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忘れ物と趣味と実益

あ、忘れてた。

そういった経験は誰しもあるだろう。その「忘れてた」になりがちな時間指定の業務があった。部署内の郵便物を取りまとめて回収BOXに届けておく、「メール当番」と呼ばれる単純な仕事だったのだが、当番の間はその業務が日に三回。忘れると自分で回収BOXではなく別建屋の担当部署まで屋外を突き抜けて届けなければならない、極力忘れたくない業務だ。

時間を忘れなければいいのだろうが、作業に没頭してしまうと時計の付け居ているパソコン画面であっても忘れてしまう。何せ人間は忘れる生き物だ。となれば、如何にして知らせるか。私はその手段にWindows標準の「タスクスケジューラ」に目を付けた。アラームアプリは何故か削除されており、社内の機能制限のためストアで落としてくることもできなかったのが最大の要因である。タスクスケジューラでメッセージ表示のプログラムを作成し、指定の時間にポップアップさせる。基本作業がパソコン画面に向かうものだったため、効果覿面であった。

ところで、私はプロフィールに記載しているとおり、学生時代はアニメーション研究会に所属していた。つまり、所謂「オタク」と呼ばれる人種である。特に隠してもいない。好きなアニメや漫画やゲームはもちろんあるし、お気に入りのキャラクターもいる。
何故この話をしたのか。タイトル部分の後半、「趣味と実益」のためだ。

タスクスケジューラで表示させるメッセージは、当然ユーザーが任意のものを用意できる。私はここで時間を知らせるメッセージをお気に入りのキャラクターの口調を模した。結果、時間になればキャラクターが時間と業務を知らせてくれるというささやかな楽しみを得ることに成功したのだ。

勿論、このキャラクターの部分は好きな芸能人や家族のものであってもいいだろう。正直なところメール当番は期間中一定時間拘束される、早く当番の明けてほしい業務である。そんな業務でも、工夫次第で癒しの時間へと変えることができた。

業務を忘れるマイナスを打ち消すどころか、楽しみすら生み出しプラスとする。正に「趣味と実益」を兼ね備えた工夫と言えよう。