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PREVENTのデータサイエンスはどんな課題を解いているのか?

私たちPREVENTは、名古屋大学医学部発のスタートアップとして、「一病息災の健康づくり支援モデルを社会に」という事業ミッションのもと、ライフサイエンスそしてデータサイエンスの技術を応用したDisease Management Program事業を展開しています。

その中で今回は、PREVENTのデータサイエンスチームが取り組んでいる業務、PREVENTのデータサイエンスチームはどんな課題を解いているのかについて紹介致します。

課題は大きく3つに分けられる

PREVENTのデータサイエンスチームが解いている課題は大きく「①リスクを予測する」、「②サービスを最適化する」、「③ 効果を評価する」の3つに分けることができます。

一つずつ詳しく説明していきます。

①リスクを予測する

統計手法を用いたヘルスケアデータの活用法の一つに、予測モデルの構築があります。”予防可能な疾患の発症リスクを未然に予測すること”の重要性を疑う人はいないかと思います。

人は、漠然とした不安に対して非常に脆弱な生き物であり、どれくらいの確率にて生じるか分からないものに対しても不安で頭を悩ますことがあるくらいです。リスクを数値化、目に見える、手に触れられる形にすることで多くの不安を軽減することができ、また、予防可能な疾患については、未然に対処も可能であると考えられます。

また、個人でなく集団のリスク把握においても未然に対処をすべきターゲットを特定し、策を講じることは効率の面でも優れていると言えます。

これまでの予測モデルの限界は、そのモデルの構築手法ではなく、十分なInputデータが収集・集約できなかったことにありました。

一方で、近年、取得できるデータの多様化と活用基盤の構築が進められ、多様なデータをInputとして利用することで、より精度の高い予測モデルが構築できるようになってきました。

例えば、Stanfordの研究チームが2018年に発表した論文では、年齢、性別、30の疾患情報、19の医療利用情報、98の投薬処方情報、14の社会因子、6つの検査データから機械学習の手法を用いて、1年以内の高血圧発症を非常に高い精度で予測するモデルを開発したと報告しています(Chengyin Ye, et al. J Med Internet Res. 2018)。

翌年の高血圧発症を予測するのにこれほどまでのデータコレクションが必要なのは逆に非効率だ!の議論は置いておきますね(特に経験と勘をお持ちの医療従事者の方)

データについては、1因子単体で意味をなす訳ではなく、「意味のある組み合わせ」が価値を生
み、求めたい解を予測することができるようになるものです。

なぜヘルスケア関連企業が血眼でデータコレクションを進めるのか、プラットフォーマ―になりたいかは、収集データの掛け算がモノをいう世界であり、ココに理由があると思います。

PREVENTでも、Disease Manegement Programを提供するデジタルヘルススタートアップ企業として利用者や保険者に価値提供をするために、保有するレセプトや健康診断などの医療データ、ライフログ、指導データ、アプリの利用履歴など様々なデータの取得と集約から、リスク予測を含めたモデルの構築などの利活用までを進めており、データサイエンスチームの中核業務になっています。

② サービスを最適化する

プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)という言葉をご存知でしょうか。日本語では精密医療と訳され、 患者の個人レベルで最適な治療方法を分析・選択し、それを施すことを指します。特に、遺伝子レベルで分析し、適切な薬のみを投与し治療を行う、つまりオーダーメイド治療の文脈で語られることが多いかと思います。

では、個別化された健康づくりを提案するために、必ず遺伝子解析まで行わないと効果が発揮されないかかというとそうでもありません。

2017年ヨーロッパで、オンラインでの栄養指導Food4Meというプログラムによる個別化された栄養指導と、一般的な画一的な情報提供による栄養指導の効果の違いを比較するための無作為化比較試験が行われました。結果は、個別化された栄養指導を提供したグループは画一的な情報提供のグループよりも栄養行動に大きく適切な変化が生じたことを示しました。(Celis-Morales C, et al. Int J Epidemiol. 2017.)。

同様にPREVENTでの指導データでもアプリの利用状況や性格特性などの利用者特性や、さらには指導方法の種類によって、健康行動の変化に違いを認めることが分かっており、利用者情報からどのような健康づくりプランを提案することが最適なのかを日々追及しています。非医療情報を含めた利用者情報から、どのような健康づくりプランを提案することが最適なのかを追求し、その活用のためのシステムの構築を日々進めています。

* 2019年7月に上場した糖尿病のDisease Management Programを提供しているLivongo社の上場目論見書の中でも、Livongoの今後のテック要素として、ユーザーのライフログ、疾病管理状況、指導者支援情報から最適なアドバイスを構築していくリコメンドエンジンのことが大きく主張されていました。多様なヘルスケアデータを用いたDisease Management Programの個別化・最適化は、世界的な潮流となっているのは議論の余地はないでしょう。

③ 効果を評価する

PREVENTのデータサイエンスチームが取り組む3つ目の課題は、プログラムの効果を評価することです。

サービス業の提供価値を定量化した指標とは、何でしょうか。

ユーザー満足度(NPS: Net Promoter Score)かもしれません、ヘルステック企業でいえば、利用者の健康改善度合いや医療費適正化効果かもしれません。

現状の制度下では、医療の経済的価値は、提供されたサービスの量によって請求される、いわゆるボリュームベースのFee For Serviceの形で表現されています。どの診療行為、もしくはどの薬の投与はいくらと価格が実施量で決まっている仕組みです。

一方で、今後の持続可能な社会保障に改変していくためには、価値とアウトカムに基づき対価が支払われるValue Based Careの考え方が必ず必要になってくると言われております。もちろん医療のすべてがValue Basedに置き換わるものではないかと思いますが、医療の一部からこの考え方は徐々に普及していくものと考えられます。特に予防分野はその筆頭にあるでしょう。

海外の自治体などで導入が進んでいるSocial Impact Bond(社会的インパクト投資)の仕組みは、まさに成果報酬型、Value Based Careの考え方を汲んでいるものになります。

民間投資家から集めた資金を行政の抱える社会課題解決に向けた事業に投入し、サービスの成果に応じて行政側があらかじめ設定された対価を民間投資家に支払う仕組みです。

2014年に組成された世界初の健康・福祉をテーマにしたWays to Wellnessは、慢性疾患を抱える方を対象にした健康増進の仕組みを活用したSIBです。

サービス提供に係る初期投資がなされたのち、サービス提供2-3年後以降は、事前に設定した

①利用者の健康行動の変化

②医療費適正化効果の評価に

よる成果報酬型の支払がなされる仕組みです。


来たるValue Based Careの時代を戦っていける戦闘力になるのは、いかに自分たちの提供価値を評価し、定量化できるかになります(SIBでいえば、成果を換金できる指標にできるか)。このようなヘルスケアエコシステムに自分たちのDisease Management Programを組み込んでいくために、PREVENTのデータサイエンスチームでもいかに自分たちのDisease Management Programの事業成果を定量化するかに日々取り組んでいます。

今回は、PREVENTのデータサイエンスチームがどのような課題に取り組んでいるかを3つの視点からお伝えしました。最高にワクワクする課題に日々取り組んでいますので、もし関心がある方がいらっしゃれば、ぜひ一度お話をさせてください!!


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