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AIに親しむために、まずは「遊び」から。AWS DeepRacerを社内に導入してF1レースを企画したい。

AIに興味のあるメンバーが集まって立ち上がったスカイアーチのAI研究チーム。今回は、AIチームのリーダー営業本部の安藤祐輝さんへ、チームの活動や個人的に今業界で興味のあることについてお聞きしました!

AIはキラーツールとしてではなく組織に溶け込む技術

AIの勉強会の場に参加すると、「上の人からAIを使って何かやれと言われたけれど、何をすればいいかわからなくて」と悩まれている方によく出会います。でもたぶん、実際の浸透の仕方は、AIで固有の何かを作っていくのではなくて、インターネットを利用することと同じくらい当たり前のこととして、知らない間に社会の裏側の仕組みで使われていくということなんじゃないかなと。学ぼうが学ばないが私たちが知らないところで使われていくので、知っておかないと劣後していく。AIという技術の本質をとらえて、それを自分たちの業務にどう使うのかを考えていかないといけないと感じています。


スカイアーチのサービスにAIを組み合わせるとすると、例えば運用監視における活用が分かりやすいです。運用監視にはCPUの使用量を示すリソースグラフがあり、閾値を超えるとアラートが鳴る仕組みになっています。AIを使うと、その波・パターンを学習して、いつもスパイクする曜日・時間はサービスが動くタイミングだとAIが認識して閾値を超えたとしてもアラートは鳴らさない。逆に、いつもスパイクしない日に突然CPUが多いと、仮に低いCPUだったとしてもアラートを鳴らす、といったことが可能になります。これはDatadogというツールで導入されている技術です。

このような技術は徐々に開発されていますが、我々と同じような運用監視の業種でAIと組み合わせて具体的に何かを打ち出しているところはまだ少なく、つまりそれだけ決定打がなく組み合わせづらいということ。例えば製造業であれば、画像認証などディープラーニングの技術を使うことが想像できるのですが、我々の場合は、AIの機械学習を業務に結び付けにくいという事もあって、サービスにどう活かすか検討している段階です。

GAN(敵対的生成ネットワーク)から予想する未来

業務には直結しませんが、AIのGAN(敵対的生成ネットワーク)の技術には驚愕しました。AIが色んな素材を学習した結果、この世には存在しないハリウッドスターっぽい顔を作ったり、馬の画像をシマウマの画像に変換したりする技術で、半年くらい前までは、人の顔画像も耳や生え際に違和感があったのですが、ここ最近はほとんど見分けが付きません。これが動画になったら映画スターがいなくなってしまうのではないかとか、我々のサービスにおいても、オペレーターがAIで作られた架空の人になるのではないかとか、我々の生活にあらゆる革新を起こす技術だと思います。

個人的にはブロックチェーンが熱い

元々金融系のお客様を相手にする時期が長かったこともあり、FinTech領域のブロックチェーンがすごく好きで、勉強会やセッションによく参加します。仕事に結び付けるのは現状難しいですが、色んな可能性を秘めているとワクワクします。ブロックチェーンを簡単に言うと、改ざん不可能な分散型台帳システムです。利害関係者が複数いる取引の場に、通常だと中央集権的な機能が存在して、その台帳にみんなが取引状況を書き込みにいくところを、ブロックチェーンの場合は利害関係者全員が同じ台帳を持っていて、取引が発生するとそれらが同時に書き変わる(分散型台帳)。そして、そのトランザクションが積み重なって一つのブロックになり、それらがチェーンのように繋がっていく、という仕組みです。日本では通常1万円が1万円の価値があることを保証するのは中央銀行ですが、その中央銀行が存在せず、価値を担保するのはコミュニティのみんな、というディセントラライズの思想がかっこいいなと思い、数年前にのめり込みました。

また、ブロックから次のブロックに移り変わるときに「このブロックの取引はすべて正しい」ことを認証するためのハッシュ値の計算が出されて、マイナー(採掘者)と言われる人たちが膨大なサーバーを使ってその計算問題を猛烈な勢いで解いていきます。そして、誰かが正解にたどり着くと次の新しいブロックが生成され、マイナーは報酬がもらえます。中国のマイニング組織を中心に注目されている部分ですが、これらの仕組みも興味深いです。

ビットコインはブロックチェーンを起用した最たる例ですが、ビットコイン以外にブロックチェーンのキラーコンテンツは出てきていないので、そこはこれから技術革新が必要で、IOTとAIが組み合わさって出てきたように、やがてはAIとも繋がっていくのかなと思います。

AIに親しむためにまずは「遊び」から。AWS DeepRacerを導入して社内を走らせたい

AIチームの取り組みについては、まずは社内でAIへの抵抗感をなくしたいというのがあって、意図的に多く情報をシェアしています。あとは、機械学習を使ったAWSの自走型レーシングカー「AWS DeepRacer」を社内で流行らせたくて、手に入れようとしているところです。

AWS DeepRacer(機械学習で運転する 1/18 スケールのクルマ型デバイス)| AWS
AWS DeepRacer は、文字どおり機械学習を自由自在に操る最速の手段です。強化学習により駆動する 1/18 スケールの完全自走型レーシングカー、3D レーシングシミュレーター、そしてレースの世界大会をご用意しています。 賞や栄誉をかけて競いましょう。入賞者には、憧れの AWS DeepRacer カップを勝ち取るための、re:Invent 2019 で開催される AWS DeepRacer チャンピオンカップへの出場権が付与されます。2019 年のリーグは進行中です。毎月開催されるバーチャルサーキ
https://aws.amazon.com/jp/deepracer/

AWS DeepRacerは、ラジコンカーのような専用マシンを3Dシミュレータで強化学習させて育てていくもので、一生懸命考えてヨタヨタと方向転換する姿がかわいい!と話題のサービスです。社内でもこれをとっかかりとして興味を持ってもらいつつ、強化学習に関心を寄せてくれたらいいなと考えています。もし手に入ったら、F1レースのグランプリとかやりたいですね。BGMや衣装(赤いつなぎにヘルメットとか)にもこだわって、景品やシャンパンも用意して(笑)

誰しも「面白いから学ぶ」ので、最初は「遊び」だと思うんです。まずはAIに親しんでもらって、それがやがて仕事に繋がるかもしれないですし、僕たちが思いつかないアイデアが出てくるかもしれない。僕は、AIを使った1つのキラーツールを取り入れるのではなく、地味にいろんなものの裏側でAIが活躍するようになっていくのが、本当の意味での組織の底力だと思います。大々的にAIを使ったサービスを打ち出せたら勿論かっこいいですが、それが簡単にできるとは思っていません。日ごろの業務で簡略化できる仕組みが出てきたりして、地味に溶け込んでいく。それをうまく使いこなせたら、本当の企業力だと思います。

キャッチ―なツールで一部のメンバーだけが盛り上がるのではなくて、組織として底上げをしたい。みんなが知らず知らずのうちに学んでいて、いつの間にか詳しい人が現れて、いつのまにかAIで尖ったことをやっているみたいな。そういうボトムアップ的な方向に発展する方が面白いと僕は思います。そのためにはみんなが抵抗感なくAIに触れ、親しむ必要がありますから、そのためのきっかけ作りや情報発信をAIチームで進めているところです。

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