上は何等かのイノベーティブな方法で、マーケットシェアの多くを握る可能性を否定することは出来ないが、フラグメントなマーケットにおける寡占を達成するのは相当な難易度
市場成長率が年平均10%以上の高成長市場であれば可能性が残るものの、時間がかかる上に市場任せになる点に危うさが有る


Bはハイリスク

AとB、どちらも一長一短ではあるものの、Bを選択できる企業は限られている点に注意が必要だ

まずもって、Bの選択肢は実現までに時間がかかる
ニーズが潜在的であることもそうだが、顕在化されている場合であったとしても、自社がより多くのニーズを充足するためには、既存のビジネスモデルを大きく拡張/変革する必要性が有る

フットプリントを順次拡大していくような方法を取ったとしても、ミドル・バックエンドのオペレーションは大量店舗のマネジメントが出来るように整備し直す必要性が生じてしまい、既存の延長線上ではカバーできない

又、1桁規模を大きくするためのビジネスモデルの拡張/変革は大きな投資を余儀なくされ
一度その方向に舵を切ってしまえば後戻りできない(不可逆的)点がリスキー

イノベーションはそう簡単には起こらない


AはBよりイージーだが、社内外からの評価が低くなる傾向

一方、AのパターンはBよりは簡単かつ低リスクだ。

新しい市場に出ていく場合においても、何もTOPシェアを獲得しようとするわけではないため、洗練し切ったビジネスモデルやオペレーションが必要なわけではない

顕在化しているマーケットの数%を取れれば上出来だ。

又、上手く立ち行かなくなった場合であってもその事業だけを畳めば良いので、既存で回っている事業に何ら悪影響は無い

但し、ビジョンやミッション等との整合性が取りづらく、「ただの金儲け」という印象を内外に与えてしまうことや、仮に上場した場合においてはコングロマリットディスカウント*の対象となる点がネガティブだ。

* 1企業内において関連性の薄い事業体が複数存在している場合に、投資家視点では対象会社内におけるポートフォリオが分散的であることのメリットが薄く、企業価値が低くなる傾向にある


具体的な打ち手の議論に移る前に、方向性の決定を

1桁企業ステージを上げようと考えた際に、すぐに具体的な打ち手の議論には移らず、上記AかBのいずれのパターンを採用すべきかをまずは熟慮して欲しい

自己勘定でビジネスを行っているオーナーが意思決定をする場合には、Bを選択するインセンティブが働きづらい(外圧が無い)ため、Aを選択する傾向にあるかもしれないが、一定のネガティブインパクトが有ることは覚えておくべきである

一方、VC等の資本が入っているスタートアップはAよりBの選択に向かう外圧がかかりやすいが、その難易度は極めて高い点を改めて認識しておく必要性が有る

自らの志向性や外部環境も考慮した上で、方向性を定めたい



以上