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プロジェクトCASE.1/THE THOUSAND KYOTO

◾️広告クリエイティブで培ったコンセプト開発のプロセスが、ホテル開発プロジェクトを成功に導く。


2019年1月に開業した京都のホテル「THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド キョウト)」の開発プロジェクトに呼ばれたのは、2016年のことでした。既に幾つかの計画が議論されている状態でしたが、POOLはまず、関係者の話に耳を傾けるところから参加しました。そうして見えてきた課題は“こういうホテルを開発したい”というイメージがプロジェクトメンバーそれぞれの中にあるものの、関係者全員が同じ方向を向くための判断基準としての矢印がない、ということ。我々POOLチームが果たすべき使命は、関係者が開発に込める想いを形にすること=「コンセプト開発」なのだと感じました。


ー「Personal Comfort Hotel」というコンセプトのもと、プロジェクトは一気に動き出す。


当時ホテル業界では、ACE HOTELに代表される“ソーシャライズド・ホテル”という考え方が全盛でした。ホテルロビーはみんなのパブリックスペースだよね、という。ただ今回のホテルが目指していたのは、ラグジュアリーとシティの間、”アッパーアップスケールクラス“。宿泊先が旅の目的になりうるディスティネーション型ホテルです。だとすればやっぱり、落ち着ける場所でありたい。宿泊者一人ひとりが快適に、かつ、その土地の物語を感じられるものにしたいねということで提案したのが、「京都の豊かな知恵にふれる、Personal Comfort Hotel」というコンセプトです。この判断基準ができると、プロジェクトメンバーの間に団結力が生まれ、全員が同じ方向を向いて議論ができるようになりました。


ー横から口を出すだけではなく、具体的な形でアイデアを共有する。

コンセプトをつくるところまでは、広告クリエイティブにおいて基本の考え方ですが、建築の話になるとそう簡単にはいきません。開業に向けて設備や体験のディテールを詰めていくにあたって、より専門的で具体的な共通言語を持ちたかったので、自分たちのチームにも建築家や建築に強いプロジェクトマネジメントを招きました。「京都らしいPersonal Comfortって何だろう?」「例えば町家に注目してみると、前庭・通庭・中庭・奥庭と4つの庭があるらしい。」「じゃあここを起点に4つのストーリーを施設に持ち込もう。」「それは設備にするとこういうことじゃないかな?サービス(体験)にするとこういうことだよね?」と、実際にパースや図面に落とし込みながら提案をしていきました。こうすることで議論はより活発になり、全員がより良いホテルを考え、動くようになったのです。


ー開業から半年足らずで、海外から高評価を得るホテルに。

このホテルには業界でも前例のない“象徴”があります。それがロビーの大階段です。京都の街らしい、細い路地のようなエントランスを抜けた先に現れる石造りの大階段が、神社仏閣を訪れたときの清々しさ、非日常へ入り込むような体験を提供しています。これも「Personal Comfort Hotel」というコンセプトから生まれた京都らしい体験のひとつです。こうしたアイデアは開業時の大きなPRポイントとなり、訪れた方々の記憶に残ります。そして実際に宿泊した人の口コミでさらに人が集まる。そんな好循環が生まれ、開業から半年足らずで国内だけでなく、インバウンド観光客の高い評価を得るまでに育っています。

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