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スタートアップのコーポレート担当者が陥る「3つの依存」とは〜TRUSTDOCK コーポレート部・大木大地の「会社の守り神」論〜

コーポレート部に上場企業での経理業務や起業経験のある大木大地が転職してきて、4ヶ月が経ちました。このわずかな期間で既に、業務支援・事業推進・体制整備といった会社の中核を担っています。さらには他部署のミーティングに呼ばれて、メンバーとの連携も深めています。

そんな大木は「スタートアップのコーポレート担当者は会社の守り神であるべきだ」と話します。組織の成長とルール遵守を両立させ、ときにはメンバーが意図せぬ形での不正に手を染めることを未然に防ぐ。その存在は、大木の言葉を借りれば「会社の守り神」です。

さらに、スタートアップのコーポレート担当者が「会社の守り神」となるには、担当者が陥りがちな「3つの依存に気づくべきだ」と指摘します。

『3つの依存』は下記に分類されます。

(1)コーポレート業務の専門性への依存(企業フェーズを無視してしまう)
(2)Saas、ツールへの依存。もしくはまったく使わない
(3)コーポレート業務の体質への依存(メンバーに要求できないorルールで縛ってしまう)

では、どうすればコーポレート担当者は『3つの依存』から抜け出し、「会社の守り神」になれるのでしょうか。

このコラムをきっかけに、スタートアップのコーポレート担当者の仕事に光が当たれば幸いです。

株式会社TRUSTDOCK コーポレート部 大木 大地

BtoBの法人渉外・営業業務を数年務めた後にスタートアップ企業に転じ、新規事業の立ち上げや組織作りに携わる。自らもIT・SDGsスタートアップ(日本/カンボジア)を起業し、会社設立から会社経営に関する一切の業務に携わる。その中でコーポレート業務の重要性を認識し、一通りの業務を一気通貫で行う。直近では、上場企業基準の経理業務を経験し(決算から監査まで)、法務業務では年100件ペースの契約業務を経験する。
2020年5月にTRUSTDOCKに参画。現在は法務や会計的見地からの業務支援、経営KPIや事業KPIの策定や分析を役員や営業メンバーと進める事業推進、ワークフロー整備のための業務デューデリジェンスとルール作成などの体制整備を推進している。

コーポレート業務の専門性に依存してはいけない。業務の優先順位は「企業フェーズ」で決まる

――スタートアップのコーポレート担当者が陥る一つ目の依存は、「自分の専門性への依存」なんですね。

大木:そうです。確かにコーポレート業務はひとつひとつの専門領域の奥が深く、ひとつを極めるだけでも時間がかかります。人事、採用、労務、経理、財務、法務。並べるだけで専門性の高さがわかりますね。でも、それが故に「専門性への依存」を生んでしまいます。

――専門性へ依存すると、どんなデメリットが発生するのでしょうか?

大木:スタートアップ企業が進めるべき業務に対する優先度を、正しくつけられなくなってしまいます。本来は「企業フェーズによってすべき業務を選別すべき」なのです。でも「私はこの領域に得意だからこの業務から手を付ける」となることがよくみられます。

――「企業フェーズによってすべき業務」とは、どんなものがあるのでしょうか?

大木:TRUSTDOCKを例に考えてみましょうか。まずTRUSTDOCKのフェーズを概観すると、シリーズAラウンド調達済みで社員数は15名程度です。この場合に進めるべき業務は3つに分類されます。

①タスクA:今とても困っていてすぐに解決したほうが良いこと
②タスクB:将来のあるべき姿から逆算して今やったほうが良いこと
③タスクC:将来のあるべき姿があるけど少し先にやっても良いこと

――コーポレート業務の優先順位は、時間軸をもとに決まるんですね。

大木:そうですね。厳密には、「④TRUSTDOCKの成長に無駄なので手を出すべきではないこと」もあります。でも、最も重要なことは①~③の何を進めていて、そのことがどう事業と関わる社員の仕事に影響するかを明らかにしながら業務を進めることです。さらには、コーポレート担当者だけが理解していればいいわけではありません。全社員が理解した上でタスクA〜Cを進められるようにする。このように「全社にコーポレート業務を浸透させること」が、「コーポレート担当者は会社の守り神である」由縁です。

社内完結かアウトソースか。「Saasを使うべきか」どうか。それは事業へのインパクトが決める

――コーポレート担当者が陥りやすい2つ目の依存は「Saas、ツールへの依存」ですね。

大木:言い換えると「社内で完結させるべき業務と、切り出す業務の基準をどこに設けるか」の問題ですね。これもTRUSTDOCKを例に挙げてみますか。TRUSTDOCKがあるコーポレート業務を「アウトソースしようか検討している、でもいずれは内製化したいと考えている」としましょう。そのときに具体的な課題として上がってくるものは「どのタイミングで意思決定すべきか」です。

――いまはSaasも増えています。コーポレート業務はすぐにでもアウトソースしていいように思います。

大木:確かに時代は変わりました。「昔からいる金庫番のあの人じゃないとわからない」といった属人性の象徴のようなコーポレートの時代は終わりましたね。
でも、属人化が減っているいまでも「社内で完結させるか、アウトソースするか」を決める基準は変わりません。「事業拡大や営業の強化、開発体制に影響が少ない企業フェーズならアウトソースする。影響が多いならしない」これだけです。

――シンプルな意思決定基準ですね。

大木:実際にシンプルなんです。でも、すぐに意思決定するには現場とのコラボレーションを進めてコーポレート担当者が会社全体のこと、現場のことを理解している必要があります。

――アウトソースを進めすぎることで生じるデメリットなどはあるのでしょうか?

大木:これはコーポレート業務の重要性に関わってくるテーマです。事業の状況を考慮せずに早々にSaaSを使ったりアウトソーシングしてしまうことで、その業務の必要性や重要性が認識できない事態を招くことがあります。ツール依存から脱却して「この業務は必要なものだろうか」と業務の重要性を見定めることも、スタートアップのコーポレート担当者の重要な仕事のひとつです。

コーポレート担当者はメンバーと「協調関係」と「緊張関係」を同時に築く必要がある

――3つ目の依存は「コーポレート業務の体質への依存」です。これはどういうことでしょうか?(メンバーに要求できないorルールで縛ってしまう)

大木:コーポレート担当者は相反する2つの体質を持っています。それは「コストセンター」と「ルール作成者」です。利益を生み出さず会社のコストになってしまう一方で、会社のルール作りという大きな影響力も持っています。

――相反する体質を持っているのですね。

大木:そうです。「コストセンター」として後ろめたい気持ちがあると、「現場のメンバーに要求できない」と考えてしまうんです。その結果「メンバーと緩んだ人間関係」を築いてしまって、いざという時にリクエストができない状態を招いてしまいます。

――ときにはメンバーを律する役割を持っているんですね。

大木:一方で「ルール作成者」としての意識が過剰に大きくなると、「私がルールを決めているんだ」とメンバーを規則で縛ってしまう状態に陥ります。

――真逆の体質を持つコーポレート担当者は、メンバーとどういった関係を築けばいいのでしょうか?

大木:一言で言えば「協調関係」と「緊張関係」を同時に築くことです。「協調関係」では、会社のルールをコーポレート都合で勝手に決めることなく、メンバーの業務を理解し歩調を合わせながらルールを設計する。また日頃からメンバーの自由を保ちながら関係を構築することも大切です。一方で「緊張関係」として、ツール等を使ってアラートを出し、万が一の事件が起こらないように目を配る。そうすればメンバーから何かあったら質問を受けるようになります。メンバーにとっては「あのひとがいるから安心して仕事に集中できる」と思える存在です。まさに「会社の守り神」ですね。

――コーポレート業務は複雑な点も多いので、質問できるひとがいると助かりますね。

大木:万が一のときには「不正を未然に防ぐ」役割も持ちますからね。頼ってほしいです。

――コーポレート担当者からは業務ルールを渡されることが多いので、少し遠慮してしまうケースもあるかもしれません。

大木:もちろんルールはどの企業にもありますし、メンバー全員が妥当だと思えるルールなら何の問題もありません。でも、立ち止まって考えてみると「このルールはコーポレート部門の都合でしかないのでは」と思えるルールやワークフローが生まれることもあります。まずは「協調関係」を作り、メンバーへの説明や同意を得ながらルール・ワークフローの構築を進める必要があるんですよ。「協調関係」を築くことができて初めて、コーポレート担当者とメンバーの間に良い意味での「緊張関係」が築けます。

――今は営業や開発にも関わっているそうですね。これも、「協調関係」を進めるため、ですか?

大木:プロダクトへの関与も意識的に増やしています。いまは会社の拡大に伴って契約業務も増え、同時にお問い合わせも増えています。そのときのお客様からのお問合せに対して、法務や会計的見地からアシストを行ったりもしています。

――コーポレート担当者もプロダクトに関わるんですね。

大木:プロダクトに関わることが、一番お客様の理解も深められますしね。同時に営業の定例ミーティングに出席することで、社内のメンバーの理解も深めています。コーポレート担当者は社内を見る機会が多く、社内に閉じてしまうこともあるのですが、市場に開かれていくべきです。私も最新の本人確認、eKYCにまつわる情報にキャッチアップできるように努めています。

「会社の守り神」は、会社全体を見渡す「スペシャリスト兼ジェネラリスト」だ

――今回は「スタートアップのコーポレート担当者が陥りがちな3つの依存」について解説いただきました。「会社の守り神」としてのコーポレート担当者でいるために、大木さんが意識しているポイントは何でしょうか?

大木:私も修行している身ですが、コーポレート業務は、スペシャリストとジェネラリストの両面から成りっていると考えています。私も会計ソフトで仕訳入力したり、帳票作成したりも出来ますし、今も契約書レビューしたりもしていますから。

――実際に手を動かせるという意味のスペシャリストですね。

大木:そうです。実務の実際を知っているから、経理や法務の専門家と話ができて、力をお借りすることができます。また、実務に精通しているからこそSaaSツールの導入時期やメリットを把握し、使いこなすことができます。

――業務に精通しているから外部の力を借りることができるんですね。

大木:「私たちの会社に必要な専門家、ツールだろうか」を判断する必要がありますからね。

そして、私が目指す「会社の守り神」としてのコーポレート業務は、全体を見渡した上で手を打つことができ、先を読んで優先順位をつけ、業務を切り分けディレクションのできるジェネラリストでもあります。

――「全体を見渡す」というと、具体的にはどんな行動になるのでしょうか?

大木:数ある中でも大切な行動は、経営陣と行動を共にしていくことで、考え方や意思決定の背景まで吸収することです。これが、前述の「企業フェーズ」「アウトソース意思決定」「ルールの作成と運用」につながってきます。

――例えば大木さんから見て、経営陣はどんな価値観や意思決定基準を持っているのでしょうか?

大木:経営陣を含めて全てのメンバーにいえることですが、TRUSTDOCKでは、自分で考えて自分で決める文化が強く根付いています。私も「チャレンジングな姿勢」を基準に転職活動をしましたから、大いに共感しているカルチャーのひとつです。でも、体制が整っていくと自分で考えて自分で意思決定し事業を進めていく、「ドライブ」するカルチャーが失われることもあります。

――ルールづくりと「ドライブ」は相性が悪いように見えますね。

大木:そうですよね。でも、私がTRUSTDOCKから期待されていることは、「ドライブ」カルチャーを保ちつつ、組織を成長させることであるはずです。私は、管理畑だけではなく営業や広報といった現場の仕事、マネジメント、そして起業経験もありますから。コーポレート業務だけを任されている認識はありません。

――会社や組織を多角的に見ながら手を動かしてきた経験が豊富ですよね。

大木:コーポレート担当者の最大の目的は、コーポレート業務を進めることではないはずです。会社を成長させることです。そのためにコーポレート業務のスペシャリストと、ジェネラリストの2つの側面を発揮したいと思います。

編集後記

コラムインタビューでは「スタートアップのコーポレート担当者は、会社の守り神であるべき」をお伝えしました。大木が指摘する「3つの依存」は、コーポレート業務に携わる方であれば、一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

会社全体や現場を見ながらコーポレート業務を進める、スペシャリスト業務とジェネラリスト業務を行ったり来たりする。一見すると両立が難しい領域に進んでいくことがコーポレート担当者に求められるバランス感覚なのかもしれません。

TRUSTDOCKはこれからもメンバーからのコラムを通じて、スタートアップの仕事の奥深さと幅広さを伝えてまいります!

※大木の転職インタビューはこちら
起業、経営、上場企業での経理経験を持つ「コーポレートのプロ」独自の「徹底的な転職活動」とは〜コーポレート部・大木大地のTRUSTDOCK転職インタビュー〜

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