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リハブが「見える化」したいこと。

今回は、弊社COOの池上に、介護事業所が持つ「データ」についてお話を聞きました。現状を見つめ、与件を整理し、課題を抽出し、解決策を見つける。その先には、本当の意味で見える化したいものがありました。

―― デイサービスをはじめとする介護事業所のほとんどは、未だに紙ベースで利用者のデータを管理して運用していると聞きました。

弊社で調べただけでも、実に127種類の紙帳票がありました。毎日使うものは37種類以上存在するそうです。想像以上に多くて愕然としました。しかも似たような内容を目的ごとに書き分けて運用するのでスタッフの方は本当に大変だと思います。また、体制によっては日頃のサービス提供と並行して書類業務を行っている方も多く、本来であれば高齢者と直接向き合いたい時間を煩雑な書類業務が圧迫していることは明確です。

―― お名前、年齢、要介護度などの基本情報さえも書類ごとに記入するわけですよね? 想像しただけでも大変さがわかります。

利用者の人数、書類の数を考えると、たとえ単純なことでも大変です。あとは介護スタッフが記入する書類があって、その書類を見ながら管理者が請求ソフトに入力するといった非効率と思えるプロセスがそのまま常態化していたり…。改善するための時間を割くことも一苦労ですから、なかなかデジタル化が進まないのです。と、ちょっとここでクイズです!

―― と、唐突ですね(笑)。

川崎市にあるデイサービスの協力を得て調べたのですが、1事業所あたり月間で書類に記入される文字数は、いったいどのくらいのボリュームになるでしょうか?

―― うーん、まったく検討つかないです…。

正解はなんと、月当たり約206,500文字!!! 新書一冊ほどの文字数に相当するんです。

―― …!(驚きのあまり無言)

現状の課題感、少しは伝わりましたか? でも課題はあるものの、その手書きデータのなかに、ものすごく可能性を感じるデータが存在しています。それが個別のリハビリデータです。

介護におけるリハビリとは、ただ筋力低下などを回復させる取り組みではなく、高齢者の生活状況に合わせて、例えば近所のスーパーまで歩けるようになるとか、一人でお風呂に入れるようになりたいとか、生活の目標を設定し、そのためにどんな運動を行なっていくかという計画を立てることから始まります。そのために、介護事業所には一人ひとりに最適なリハビリをするために様々なことをヒアリングしています。

例えば、利用者のパーソナリティ、家庭環境、生活情報、心身機能、本人の意思などなど。このような情報がしっかりとあるのは、世界でも日本だけだそうです。ただ、それが紙ベースで蓄積されている。事務所の棚にバインダーで綴じられているようなイメージです。つまり、保存はできているけれど、分析可能な状態になっていないんです。

―― データとして「活用」しようという発想が生まれにくいのかもしれないですね。

おそらくクラウドとかビッグデータといった概念がないのかもしれません。データベースにデータを大量に蓄積させてそれを解析することができたら、もっと様々なことに活用できると思います。例えば、海沿いの街に暮らすお年寄りは、もう一度海に行けるようになりたいと願っている。そんな傾向が分析したデータからわかれば、海に行くための介護サービスのヒントになるかもしれません。また、他人と交流する頻度と運動の継続が相関するのであれば、本人のやる気を引き出すための取り組みが必要不可欠になってきます。

そうやって1つ1つ科学的に検証しながら、高齢者のためになるサービスを介護現場や地域社会に実装していきたい。そういった意味で、実は、介護職の皆さんが行なった丁寧なヒアリングは、この国の社会を良くする価値があると僕は思っています。弊社では、リハプランというサービスによって上図にある項目のデータを取得しており、分析・運用可能なデジタルなデータとして蓄積しています。将来的には、蓄積されたデータをもとに、常識に捉われない発想で、高齢者の暮らしに貢献できる新しいプロダクトを生み出したいと考えています。

―― つまりリハプランは、介護事業者の業務効率化だけを見据えたものではない。ということですね。

その通りです。今は「たしかなリハビリを、もっと簡単に」というコンセプトで介護事業者のリハビリ提供を支援する位置づけですが、弊社の本質にあるのは「元気な高齢者を増やしたい」という想いです。弊社のマイルストン「エビデンスに基づいた科学的介護を実現」は、そんな想いから生まれています。たのしく、クリエイティブに、真摯に、愛をもって、デジタルだけどあたたかな「新しいあたりまえ」をつくりたいと思っています。

現状は図でいうところのStep1の段階ですが、今後の成長によって「リハプランを使えば高齢者が元気になる」「リハブが提供するサービスで高齢者が元気になった」といった自分たちのサービスが効果的であるというエビデンスを出せるよう進化させていきたいですね。

―― “紙ベースからの脱却による業務改善”といったシンプルな話かと思っていましたが、その先にある高齢者の暮らしの在り方を意識して事業を進めているのですね。

まだまだ道半ばですが、そのつもりです。デジタル化、見える化、一元管理と言いますが、自分たちの理想とする社会をいちばん可視化したいんです。自分たちの生み出すサービスが浸透することで新しい常識が社会に装備され人の暮らしがアップデートする。この一連を本気でつくろうとしています。そんな「志」の部分は伝わってほしいですし、賛同してくれる方が増えてくれると嬉しいですね。

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