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【社員インタビュー】ゼロアグリを開発したCTO喜多のこれまでと農業にかける想い

こんにちは、ルートレック・ネットワークスの須藤と申します。今回社員インタビュー第2弾ということで、ゼロアグリの開発責任者であるCTO喜多さんにインタビューを実施いたしました。

◆プロフィール 

喜多 英司(きた えいじ) 取締役CTO

専攻は機械工学だったが、学生時代にゲームソフトメーカーでバイト、それをきっかけにコンピュータの道に進んだ。卒業後は株式会社PFUで当初はPC系ハードウェア設計を担当、後にLinuxカーネル移植・デバイスドライバ開発を通じて組み込みプラットフォーム技術を専門とするようになる。
ルートレック・ネットワークスに移籍後は組み込みプラットフォーム技術者としてリモート管理・監視関連のハード・ソフトを多数開発したが、2012年から明治大学黒川農場に出入りするようになり、農業へのICT技術応用の面白さに取りつかれて今にいたる。

◆ルートレック・ネットワークスについて

「農業に休日を!~Grow with IoT~」というコンセプトを掲げ、農業の生産性向上/経営体強化を目的としたスマートアグリシステムを提供しています。中小規模の農家向けに開発した、水やりと施肥を自動化するICTシステム「ゼロアグリ」は、第4回日本ベンチャー大賞を受賞いたしました。

日本の問題「高齢化と担い手不足」「経験と勘の伝承」から、世界的な問題「人口増加による食糧問題」「水の枯渇問題」「肥料による環境汚染」を解決できる会社を目指しています。


大学の時にゲームソフトメーカーでのバイトが今現在の仕事に影響があったとお伺いしましたが??

月刊アスキーで、「大戦略」(システムソフト社)というゲームのPRの一環で、「戦うアルゴリズム」という、大戦略のミニチュア版みたいなものを作って、読者が投稿したアルゴリズム同士を戦わせるという、連載企画をアルバイトで担当していました。
読者が投稿したプログラムを結合して、戦わせて、みたいな。このバイトがきっかけで、次第にコンピュータの世界に興味を持つようになりました。

そんな学生時代を経て、どんな経緯でルートレックに参画されたんですか?

卒業後、株式会社PFUという、コンピューター関連会社に入社しました。何年か働いているうちに、研究所のほうに移り、色んな試作品を作る役割になりました。今思うと、今の技術の元となるコンピュータの組込技術をこの時代に培うことができましたね。これが今のゼロアグリに繋がっています。
そんな研究所生活の中、PFUの社員から、たまたま、ルーターを監視するシステムを作るために、㈱ルートレック・ネットワークス(以下、ルートレック)という会社を立ち上げるので来ないか、との誘いを受けました。自分の組込システムの技術・経験が活きると思い、PFUを辞めて、ルートレックに参画しました。

ルートレック入社からゼロアグリ開発まで

ルートレックでの最初の仕事は?

「RouteMagic」(ルートマジック)というネットワーク管理を行うシステムを開発していました。その後、その技術をM2Mの領域に広げようと思い、様々なチャレンジを行いました。アメリカのゴルフ場でのゴルフカートを、遠隔管理するシステムの受注が取れそうになったこともあります。
しかし、同時期にリーマンショックが起こり、その会社がその事業から撤退することになってしまって、、、残念ながら流れてしまいましたけど。
そんな中、同タイミングで、当社のセンサー技術を活かせないかということで、ICTによる「農作物のみえる化」を目的とする地域ICT利活用広域連携事業への参画の打診が偶然にも舞い込みました。
たまたま、地元で、子供たちのための農作業体験の畑とかをやり始めていました。勿論、そんな仕事が舞い込んでくるとは思いもせず、です。
農業に触れだした時期ということもあり、非常に興味を持って取り組むことができました。

そこから、ゼロアグリの開発をすることになった経緯を教えてください。

はい。その後、川崎市から、「明治大学が新しく黒川農場を創設するんですが、一緒に何かやってみませんか?」という依頼が舞い込みました。

それがきっかけでゼロアグリの開発に行き着いたと?

はい。今までの自分が培ってきた技術と、様々な専門領域を持つメンバー達の技術領域が奇跡的に上手く合わさり、自動潅水装置である第一号のゼロアグリが完成しました。
開発の過程は、、小さなトラブルはたくさんありましたが、今まで経験してきた回路やシステムの技術と、農業の理論がうまく組み合わさって、はまったというイメージです。

喜多さんからみて、農業の魅力、難しさはどのようなところにあるのでしょうか?

この明治大学のプロジェクトで、初めて小沢教授(以下、小沢さん)と出会いました。
小沢さんと何度もお酒を飲むことで、小沢さんの知識を聞き出して、農業気象学を体に叩き込んでいきました(笑)。
農業って、サイエンスなんですよね。小沢さんに出会って、初めて、本物の科学者に出会ったというか。
今まではどちらかというと技術者の世界にいたというか。コンピュータって、特にサイエンスからは遠い分野なんですよね。
コンピュータは数学に基づいて成り立っていて、数学はサイエンスではないというか。
もともとサイエンス自体に興味があり、農業、特に農業気象を知れば知るほど、サイエンスの世界であることを認識し、没頭していきました。
ゼロアグリは、農業の理論がわからないと作れなくて。潅水量と植物の根からの吸水量、葉からの蒸散量の間の関係とか。

その理論がゼロアグリで実現する瞬間はどんな感じでしたか?

それは、快感です。自分が設計したものがきちんと動いているということが、データを通して徐々にわかってくる、「ああ、これでいいんだ」と確信できた瞬間は、やっぱりうれしいですよね。

今後の抱負について話してもらえますか?

今までの農業はデータを蓄積して、それを活かしていくという、いわば数値化して活用していく、ということが他の業界に比べて遅れてきたと言わざるを得ません。
今、日本の農業は、様々な社会課題(農家の減少・高齢化)に直面しています。
課題を解決して、日本の農業を維持していくためには、より農作業を省力化し、数値化して、生産効率を上げていく必要があります。
データを踏まえたうえで、より上の農業を目指すツールを提供できれば、生産性そのものを押し上げることができると考えています。
ただ大規模化して農業自体の効率化を図るというのではなく、今の農家の方にそのようなデータ、ツールを提供することで、今の日本の農業の形を守っていきたいというのが、自分が目指すべきことだと思っています。
ゼロアグリがその一助になれると確信しています。

(ゼロアグリとCTO喜多)

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