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トップダウンではつまらない。ニューロマジック代表が考える「しあわせ」とは

ニューロマジックの仲間を紹介する、neuromagic STORY。
今回は、ニューロマジック代表の黒井 基晴さんにインタビューを実施。

ニューロマジックを立ち上げたきっかけから、サービスデザインに注力し始めたきっかけなど、黒井さんならではの思考を覗かせてもらいました。

ーーニューロマジック設立前の黒井さんの経歴を教えてください

いわゆる「打ち込み音楽」の走りですね。大学の終わり頃から、Macを使ってCMや企業の映像のBGMをバイト感覚でつくっていました。その後、TBS出身のプロデューサーのイベント企画制作の事務所で働くことになったのですが、個人的にコンピュータ関連のテクノロジーやソリューションに強く興味があったので、当時マルチメディアと言われていた領域のイベントの制作や企画、ディレクションに関わるようになっていきました。


ーーイベントの仕事から、ニューロマジックを始めることになった経緯はどのようなものだったのでしょうか?

学生時代からパソコン通信は使っていたのですが、ネットワークが前提となった世の中の状態をいつも想像していました。アメリカから書籍や雑誌を郵送(笑)で取り寄せたり、CompuServeや友人との勉強会で情報を集め、仕事でもAppleなどテクノロジー関連のイベントに関わっていたことで、徐々に実感も持ちつつありました。当時インタラクティブなコンテンツをつくる会社がまだあまりなかったのですが、イベントの映像を当時の原始的なオーサリングツールでつくり始めたのもその頃です。

30代になった頃、学生時代の友人の結婚式で「こういう未来が来る。そして自分はこういう仕事をしていく」と友人たちに語っていたところ、一週間後、その結婚式にいた学生時代のバンド仲間が「IBMを辞めるから一緒にやろう」と電話をくれました。それがニューロマジックの始まりですね。最初はたった2人。知り合いの事務所に間借りして始めることになります。


ーー結婚式で話をしただけでIBMを辞めちゃったんですね(笑)。そうして始められたニューロマジックの業務内容を教えてください。

基本的にはウェブサイトが最終成果物になる仕事を多くやってきました。あまり外からはわからないと思うのですが、長い歴史の中で、ターゲット市場やポジショニング、そこでの競争優位性、必要なケイパビリティとプロセスを含めて、戦略的に適応しながらやってきていますし、これからもそのつもりです。最近は、サービスデザイン事業、アムステルダムの子会社とサステナビリティの領域にも携わっていますが、全体を包括するのは”EXPERIENCE AGENCY”という組織のあり方。機能的な要件と抽象的な要件を、より広い範囲、文脈で整合性がとれる体験として、デザインしていきたいですね。


ーーデザイン会社は本当にたくさんあると思うのですが、ニューロマジックが他社と違うところはどんなところですか?

「小さな政府の自由主義経済」と言っているのですが、プロセスはもちろん、リソースさえ固定化させないところです。トップダウンで「これがベストなやり方なので、全社これで行う」としない。もちろん、決めてしまえば管理しやすく、効率も上がるのですが、それでは人を計画された役割の箱に入れることになるので、僕らの考える「しあわせ」につながらないし、中長期における成長も限定的になるかもしれない。組織として探索すべき、深化すべき領域も、トップダウンで決めてしまってはつまらないし、市場と乖離していきやすいと考えます。

固定化させず、その上でふさわしい解を見つけ、競争力のあるサービスを提供し、経営課題、事業環境の変化に向き合う。非常に複雑だし、曖昧だし、個人にとっても組織にとっても難易度が高いのですが、そこでの「何を優先するのか?」がとても違うと思います。


ーーなるほど。比較的新しいサービスとしては、2017年からサービスデザイン領域に注力していると思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか?

15年程前に、リタ マグレイスとイアン マクミランが書いた本でディスカバリー ドリブン プラニング(DDP法)という考え方を知ったのがきっかけです。構成要素を構造化して優先順位づけを行い、資源を効率的に使って限定的な発見を積み重ねていく考え方の可能性に魅力を感じました。その後、我々の事業、組織に落とす上で、概念的な共通項を持つものの研究を進めていき、そんな中でたどり着いたのがサービスデザインです。

様々なメソッドやケーススタディの情報収集をしていた頃、たまたまカンファレンスで話を聞いたテニー・ピニェイロさんというブラジル人が描いたフレームワークに出会い、ビジネスで効果を上げられる可能性を感じました。そのまま講演後のパーティで話を聞き、僕自身、彼が提唱する「サービスデザイン スプリント」のスプリントマスターのサーティフィケートを取得することから始めました。
チームの立ち上げ当初は3名でしたが、今ではインターン生も含めて15名。知見やケイパビリティも大きく成長し、現在と未来のニューロマジックに欠かせないグループになっています。


ーー黒井さんのミッションとビジョン、バリューに込めた想いを教えてください

僕らの場合は「こういう組織でありたい」というのがすべてのベースにあります。その組織の中心は個々人なんです。個々人のしあわせのあり方を追求したい。人によっては別のしあわせがいい、という人もいるのは承知の上で、僕らの考えるしあわせを組み立てて行きたいと考えています。

そうした見方で、ミッション、ビジョン、バリューの三角形を核に、具体的な組織の機能、構造、その未来像、そしてその間をつなぐルートを描いている。特にビジョンに関してはよく見かける「アウトプットがこう、社会的インパクトがこう、自分達のポジションがこう」みたいなものと比べると、抽象的でわかりにくいという苦情をよく聞きますが、わかりやすくして抜け落ちてしまう要素が出たり、構造をミスリードしたりしては意味がないんです。ごめんなさい。
とはいえ、もっとわかりやすく伝わる形は検討中です(笑)。


ーーはい、わかりやすい方がいいですよね(笑)。未来像にも興味があるんですが、現在のニューロマジックで、黒井さんから見て、良いところと課題に感じているところを教えてください

良いところだなと思っているのは、やはりフラットな雰囲気ですね。会議やSlackでのやり取りでも、僕が何かを言ったからといって、その内容に引っ張られることなく誰でもためらいなく反論できる。飲み会でインターンの女性が経営方針に関してアドバイスしてくれて、深いディスカッションに発展したこともあります。それがあたりまえであるところが良いところだと思っています。

課題は仲間の成長速度をもっと上げたいということです。キャリア アドバイザリー カウンシルという成長支援の仕組みや、内部研修のNM Dojo、独自のナレッジマネジメント等、常に変化し続けることを前提に、構造とプロセスによってそれを実現したいと考えています。

会社に入ってくれた人が自分の人生の中での仕事のあり方、成長の方向を仲間と共有し、サポートし合いながら成長して、決められた箱の役職ではなく、会社の重要な役割を因数分解して担ってくれるようになる、そういう環境を組織として組み上げ、組み直し続けることに、我々なりの存在価値があると思っています。


ーー計画した箱に人を割り当てるのではなくて、集まった人で組み上げて、組み直し続ける。あまり聞かない気がしますが、そう考えるもう少し根っこのところを教えてください。

僕らのような仕事をしたいと思う人は、ある程度自由に働きたい、自分の創造性を活かしたい人が多い。前に述べたように、決まったプロセス、リソースとロジックでは得られないしあわせがあるという前提に立っています。

とはいえ、ゼロベースで仕事を投げられてしまったら創造性を発揮しにくいところもあるし、組織である付加価値がない。だから「なんでもいいから美味しい料理をつくろう」じゃなくて、「目の前の使い勝手のいい道具や食材も適度に使いながら、ふさわしくて美味しいと自分が思う料理をつくろう」みたいなレベルの枠は用意して、創造性を発揮してもらいたいと思っています。組織内での知見やノウハウ、機能を上手に使いながら。

そんな中でも極力ポジティブリストは持たず、少ないネガティブリストにしたいとは常々考えています。

https://www.neuromagic.com/who-we-are/

ーー料理の例えで少しわかった気がします。日々社員と向き合う上で、大切にしていることはありますか?

設立当初から僕のことを社長と呼ぶのは禁止なんですが、肩書きを前提に話をしないのがあたりまえですし、同様に「社長が社員と向き合う」というよりは年長の同僚か、直接のチームリーダーくらいの雰囲気でありたいと思っています。
それでも直接一緒に仕事をする機会は限られるので、オフィスアワーという、仕事の悩みでも愚痴でも世間話でもなんでもありで黒井と話す枠や、誕生月会という誕生日が近い人たちとゆっくり話せる会などは大切にしています。同僚である前に人としての関係が普通ですからね。


ーー今後、どんな人にニューロマジックの仲間になってほしいですか?

主としてリモートワークなので、住んでいる場所、国籍、年齢問わず、僕らの文化や価値感を快適だと思ってくれる人に仲間になって欲しいです。

あとは自分の頭で考える人ですね。僕は存在する答えを効率良く覚えて、答案用紙に書けたかどうかはあまり重要じゃないと思うんです。なので面接時に学歴は見ないんですが、僕や現社員のみんなが思いつかないようなことを、一緒に編み出してリードしていってくれるような人と、ぜひ一緒に仕事をしたいです。

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