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日南市・飫肥城下町の〈PAAK DESIGN OFFICE〉

能動的なデザイン会社を目指す、PAAK DESIGNの始動

塒珈琲のオープンから2年ほど時が経ち、
前回ご紹介した〈株式会社油津応援団〉を2017年の春に退社。
同年の6月末に〈PAAK DESIGN (パークデザイン)株式会社〉を設立しました。

パークは「公園」の意味。公園のようにいろいろな活動や事業が行われ、
ワクワクするような場所になり、そこにいるさまざまなキャラクターの人が
活躍できる器のような会社になりたいという思いです。
うしろには「デザイン」とつけ、デザインが軸の会社だと誰でもわかるようにしました。

会社のロゴ。同じ棒3本を使って1文字を形成し、同じ図形を回転させてPAAKを表現。ひとつのパーツでも、組み合わせと工夫次第でいろいろな展開ができるというメッセージ。


「パーク」は「PARK」ではなく「PAAK」。
一般的にデザインや設計監理の業態は受注産業(Recieve)です。
しかし、いまから自分のつくる会社は能動的(Active)に
事業を行っていきたいという思いから、パークの「R」を「A」に変えました。

創業当時のスタッフと飫肥城下町内にて。


社会に対して何を提供するのか

会社で「何をするか」についても悩みました。
都会とは呼べない日南市で、デザインや設計で食べていけるのか。
モヤモヤと考えていたある日、さまざまな企業のホームページを見ていると、
あることに気がつきました。

好きな企業のホームページでは、社会やお客さんに対してのミッションを掲げ、
自社がどのような価値を提供するかがわかりやすく書かれていました。
一方で一般的な設計事務所のホームーページには、
自社の事例がメインで「いい設計をします」としか書かれていません。
この違いが設計事務所出身の僕にはとても新鮮で、おもしろいなと思いました。

そこから、デザイナーや設計事務所として、つくることだけを目的とせず、
社会に対して何ができるのか、何を提供するかをお客さん目線で考え始めました。

PAAK DESIGNの4つの事業

「地方でしかできないことに対して、デザインは何をすべきか」を考え、
4つの答えを出しました。むしろ、これくらいしか
僕には想像できないなと思ったのが正直なところです。

1 空き家事業(建物のリノベーションデザイン)

2 古物事業(古い建物から出た古材、古建材を引き取り、社会に戻す)

3 サブリース事業(空き家を借り、貸せる状態にリノベーションし、事業や賃貸をする)

4 地域ものづくり事業(地域内に眠る遊休資源を活用し、商品開発を行う)

この4つの事業を行うことを決め、PAAK DESIGNとして活動を始めました。


PAAK DESIGNのオフィスが完成

事務所は、父の店である塒珈琲の2階に構えることに。
Uターン直後からここをオフィスにしようと考えていたものの、
油津応援団に所属することになり、3年間ほど手つかずの状態でした。

2階のビフォー。1階同様にがらんとした状態だった。1階の工事の際、今後どのようなかたちにでも対応できるよう、電源を通す程度の基礎的な整備だけしていた。


2017年6月末、PAAK DESIGNの設立後も今後スタッフが来てくれるのか、
当分はひとりか、打ち合わせスペースはどれくらい必要かと、
見通しが立たず悩んでいましたが、せっかく田舎のオフィスなんだから、
窮屈な印象にならないようにとだけ考えました。

まず、打ち合わせスペースと執務スペースを半分に仕切ることに。
ただし、固定の壁はつくらず、仕切った空間同士の気配がなんとなく感じられるよう、
高さ1.5メートルの本棚で仕切りました。

打ち合わせ兼フリースペースは広めに確保。定尺サイズの3×6板を2枚、縦に並べて10人用のテーブルをつくった。模型を置いたりプロダクト試作などの作業台としても使用。


打ち合わせ兼作業スペースと執務スペースを区分するのは高さ1.5メートルの本棚。奥にある執務スペースは、デスクの基準寸法を決め、スタッフ増員や状況の変化に備えて、縦にも横にも並べて使えるようにした。


塒珈琲の2階にオフィスを構えたのは、
1階が父の店であり、さらには私が1日に何杯も飲むほどコーヒーが好きで、
毎日コーヒーの香りに包まれながら仕事がしたかったからです。
スタッフにもコーヒー好きが多く、仕事中のコーヒーは
福利厚生のひとつとして飲み放題にしています。

クライアントさんや仕事仲間とオフィスで打ち合わせをする際にも、
淹れたてのコーヒーをお出しします。
みなさんに「おいしい」と喜んでいただけ、
話が盛り上がり、打ち合わせが伸びる傾向に。
淹れたてのコーヒー1杯が、仕事だけでなく、プライベートや新規事業についてなど
話を盛り上げ、未来の仕事をつくっているような気がしています。

地方の“少しだけいい未来”をつくることを目指して

現在は、先述の4つの事業に日々少しずつ取り組んでいるところです。
サブリース事業として生まれた宿〈PAAK HOTEL 犀〉(今後紹介する予定)を
立ち上げたり、地域のものづくり事業から生まれ、
商品開発だけでなく、直接お客さんに届けるためのオンラインショップ
〈PAAK Supply〉(こちらも今後紹介予定)を開店したことで、
デザインや設計監理を超えた業務が発生し、仕事仲間も増えてきました。

地方においてひとりで考えて立ち上げ、
最悪の場合はひとりでもなんとかがんばっていこうと覚悟して始めた会社。
それがいまではいろいろな人に携わってもらえているのはうれしいことです。

これからもこの場所で、仲間たちと、
地方の少しだけいい未来をつくることを目指していきたいと思います。

ひとりでコツコツつくった事務所に、いまでは何人もの仲間が集まり、デザインだけでなくいろいろなことに取り組んでいる。

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