企業から内定を獲得する人材とは、どんな人材なのだろうか。
「能力がある」「カルチャーが合っている」「人柄が良い」
求める人物像は、業界や企業によって千差万別だ。
しかし、どの会社にも共通して言えることが1つある。
内定を獲得できる人=「会社に貢献できる」と判断された人
という事実だ。
では、そんな「会社に貢献できる人材」になるためにはどうすればよいのだろうか?
今回は、実際にビジネスの最前線で活躍し、会社に貢献している先輩社員に質問をぶつけてみた。しかもベテランの社員ではなく、あえて入社一年目の先輩に伺った。半年前まで学生だった先輩のほうが「活躍するため、学生のとき“なに”をすべきか」を痛感しているからだ。
・会社に貢献できる人材って?
・学生のうちにしておくべきことは?
・入社後に良いスタートダッシュをきるためには?
このような疑問を解消すべく、インタビューをしてきた!!
〈聞き手=黒瀬元紀(FLATALK編集部)〉
取材対象者紹介
今回インタビューに答えていただく方はこちら。
山口裕介(やまぐちゆうすけ)
福岡県北九州市出身。京都大学農学部森林科学科卒業。株式会社サイバーエージェント18年度新卒入社。株式会社AbemaTV AAA(Abema Ad Association)第二営業局サイバーエージェント本部グループ所属。2018年度上半期最優秀GOODSTART賞受賞。趣味は映画・アニメ鑑賞、お酒を飲むこと。
「どんな結果を出したか」だけでなく「どんな人間か」も大切
黒瀬:本日は取材を引き受けていただきありがとうございます。よろしくお願いします!
山口:こちらこそよろしくお願いします!
黒瀬:先日の社内総会での最優秀GOODSTART賞の受賞、おめでとうございます。
(※最優秀GOODSTART賞:新卒一年目の社員の中で最も活躍し、良いスタートが切られた一人に贈られる賞。いわゆる最優秀新人賞。)
山口:ありがとうございます。ひとえに周りの皆さんのおかげです…!
黒瀬:そうおっしゃいますが、実際のところ何か飛びぬけた“強み”が無ければ授与されない賞だと思います。山口さんが思う「自分の最大の強み」ってなんですか?
山口:“戦略的まきこみ力”ですかね…。
黒瀬:どういう力なんですか?
山口:目標を達成するために逆算して戦略を立て、仕事やイベントなどで周りの人もまきこんで活かす力、といった感じです。
黒瀬:なるほど。その力が具体的にどう生きるんですか?
山口:サイバーエージェントって、仕事でただ数字を出せる人が評価されるんじゃないんです。もちろん「どんな結果を出したか」も重要なんですけど、それと同じくらいに「どんな人物か」もすごく大切で。周りから「こいつは応援したい」と思われる人間になろうと考えて行動していました。
例えば会社の同期同士の仲を深めるイベントを企画、運営したりしていました。司会なども率先して担当することで自分の“認知度”を上げ、応援される人間に近づこうとしていましたね。
黒瀬:業務以外の部分でも色々と取り組んでいたんですね。
成果を生み出す二刀流、“IQ”と“愛嬌”
山口:“戦略的まきこみ力”も突き詰めれば、「IQと愛嬌」に集約されます。
黒瀬:IQと愛嬌?どういう意味ですか?
山口:例えば、ただIQが高い人から正論をぶつけられたとき、嫌な思いをする人は多いと思います。でも人となりが良い人、つまり「愛嬌のある人」から言われたら、同じ内容でも伝わり方ってかなり違ってくるんです。
逆もしかりで、ただ愛嬌があるだけで言っていることがむちゃくちゃな人ももちろんダメです。
“IQ”と“愛嬌”を両立することでより良い人間関係を構築でき、成果にもつながってくると思います。
この言葉は京都大学のアメフト部の言葉であり、僕の人生で大切にしているところでもあります!
黒瀬:でも“愛嬌”って正直難しくないですか?持ち前のキャラによる気がしますが…。
山口:そんなこともないですよ!実は僕もかなり“愛嬌”に関しては意識して行動してきました。さっき話したイベントでの司会なんかもそうですし…、例えば服装ですけど、僕はよくAbema君Tシャツを着てます(笑)会話のタネになるし、自分のキャラづくりにもなります。ちょっといじられるくらいがちょうどいいと思います!(笑)
黒瀬:なるほど…!一見なんともないようなことも、きちんと戦略を練ったうえでの行動なんですね…。
山口:その通りです!よく周りからは冗談交じりに「腹黒い」「クレバーだよね」って言われます(笑)
(今僕に向けられている笑顔もそうなんですか。)
黒瀬:いつ頃から“戦略的まきこみ力”が形成されたんですか?
山口:内定者時代です。僕自身生まれが福岡、大学が京都なので、「地方生」というカテゴリーにいました。でも、地方生でもやれることは全部やろうと思っていたので、内定者同士のイベントには積極的に運営に携わるようにしていました。
また、福岡支社で3か月間アルバイトもしました。社員が10人くらいの少人数の組織だったので、みんな家族みたいな感じだったんです。そこで、一人ひとりの関係性がもろに仕事にもつながってくるなって思ったんです。このとき初めて「仕事って結局は“人”と“人”のやりとり」だと気づきました。それ以降は、自分は「どういう人間に見えるか」を意識するようになりましたね。
黒瀬:学生のころから意識して行動に移していたから良いスタートダッシュが切れたんですね。
「戦略のスポーツ」アメフトに捧げた大学時代
黒瀬:今度は大学の頃についてお聞きしたいと思います。裕介さんはどういう学生時代を送られてきたのですか?
山口:大学時代はとにかくアメフト一筋でした。ひたすらにしんどかったです(笑)
黒瀬:京都大学のアメフト部は有名ですよね。具体的にどのようにしんどかったんですか?
山口:アメフトって戦略がかなり重要なスポーツなんです。なので体を動かす練習はもちろんですが、それ以上に練習外でのミーティングの時間がすごく多かったですね。
黒瀬:体だけでなく頭もかなり使う、と。一週間でどのくらい練習するんですか?
山口:部活のある日は週5~6日くらいです。土日は朝の7時から夜の10時まで部活でしたね…。
黒瀬:かなりハードですね!たしかに鍛え抜かれた良い体ですね…!
山口:そんなことないです(笑)
(個人的に最優秀GOODBODY賞も差し上げたい。)
仕事で生きる、「プロフェッショナルになる経験」
黒瀬:では実際に入社して働いてみて、「部活をしていてよかった!」と思うこと教えてください。
山口:これは二つあります。一つ目は、体力的にも精神的にもタフになったこと。二つ目は、1つのことをやり抜く力が身についたこと、です。
黒瀬:一つ目はたしかに役に立ちそうですね。二つ目の「1つのことをやり抜く経験」はどう仕事に生きるのですか?
山口:一流の仕事をするためには、まずは1つのことを一流になるまで突き詰める必要があります。1つのことも極められない人は、色んな業務が複雑に絡んでいる仕事で一流のパフォーマンスを発揮することは正直難しい。まずは何かの分野のプロフェッショナルになること、それが仕事で結果を出す一歩目だと思います。
黒瀬:なるほど。山口さんの場合は、アメフトをやり抜いた経験が仕事に生きたんですね。
山口:そういうことです!
黒瀬:では逆に「学生時代にしておけばよかったこと」を教えてください。
山口:なにかビジネスをやってみたかったですね。ビジネスの知識が全くないまま入社したので、初めはわからないことだらけで苦労しました。あと、もっと遊んでいればよかった(笑)旅行とかいっぱい行きたかったですね。部活ばっかりだったので!
黒瀬:単純に遊び足りなかったんですか…?(笑)
山口:それもありますが、“自分の楽しい”を知っていることが大切だと思うからです。自分がどういう瞬間に「やりがい」や「楽しい」を感じるのか、これを理解している人は活躍できますよ。
黒瀬:なぜ“自分の楽しい”を知っていると活躍できるんですか?
山口:再現性が高いからです。人って自分が楽しいと思えることにおいては高いパフォーマンスを発揮しますよね。それは仕事も一緒です。
“自分の楽しい”を知っている人は“楽しめる”仕事を探したり、“楽しめる”状況をつくるのが得意なので、いきいきと仕事ができるんです。
黒瀬:なるほど…!僕も自分と向き合ってみます!それでは最後に学生の皆さんへ一言お願いします。
山口:インタビューを引き受けてなんですが、
人の話に左右されないでください。
黒瀬:!?
(竹原ピストルみたいだ…!)
山口:自分の力で自身について理解し、納得することが大切です。“自分の楽しい”もそのひとつ。全員に対して「こうあるべき」といった正解はありません。自分が心の底から納得した自分像を胸に、信念を持って活動して欲しいです。
黒瀬:なるほど、そういうことですか!
山口:僕も地方出身(福岡)ですが、東京がすごいわけではなく、「知っているか」「知らないか」の差です。日本のマーケットは面白いので、地方からもっと日本を引っ張っていくリーダーが出ていけばいいなと思います!
黒瀬:山口さん、本日は本当にありがとうございました!
山口:こちらこそありがとうございましたー!!
まとめ
就活対策をしている学生の中には、面接での話し方やESの書き方など、テクニカルな分野に時間をかける人も多いと思う。
しかし取材を通して感じたのは、結局は“どういう人間なのか”が本質だということ。
「自分のことを理解し、心の底から納得している人間は活躍する。」
部活やサークル、バイト、趣味など、それぞれ打ち込んでいることがあると思う。
そこでの活動を振り返る時間をつくってみる。たまには思いっきり遊んでみて、自分の楽しいと感じる瞬間を見つけてみるのもいい。
「自分はどういう人間なんだろう?」と腹を据えて考えることが、内定獲得への第一歩だと思う。
[ライター紹介]黒瀬元紀:北海道大学法学部4年生。 2019年春にサイバーエージェント入社予定。“お笑い”を愛し、暇さえあれば漫才やギャグを作っている。人生の夢は「世の中が笑いで溢れるようなエンタメコンテンツを生み出すこと」