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ルールは作って終わり?制度設計で必要なコト

こんにちは!コーポレートの仁位(@niieee23)です。

ウォンテッドリーは上場して3年が経ち、内部統制の観点からも社内でのルール整備が進んできました。

前職は監査法人で会社の外から会社を見る立場だったのですが、会社の中から見ると、単に「あるべき」ルールではなく「組織に合った」ルールを作ることの大切さをとても感じます。

そこで今回は会社の中に入って感じた「ルールの作る際に大事なこと」をテーマにブログを書いてみたいと思います!

入社して驚いたこと

まず、上場会社においては、人為的なミスや不正を防ぐために内部統制を構築し、その評価と報告をすることが求められます。(内部統制に関する詳しい内容はこちらをご覧ください!)

簡単に言うと内部統制とは組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備/運用することで、内部統制自体は上場会社に限らず全ての会社にとって重要な要素になります。

冒頭でも述べた通り、前職で監査法人にいた私はいわゆる「あるべき統制」についてある程度は理解しているつもりでした。

その知識を生かしてルール作りをしていこうと思っていたのですが、内部統制に関する監査法人との打ち合わせの際にある言葉を聞いて驚きました。

同じ経理のメンバーが「それはうちのカルチャーではないですねー」と言っていたのです。

どちらかと言えば「あるべき統制でガチガチに固めたらいいやん!」と考えていた私は、正直「なんで監査の場でカルチャーとか言ってるんだろ」と思いました笑

ただ実際に働く中で組織文化とルールは切り離せない関係にあると感じたので、自分なりに言語化できればと思います!

組織文化とルール

まず「ルール」についてですが、これは特に内部統制に限ったことではありません。

会社が組織であり利害関係者が存在する以上は、法人という1つの人格を保持するために管理を行わなければなりません。そのため管理目線で必要なルールがどの組織においても必ず発生するのですが、この「ルール」については気を付けないといけない点があります。

それは「ルール」はメンバーの行動を直接規定するということです。

例えば「会社のお金を使う場合は1円以上から稟議が必要」というルールがある場合、社員は「お金を使用する場合には常に稟議申請を行う」という行動をとることになります。

このときに問題になるのが組織文化との関係です。

近年組織文化(カルチャー)の重要性は様々な場面で語られますが、組織文化が果たす役割の1つに「日々の業務で迷いや悩みが出た時に行動の指針になる」ということがあります。

つまり組織文化があることで、メンバーの行動が間接的に規定されるのです。

したがって、メンバーの立場では組織内の自分の行動を規定するものとして「ルール」と「組織文化」の2つがあることになります。

前述の例の続きで、「会社のお金を使う場合は1円以上から稟議が必要」というルールがある会社に「とにかくやってみる」という組織文化があるとします。

その場合メンバーの行動はどうなるでしょうか?

「とにかくやってみる」という組織文化があっても「何かするには稟議が必要」というルールがあると、新しいツールを試したり、ちょっと本を買って読んでみるといったアクションはなかなか起きにくくなります。

つまりルールの存在が組織文化に沿った行動を阻害するといった可能性があるのです。

組織文化はあくまで間接的に行動を規定するのに対して、ルールは直接の行動を規定します。

このことからルールを作る際には、そのルールが組織文化になじむのかどうかを考えることが重要だと言えます。

内部統制の構成要素としての「組織文化」

よく考えるとこの知識は一般的な内部統制の知識に通ずるものがあると思えます。

内部統制とは6つの構成要素から成り立っており、それぞれの定義と関係性は下記の通りです。


①統制環境
組織の気風を決定し、組織内の全ての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応に影響を及ぼす基盤
②リスクの評価と対応
組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへの適切な対応を行う一連のプロセス
③統制活動
経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続
④情報と伝達
必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保すること
⑤モニタリング
内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセス
⑥ITへの対応
組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対し適切に対応すること

図の通り統制環境は全ての要素の土台となっており、内部統制を理解する上でも「全ての要素の土台だからここがまずしっかりしてないといけないよ!」という文脈で学ぶことが多いです。

ただこれは逆方向にも言えることだと思います。

「統制環境」を「組織文化」を読み替えるのであれば、有効な統制を作るにはこの「組織文化」の上にしっかりと載っかるルール作りが必要で、全然準拠しないルールになった場合それは有効な統制とは言えないのではないのでしょうか。

実際に働いている中で感じるのは「ルールを作る」ことではなく「ルールを浸透させる」ことの難しさです。

作ることではなく浸透させることが重要だと分かっていれば、組織文化という土台に載ったルールを作成するのは当然のことなのかもしれません。

ルールを作る難しさと面白さ

とはいえ、管理上必要になるルールは目的が違うため、必ずしも組織文化と完全に合うものではないことも多いです。

特に管理上必要になるルールは、「第三者から見て分かるものである」ことが求められやすいです。
そのため組織文化を何も知らない人が見てもエラーを防ぐ仕組みになっていることが条件となり、メンバーにとってはただの煩わしい手順になる場合もあると思います。

その中で必要なのは管理側が会社の組織文化を理解し、ルールや制度設計を考える際に考慮することなのかなと感じます。

例えばウォンテッドリーの行動指針にMove fastというものがあります。

意思決定を早くする上で、複雑な制度設計や使用するツールが多岐にわたることは足かせになります。そこで法務ではコミュニケーションのスタートをSlackにすることでより簡単に依頼ができる体制を整えたり、経営管理の観点では支払に関する一連のフローをfreeeにまとめることで分かりやすい仕組みを作ることを心がけています。

また新規取引先の登録の際には、既に登録があるか否かの検索結果をSlack上で自動で出せるようにして、必要な場合にのみワークフローで申請をお願いすることで、社内のメンバーも管理側も本当に担保すべき点に集中できる環境作りに取り組んでいます。

2年間会社の中で働いて実感することは、「組織文化」が内部統制の根底にはあり、それを無視してルール作りを進めると双方が崩れてしまう可能性があるということです。

ある種矛盾を抱えた両者のバランスを考えて、ルール作りを進めていくことがコーポレート部門の楽しさの1つなのかなと思っています。

そして各事業の変化や成長のペースは速いので、コーポレートとしても事業・組織の進化を支えるために必要なルールや制度設計はどんどん変えて行く必要があります。

これからもその時の状況に応じたベストな設計を目指して頑張って行きたいと思います!

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