アールアイの事業をひとことで言うなら、「建設機械のレンタル・リース業」となるでしょう。でも立ち位置は、一般的なそれとはちょっと違います。実は当社も、かつてはブルドーザーなどの大型建機をレンタルしていた時期がありました。でも大手企業との競合では価格やフットワークの戦いになり、どんどん疲弊するんですね。そして何より、「そういった状況でサービスを提供することが、本当に現場で働く人たちの支えになっているのだろうか」――。そんな疑問が常に脳裏に浮かんでいたんです。
建設機械のフィールドは幅広いですが、その中でも私たちが得意としている分野がありました。いわゆる「吊り治具」と呼ばれる領域です。近年、建設現場では機械化が進み、それまで身体を張っていた作業員の方々の仕事を機械が代行する場面が増えてきました。
ならぱ私たちの得意とする「吊り治具」でも、しっかりマーケティングして機械化を進めれば、業務の軽減や安全につながるのではないか。私たちは現場へ納品に行きがてら、とび職の皆さんにヒアリングを重ねました。そして誕生したのが、とび職の皆さんの知恵や経験を活かしながら困り事を解消できる、当社オリジナルの「吊り治具」です。
たとえば現場最上部の当該場所に吊り治具を設置し、地上からとび職の方がリモコンで操作すれば、長年の経験をベースに的確な作業が可能になります。安全な場所で、正確かつスピーディーに行える当社のオリジナル吊り治具は評判を呼び、今では大手ゼネコンが施工する建設現場のみならず、かつてのライバルだった建設機械レンタル会社からも毎日のようにオーダーが寄せられるようになりました。
オリジナル吊り治具を開発するには、アイデアから設計、試作、完成まで時間もコストもかかります。しかし他社ではできないことにチャレンジしたことが私たちの強みとなり、差別化にもつながっています。そして最近では、風力発電に使用する羽根部分の運搬時や、大型の異形物を船に積載する時などにも、「吊りのプロフェッショナル」としてノウハウを求められるケースが増えてきました。今後も私たちの事業フィールドは、専門性を高めることでますます広がっていくと確信しています。