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フリーランスエンジニア ホントの実態、転職13回の営業が教えるわ『年収・リスク・仕事』

今回はフリーランスネタ。 知らない間にめっちゃアフィが湧くカテゴリーになってたみたいで、どの話を信じたらいいのやらわからない人らも多いかと。

私はエンジニアじゃないが、起業時のビジネスモデルにフリーランスのエージェントも検討した程度には知識や経験はあります。 ただ、すこし古いかもしれないので、その辺はご注意を。
(ただ今回はあまり新しい古いに関わらない基本的な話しかしないつもりだけど。)


1.実際、儲かるのけ?

そら儲かります。

よくあるアフィで、『僕も年収500万!』とか煽るのがありまして、思わず『それって売上だろ?月40じゃ安いだろ』ってツッコミたくもなりますが、そう言うレベルの話はさておき。

※国税庁の「民間給与実態統計調査」からデータ引っ張ってきたサイトがあったので参考にしました。
※総数は民間企業における給与所得者数の総数。
※源泉徴収されている個人事業主も含む様子

・給与所得、年収1000万超人の割合。

2016年 総数4869万1042人 のうち4.28% (208万2338人)
2015年 総数4793万9728人 のうち4.37% (209万2964人)
2014年 総数4756万2672人 のうち4.19% (199万4870人)
2013年 総数4645万4211人 のうち4%   (185万8373人)

リーマンショック後に5%台から3%台に激減、13年から4%に上がってきた感じです。
その後も回復傾向のようですが、全体の給与所得者数も伸びてるので、よくわかりません。

学歴・社歴関係なく、まじめに頑張ったら4.5%内に入る可能性高いと考えたら、相当ワリがいいと言っていいんじゃないだろうか。



ただし、フリーランスの収入はあくまで『売上』であって、『給与』ではありません。
まったく同じ様に扱うのは問題あります。が、給与ではないと言う事は下記の様なメリットも含みます。


・社会保険。高くね?

高いです。特に厚生年金。

社員時代に給与明細で認識していた額のさらにほぼ同額を企業側が負担しています。つまり、企業側は2倍の額を給与所得者個人に負担している事になります。企業視点だと『ホントは給与として払えたのに、ほかに持って行かれている金額』と言えます。

払う金額が大きいので、厚生年金は将来帰ってくる額も大きいのですが、現在の年金制度ですと若者ほど投資効率がマイナスになる可能性が高いです。『差額を別で運用したほうが最終的な金額は大きくなる』可能性があります。なお、雇用保険は負担額に比べて給付額がかなり大きいです。人によっては、社会保険つきの方がメリットあるぜ!ってことは当然ありますのでご注意を。


・節税できる。

具体的な節税対策に関してはここでは避けますが、控除を受けたり、経費を申請したりですな。
自分の給与の中から自分の仕事に絡む出費が大きい給与所得者ほど、経費として申請できる金額が大きいって事になります。(スーツとかはダメらしい)

額面で年収1000万の給与取得者は、だいたい手取りは700万くらいになってるはずです。
節税や控除をちゃんと利用できれば、それ以上の実質収入を得る事はできそうです。

経験のあるフリーランスほど、給与よりも売上でもらって節税したほうが効率が良いと答える傾向がありますな。社会保険も含めての計算でしょうけども。




2.スキルは伸びるのか

そらもう伸びる。

【仕事を自分で選べる】

【準委任契約である】

と言う事のスキル面に対しての影響はとても大きい。
取引先との関係重視の営業・待機回避の営業・長期案件優先の営業・売上重視の営業、その他さまざな会社都合による選択の影響が無くなり、自身の判断で選ぶ事ができます。
さらにこの時、請負ではなく準委任契約で納品義務を負わない形をとれば、技術的にチャレンジな案件も比較的低リスクで経験していくことが出来ます。(もちろんスキル不足で成果物ゼロはダメよ。契約不履行で売上ゼロにされても文句言えんぞ。)

条件は下記(エージェントを利用してSESで、と言う前提)

1.スキル向上を重視した案件選択を行っている事。
2.個人で情報収集・学習をし、上記の知識を維持できる事。
3.十分に仕事を選べる市場価値を有していること。
4.営業活動を行う気がある事
5.待機に耐えられる収入がある事。

まず1が出来ない人が結構います。チャレンジをせず自分の経験範囲内の案件しか取らない人、通勤面最重視の人、リモートが最重要な人。(フリーだったらおもしろい現場の隣に家借りればいいと思うんだが。)いわゆるPGの範囲で伸びどまって、不安からどっかに就職して行く感じの人が多い気がする。
また2の能力が無い場合も1は行えません。普通以上のフリーランスであれば、現場で優秀な技術者の知り合いも増えていきます。そういったコミュニティの中であったり、外部の学習会に参加してみたり。やりようはいろいろあるのだが・・・。(なお、昔の人たちは複数で集まって技術書の執筆とかしてた。)

※この記事は2018/10/05のもので、コロナ以前のものになります。
コロナ期以降はリモートは一般化しており、さほど案件選択に悪影響はないかも。
現在は稼働率の調整もできますが、こちらは明らかに案件が減る印象で、100%稼働は重要そうです。

フリーですので、請負と並列で営業。というのも(納品しきる前提であれば)問題ない訳でして。このあたりはケースバイケース。何が正しいとも一概には言いづらい感じです。


3、フリーになる際のこのリスクを十分に考慮しない事を推奨してる人がいる感があるので、ここで強調しておきたいです。市場価値がない状態では当然仕事は少なく、多数の中から選ぶことができません。これではガチャを回すのとかわらない。(案件ガチャとか言ってるひとらはそもそも市場価値が低いか、選ぶ事が許されない状態にあると思われる)場合によってはリスクを負うべきときもあるので一概には言えませんが、現在の自身のスキルの市場価値が低い状態だとしたらフリーランスはオススメできません。
なお待機を覚悟すれば、【あたりを引くまでガチャを回す】事は可能。覚悟と資金があれば、市場価値が不足していても望む結果を得られる可能性を上げる事はできます。

4はハードルが高く感じられるかもしれないですが、決してそんな事はないので気を楽に。
常に案件数と種類を確保するために新規のエージェントに登録するだけ。どうせエンドやプライムベンダーといきなり直接契約したりはできません。そういうケース、無くはないですが再現性は高くないです。ただし、重要な顧客に対して信用は構築しておき、必要ならば直接契約できるくらいの状態にはしておいたほうがいいでしょう。エージェント経由での営業は、毎回新規開拓のようなもので、年齢や経験技術の制限がモロに影響します。それでは限界が来る日が来ます。営業の努力自体よりも【営業するのだ】と言う心構えの方が重要です。要は、一人で会社をやっているのですから。


5も重要。高度なレベルの技術者によくある『必要な試験を受ける・学習する』体調不良気味なので『休息を取る』良い案件を待つ為に『あえて待機する』『新規の営業を行う期間に当てる』ギリギリな資金状況ではスキルを伸ばすことを最優先に選択を行っていくのは難しいでしょう。

スキルを伸ばす為には、上記を実行可能な市場価値・知識を有した上でフリーになるのがベスト。市場価値が不足した状態での勝負をする必要があるのなら、待機の覚悟と資金が必要。(実家が東京だと超有利)

と、言えます。 ロースキルすぎる状態からの無謀なチャレンジは、あまりオススメできません。



3.選ぶべき技術要素

※2018.10現在の技術要素

そんなの得意分野によるわ。

ただし、3年後のマーケットは見据えたほうがよいです。選択した技術の陳腐化により自身の市場価値下がってしまった後ではスキルチェンジも困難になります。


・Webシステムまわりで生きる系路線

Webサービスか、SIerか、と言う論点はよくありますが、最前線のWebシステムを開発する技術には大きな差はありません。と言うか、SIerがWebサービスの類を作ることも多いです。

サービス運営側は保守開発・また保守時のコスト低減よりもサービスのリリースを優先する傾向があります。スキルの問題ではなくて、運営側は【作ったから儲かる】のではなくて【作ったものが稼いでくれたから儲かる】と言う立ち位置なので、【儲かるかどうかわからない段階でコストをかけたくない】と言う至極まっとうな理由からです。RailsやLalavelといったフレームワークが採用される事が多いのもその背景からかと思われます。

SIer側は新規開発を一括請負で請け負うことが多い傾向があります。(よくあるレガシーシステムの保守とかの話はいったんさて置く。仕事を選べている前提なので)【作って納品したら儲かる・運用でも儲かる】なので、運用時のコスト・品質等に重点が寄ります。これには契約が一括請負であることから発生する目的のズレも影響して来ます。技術的には、Javaなどを選択する動機になります。また、Typescriptの使用率もやや高い感覚です。

その他、マイクロサービスアーキテクチャはどちらでも普及しそうです。
リプレースは大変なので、金があるところから随時行われていく事になります。もっとも新規開発には関係ない話で、SI商流のWebサービス新規構築の請負案件などでは、すでにマイクロサービスアーキテクチャを採用していたりと言うケースも、現時点で散見されています。

JavaScriptは共通で必須。Webサービスの方が重宝してくれる感はある。Go言語もそうかもしれない。
Rustなどはまだまだこれからと言う感じで、今やってるから強いと言う感じはまだしませんね。

ほか、重要な要素。
技術要素での差別化で勝負するのは40代に入ると苦しくなってくると言う事実。
があります。

Wabサービス専門なら、界隈の会社複数に顔を売っておく必要があります。【会社対会社ではなく、個人の技術者としてどうか】を評価してくれる傾向が強い会社が多いのは良いのですが、流行り廃りも大きいので、生き残る側の会社にうまく顔を売れるかというのは、かなり難しい選択を要求されます。

SIer系ならば【会社対会社で提供できるリソース量】が重要になってくるので、マトモな技術部隊を持ち、顧客に対して発言力を持つ会社、複数社に顔を売っておくのが効果的かと思われます。そのマトモな技術部隊に対しての支援・増員で参加する事になるので、信用さえあれば年齢とかはあるていど関係ありません。これは受託会社においても同様です。



・業務知識で生きる系路線

いわゆるSIにおける上流の、さらに特定業種・業務に特化するビジネスアナリスト寄りの戦略です。
自身が、その業種のエンドの出身者だったりするとさらに強い。

銀行などは巨大なシステムで、業務などもある程度決まっています。その特定業務に特化した場合、専門性がありすぎて他者の追随を許さずに一方的に受注できたりします。さすがにここまで来ると年齢などは関係ない。巨大システム開発の上流では、60代の超詳しいひとたちが、今日も頑張っている。


・組込み・回路

発注者がメーカー系で、メーカー系の調子が悪かったので苦戦していたこの分野。
自動運転やIoTのニーズなどで、復活しつつある。しかしながら、製造業全体はいまだ苦境にあり、中小のメーカーでは直接雇用であっても条件がよくなかったり、大手メーカの調達は派遣契約縛りであったり、派遣会社経由では生き残りの手段を確立しづらくもあり。『こうすればよい』と言いづらいです。フリーよりも【ちゃんとしたファブレスメーカーなどで正社員】の方がメリットが大きい職種かもしれません。

Cやアセンブラのほか、電気的な知識であったり通信のプロトコルであったりプログラム能力以外の知識を要求される為、参入ハードルが非常に高く、簡単にこの層の人材が充足する事はありません。技術的な陳腐化がかなりゆっくりな印象があります。

一昔前は、Webシステムの技術者とは違い、高齢でも平気で仕事があった分野だったのだが・・・。


4.勘案すべきリスク

・仕事が無くなる

だれでも思いつく最初のリスク。 特定の顧客に偏っていたり、不況になったりでこのピンチは突然襲ってくる。普段は営業関連の情報も手に入らないわけであるから、手広く構えつつ、信用も作りつつとやっていくわけだが・・・。中々に難しく、運も絡みます。

しかし、社員ならこのリスクがまったく無いのかと言うと、会社によってはそうではなかったりする。

そもそも仕事が選べず、スキルがつかない状態で長期案件で放置をくらい、年取って仕事がなくなったから減給ね(生活できないレベルで)とか、来月から契約社員ね、リストラね。と言った話はこの業界では普通に存在します。

事実、リーマンショック前に未経験採用+ロースキル案件へのアサインがうまい400名くらいの会社が、リーマンショック後に150名になってたと言うケースを私は目撃してます。

【待機したら減給】or【仕事無くなったら解雇】系の会社で正社員をやっていて、会社の言う事聞いててもスキル伸びないようなケースの場合、元々フリーランス以上にリスクを抱えた状態であるので、フリーランス起業は全くリスクにならないと言えます。


・体調を崩すとヤバい

これは、実際にヤバい。 うかうか入院もできない。 収入はあるはずなのだから、備えはしておこう。


・カス取引先リスク

一番やばい。 この世の中にはアタマおかしいんじゃねえか!?と言う経営者もゴロゴロいます。
ITの場合は特に起業時に資本もほとんど不要、SESで客先行っちゃえばかなり早いキャッシュフローで入金が得られ、採用時にウソさえつければ、なんだかんだ会社は回って行きます。起業したのに8割労働者の感覚でいる経営者と言うのも存在する訳で、法律や約束もカンケー無く前言撤回してきたり、事前の合意を捻じ曲げてきたりと言う事をされたりします。この際フリーランスはとても弱い立場となります。エビデンスや契約書類はしっかり残し、法律の専門家とのルートを、他の会社経由でも良いので持っておいたほうが良さそうです。

実際のリスクは【不払い】【契約継続の強制】【違法行為の強制】などが考えられます。
リモートや一括請負などの際は、特に気をつけたほうが良いと思います。

エージェント経由の場合はカス会社を引いてもエージェントが矢面に立ってくれます。
エージェント自体がカスである場合は、どうしようもありませんが・・・。

よくある話が【1000万円未満の年商なので、免税事業者だから消費税払わない】と、後から言われるケースです。 免税事業者であっても、消費税の請求はして構いません。【税抜き・税込み】は、事前に必ず確認しましょう。月の売上70万だとしたら、毎月5万6千円やられてる計算です。せっかく高い案件で決まったと思ったら・・・いつもと変わらんかった。 と言う事はよくあります。

インボイスもあって、このあたりのトークがどう変化するかはわかりませんが、まーいろんなやり口があんだなくらいは覚えといた方がよいかもですなー。



・スキル面でのリスク

【リーダー経験をつみづらい】
フリーランスは派遣契約と言う形態が取りづらいです。(労働者として社会保険加入になる上、消費税も入らない)委託作業者として振舞う手前、契約先のメンバーの上に立って作業と言う経験がしづらいです。『優秀な開発部隊のピース』としてのバリューではなく『いちエンジニア』として、評価を得続ける必要があります。

実際には仲のよいソフトハウスのメンバーと組んで戦略的に動くと言う事も出来ますので、全くできないと言う事は無いです。 なお、さすがに新人大量に押し付けられてまで経験する必要はないですが。別途、金もらえるならば検討するくらいでしょうか。


・加齢

やばい。しかも、いつかかならずその日は来る。

市場の需給状況、技術の種類、経験内容、スキルシートの見栄え、狙う売上、などにもよりますが、50代ではかなり仕事が減ってきます。そんな事はみんなわかっています。なので、フリーからの卒業の戦略があらかじめ必要です。

よくあるのは就職を狙うパターンです。しかし【よい会社が見つかり、入社でき、その会社がその後も潰れない確率】はとても低いです。結局フリーランスに戻り、50代で苦しむと言うケースは本当によく見られます。その確率を減らす為にも、早くから長期のスパンで取り組んでおくべきミッションです。

複数のフリーで集まって、打開の為にビジネスをしようと言う話もよくあります。しかし、お互いド甘いIT業界のフリーランスである為、リスクを取る意識や投資して回収すると言う概念が欠けていることが多く、実際にビジネスがスタートしない事も多いです。

それでもリスクを取るメンバーが集まってスタートした状態が、【起業】と言うことになります。今度は競合他社と戦い、会社を継続していかなくてはいけない。採用・営業・労務・財務、システム開発以外の要素がどっと襲ってきます。そこでしくじれば、結局フリーランスに戻り50代で苦しむことに。
普段から業界の調査を怠らず、他社に負けない為の成長戦略や採用・育成などの仕組みを考えておく必要があるでしょう。

悲観的な情報が多いですが、ヤバい会社の社員とは違って主体的に対処できる環境にいるので、正社員の方がリスクが低いと言う話ではありません。対処できるだけはるかにマシで、その分低リスクとも言えます。




5.〆

さて、いかがでしたでしょうか?

当社のホームページでもちらっと書いてますが、『会社』は【規模と組織力で共通目的を達成できる】点がフリーよりも有利です。しかし、『会社の目的達成が、組織の構成員個人にメリットがない』場合は私はフリーランスの方が安全性が高いと考えます。

・カス会社リスク
〇危険な高稼働だが、自分の判断では撤退できない。もしくは受託。
〇会社に売上で貢献しているが、会社は自身の先々の安全を担保する気が無い。
〇スキルがつかないまま若さを失っていき、選択肢が狭まっていく。
〇みんなバラバラでリーダーどころかチーム稼動の経験もつめない。
〇仕事なくなったらクビ・収入落ちる。

すべて、フリーランスの方が有利か、変わらんでしょ?。
実際、こういう会社は多いはずです。


また、『個人が個人の目的を優先したい(共通目的を追いたくない)』場合に関しても、『会社』で働く最大のメリット【規模と組織力で共通目的を達成できる】が活きる事はないので、個人の目的を追求でき、収入も良いフリーランスがベストな働き方じゃないかと思います。

社員の育成に投資をするタイプの会社と、こういった個人志向の社員の相性は最悪と言う話を以前のフィードでしましたが、社員が独立してフリーとなった場合、フリーは自身でリスクを負ってスキルへの投資判断を行います。それが可能な収入も得ます。会社とフリーランスの利害は一致し、良い関係性が期待できるという事になります。

こういった方々はもっと、フリーランスとしての働き方を考えても良いのかなーと思っています。




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その他の記事へは、下記リンク先が記事一覧となっておりますので、そちらからどうぞ。

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