1
/
5

日本と海外の”メンテナンスの仕組み”の違い。プラント業界の循環が悪いわけ

突然ですが、日本のプラント業界ってとても閉鎖的かつ闇が深いと思いませんか…?

・プラントが複雑でメンテナンスがしづらい
・固定資産税が高くて予備機を所有できない
・お客様視点で運営ができていない

今回の記事は、私が考える「日本の海外の違い」についてお伝えします。主に、”メンテナンス”と”主機と補機”に焦点を当てています。

すでにプラント業界にいる方に向けて書いているので、はじめての方だと少しむずかしいかもしれないです。

その代わりプラント業界に携わる方には「たしかに…!」と思っていただけると思うので、ぜひ最後まで読んでいただけるとうれしいです。

前提として:日本の海外の”メンテナンスの違い”

まずは前提として、石油会社のメンテナンスにおいて”日本”と”海外”の違いを簡単にまとめます。

▼日本の特徴
・主機と補機のみを保有(2台)
・プラントが複雑でメンテナンスがしづらい
・基本的に”隠したがる”

▼海外の特徴
・主機と補機+予備機の保有(3台以上)
・メンテナンスが行われる前提で造られているので扱いやすい
・オープンマインド精神

かなりざっくりした分け方ですが、日本と海外でのスタンスは対照的。私個人的には「もっと海外要素を取り入れる」ことが大切だと考えています。

下記ではもうすこし深掘りをしていき、なぜ日本のメンテナンスが複雑なのかをお伝えしますね。「主機と補機の違い」と「メンテナンスとマインドの違い」で比較していきましょう。

比較①:主機と補機の違い

最初に「主機と補機の違い」を見ていくと、かなり日本と海外の違いがはっきりと見えてくるかと思います。

▼日本の特徴
・主機と補機のみを保有(2台持ち)
・固定資産税が高い

日本のプラントは主機と補機を保有しています。生産を止めないためには、プラントを動かし続けなければいけない。万が一、主機が止まった時のために、補機がありますよね。

ただ最悪な場合、主機も補機も止まってしまうことも。つまり、2台持ちだけでは「最強の保険にはならない」と思っています。

日本が2台のみ所有しているのは、固定資産税が高いからです。

いつ使うかどうかがわからない高級な機械を、ただ保有するのはリスクと考える企業がほとんど。景気が悪くなると、プラントをなくして更地にするくらいです。

一方で海外は、日本とは真逆のスタンスです。

▼海外の特徴
・主機と補機+予備機の保有(3台以上)
・外資を稼ぐため固定資産税が安い

私は過去に、シンガポールで派遣されたことがありました。日本よりも国面積が小さいシンガポールですらも、予備機を保有していたのです。とても驚きました…。

シンガポールは海外のプラント企業とも接点を持ち、外資を稼ごうとしています。

プラント自体が儲かるので、国がプラントに関係する税金を安くしたり、固定資産税の税率を低くしているのです。そのため、予備機を保有してもそこまで支障はないんですよね。

比較②:メンテナンスのマインドの違い

次に「メンテナンスのマインドの違い」を見てみましょう。

日本のプラントが複雑な1番の理由は、基本的に「メーカーのみがわかる構造」にしているからです。

▼日本の特徴:閉鎖的なマインド
・プラントが極めて複雑でメンテナンスがしづらい
・基本的にメーカーがメンテナンスを行うので”高い”
・メーカー以外のメンテナンスを行うと”保証”が効かない

部品を作っているメーカーは、当たり前ですが売ることで利益を得られます。ただ、売って終わるだけだと継続的に稼げないので、「継続的に稼ぐ仕組み」を考えるようになります。

あれこれと考えた結果、「メンテナンス」にたどり着いたのです。

極力、メーカーがメンテナンスを担当するために、メーカーの者"だけ"が扱えるように複雑にする。お客様もメーカーにしか依頼ができないので、メーカー側は金額をあげても依頼がくるのです。

しかしながら最近は、優秀なプラント企業も増えてきて、たとえ複雑な仕組みだとしても、扱える職人が増えてきました。

ただ、メーカー側は売上が下がってしまうので、メーカー以外がメンテナンスを行なった時に生じた破損には保証が効きません。メーカー以外のメンテナンスを防ぐためです。

一方で海外の場合は、日本とは対照的。「オープンマインドだな…」と考えさせられます。

▼海外の特徴:オープンマインド
・メンテナンスが行われる前提で造られているので扱いやすい
・プラントの部品を交換しやすい

日本と大きく違うのは、「メンテナンスが行われる前提」で造られていること。日本のメーカーのように、「縛らないスタンス」が特徴的です。

どの職人さんでもメンテナンスができるような仕組みなので、極めてシンプル。部品はメーカー以外でも購入が可能です。

「逆にメーカーはメンテナンスができなくて儲かるの…?」と思う方もいらっしゃると思いますが、部品が売れるのでそこまで支障はないのです。

・予備の機器を保有できるように固定資産税を下げる
・部品をもっと手軽に調達できる仕組みにする

以上のことを踏まえて、「日本は少しでも、海外のエッセンスを取り入れてほしいな…」と願っています。

固定資産税は国が決めていることなので、企業でどうにかできることではないのですが、部品の調達やメンテナンスの仕組みは企業で決められることです。

メンテナンスを頻繁に行える環境であれば、部品も必然的に売れていきます。そうすればメーカーも、大きな打撃は受けないのではないのでしょうか?

日本のプラント企業が将来的に、もっと活発化してほしいなと願うばかりです。

有限会社柳井工業では一緒に働く仲間を募集しています
同じタグの記事
今週のランキング