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「もう一度、ITを駆使して顧客の期待を超える」 はたらぼが目指す新たな未来図

「アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する」という企業理念を掲げ、成長してきたエスプールグループ。しかしリーマンショックを機に、気づけば非IT企業へと変貌。そんな折、もう一度ITを浸透させるべく発足したのが「働き方改革ラボ(通称はたらぼ)」です。はたらぼが目指すビジョンとは?

ITツールを生かして「顧客の期待を超える」人材会社だったエスプール

      ▲創業時は「インターネットを活用した派遣会社」として、VCから注目を浴びました

1990年代~2000年代前半、日本社会は「就職氷河期」と言われる大きな社会問題を抱えていました。就職できない若者が大勢生まれ社会問題となっている中、「雇用システムをなんとかできないか」そんな想いとともに、1999年12月エスプールは創業しました。

就労意欲の高い学生を教育・訓練し、チームとして派遣する、当時としてはユニークな仕組み(現在でいうインターンシップのような事業)でスタートを切りました。企業からの評価も上々。多くの依頼が殺到する中、情報をさらにスピーディに扱うことはできないかと、社員は課題感を持つようになります。

そこで着目したサービスが、当時始まったばかりの携帯電話の通信サービス、「iモード」。これまで電話で行っていたやりとりをWebですべて行えるようにすることで、業務効率が飛躍的に上がり、会社として大きく成長することができました。

携帯電話の出現で起きたライフスタイルの大きな転換期をつかみ、「携帯電話を活用した新しい働き方」として、当社の事業モデルがメディアで大きく紹介されるようになったのも、その頃でした。当社を知ったベンチャーキャピタルから出資オファーが殺到し、設立2年目で6億円の資金援助を調達することができました。

投資家の期待に応えるよう、事業も人材派遣業へシフト。売上も右肩上がりで、2006年には大証ヘラクレス市場に上場することに。これがITツールを生かして「顧客の期待を超える」サービスを提供する会社=エスプールの姿でした。

リーマンショックを経て、いつの間にか「非IT企業」へと変貌

          ▲いつの間にか「紙」での保管が当たり前となっていました。

急成長を遂げたエスプール。しかし、すべてが順風満帆だったわけではありませんでした。2008年のリーマンショック、そして2009年の債務超過。一時は上場廃止の危機まで落ち込みました。

そういった逆境を乗り越え、2019年現在は直近の5年間で従業員が3倍超の700名になり、事業も多角化。人材派遣だけでなく障がい者雇用、販促支援、物流支援、採用支援など、多岐に渡る企業体へ変化を遂げていきました。

そんな中やってきたのが、現在のテクノロジーブームです。AIやIoT、データ分析やRPAをはじめとした技術革新が、世界中で進んでいます。代表取締役社長である浦上壮平自身も、この時流に乗り、エスプールは大きく成長すると考えていました。

そこで判明したことは、エスプールが時流から取り残されているという事実でした。紙で回収した出勤簿や帳票、その入力作業で残業をする従業員。手作業で情報をシステム間連携させる業務の存在……。

いつの間にかエスプールは「非IT活用企業」へ変貌していたのです。“人というリソース”を、仕組みとして駆使することで、顧客の期待を超える。会社の拡大とともに、そういった「頭を使って解決する」文化が失われつつあることに危機感を覚えました。

ーーこれからの時代、技術を使えない会社は必ず衰退する。

そう考えた浦上は、2018年1月、ひとつのチャレンジに踏み切ります。

「社内に新しい風を」 はたらぼ 発足

         ▲はたらぼメンバーに抜擢された境田圭晃(右)、京田直之(左)

エスプールを「非IT活用企業」から脱出させるべく、目指すビジョンは3点に絞られました。

「ITに詳しくない人間でも、頭で考えて仕組みをつくれば便利にできることを示すこと」

「現場の課題から新しいサービスを生み出すこと」

「IT(情報システム)から経営を描いていくこと」

そこで選ばれたプロジェクトメンバーはふたり。当時新卒4年目の境田圭晃、新卒2年目の京田直之です。

境田は新卒1年目でグループ会社エスプールヒューマンソリューションズの派遣営業に配属され、2年目ではグループ全社の新卒採用責任者を担っていました。

京田は新卒1年目から企業の採用代行を行う新規部署で営業を担当しており、ともに決してシステムやITに知見がある訳ではありませんでした。しかし知識の有無以上に、「新卒若手社員」という立場を生かして欲しい、という浦上の想いがありました。

エスプールグループ全体の業務改革を進めるにあたり、ふたりに現場の社員と同じ目線でサービスを考え、新しい価値を見つけて欲しいと期待を込めたのです。

もちろんITの知見も重要になるため、外部より顧問を招聘しました。外部顧問として任命された青柳賢太郎は、大手Sier企業の勤務経験や物流企業の情報システム部の経験があり、直近では独立して、ITエンジニアの派遣サービスを手がけるというバックグランドの持主です。

部署名は「働き方改革ラボ」(通称はたらぼ)に決定。社内に早く浸透していけるような名前となりました。(発案は新規事業開発担当の執行役員のアイデアでした)

そんなメンバーで立ち上がったはたらぼがまず取り組んだこと。それは、「情報共有」というテーマでした。社内では様々な情報が管理されていますが、システムを活用したもの、エクセルをはじめとしたPCツールで管理しているもの、方法は様々です。その中で、いくつかの問題が起きていました。

「事業部全員が共通のエクセルで管理するので、誰かが入力している間は順番待ちになる」

「共有フォルダ内のデータが多すぎて、どこに探しているデータがあるかわからない」

「社内スレッドが立ち上がりすぎて、情報が埋もれてしまう」

「紙で回収する情報を入力することに時間がかかり、残業になってしまう」

少し考えれば改善できそうな課題が、全社に共通して持ち上がりました。そして、もっとも深刻な問題は、どの社員からも「どうしようもない」「前から○○のやり方でやってきたから……」といった声があがってしまうことでした。

「どうしてできないのか?」「そもそも本当に必要なことなのか?」

そんな問題意識を社内に浸透させることが重要かもしれない、とはたらぼメンバーは感じていました。

もう一度期待を超えた価値を生むために はたらぼが目指す社内の意識改革

     ▲月1回、グループ会社経営陣に対し「ラボ会議」を実施。社内の意識改革を図ります。

意識改革の重要性を実感したはたらぼは、まず「こうやれば、お金が掛からずに改善できる!」ということを示す必要があると考えました。

● グループウェアやスレッドの機能を1からレクチャーし、便利機能を伝える

● 部署レベルでハンズオンのエクセル指導や業務フローの修正

● 紙アンケートをWEBフォームへ移行し、システム連携させる

● 入力作業やコピペ作業をすべて集約し、自社内のRPA化事例を発信する場を設ける

などです。そもそも、システムの使い方、PCの使い方がわかっていない社員も少なからずいる環境では、改善の意欲が湧き上がりません。まずは「知っていることを増やす」という切り口でアプローチを始めました。実際に数字として現れる成果も出てきています。

「これまで雇わなければならなかった1名分の事務員を雇わなくても事務局運営ができた」

「アンケート集計の仕事がなくなり、月20時間弱をカットできた」

「KPI集計のエクセルや営業リスト等々10個以上あったが、3つほどに絞られた」

とはいえ、まだまだ始まったばかりです。社内での連携、意識の向上を土台に、“期待を超えた価値”を生むことが求められる2年目が始まりました。境田は「はたらぼ」のこれからを語ります。

境田 「ミニマムでのスタートではありますが、リアルタイムで会社の売上状況が見える BIのリリース、社内の事務作業を効率化するプログラム開発や RPAのフル活用、そして R&Dとしての新しい役割を担い、エスプールの 3本目、 4本目となるような ITを生かした新事業の模索に取り組んでいきます」

エスプールの第2成長期は、「働き方改革」の考えかたを土台に、かつてのように「技術を生かしながら」、さらなる飛躍を目指していきます。

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