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【対談】海外旅行事業の立ち上げハードシングスと経営で大切にしたいこと

こんにちは、令和トラベルHRデザイン部 伊藤美咲です。

先日、グロースキャピタル「THE FUND」を運営するシニフィアンの共同代表である朝倉 祐介氏のVoicyに、弊社代表 篠塚がゲスト出演いたしました!

放送内では、コロナ禍の海外旅行事業立ち上げやそれに伴う苦労、起業において大事なことの対談を実施。

本記事では全4回にわたってお届けした内容をまとめました。

▼放送はこちら

【令和トラベル篠塚社長1】コロナ禍中のタイミングで海外旅行事業を立ち上げ | 朝倉 祐介「論語と算盤と私とボイシー」/ Voicy - 音声プラットフォーム
音声放送チャンネル「朝倉 祐介」の「【令和トラベル篠塚社長1】コロナ禍中のタイミングで海外旅行事業を立ち上げ(2022年5月11日放送)」。Voicy - 音声プラットフォーム
https://voicy.jp/channel/621/318058


コロナ禍に海外旅行事業を立ち上げるのはこれまでにないチャンス

朝倉:今日は元Loco Partners代表、現令和トラベル代表の篠塚社長にお越しいただいています。

篠塚:よろしくお願いいたします!

朝倉:しの社長とは10年前くらいからの知り合いで、Loco Partnersの社外取締役にもお声がけしていただいたんですよね。

篠塚:今は令和トラベルにも出資していただいて、本当にありがとうございます。

朝倉:昨年の4月に令和トラベルを創業して、先日NEWTのリリースもされたばかりですが、初速はいかがですか?

篠塚:ありがたいことに予想以上の反響をいただいてますね。オープン祭りとして実施したハワイツアーの限定販売も35秒で売り切れるツアーも出るなど、海外旅行が戻ってきていると実感しました。

朝倉:すごいですよね。元々しの社長といえば旅行というイメージが強かったのですが、コロナ禍のタイミングで海外旅行事業を立ち上げると聞いたときは驚きました。

篠塚:まだまだ先の見えない状況で、本当に海外旅行が戻ってくるのかという雰囲気がありましたもんね。それでも出資してくださったのは嬉しかったです。

朝倉:話を聞くほど、今だからこそ参入する意義があることがわかったのを覚えています。

篠塚:海外旅行ってコロナ前まではずっと右肩上がりのマーケットだったので、新規営業しても断られることが多いのは新卒で入ったじゃらん時代に経験していました。そんな寡占市場で参入する隙が見当たらない旅行業界がコロナによってクラッシュしたので、これは滅多にないチャンスだと思ったんです。今なら空いていてアポも取りやすいし、10年経ったら旅行客も確実に戻ってくるという確信があったんですよね。

朝倉:回復するとは言っても、待っていたら遅いですもんね。

篠塚:まさに。でも海外旅行事業は免許も資金も必要なので、立ち上げがめちゃくちゃ大変で。スタートアップ向けの事業ではないんですよ。

朝倉:そうですよね。

篠塚:でも、できるという自信となんとかなるという楽観的な思考があったので、1年かかってしまいましたが、無事にリリースすることができました。

朝倉:先日、ソースネクスト創業者の松田さんとお話する機会があったんです。松田さんはソースネクストの会長になってスピンアウトしたポケトークの社長になられましたが、スピンアウトするには絶好のタイミングだとおっしゃっていて。目の前の状況だけを見ると最悪のタイミングだと思ってしまいがちですが、それを絶好のタイミングだと割り切るあたりが生粋の起業家だなという印象を受けましたね。そして、しの社長も同じ考えだなと思いました。

篠塚:普通ならやらないようなことを、あえてやったらどうなるかは常に考えるようにしていて。論理的に考えたら難しいと言われるコロナ禍で海外旅行を立ち上げたらどうなるんだろうと考えたときに、すごくワクワクしたんです。明日海外旅行が戻るかと問われたら誰も戻るとは言わないけど、10年後なら戻るってみんな言いますよね。つまり10年間のどこかで海外旅行が戻る瞬間が来るので、それまでを準備期間と捉えたらこんなチャンスないというのが僕の結論でした。

朝倉:なるほど。そういう逆張り的な要素も起業家の素養ですよね。


海外旅行事業立ち上げによる想定内・想定外の苦労した点

朝倉:海外旅行業を始めるにあたって、大変なこともたくさんあると思います。想定していたこともあれば、想定外のこともあったんじゃないですか?

篠塚:いい質問ですね。まず想定していたことは、コロナですよね。昨年春の創業当初は、夏にサービスをリリースする予定でした。

朝倉:そうでしたよね。

篠塚:3パターン程度のシナリオを用意しつつ、夏にはコロナが収束する楽観シナリオも期待していたのですが、実際にはまだ全然海外に行けない状況で。あえなく秋に延期したら、今度はオミクロン株が登場。リリース時期が未定になってしまって、メンバーも終わりのないトンネルを走っている感覚だったと思います。結果的にこの春にリリースできましたが、もしできていなかったら、国内旅行にピポットする可能性さえありました。

朝倉:なるほど。想定外のことはありましたか?

篠塚:ひとつはロシアのウクライナ侵攻です。2月ごろに各国が開いてきて、いよいよ海外旅行が戻ってくると思ったタイミングだったのに、原油や航路調整によってヨーロッパ線の値段もかなり高騰してしまって。

朝倉:それは完全に想定外の出来事でした。

篠塚:もうひとつは円安とインフレですね。まさか130円まで上がるなんて誰も思ってなかったじゃないですか。

朝倉:日本人が海外旅行に行くには、かなりの逆風ですよね。

篠塚:ロシア侵攻の影響もあって、航空券もこれまでの1.5倍くらいしますからね。エコノミーでアメリカやヨーロッパには10万円前後で行けたのが今だと15万円、ビジネスクラスだと80〜90万円は平気でかかります。(※注 時期によります)それに加えて往復のPCR検査も必要なので、海外旅行がとてつもなく予算のかかるイベントになってしまった感覚がありますね。株価の下落なども含め、アンコントローラブルな部分に振り回された一年だったなとは思います。

朝倉:逆にポジティブサイドとして、想定以上によかったことってありますか?

篠塚:経営の話で言うと、まずは採用です。メンバーも僕を信じて逆張りで頑張ってくれているので、パッションのあるチームになっているなと感じます。難易度が高いと言われているエンジニア採用もとても順調な1年でした。あと、サービスリリース後のハワイへの予約状況も当初の見込みよりはるかに良いので、このままの勢いで海外旅行が回復することを期待していますね。

朝倉:僕を含め、海外に行きたいという気持ちを強く持ってる人はたくさんいますからね。

篠塚:朝倉さんのようなイノベーターやアーリーアダプターとなる人々が、この春夏にどれだけ渡航して楽しんでいる姿を見せてくれるかが大事ですね。その流れで秋冬にはもっと渡航者を増やして、今年全体で2019年の20%くらいまで戻せたらいいなというのが、今の見立てです。

2回目の起業は1回目より楽なのか?

朝倉:しの社長は令和トラベルが2回目の起業となりますよね。最初の起業とは違いましたか?

篠塚:もしかしたら、1回目より大変かもしれないです。

朝倉:令和トラベルは22.5億円の資金調達をされましたが、中にはしの社長がシリアルアントレプレナーだからできることだと思う方もいるのではないかと。

篠塚:資金調達に関しては、シリアルだからこそできた側面はあると思います。ただ、これは積み上げてきた信頼を現金化しただけであって、それに値する実績があると自負しています。だからといって、2回目の起業が楽であるかと言われたら全くそんなことなくて。

朝倉:そうですよね。

篠塚:資金調達後は毎日採用面接や会食をしたり、ひたすら新規プロダクトの議論をしたり、ハワイのホテルに1件ずつ営業しに行ったりと泥臭くやってきました。会う人数が膨大だったのでその分は断られる回数もとても多く、体力的にも精神的にもつらい時期がありました。シリアルでも名だたる企業でも、こういう泥臭い仕事をスキップするのは不可能だと気が付きました。

朝倉:やることは変わらないにせよ、経験値の違いは当然あると思います。これまでの経験が活かせたと感じる部分はありますか?

篠塚:意思決定の速度は早くなりましたね。これまでは、悩んで周りに相談していたときもありましたが、今は何事も即断即決できるようになりました。すごく時短になっていると思いますが、その反面、アンラーニングしないとこれまでを超えられないという恐怖もあります。意思決定におけるノイズとバイアスには気をつけて判断するようにはしています。

朝倉:なるほど。意思決定が早いというのは、同じことを経験しているからというのもあるし、あるいは間違えたとしても致命傷にはならないことがわかっているからでしょうね。

篠塚:おっしゃる通りですね。僕らはハワイ旅行のセール販売をしましたが、実施するまでは売れるかわからなかったです。でも、失敗してもカバーできると思っていたので、セールを実施するという決断自体は早かったですね。やらないことが最大のリスクであることが身に染みてわかっているので。今ある市場回復の風に乗りきるためにも、スピーディーに意思決定できるかは重要だと思います。

日本のスタートアップ起業は定期的な新規事業の仕込みが重要

朝倉:Loco Partners時代、もっとこうすればよかったと思う部分はありますか?

篠塚:新規事業の仕込みが遅かったなと思います。上場している旅行会社を見ていると、ホテルだけじゃなく、航空券や旅先のアクティビティなど幅広く展開しているんですよね。他の業界の企業も定期的に新規事業を立ち上げてますし。Loco Partners時代はひとつの事業に集中しすぎたのかなと、今になって思います。

朝倉:でもシリコンバレースタイルのスタートアップだと、しの社長のように一つの事業にフォーカスするのがセオリーとされていますよね。

篠塚:シリコンバレーだと最初からプロダクトがグローバルに出来上がっているので、それでもいいかもしれませんが、日本のプロダクトのほとんどは最初からグローバルになっていないわけですよね。なので日本で戦うには、他のマーケットでも転用していくのが正しいのではないかと思いますね。

朝倉:僕も全く同じ意見です。最初からグローバルを目指せるアメリカと日本はマーケットのサイズが違うので、シリコンバレースタイルのスタートアップの教科書を鵜呑みにしてはいけないですよね。

篠塚:僕らも最終的にはグローバルに展開していくことを考えていますが、当面は日本人がメインの会員さんになるので、新規事業の仕込みは定期的に行っていかないとなと感じています。

朝倉:そろそろお時間ですね。今日はありがとうございました。

篠塚:ありがとうございました!!

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