1
/
5

【職人のテツガク⑧】「ザコいまま去る自分は許せなかった」。挫折から咲く場所を見つけたインサイドセールス

コロナ禍の影響で、2020年から特に大きく様変わりしたマーケティング手法。テレワークの拡大とともに特に需要が高まっている職種が「インサイドセールス」です。一度は「人生で一番落ち込んだ。現実を直視したくなくて逃げていた」と言うほどの大きな挫折を経験した後、再起をかけて挑んだこの職で、特異、得意の才を発揮。チームの成約数を伸ばす基盤を担っているのが濱田曜平です。「この職種で第一人者になりたい」。彼が見据えるインサイドセールスの可能性と将来の夢を聞きました。

濱田曜平(はまだようへい)

ローカルミエルカ事業部インサイドセールス

東京都稲城市出身。慶應義塾大学文学部教育学専攻卒。大手人材サービス会社での求人広告営業を経て、Faber Company入社。営業職の中でもフィールドセールスからインサイドセールスへの配置転換で適性が花開いた。プロの資格を目指すほど麻雀好き。最近はローファットダイエットに成功し、体質改善中。

求人が2年で7倍に。広がるインサイドセールスの需要

ーーインサイドセールスってどんな仕事ですか?


対面で顧客訪問、商品・サービス提案、受注までを行う「フィールドセールス」に対して、その前段階として電話やメールを介して顧客と非対面でコミュニケーションを取り、商談の機会につなげるのが「インサイドセールス」です。

求人サイトの募集を見ると、この2年で7倍もインサイドセールスの求人が膨れ上がっています。コロナ禍になって商談に「行く」機会が減る中、今後もどんどん市場も需要が広がっていくとみられる職種です。

パーソルキャリア株式会社『「転職サービス「doda」「”新しい時代に求められる営業職”に関する調査』より

僕はその中で他店舗ビジネスを展開する企業様に向けた「ローカルミエルカ」というサービスのインサイドセールスをしています。

映画なら予告編、野球なら2番バッター。その役割とは

ーーどんなところが面白いですか?

映画でいうと僕らの役割は予告編です。興味を持ってもらい、ここから先は映画館で、と商談につなげます。短い時間でお客様に課題・問題に対する示唆を与え、話を聞くメリットを感じていただくことが重要です。

野球にたとえると僕らは2番バッターです。マーケが供給してくれたリードを見極め、クリーンナップに繋ぐ仕事です。相手のピッチャーの研究をしたり、どこの守備が弱いのかなど、見極めていく必要があります。

やみくもにバット振り回すように「とにかくリストの上から下まで手当たりしだいに電話をかけまくるテレアポ部隊」ではダメ。コール数より大事なのは、有効商談の作成数と商談に至った後の成約率ですから。


ーー最終的な成約率を上げるためにどんな工夫をしてますか?

顧客管理システムに、「どんな会話をしたか」「当日先方が期待している内容はこれ」「営業からこういう提案をすると刺さると思う」と、事実と主観を分けてパスしています。

もともとフィールドセールスだったからどういうパスのされ方がいいか、逆にどんなアポの振られ方がイヤなのはわかっていたので、必要な情報は埋めて渡すようにしています。

ーーそうか、もともと対面営業だったんですね。それがなぜインサイドセールスに?

実は挫折して辞めようと思っていた時に、「適性が活かせそうなポジションがある。やってみないか」と会社に提示されたんです。それが今のインサイドセールスでした。

月曜日が来るのがイヤだった。麻雀ばかりしていた

ーー配置転換だったんですね。打診されたきっかけは?

一言でいうと、僕の慢心でした。

新卒で大手人材サービス会社での求人広告営業になり、拠点では1〜2位の成績を上げていました。先にFaber Companyに入社した先輩に誘われて僕も入社。自分なら売れるだろうという自信でいっぱいでした。

最初はうまくいっていたんです。結果は出ていたし。

でも、ある時から成績がついてこなくなって、ふてくされ人のせいにしたりして、悪循環が始まって…。商談しても何もかも悪い方向に行く、「もしかして向いてない?」と自信喪失。そんな時に給与査定があり、給料が成績に応じて下がってしまいました。

金額は大きなものではなかったけれど、プライドが傷ついたんです。「僕はいらないと経営者に思われたのでは?」と疑心暗鬼になり、ものすごく悩みましたね。

そんな時に配置転換を打診されて、「これはもうFaber Companyにいられないのでは」と、転職先も探し始めていました。


ーーすごく悩まれたんですね。

はい。実は前職の一番尊敬している上司にも相談したんです。「戻っていいですか」って。

そうしたら「やりきったのか?」と。「お前はそれなりに前職での成功体験があるみたいだけど、上には上がいる。濱田よりできるやつもけっこういたよ」と、その上司がはっきり言ってくれたんです。

過去を美化していたと気付かされ、「俺って何者でもなかったんだな…」と、もう落ち込みまくって。しばらく麻雀ばっかりやっていましたね(笑)。飲みに行って気分を上げようとしたり。妻は知り合って10年弱ずっと僕と一緒にいるので、普段何でも話せるのですが、その時ばかりは言えなかったです。かっこ悪くて。

月曜日が来るのがイヤでした。

「勝負できるスキル」を一緒に探してくれた上司の存在

ーーそんな状態だったのにどうしてやろうと思ったのでしょう。

取締役の副島さんの存在です。

転職したいって言う僕に、懇意にしている社長さんの会社に面談をセッティングして、一緒に行ってくれました。そこでも企業経営者目線で自分の甘さに喝を入れてもらえた。大事な経験でした。

副島さんはそれだけでなく、僕が自分と向き合えるように長い時間かけて、毎日のように話してくれたんです。時にはサウナで相談に乗ってくれたりもして(笑)。「このままの仕事への姿勢だとお前の給与は下がる、それでいいのか。そうじゃないなら勝負できるスキルを身に付けろ」と。何に適性があるのかを一緒に見出してくれました。

会話の中でだんだん僕も自分の慢心に向き合えるようになりました。

自分の性格上、お客さんと仲良くなる、距離を縮めるのは得意なんです。

でもBtoBはそれだけではダメ。商談相手となるお客様の潜在的な課題をあぶり出して、「これに対して力になれるの我々です」と具体的に提案できなければいけません。

僕はSEOの研鑽やアップデートが足りなかった。知見がないゆえにふわっとした提案しかできていなかった。ただ「ミエルカを導入すれば万事解決」みたいな甘い提案で、お客様にはそんな僕のいい加減さが見透かされていたと思います。当然それでは受注ができません。

それなのに僕は、「成功体験が崩れてしまった」「ショックだ」「ふざけんな」ばかりだったんです。

自分にザコいというレッテルを貼ったまま去るのは許せなくなった

ーー自分ではなかなか気づけないこと、ありますよね…。

そうなんですよ。社会人になってこそ、厳しいことを言ってくれる第三者ってほんとありがたいなと実感しました。

副島さんと話しているうちに、自分が許せなくなったんです。「営業が天職だと思ってたのに、今転職するなら逃げだ。“ザコい”というレッテルを自分に貼って、憧れてた会社を去るのか。仕事はなんでもいい。絶対にこの会社を見返してやりたい」と決めました。

後ろ向きの転職はダメだ! みたいな論調あるじゃないですか(笑) 他人事だと思ってましたけど、これ俺の事だな と思いずいぶん悩みましたね。

ーーインサイドセールスを担当して意識は変わりましたか?

いや、そう簡単に変われはしませんでした(笑)。ただ、同じ時間・労力をかけたとしても、明らかにインサイドの方が成果が出ました。その結果として周りから感謝されるようになり、「ありがとう」という言葉を多方面からかけて頂くことが増えました。人から感謝されるということは自分にとっては大きな原動力だったので、そこからは信じられない馬力が出ました。働く動機が内から湧いてくるイメージですね。

必死に電話かけているうちに、どのお客さんと話をしなければいけないか、どんな話をすればいいか、営業経験を振り返りながらアイデアも湧いてきました。


これまでは展示会での名刺交換や、広告からの問合せ、あるいはセミナーにご参加いただいた企業様にアプローチして商談を取り付けていました。でもコロナ禍でオンライン集客が主になっています。新たに「成約しそうなお客様」を掘り出して、絞っていくリスト化も始めました。

ーー成約しそうなお客様と言うと?

「ローカルミエルカ」のターゲットはたくさんの店舗を全国に持ってるブランドや、多角経営店舗です。しかも

  • 1:一般消費者向けのBtoC事業を展開
  • 2:多店舗経営企業
  • 3:消費者が自分で検索して比較検討し、購入しに行くような商材を売っている企業

と、すごくはっきりしています。

調べてみると、日本には100店舗以上あるお店って、900ブランドぐらいしかないんですよ。まずそこから何とか話聞いてもらえるようにリストアップしました。

たくさんアポを取って、フィールドセールスからどうだったか感想を聞くと、商談に乗ってもらいやすい業態と、今はそうじゃない業態がわかってきました。

マーケティング予算ある程度持っていて販促に力を入れられる企業は、例えば飲食業ならコロナ禍で経営が厳しい居酒屋よりレストラン、美容サロンなら1000円カットより数千円から数万円の美容室のほうが合っているなど、傾向がはっきりしていました。

ーー中にはきっと成約しないだろうな…ってお客様からも問い合わせがきませんか?

はい。Webサイトがそもそもない、予算がない・少ない、まだ施策を始める体制にないけれど。ただなんとなく話が聞きたいのでご連絡をくださる方々もいます。

件数達成のためにそういった方々から無理やりアポを取っても、情報提供だけの商談になってしまったら元も子もありません。

でもそのような方々もいつか将来お客様になってくださるかも知れません。

ミエルカチャンネルで有識者が詳しく解説している動画やオンラインセミナーがあることをお伝えし、「ぜひご覧になってください」と、知識面をサポートして未来に種をまいています。

ーー突然電話をかけて受注を取るのは大変ですが、どんな工夫をしていますか?

実例や施策の解説に力を入れています。近い業種で改善した例やその業界で活用すると効果が出そうな施策を伝えていますね。知らない人は「なんだ、なんだ」と前のめりになりますし、ある程度知っている方も「なるほどね」と興味を持っていただけるのできちんと調べます。

そして興味を持ってもらったら「一度詳しいお話する場を作りませんか?」に合意をいただくまでがゴールです。

ーー業種によって全然話すことが違うでしょうね。

そうですね。例えばカーディーラーの場合。ある担当者の方に伺ったら、ユーザーはこの車種を買おうと思ったら実はあちこちの店舗を見に行く傾向があると。でもコロナ禍になってから平均来店数がかなり下がったとお悩みでした。

じゃあ来店しないユーザーはどのように行動しているのか?

良い営業マンがいるのか、購入したユーザーの評価はどうか、満足しているか、キャンペーンがあるのか、などをWeb上で情報収集してたんです。店舗名を検索してすぐに出るGoogleマイビジネスの情報はとても重要です。口コミを見て、信頼できる店舗かどうか比較検討するのです。

そういったユーザーの行動パターンが、担当者の方は一番興味があります。競合他社がどうしているか、SEOのプロから見た現状のサイトの改善点などを伝えて、なぜ今、これをおすすめするのか。理解していただければ、いきなり知らない人から電話かかってきたと警戒するお客様とも、いい商談につながることがあります。

ーー在宅勤務などで商談のアポイント取るのも大変では?

電話に出ていただけない場合でも、サイトを拝見して、「いま市況はこうなっています。御社はここが十分活用できていない感じがしました。私たちはこういう解決策持っているので一度お話しがしたい。興味があったらご返信を」とメールを打ちます。

1社1社文面を作るのは大変ですが、「他と違うな」と思っていただければ、10件中1~2通は返ってきます。商談成約のうち、半数は自分が取ったアポイントという状況になってきました。

ーー自らの特異、得意を活かして結果が出るようになったんですね!

いやー、あの時腐って辞めなくてよかったです…!

「僕の適職は対面営業なんだ」って固定観念があっても、意外とそうじゃないのがわかりました。結果が出ない時、「大丈夫?」って慰めてくれる人にだけ話すのってダメですね。厳しいこと言ってくれる人の言葉にこそ、意外な自分の適性が見つかると思いました。

実は今また、異動の打診が来ていて…

一旦は、置かれた場所で咲く努力をしてみたほうがいい。心からそう思える理由

ーーえ!結果が出たのにまた異動…?

…ではなくてですね(笑)。今度はサービス単体ではなく、事業部全体のインサイドセールスを見るポジションに移ってくれと言われたんです。ホントにうれしかったですね。やっと妻にも話せました。


結論、できないことを無理してやるより、好きで情熱を捧げられるようなことに時間を割いたほうがいい。自分が一番強いところ伸ばすほうが周りも幸せになるじゃないですか。

思い切ってやりたくなかったポジションに行くとかは自分で選べないですよね(笑)。でも第三者から見て適性があるかもしれない。置かれた場所で咲く努力を一旦してみる。そうしたら「この職種で飯を食っていく」と覚悟が持てるものに、出会えるかもしれない。

今僕が人に感謝される仕事につけたのは副島さんのおかげ。感謝しかないです。

ーーFaber Companyってどんな会社でしょう?

IT企業だけど、属人的で人間くさい会社ですね。

困ってる人に手を差し伸べてくれる。あと、人のことよく見てくれている。求めれば活躍の場を与えてくれる会社です。普段はあまり内面を見せない人でも、僕みたいに悩みを一度相談しようものなら、めちゃめちゃ時間使ってくれたり、すごい人につないでくれたりする人が多い。それは部署を超えた文化みたいなものです。

提案書がまとまらず、オフィスでギリギリまで頑張っていたら、みんなが寄ってきて案を出してくれたこともあります。

ーーインサイドセールス、今後ますます注目される職業になるでしょうね。

そうなんですよ。今やりたいことが2つあって。

1つはインサイドセールスを組織化して、後輩を育てたいんです。自分一人でやったら1しか得られないところ、後輩2人で一緒にやったら3になる、さらに部隊にして、戦略を立て動いていきたいです。いつかは本を出したりセミナーに登壇するような、社外にもノウハウが売れる「この道のプロ」になりたいですね。

もう1つは、インサイドセールスの内製化キットを作りたいです。教育プログラムをオーダーメイドでつくるとか、実行するだけで勝手に成果が上がる仕組み提供とか。

まだまだ伸びる職種ですが、これから取り組みを始める企業も多いので、そんな方たちに先人の辿ってきた失敗を避けてもらえるようなノウハウを提供できれば良いですね。

取締役の副島啓一にもインタビュー「濱ちゃんの活躍どうですか?」


活躍している姿を見られて、本当にうれしいです。社外に連れて行ったのは、もっと世の中のことを知ってほしかったんですよね。

彼は「いい意味で忘れる才能」があるので、大変なことがあっても次の日にはカラッとしている。インサイドセールスには非常にマッチしているタイプです。

やっぱり合っている仕事じゃないと続きませんし、「出来る→感謝される→自信がつく」のループをどれだけ上手く回せるか。本人のしたいことだけを聞いてその要望を叶えるだけでは、良い人材開発ができないと考えてます。

とはいえ、仕事の適性って見極めるのが難しいので、じっくり何度も対話を通じて、貢献できる事を聞き、適性を見極めてます。よくよく聞くと濱ちゃんは、本人の希望とは違ったインサイドセールスが合っていた(笑)。彼の素直さと明るさは天性のもの。

今後も彼の才能に期待しています。

株式会社Faber Companyでは一緒に働く仲間を募集しています
34 いいね!
34 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング