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ROXXのデザインマネージャーが振り返る、キャリア形成のターニングポイント

ROXXでデザインマネージャーをしている竹下と申します。
これまで、10社近く転職を繰り返しました。あまり表に出したことのないキャリアにまつわる話をしたいと思います。
現状に不満や不安を抱えている方にとって、何かしら役に立てばいいなと思い、恥ずかしながら記します。これは全く正解ではないので、失敗も含めて参考にしていただきたいです。

20代の終わり

20代前半、世間は就職氷河期という状況で、大学を卒業したはいいが就職もせず起業をしました。壮大な野望があるわけでもなく、ただ就職することが格好悪い気がするし面倒くさいしという理由。
起業は上京していた地元の友人たちと。エンジニア、デザインちょっとできるやつ(自分ともう一人)とDJ、営業…という変な組み合わせで、ビジネスとしてのビジョンはまるでない中スタート。儲けるためにやってない(聞こえはいいがズレてる)ので好きなことしかやらず、みんな他で稼ぎながら、会社に還元するという状態でした。
自分はバイトしたり、イラストを売ったり、グラフィックデザインを単発で受けたりして凌いでいました。

                    当時の作品

まあ、貧乏でした。
夢はあるようでない。閉塞感もあり、このままだとつまらない人生になりそうだなあと感じておりました。

何より、お金がないとモテない

お金ほしいな。そういえば就職ってしたことないな、してみてもいいかも
と思い立ち、就職してみることにしました。

ディレクターになるも、何もできない

ちょっとだけできるグラフィックデザインとイラストのポートフォリオ片手に、臨んだ一社目。会社を選ぶのに特に何の基準もなかったし、年収600万円(ただし月休5~6日…)に惹かれて、今でいうとブラックめな会社の子会社に就職。
いきなり、WEBディレクターに。
営業担当の社長と二人三脚でサービスの企画やらディレクションやらしてみるも、全然うまくいかない。そもそもディレクションに必要な知識や経験の広さや深さをわかっていなかったのです。
壁にぶち当たってはいたものの、時間が取れず、勉強したくてもできない。仕事しながら追いつくにもベースがなさすぎるということを痛感。

インプットが必要だ(し、ブラックは嫌だ)…。

半年で転職

モヤモヤしていましたが、転機は案外あっさり訪れます。上記の会社にて出会った同僚の伝手で転職。
目的は、ディレクターとして必要なスキル・経験を身につけるということだったので、前回お金に目が眩んでやや失敗したことも踏まえ、実入りが減るのは気にせずに入社を決意。
転職先はいまや上場も果たした企業です。当時はまだ社員が10数名という駆け出しのベンチャー。社長は同い年だし、ほとんどのメンバーが同年代(か年下)という状態。同期入社はYオークションの部長だった方、ITもベンチャーも何なのかを全くわかっていなかった自分がなぜかそこに。ドメイン知識もなく、その中で活躍できるスキルも持っておらず、劣等感とよくわからないプライドの中、さてどうやって乗り切ろうという心境でした。

不足を補うために独学

去勢を張ってはいたものの、特別な専門性もない自分がそこで何ができるのか?ある程度のグラフィックのスキルはあるものの、他のメンバーに比べて見劣りする自分を自覚していたから、終電で帰って自宅の最寄り駅のファミレスで深夜2時3時まで独学の毎日。
これは全然美談ではなく、そのくらい焦っていたしやることが沢山あったというだけの話です。
「広く、浅く、早く」が必要で、とにかく何でもいいからアウトプットを出せていることが重要でした。


                捨てられない本たち

たとえば、リニューアル案件のディレクターとして以下をまとめて動かさなければいけない。

  • 全体設計:勉強しながら
    • コンテンツ設計
    • 情報設計
    • 画面設計
  • デザイン
  • コーディング:勉強しながら
    • マークアップ
    • スタイリング
    • フレームワークへの組み込み
  • SEO対策:勉強しながら
    • キーワード選定
    • ライティング
  • ドメイン知識の習得:勉強しながら

学習してすぐ実行

全体感がないので、学びの効率はめっぽう悪い。特に、当初は学んだことを全部出そうとしてバランスを崩すことが多かったです。
ただ、学んだことをそのまま仕事に反映できることが面白いし、成功/失敗が結果としてすぐ出るので、学習効果を感じられました。

役割もデザイン/フロントエンド/マーケティング/企画まで幅広く、エンジニアリングとビジネスの知識がある程度ないと厳しい。
少人数だったので、どの役割でも数字を意識せざるを得ない…
このやり方が当時の自分にはすごく合っていたし、そもそも楽しかったのです。同年代の仲間とほぼ毎日のように終電まで呑んだのも良い思い出。

その後、8社

どうにか手探りでやっていく中、出来ることが増えるとちょっとずつ意欲も野心も出てきて、転職してもっとステップアップしたい(収入を増やしたい)という気持ちになってきます。
結果的に、このサイクルが性に合っていたというとこもあってか、その後転職を繰り返しました。基本方針は2つで、キャリアとしてステップアップを目指す場合は収入を度外視しても自分にとってチャレンジングなところへ、収入も増やすと決めたら給料を上げられるところへ。なんやかんや言って、お金というのはある程度重要なキーであり続けました。実際、今よりデザイナーの給料は低かったから、収入を上げるためにはキャリアアップとして何度も転職する必要があったのも事実です。

  1. 物販(起業手伝い)
  2. 業務系サービス/受託
  3. ソシャゲ開発
  4. 教育
  5. PR
  6. IR
  7. Fintech
  8. ROXX (HR)

1社以外は全てリファラルによる転職。すべて新しい領域への挑戦だったため、ドメイン知識はゼロスタート。会社によって環境やチーム体制は違うので、その点もゼロスタート。必要なスキルは転職先へ合わせながら、差を埋めていく感じだったので、足し算や掛け算をしながら底上げと広がりを増やしていきました。

コネクション、大事

自分がそうしたからといって、デザイナーに転職を勧めるわけではないですが、少なくとも現状を変える手段として転職は常に意識していて良いんじゃないかとは思います。重要なのは、視野を広くし選択肢を持ち可能性を増やすことです。

今はフリーランスや業務委託といった正社員とは別の道もあります。ただ、それらは副業/復業としても可能です。ある程度の経験値を積むまでは、社員として会社に所属する方が落ち着いて仕事に取り組めるし、上司や先輩、同僚といった縦と横のつながりの中でチームワークを学ぶ機会としても良いと思います。
実は、自分が20代で最も反省するのが、この縦横のつながりを持たなかったことだったりします。転職を繰り返す中で、こうした繋がりを得られたことは大きな糧です。そのために、というわけではないですが、結果的にこのつながりからリファラルでの転職が何度も生まれています。自分の中に「また一緒に働きたい」と思ってもらえるように仕事をするという価値観ができていきました。

学び

振り返ると、ターニングポイントはおそらく就職したことにつきます。
何より、生活が安定するし将来のことを考える余裕ができたのが大きいです。別に就職することが正しいと言いたいわけではなく、あくまで自分の経験を通しての感想です。

今ごろになって思うのは、自分にとっての理想の会社像をはっきり描かなかったのが功を奏したのかもということです。出たとこ勝負で、必要とされることに都度向き合ったのが結果的に良かった。何もしないより、何でもいいから動いた方がマシというだけの話です。あとは、将来のために何かしなくてはという単純な動機も案外悪くなかったのかもしれません。

学習のための、学習

転職に際しては、前職での経験が活かせることはなくはないですが、新しく学んでいかないといけないことの方が多いです。

  • 知らないことを知らないと正直に言う
  • 知らないことを知ったふりして陰でめっちゃ勉強する

正直、個人的にはどっちもありだと思ってきました。
知らないことを知ったふりしても、バレないでうまくやれればそれほど悪くない。自分で可能なところまではやるというのも、場合によっては有効です。とはいえ、かなりコスパ/タイパは悪いし、どこまで知ったふりするかの見極めは大事です。どちらかというと、自分は自己成長に時間を使いたい(学びそのものに価値を見出す、勉強したくてしてる)傾向があったので、後者で乗り切るケースも少なくなかったです。

ただ、転職を繰り返してきた過程で、マネージャーや経営の一部を担うようになり、会社の成長や社会への影響という視点を持った時に、自分一人が成長することで得られる成果は限られるということがわかってきました。(気づくの遅い)もちろん、専門性を高めたりスキルを磨くことで特殊性を上げて存在感を強めるという方針もありますが、自分はキャリアの早い段階でその道は捨てていました。(というより向いていなかった)
チームや組織として最大限成果を上げるためには?という問いに対しては

  • 知らないことは知っている人に任せる
  • より得意な人に任せる

のがベターな答え。
早いし、効果が高い。そして、楽。

当たり前のことですが、自分の成長を中心に考えていた時にはなかった観点です。自己成長をテーマに転職を繰り返してきた先に、こんな考えに至ったというのが自分のことながら面白いと感じます。とはいえ、趣味でもあるので、それ自体が目的の学びをやめようとは思いません。
一方で、何でも一人で広く浅くやるという経験を通して、一人でやることの限界を痛感しているからこそ、今ここでこの仕事をしているのだなとも思います。そんな自分がキャリアパスについて色々考えた結果であるROXX的デザイナーのキャリアについてはまた別の機会に。


最後に、もう一つ得た重要な気づきは、
モテないのはお金がないからだけではない

ということ…。

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