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採用にも「上位のフレームワーク」が必要とされる理由。リクルートメントマーケティング座談会 #1

先日公開されたリクルートメントマーケティングの入門資料、皆さんはもうご覧になったでしょうか? 全88ページという特大ボリュームであるにも関わらず、おかげさまで多くの反響をいただくことができました。

さて、この資料をお読みになった皆さんの中には、「リクルートメントマーケティング」という耳慣れない言葉をなぜウォンテッドリーが掲げているのか不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、Wantedly Blogでは現場メンバー3人による座談会を収録。候補者と向き合う人事、市場と向き合うマーケティング、顧客と向き合うセールス......三者三様の立場から、資料を公開した意味、そして現代の採用市場で問われるリクルートメントマーケティングの真価について解き明かします。

私たちはなにを世の中に問いかけたのか?

小池弾(写真左):採用チームでビジネス部門の採用を統括。自社の採用プラクティスを元に、リクルートメントマーケティング・エバンジェリストとしても活動している。
藤本遼平(写真中央):Wantedly Visitのマーケティングチームのリーダーとして、、ビジネスディベロップメント全般を担当。身長188cm。
守部直人(写真右):大阪生まれ、大阪育ち。現在は自ら立ち上げたパートナーセールス部門を統括。強めのパーマをあてている。

小池:
反響を得たスライド資料について、日頃サービスを広めているビジネスチームとしてはどう感じました? 「いいこと言ってるなー」なのか、「いやいや普通でしょ」なのか。まずはそのあたりの素直な感想を聞かせてほしいなと思います。

藤本:
あの資料を公開したことで、ウォンテッドリーが採用領域にこれまでとはまったく違う、新しい概念を打ち出すことができたかといえば、決してそうではないですね。ただ、HR界隈でぼんやりとながら共有されていた採用全体のトレンド観測を、ひとつの体系だったフレームワークに落とし込むことには成功したと思います。

それと同時に、「リードジェネレーション」や「ナーチャリング」といった、これまでマーケティング領域では当たり前のように使われてきていた言葉を、改めて採用にも当てはめてみることで、今後サービスとして訴求していくべきポイントや、プロダクトとしてもっと充実させなくちゃいけない側面がクリアになったかな。

守部:
セールスとしては、とにかくリクルートメントマーケティングのフレームワークの中からHR領域の共通言語が次々に生まれてくることを期待しています。というのも、これまでのHR関連ビジネスでは、同じことを説明するにあたってもサービス提供企業によってまったく違う言葉を用いていたと思っていて。

なので、「リクルートメントマーケティング」という概念についても、ウォンテッドリー社内だけで流通させていてもしょうがない。このフレームワークが広まっていくことで、企業様と共通の言語でコミュニケーションをとれるようになることを期待していますね。企業様が採用ファネルのどの部分で課題を感じているのか、共通言語での合意形成ができるようになったらすごく便利だなと。

HR領域における情報発信の“いま”

小池:
確かに。でも逆に、これまで日本で「リクルートメントマーケティング」が体系だったフレームワークとして発信されてこなかった理由はどこにあるんですかね。アメリカでは「リクルートメントマーケター」の募集が出るくらいに注目されている概念なのに。

藤本:
エンジニアだと日本にもオープンソースの文化があって、エンジニアリングにおけるベストプラクティスを個人や企業が発信する文化があると思うんですけど、採用にはそういう文化があまりなかったからかな?と思います。

やはり、採用に対するスタンスは企業ごとに異なっていますし、採用は社外秘の部分も多いからか、「うちのやり方に再現性を持たせて、オープンに発信していこう!」という流れにはなりにくかったのかもしれませんね。

守部:
でも2018年ごろからは、ようやくHR界隈でもTwitterやnoteでの情報発信が盛んになってきましたよね。とくに、リファラル/ダイレクトリクルーティング/エンゲージメント等々、ここ数年でHR領域のノウハウが細分化されたことで、各々の得意分野で発信される人事の方が増えてきた印象です。

小池:
そうですね。とはいえまだ、母集団の増やし方であったり、エントリー後の面談プロセスであったりといった、部分最適での発信にとどまっているという印象です。人事はやはり目先の採用業務に追われている立場上、上位概念についてオープンに発信するインセンティブがなかったのは確かですね。

自分がリクルートメントマーケティングのエバンジェリストとして活動していく上では、人事として培ったリアルな知見を、「リクルートメントマーケティング」という上位概念にパッケージングしつつ伝えることができればいいなと思っています。そういった発信を通じて、上位概念から各プロセスのアクション設計に落とし込む人が増えて、日本のHR領域が全体最適でアップデートされていくのが理想ですね。

リクルートメントマーケティングを取り巻く環境

藤本:
弾さんのいったように、上流概念としてのリクルートメントマーケティングと、実際の採用現場におけるベストプラクティスをどちらもセットで発信していくことが、新しい概念をマーケットに浸透させる上では大切だと思っています。

いくら上位概念の必要性を訴えても、それをデータで裏付けることができなければ信ぴょう性は生まれませんし、実践にも活かしにくいですよね。マーケティングにも採用にも、「計測できないものは改善できない」という大前提がありますから。

小池:
その通りですね。ただ、採用に関してはエントリ数のほかには定量観測やトラッキングができないことがこれまで多かったのも事実。なので、実際に観測ができているせまい範囲のなかでしか改善ができないという環境要因もありました。

ただ、最近は各指標を計測できるツールも増えてきたので、従来の「エントリ獲得から本採用までにフォーカスした採用活動」以外の分野まで視野を広げる人事の人が増えてきているのだと思います。それもまたリクルートメントマーケティングというフレームワークがいままさに必要とされている1つの理由ですね。

守部:
あとは単純に採用競争がどんどん激化している中で、従来通りの採用手法を続けていてはどんどんジリ貧になってしまうというのも理由の1つですね。これまでは露出を増やせばエントリは増やせたけれど、いよいよエントリすら来なくなってきているという状況があるので、上流から考えないと中長期的に勝てない。

ただその中でも、採用を進化させるような新しいサービスやツールは無数に生まれてきていて、あとは各々をどう掛け合わせれば採用効果が最大化されるのかを考えなくてはいけないフェーズなのだと思います。それを考えるための上位概念としてリクルートメントマーケティングというフレームワークがあるわけですね。

「新時代のキャリア選択」とWantedly Visit

守部:
外部環境ということでいえば、個人のキャリア選択における行動パターンの変化もあると思います。これまでの転職市場では、「そろそろ転職したいな」と思ったタイミングで求人情報を片っ端からブラウジングしたり、エージェント経由で希望条件やスキルに合ったポジションを紹介してもらったりといったパターンが多かった。

でもいまでは個人の転職意欲が顕在化してきた頃にはすでに意中の企業が決まっていて、いくつかの気になる企業にはもうアプローチをかけていることも多いですよね。さらにいえば、デジタルメディアを通じて情報に接する機会が増えたことが、その状況に拍車をかけている。なので、企業側のアクションとしては情報発信を通じてファンベースを作って、相思相愛の関係を目指して継続接触をとろうということになる。

藤本:
採用にもリードジェネレーションとリードナーチャリングが必要になる、ということですね。ただ、営業やマーケの現場では、「広告出すだけでは売れない」「待ってるだけでは売れない」ということは当たり前に語られるようになってきているのに、採用に関してはまだまだ「媒体に出せばエントリーがくるのは当たり前」というように考えている企業も多いなと感じることがあります。

会社をプロダクトとして捉えると、マーケも採用も変わらなくて、待ってるだけでは人は来ないでしょうと。とりわけこれだけ情報が氾濫している現代にあっては、大手企業のように名前の知られていない企業は自分たちで発信して認知を獲得しないと人が採れない時代になってきているのは確かです。

小池:
自社で採用広報活動を行なっている観点からすると、ただ単に人が採れないというよりも、「戦略的に情報発信をしないと質の高い人が採れない」という時代にさしかかっているように感じます。ヘッドカウント的に「量」の採用を行なって、現場のオペレーションに流しこんでいれば事業成長ができた製造業モデルの時代から、いまはモノ余りの時代になって、情報も過多になると、「質」への転換が求められるようになる。

どういう人材が欲しいのかちゃんと定義をして、その人たちに向けてどのようなブランディングをしていくのか......このフィードもそうだけど、戦略を設計した上でのアウトプットが大切ですね。それが結局、入社後のコミットメントやエンゲージメントにも響いてくるので。

藤本:
そうですね。ソーシャルメディアがこれだけ個人に浸透すると、エージェントや大手媒体頼みだった時代に比べて情報の非対称性はどんどん解消していくし、それにともなって企業と求職者の関係もかぎりなくフラットになっていきます。

なので、オンラインでの継続的な情報発信を通じて候補者とのタッチポイントをたくさん作り出すこと、候補者が転職に向けて動き出すまでにマインドシェアを獲得しにいくこと、それこそが採用活動の明暗を分ける時代がかならずくると思っています。Wantedly Visitというサービスもそういう時代に最適化されたものであり続けたいですね。

<「リクルートメントマーケティング座談会 #2」に続きます>

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