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テレプレゼンス技術について

テレプレゼンス技術について。最近興味深い論文を読んだ。

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/246427/1/cap_11_58.pdf

「テレプレゼンス技術は人間関係を貧困にするか」というテーマの論文である。呉羽真さんによる論文である。テレプレゼンスとは、ミンスキーによる造語で、距離があるにもかかわらずまるでそこにいるような感覚を起こさせる状態を指すようである。zoomやwherebyなどのようなコミュニケーションツールがピンとくるだろう。

この論文では、身体的接触を欠いたコミュニケーションは人間関係を貧困するのではないかという批判に対抗するものである。論者と同様私自身も果たしてそうだろうか、と考える。

このような批判の中核には身体性を優位におく考えがどうもあるように感じる。しかし、それは時と場合による。

身体性について考えると、例えば動画を見ていたびくっと体が竦むような経験がある。パルクールを行う若者や、ボールがカメラに向かって飛んでくる動画を見ているとそこにはいないのにも関わらず体が反応してしまう。


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上で時と場合による、と書いた。では、対面コミュニケーションはどのような場合に価値が見出されうるのだろうか。以下引用。

 「それに加えて重要なのが、時間や労力を要するという非効率性それ自体
である。つまり、対面コミュニケーションを選択することで、メタメッセージとして、話者が対面に要する時間や労力を厭わないほどにそこで伝達
されるメッセージを重要視していることが伝わり、自分の利害を考慮しないというコミットメントの表明につながる。対面コミュニケーションが有する価値の一部は、まさしくそれが面倒だという点にあるのだ。」

この記述はとても重要なポイントを示していると思う。メタメッセージとは実際にやりとりされるメッセージの上位にあるメッセージである。例えば、仕事でミスをしたときにスーツを着て直接謝罪をしにいく行為などがそうだと思う。謝罪の内容に加えて、「スーツを着ていること」、「わざわざ会いにきてくれたこと」がメッセージとして相手に伝わるのである。

面倒、非効率という言葉はマイナスなイメージを持ってしまう。しかし、ここでは必ずしもそうではない。コロナ騒ぎの中、よく聞くようになった言葉で「不要不急」がある。ともすれば、今まで述べた無駄や非効率を排除してしまうことになるかもしれない。

新しい生活は対人関係やコミュニケーションを変化させる。この変化の中で、排除されがちな無駄や非効率に今一度注視する必要があると思う。

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