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高級マンション暮らしから一転、盗賊に襲われ無一文に。紆余曲折の末たどりついた「タビタツ」創業秘話 三木健司

「孫さん、超かっこいいな・・よし、俺もアメリカ行こう!」なんだかお調子者の世迷いごとに聞こえるかもしれませんが、私が会社を創業するきっかけとなった第一歩は、孫正義さんの著書「志高く」を読んだことです。孫さんと同じような起業家になろう、いや、孫さんになろう、と熱く闘志を燃やし、高校卒業と同時にカリフォルニアへ弾丸旅行へ旅立ちました。申し遅れましたが、RisingAsia株式会社CEOの三木健司と申します。


現在運営中のサービスは大きく分けて2つ。海外の現地アクティビティ、オプショナルツアーの「タビナカ」と、訪日中国人向けのツアー「Peertours」の運営を行っています。また、9月頭には”読めて・買えて・会える”をコンセプトにした新しいかたちの旅行メディア「タビタツマガジン」をローンチさせる予定です。

タビナカ(https://tabinaka.co.jp

【起業1回目】孫さんの軌跡を追い、アメリカへ

さて、冒頭の通り偉大な起業家、孫正義さんに憧れ、孫さんのようになりたいと思った私は、まずは孫さんと同じ行動をしてみることにしました。そうです、アメリカへ出発です!今では海外旅行のツアーサービスを経営している私ですが、実は何を隠そう、このアメリカが人生初の海外旅行。英語は喋れない、そもそもパスポートの取り方も飛行機のチケットの買い方もわからない、というまったくの初心者でした。


そんな海外旅行ペーペーの私が出会った街バークレーでは、当時日本ではまだ流行っていなかったスマートフォンが大流行。Iphone4に熱狂する最先端の人々を目にし、これは日本でも来るなと閃きました。早速、大阪でスマートフォンの販売代理店として起業。三木健司、人生初の海外旅行に行ったと思ったら、初の起業を行うことになりました。


「世界中でもっとも大きな事業を起こしたい」孫さんへの憧れ、いや憧れを通り越して孫さんになりたいという思いを胸に、スマートフォンの代理店を日本でいくつも立ち上げ。結果として、わずか半年で200万ドル以上の売り上げを達成しました。お金を手に入れ、車を買い、高級マンションに住む。そんな暮らしを最初の起業で手に入れたことはラッキーだったかもしれませんが、なんだか物足りなかったのです。自分はこんなところで終わって良いのだろうか?もっと、世界を見たい。そう思いました。

きっかけは、身ぐるみを剥がされたこと

世界中を旅して周ることに決めた私ですが、ある時人生を変えたと言っても過言ではない事件が起こります。それは、タイのバンコクからプーケットまでバスで移動している時のことでした。日本人でお金持ちそうに見えたのか、突然バス中の乗客と運転手がグルとなり、私のカバンが取られてしまったのです・・。お金もない、パスポートもない、文字通り身ぐるみ剥がされた私は、いくら「俺は一回目の起業で半年で200万ドル稼いだ男だぞ!!」と拙い英語で叫んでみても、ただの無力な男でした。


しかし、私は孫正義さんに憧れた、いや孫さんになりたいという大きな夢を持つ人間です。こんなところで折れるわけにはいきませんでした。新しいパスポートが来るまで、なんとかこの状況を楽しもう!と、プーケットの美しいビーチでひたすら自分の心を盛り上げようとしていました。お金もない、友達もいない、パスポートがないからホテルにも泊まれない。英語も片言だし、タイ語も「コップンカー(ありがとう)」「マイペンライ(気にするな)」くらいしかまともに喋れません。ないない尽くしで、はたから見れば最悪な状況だったかもしれませんが、腐らずに、海を見ながら一人きりのビーチを楽しもうとしていました。

ある朝、そんな毎日を変える出来事が起こりました。パラセーリングやジェットスキーなどのウォータースポーツをやらないか?と、ビーチボーイたちが勧誘にやってきたのです。日本でいうキャッチのようなものですね。お金なんて全くない自分に声をかけるなんて見る目がないなあ、なんて思いながら、私はふと閃きました。「俺にはタイ語は喋れない(さらにいうならば、英語力もパスポートも友達もいない)。でも、俺にはビジネスをすることはできる」


ビーチボーイ達は、観光客を捕まえてはウォータースポーツのショップに連れて行き、仲介手数料でショップからマージンをもらっていたのです。タイ語も英語もできなくったって、プーケットには日本人がたくさんいます。それなら、日本人観光客相手に商売をすれば良いではないですか。現地で仕事の仲間を集め、簡単な日本語のウェブサイトを作りました。サイトでは、私が日本語でプーケットを案内することを宣伝し、日本人の旅行客を募りました。お客様の反響は上々で、私が案内をすることで、日本人だからこその安心感や、楽しい思い出を作れたという感想をいただけたのです。(※タイでは現地法律により外国人が観光案内をすることは禁じられております。その為、正確には私三木が日本語で集客をし、タイ人ガイドに同伴。必要に応じて日本語通訳をするスタイルを取っていました。日本人である自分の集客力を現地ガイドの皆さんに喜んで頂けたことも嬉しかったです^^)評判が上がるごとに自分の報酬も増えて行き、すぐに月30万円は稼げるようになりました。そして、ついに新しいパスポートを手に入れた時には、私は新しいビジネスのアイディアを心に宿していたのです。


バンコクからのバスで全財産を取られてすっからかんになった時には、このプーケットでどうやって生きていこうかさえ分からない、とにかく楽しもうと思っていただけの状況でした。しかし、ビーチボーイたちが私を勧誘してくれたおかげで、語学力がなくても私にはビジネスが出来ることを思い出させてくれたのです。・・ここには書けないですが、海外放浪中にはまさかのナイフで刺された事件もあり、人生のピンチをいくつも経験いたしました。もし自分が大学に行って、ちゃんとした人生を送り、頭が良くて日本でパソコンをカタカタいじっているエリートだったら、ビジネスを思いつくことはなかったかもしれません。大学には行っていない、ただ孫さんに憧れを持った子供でも、実際に現地に行って身ぐるみを剥がされた自分だからこそ、ビジネスを起こし、実行し続けてこれたのだと思います。


そう、そして何を隠そう、このプーケットでのビジネス経験こそが、今私がメインで運営している「タビタツ(旧:たびのたつじん)」を立ち上げるきっかけとなったのです。

【ついにタビタツ、創業!!】

プーケットで、日本語でガイドをすることにより満足をしてくださったお客様の顔を思い出すと、これこそが今後自分が成し遂げていくことなのではないかと思いました。母国語で安心して世界中の観光資源を満喫する。そんな仕組みを作りたい!その思いで、海外に住む日本人が日本語で日本人を案内するツアーのプラットフォーム「タビタツ」を作ったのです。

今でこそ、多くの投資家の方々や運営メンバーに支えられ、黒字経営で右肩上がりの成長を続けているタビタツですが、創業当初は本当にひどいものでした。「これからはCtoCのサービスが来る!タビタツで旅行業界を一新する!」と、お客様とガイドさんの出会いの場としてタビタツを提供していたのですが、そう簡単にはうまくいきません。せっかくお申し込みが入っても、お客様、もしくはガイドさんと連絡が取れなくなってしまったり、サイトに不具合が起きたり、そもそもツアーが売れなかったり・・。AirBnBやUberのような世界の仕組みを根底から変えるサービスを創りたい、という大きな野望を持っていましたが、現実には目の前の小さな売り上げ目標すら達成できない、赤字経営の苦しい時期が続きました。


そこからどうやって、今のような黒字経営のサービスになっていったのか・・!(まだまだ伸び代だらけですが)というのは、また別の機会にお話させていただければと思います。笑

まとめ弊社ではインバウンド・アウトバウンド共に事業を広げておりますが、根底には一貫したミッション、ビジョンがあります。


▶︎ミッション

300都市の観光資源を商品化し、母国語で満喫できるようにする

▶︎ビジョン

世界中を満喫できる仕組み(プラットフォーム)を作る

現在は、海外に住む日本人が、日本語で日本人を案内する「タビタツ」を中心に運営していますが、タビタツもPeertoursも、「母国語で世界中の観光資源を満喫する」というサービスに変わりはありません。世界には、まだまだ発掘されていない観光資源、簡単に自分の力ではいくことができない魅力的な場所がたくさんあります。日本語、中国語にとどまらず、世界中の言語で、世界中を満喫できる仕組みを作ること、それが私たちRisingAsiaのビジョンです。
これから、国内外を含めサービスを拡大していきますが、いつもメンバーに口を酸っぱくして伝えていることがあります。それは、「僕らは、まだ旅の途中なんや」・・・すみません、青春漫画の1ページみたいで暑苦しかったでしょうか。でも、本当にそう思っています。目の前の売り上げ目標を達成すること。それももちろん1つのステップですが、私たちには「世界中の観光資源を商品化し、母国語で満喫できるようにする」というミッションがあります。まだまだ、ミッション達成にはほど遠く、そして日々、さらなる事業拡大や新サービスのアイディアが生まれてきている状況です。おそらく、どんなに黒字になっても、大きな会社になっても、まだまだ旅の途中だという意識は変わらない気がしています。常に変化し、拡大し、世界中の人々を巻き込んで、満喫できる仕組みを作れる会社。それが、私の経営するRisingAsiaの目指す姿です。

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