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リモートワークで社内交流が激減。新しいつながりと学びを生み出すTAMの「1on1社員マッチング」

リモートワークの弊害として社内交流の機会が減り「社内に相談できる人がいない」「知らない社員が多く会社に馴染めない」といった悩みを抱える若手社員が増えているようです。

そんな中、デジタルエージェンシーTAMでは、知らない社員同士をマッチングする新しい形の「1on1」を導入。上司・部下だけではないつながりを生み、社員同士で気軽に会話や相談ができる仕組みづくりを行っています。

どのようなマッチングで、どんな成果が生まれているのでしょうか? 「1on1社員マッチング」を推進している3人の社員にお話を伺いました。

言葉にならない悩み、相談しづらいリモートワーク

―リモートワークで社員同士のコミュニケーションが減っていることが問題視されています。若手社員の金城さんと神嵜さんは、実際にそういったことで難しさや物足りなさを感じることはありましたか?

神嵜:僕はTAMが3社目になるんですけど、リモートで仕事をするのはTAMがはじめてだったので、同じ会社に所属しながらも顔を合わせたことがない人がいる環境は、新鮮というか、変な感じがするなあ……というのはずっと思っていて。

前職では休みの日にみんなで飲みに行ったり、ゴルフに行ったりしましたけど、今はコロナ禍もあって、あくまでも仕事上のつながり。仕事ではリモートでもあまり困ることはないんですけど、コミュニケーションでいうとちょっと不足しているというか……。

今、所属しているチームは全体で20数名いますが、コンスタントに出社しているのが5、6人くらいで、出社しても同じ人としか話さないことがあるので、物足りなさみたいなものは感じています。

金城:私は面接もリモートだったし、1回も会社に行くことなく入社した形です。

所属している広告チームは結構年齢が若いので、休みの日も仕事以外にコミュニケーションがあったりもするんですけど、チーム外の先輩とは仕事だけの関係かもしれませんね。

―仕事だけのつながりだと、業務にも影響があったりしますか?

神嵜:これがいいのか悪いのかはともかくとして、無茶ぶりというか、「ちょっとここ、なんとかしてほしいんだけど……」みたいなお願いをしづらいとか、そういうのはありますよね。

また、案件でちょっと詰まったときとかにも相談したいですね。出社していれば、「ちょっとすみません」みたいな感じでさっと声をかけられるのが、「Slack」とかでは意外と相談しづらかったり……。

金城:私のチームは未熟な部分もあったりして、先輩がこれまでに蓄積したものを見たいな、という気持ちはあります。

それと、キャリアのことでも「だれかに相談したいな」というときってあるじゃないですか。「最近、ちょっと落ち込んでるな」ぐらいのニュアンスで悩んでいて、明確に自分で言葉にできていない場合もあって、話しているうちに「私はこういうことで悩んでいたんだな」と気づいたりする。それをお互いに察しづらい、みたいなのはありますね。

―三内さんはこういった状況を改善しようと。

三内:そうですね。コロナ禍でリモートワークになり、会社やオフィスにいたからできていたちょっとした雑談とか、人との出会いが少なくなったと思います。

同じチームの人とは、リモートでも話す機会を増やすことができるのですが、横とか斜めの関係の人と出会ったり雑談する機会はほんとになくなったと感じていました。それをなんとかしたいということで、社内の新しいつながりを増やす「1on1」ができないかなと。

かといって、「話したい人がいたら自由に声かけてみよう」と言われても、オンラインで声をかけるのはハードル高いし、共通の話題がわからない状態で話をするのも大変なので「同じ興味関心があって、それについて誰かと話したいと思っている人同士をつなげれば上手くいくんじゃないかな」と思って。

それで、神嵜さんと金城さんと3人で、週1で集まって、社員をマッチングする活動をしています。

興味・関心を通じて、人力でマッチング

―具体的にはどんなふうにマッチングするんですか?

三内:ざっくり話すと、4つのステップがあります。

  • ステップ1:参加希望者が「好きなこと」「こんな人とつながりたい」などのアンケートに回答
  • ステップ2:運営スタッフがアンケート結果を元に、話が盛り上がりそうなメンバーのマッチングを作る
  • ステップ3:マッチングが成立したことを、2人だけのSlackチャンネルを作ってお知らせ
  • ステップ4:あとは2人でご自由に(自己紹介→日程相談→30分ほど対談!)

アンケートは、社内全体のSlackのチャンネルで「アンケートお願いします」と、定期的に告知しています。あと、新しく入ってきた人にはチームリーダーが紹介してくれたり。

―アンケートの中身を詳しく教えてください。

三内:まずは年齢や出身地、業界年数を書いてもらいます。あとは、雑談の中身。「相手となにを話したいか」という項目では、「最近嬉しかったこと」「最近はまっているもの」「Netflixのオススメ」「住んでいる地域」などの選択肢から選んでもらえるようになっています。

「社内のこんな人とつながりたい」という項目では、「最近入社した人」「同じぐらいのキャリアの人」「違う職種の人」「〇〇チームの人」とか。「趣味がかぶっている人と語ろう」という項目では、「ネコチャン、ペットについて語りたい」「アイドル好き」「DIY」「YouTubeやっている人」とか。

ほかにも音楽、本、アニメ・漫画、ドラマ、スポーツ、アウトドア……と、いろんな項目があります。

―その後は、どのようにマッチングするのですか?

三内:アンケート結果の一覧を見ながら、1名をピックアップして、その人と共通の興味・関心がある人を探します。そこで「あ、いた!」となったら、その2人をマッチングする。

マッチングは入社1〜2年の方を優先して出会いの機会を作るようにしています。やはりコロナ渦になってから入社した人のためにやりたかったから、その人たちを中心にやろうと。

とはいえ、コロナ渦より以前からいるメンバーも、つながりが作れてなかったり、雑談の機会も減っているので、30~40代のママさんたちをつなげて、「ママ会」をやったりとかもします。

―たまには「1on1」じゃなくて、3人のマッチングもあるんですね。

三内:2人か3人です。2人がいい人と、2人が苦手な人がいるんですよ。メンバーによっては「この2人は、お互いが聞き役だから、話をつないでくれるだれか入れておこう」とか(笑)。

マッチングが決まったら、その2人だけのチャンネルをSlackに作って、「マッチングが成立しました」という札でお知らせしています。Slackに簡単な段取りが書いてあって、それで僕らの仕事は終わりです。

あとは、参加者のみなさんに託して、よりよい機会になることを祈っていますが、思っていたよりもみなさん楽しんでくれているなと。

たぶん、「機会があれば話してみたい」とは思っているけど、機会がないだけなんだと思います。その機会を作ることが、この仕組みの目的です。

趣味の一致から意外な展開も

―社員の組み合わせを考えるのは楽しそうですね。今までに面白い組み合わせはありましたか?

三内:いろいろありました。職種も年齢も違うけど「ネコ好き」とか「阪神タイガース」「関西圏のバイクのツーリング先を教えてほしい」とか楽しそうでした。入社すぐのメンバーとベテランのメンバーでも、同じ地域に住んでいるという共通の話題で盛り上がりました、とかもありました。

神嵜:僕自身、2回参加しましたけど、そのうちの1回は社長の爲廣さんと話しました。たまに東京オフィスにいらっしゃったときにちょっと挨拶するぐらいだったので、とても新鮮でしたね。

もう1回は、「海外旅行」でつながりました。大学時代にバックパッカーをやっていたので、「今までこんなとこへ行った」とか「行きたい」という話で盛り上がりました。そのうちの1人は今、シンガポールに住みながら仕事をしている人だったので、海外に住みながらの仕事はどうかとか……そんな話をした記憶があります。

三内:「海外つながり」でいうと、時差もあったりしてしゃべりかけるのが難しい、みたいなのがありますが、金城さんはオランダ法人Tamsterdam代表の飯島さんと1on1してましたよね?

金城:はい。クリエイティブディレクターっていう職種に興味があったので、私が話してみたかったんです。1人だとドキドキするから、コミュニケーション能力が高い同期も入れた、という経緯があったと思います(笑)。

そのときはどういうお仕事をしているのかを聞いたり、私たちのキャリアについて飯島さんが聞いてくれたりもしましたね。その後、SlackでTAMの広告チームとTamsterdamの共同チャンネルもできました。お互いに情報共有しようよ、みたいな感じで。

三内:別チームの人同士をつないだら、後日一緒に仕事するようになったケースもありますね。AIに強い社員とつながったので、社内の勉強会でしゃべってもらったりとか。意図はしていなかったけど、結果的にジョブマッチング的な機能も果たせました。

「1on1」が普通になるように

―TAM流の「1on1」をやってみて、みなさんの反応は?

神嵜:みなさん、面白かったと言ってくれますね。チームも場所も違うから、「こういう場がなかったら、この人と関わる機会はなかったかも」みたいな話を聞きます。「今度は〇〇さんとしゃべってみたい」と、指名で連絡をもらったりもしたので、次はその人とつなげてあげたりとか。

三内:「1on1」を通じて、次の1on1につながる人の紹介が起こったりもしますね。「大阪同士で、今度はリアル(対面)でやりましょう」というケースもありました。VR(仮想現実)を使った「VR 1on1」を企画しているメンバーもいます。

―好評ですね。ここまでやってきて「1on1」をうまく運営するやり方やコツなど、なにか見えてきたものはありますか?

神嵜:「1on1でちゃんと話が盛り上がるかな」とか気にしすぎるとマッチングの作業が進まなくなるので、「たぶんこの2人ならいけるだろう」という、いい塩梅でマッチングしたほうが意外とよかったり(笑)。

金城:それに、だれでもみんな「人と話したい」みたいな感覚はあるのかなと思いました。ただ、10~20分ぐらいが心地いい人もいれば、1時間がっつりしゃべりたい人もいるので、そのあたりだけ調整して。

神嵜:「おとなしい系」の2人をつなげないとか、緩衝剤的な人を入れるとか、そういうことは注意したほうがいいかなと。2人だけで話すのが苦手な人を引き合わせちゃうと気まずくて、次回参加するのが億劫になったりするので。

三内:そこは人によって感覚がほんとに違うと思いますね。2人がいい人、3人がいい人もいるし。お互いが心地いい時間であれば、どんな人とマッチングしても意外としゃべれるのかな、と体感しました。

―今後の展望は?

三内:「1on1」の参加人数も今、70人ぐらいに増えてきているので、引き続きやっていければいいなと思います。

神嵜:今は1カ月に30組作れたらいいなと。直近3カ月の目標は100組です。

金城:もっとたくさんいろんな人をマッチさせたいので、社内で興味を持ってくれる人が増えたらいいな、と思います。1人増えるだけでパターンが増えるので、この記事を見てくれた人はぜひアンケートに答えてください(笑)。

三内:今は組織の仕組みでやっているけど、「1on1」が普通になるといいな、と思っていて。だれかとしゃべりたいから、ちょっと声かけてしゃべろう、みたいな。

金城:たしかに、特に話題を準備していかなくても、気軽に「〇〇さんと話してみたい」みたいな感じで、声をかけられるといいですよね。

三内:そんな空気が作れれば、オフィスで社員同士ですれ違ったときにちょっとしゃべる、というのが、オンラインでも比較的しやすくなる気がしています。

TAMって同じ目的とか志向の人が多いと思うので、似ているところがあるなら、そこでつながることができれば結構チャンス。この「1on1」を活かして、横断的に人との出会いを増やしてもらえたらと思います。

[取材] 岡徳之 [構成] 山本直子 [撮影] 藤山誠、石田バレット(Barrett Ishida)
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