こんにちは!株式会社Plott人事責任者の久野です。
この度、アニメーターのりょーちもこと澤良輔さん(以下、りょーちもさん)がPlottのクリエイティブアドバイザーに就任することとなりました。
アニメ界の異端児と呼ばれ、『亜人』『正解するカド』をはじめ数々のアニメを手がけてきたりょーちもさん。
今回は、りょーちもさんと弊社代表の奥野に対談形式でインタビューをさせていただきました。
アニメ業界の一線で活躍されてきたりょーちもさんから見た、YouTubeアニメの可能性について語ってもらっています。
りょーちも(アニメーター・キャラクターデザイナー・アニメーション監督)
ゲーム会社勤務を経て、『BECK』で原画としてデビュー。キャラクターデザインや総作画監督を務めたのちに『夜桜四重奏 -ホシノウミ-』では監督を務める。さらに数多くの3D作品やハイブリッド作品に演出などで携わり、2D・3Dの垣根を越えてデジタル技術を積極的に取り入れる制作スタイルのクリエイター。
【主な参加作品】『BECK』(2004/原画)、『ノエイン もうひとりの君へ』(2005-2006/原画)、『NARUTO –ナルト-』(2006/原画)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007/原画)、『鉄腕バーディー DECODE』(2008、キャラクターデザイン・総作画監督)、『鉄腕バーディーDECODE:02』(2009、キャラクターデザイン・総作画監督)、『夜桜四重奏 -ホシノウミ-』(2010、監督)、『夜桜四重奏 -ハナノウタ-』(2013、監督)、『亜人』(2016、演出)、『正解するカド』(2017、演出)、『スターオーシャン アナムネシス-Twin Eclipse-』(2018、監督)
株式会社Plott CEO 奥野翔太(おくの しょうた)
筑波大学情報科学類卒業。筑波大学在籍中に株式会社クロノファクトリーにて事業ディレクターとして勤務し、起業家・経営者を志す。その後、Webメディア運営、ゲーム制作、分散型動画メディア運営、Graffity株式会社にてiOSエンジニアとして勤務などを経て、株式会社Plottの前身の企業を起業、CEOに就任。
Plottに「次のアニメの作り方」を生み出せる可能性を感じた
ーーりょーちもさんが主催されているコミュニティに奥野をゲストとして招いていただいたことが、最初の出会いと聞きました。その時の印象を教えていただけますか?
りょーちも:コロモナシ委員会という「アニメ業界を変えたい」という想いを持った仲間が集まるコミュニティを運営していて。みんなで作品を創っていこうという思いを込め、 "衣"なし。そこにゲストとして奥野さんをお呼びしたのが最初の出会いですね。
「すごく計画的に事業をされているんだな」というのが最初の印象でした。どうしても、技術職はつくることに目が行きがちなところがあって。だから、作る以前の「今の時代において、何を伝えてどう魅せるか」ということをすごく計画的に考えられていて関心しました。
奥野:僕もアニメ業界を変えたいと考えている皆さんの意見を聞けて、とても勉強になりました。作る以前という点で言うと、「YouTubeだからこそできるアニメってなんなんだろう?」ってのは常に考えていますね。アニメ業界に対するインパクトも感じられて、すごく良い出会いでした。
(写真:コロモナシ委員会にゲストで登壇した弊社代表。語ってます。)
ーーそこから一度、会社に遊びに来ていただきましたよね。初めてPlottという会社の中を見てみて、感じたことはありましたか?
りょーちも:若く勢いがあって、固定概念に挑もうとするエネルギーを感じました。モラトリアム期間の最中にある若い世代の熱量というんですかね。本気で仕事を遊びにしてしまおうとしている。楽しいを制作ラインに乗せることって本当に難しいんですよ。凄いバランスで働いてるなこの会社って思いました。みんなのこれからを創っていく意識にこちらが焦りましたね(笑)
奥野:若さはPlottの武器の一つかもしれませんね。学生起業からこの会社が生まれていることもあるので、若者の視点だからこそできることをやろうと意識しています。
ーーそういった中で、Plottのクリエイティブアドバイザーを引き受けていただくことになりました。その決め手はなんでしたか?
りょーちも:アニメ業界とは違う新しい要素を感じ、「次のアニメの作り方」を生み出せる人たちであると感じたからです。ただの理想論ではなくて、実際に動いている、形にできつつあることが凄い。
しかも、社員一人ひとりがとにかく自ら考えて動いている。言われた通りに動くという感じが一切しないんですよ。一つの目標に向かって一人ひとりが主体的に動いているコミュニティって感じですよね。
奥野:コミュニティ感はすごく意識していますね。一人ひとりの「これがやりたい!!」という熱量が本当にオモシロイものを生み出すことに繋がると思っているので。できる限り一人ひとりの社員が自ら考えて動きやすい環境をつくるよう努めています。
(りょーちもさんが初めてPlottに遊びに来てくれた時の写真。一人ひとりの話を親身に聞いてくださったのが、とても印象的でした。)
アニメ業界から見た、YouTubeアニメの可能性
ーーアニメ業界で長く働かれてきたりょーちもさんから見た、今のアニメ業界の課題は何だと考えていますか?
りょーちも:「既存のアニメ感」と「プロフェッショナル感」から生まれてしまっている閉塞感ですね。今までの方法に過剰に適応しようとして身動きができない組織構造が生まれてしまい、制作環境の変化に対応できなくなってきています。課題感にはみんな気付きながらも、身動きが取れない状況にどうしようもなくなってしまう。結果、完全なる下請会社になってしまっているのが現状です。
奥野:コロモナシ委員会の方々からは、「アニメ業界を変えたい」という意志を強く感じました。制作環境の変化でいうと、NetFlixなどの海外の動画配信プラットフォームの台頭がありますよね。その辺りについては、どうお考えですか?
りょーちも:プラットフォームとしては、魅力的だと思っています。ただ、制作会社に権利があるわけではないので、結局根本の問題は変わらないと思っていますね。なんなら日本のアニメ業界全体が下請になってしまう危険性も十分にあると考えています。
ーーりょーちもさんは、そういった課題感に対して積極的に動かれてますよね。そんなりょーちもさんから見てYouTubeアニメの可能性については、どうお考えですか?
りょーちも:アニメ産業のベースはTVと映画でしたが、NetFlixやAmazonプライムなどネット配信に移行しつつあり、今後も作品を出せる環境はあります。
ですが、YouTubeの「圧倒的に自由な形状でコンテンツが作れること」「配信者を中心にコンテンツを作れること」は凄く魅力的ですね。TVや映画など雛形のある時間配分を決められた作品主体から、配信者や視聴者に寄り添った形の配信サービスへの移行されつつあるのを感じています。YouTubeアニメならではの、人に寄り添った「アニメの新しい形」の可能性に期待しています。
奥野:既存のアニメと明らかに違うのは、毎月何十本の動画を出せることですね。視聴者との接触頻度が多いし、各動画に対しての反応がコメントなどでダイレクトに返ってきます。その結果、視聴者にとって、キャラや世界観をより身近に感じることができるというが、YouTubeアニメの強みかもしれません。
りょーちも:制作本数すごい量ですよね(笑)本数という点でいうと、実験のしやすさも魅力的ですね。従来のアニメだと制作費がかかることもあり、挑戦や実験がしにくいことも課題だったので。たくさん実験できるからこそ、良いものが生まれますからね。
(今回はコロナウイルスの影響もあり、オンラインにてインタビューを行いました。なかなかにシュールな写真です。)
「クリエイターが中心にいる」がPlottの最大の強み
ーーぜひ一緒に「アニメの新しい形」を探していきたいです!これからクリエイティブアドバイザーとして関わっていただくにあたって、Plottとどう関わっていきたいとお考えでしょうか?
りょーちも:Plottの良いところは、クリエイターが中心にいるところだと思っていて。先進的なことをやる時、そこに知見がない人は置いてかれることが多いじゃないですか。クリエイターって、その置いてかれる対象になってしまうことがよくあるんですよね。目の前の表現にのみ集中するプロフェッショナル気質の人が多いためなんですけど。
でも、Plottはクリエイターが自ら会社をつくろうとしている。クリエイターを大事に想っていて、クリエイターそれぞれの自主性に向き合っている会社です。クリエイターは会社のために何ができるかを考え、それを行動に移している。そんなみんなと一緒にオモシロイものを作る仲間になりたいなって思ってます。
奥野:そう言っていただけると凄く嬉しいです。社内でよく使われる言葉に、「社内全員がクリエイター」という言葉があって。オモシロイものを作りたいという想いのもと、みんな常に新しい価値を生みだそうとしている。という点で考えると、全員がクリエイターだし、そこに職種の垣根はないなって思ってます。
それに全体を考えずクリエイティブに集中することは楽かもしれないけど、分からないことを押しつけられたらそれはそれでストレスじゃないかな?と個人的には考えてますね。
りょーちも:凄く素敵な考え方だと思います。それこそアニメ業界は、職種ごとで適材適所に役割を分けている業界なんですよ。ビジネスのプロデューサー、クリエイティブのクリエイターみたいに。この形だと、それぞれがプロフェショナルにはなれるけど、全体感を見れる人は出てこない。結果、自分の役割の範囲内のことばかりに集中して、業界の外を見ることができなくなる。その弊害が、今露呈し始めつつあるんですよね。そういった意味でも、クリエイターが主体性を発揮して様々なことに挑戦できる環境であり続けて欲しいです。
奥野:ぜひ一緒に作っていきましょう!!
りょーちも:はい、たくさん遊ばせていただきますね!笑
ーー最後にこれからPlottに入られる方に、メッセージをお願いします!
自分たちの将来を自分たちで決められる環境がPlottにはあります。今の職場でくすぶっている方、新しい産業の先駆けをつくっていきたい方、特に成長・進化を共に共有できる若い世代のクリエイターが向いている職場だと思います。ぜひ一緒にたくさん遊びましょう!
「思いっきり遊びたいやつ集まれ!!!」
(ドン!最後はりょーちもさんのキメポーズにて終了!)
ーーお二人ともありがとうございました!
株式会社Plottでは一緒に働く仲間を募集しています