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餅は餅屋で共存し合う。何故コンテンツSEOのプロが、外部のSEO領域のパートナーをアサインするのか

※この記事はMOLTSのコーポレートにて、2021年2月24日に投稿した記事の転載となります。(https://moltsinc.co.jp/media/project-progress/9238/

デジタルマーケティングカンパニー「MOLTS」では、支援内容の一つであるオウンドメディアマーケティングのクライアント支援にて、数多くの実績を保有しています。そしてオウンドメディアの活用を行う際、コンテンツSEOを主軸の戦い方として活用するケースは少なくありません。

MOLTSの中でオウンドメディアを幅広く活用し、かつ、コンテンツSEOにも注力するメディアコンサルタントを務める寺倉そめひこ(以下 そめひこ)。彼はコンテンツSEOを活用する様々なプロジェクトで、SEOのプロフェッショナルをアサインし、協力してプロジェクトを進めてきました。

そして、そめひこがいつもお世話になっているSEOのプロフェッショナルが吉野五十也(きのいそや)氏です。吉野氏は、SEO領域で15年以上の経験を持ち、某大手代理店にてSEO事業の責任者を務めた後、現在は某超メガベンチャーにてプロダクトマネージャーとして務める傍ら、個人でもSEO領域のコンサルティングやセカンドオピニオンとして活躍しています。

今回は数多くのプロジェクトを一緒に進めてきたそめひこと吉野氏を招いて、これまでのプロジェクトを振り返り、どのようにいままで取り組んできたのかをご紹介します。

根拠なき意思決定は、事業を衰退させかねない

―― コンテンツSEO中心に、MOLTS自身もSEOを得意領域としていますが、あらためて吉野さんとプロジェクトを一緒に進める理由を教えて下さい。

そめひこ:オウンドメディアを行っていくと、手段としてコンテンツSEOを用いるケースが多いです。SEOの施策領域は、個人的に大きく3つに分解しています。まずは事業成長のためにどう戦うべきかの戦略領域、その後のコンテンツやページ、サイト全体を通したコミュニケーション領域、そして、SEO内部設計等のテクニカル領域です。一緒に考えるケースが多いですが、あくまで分類すると。

MOLTSが得意としているのは主にオウンドメディアを中心とした戦略から、コミュニケーション領域におけるSEOで、コンテンツを用いて戦う場合は自信を持って企業の事業成長を支援できると考えています。

しかし、たとえば大規模サイトやサービスサイトとなった場合、戦略をどうすべきかから、コミュニケーション領域もテクニカル領域も幅広い戦いの中から考え抜くことが求められるんですね。そしてシステム改修が発生したりとSEO担当部署だけで完結せず、関わる部署も多くなるため、そうした多くのリソースを動かすような意思決定をするには、僕らMOLTSの知見だけでは弱いなと。仮説を立てることはあれど、自信が持てないこともあります。

そうしたときに、国内でも有数な経験と実績を持つ吉野さんにも加わってもらうことで、自信を持ってプロジェクトを進められ、全方位的にクライアントの成果最大化を狙っていくことができるんですよね。

吉野:プロダクトの形によって、コミュニケーション領域の施策を行うべきか、テクニカル領域の施策を行うべきか、また取るべき戦略も何もかもアプローチが異なりますからね。

簡単な例を出すと、プロダクトが財務会計ツールですという場合は、コンテンツがどんどん生まれていくようなプロダクトではないため、SEOが行いづらい。そこでプロダクトとは別にオウンドメディアを立ち上げて、SEOを行っていくというやり方を取っていきます。

一方で旅行予約サイトなんかはプロダクトとSEOが密接に関係してくるので、プロダクト内でいかにSEOを進めていくかが重要になってきます。しかし、テクニカルなSEOってプロダクト自体に施策を入れていくので、体にメスを入れるのと同じで、事業サイドの事情を踏まえた上で動かないと大怪我をしてしまいかねません

そのためSEOの知見だけでなく、ビジネスのことも理解した上で進めていくことが重要で、実現性のない提案ではなく、地に足をつけて実行できるところまで落とし込んだ提案ができるというのが、私のコンサルティングできる範疇だとは思っています。

そめひこ:たまに過去のSEOでの成功体験をすべてに横展開できるような戦いをされているパートナーがいて、それは怖いなと。事業内容やリソース状況、キーワード領域含め、同じ状況下ではない以上、必ずしもその成功体験に再現性があるかどうかはわからないわけで。過去に何度かSEOのプロフェッショナルと関わらせてもらいましたが、違和感が拭えないケースがありました。ですが、吉野さんは経験の幅が広くて、抽象化と構造化のスキルがものすごく高く、信頼度が全く違う。

なのでSEO領域においては吉野さんに絶対の信頼を寄せていて、コンサルティングとして入ってもらうだけでなく、プロジェクトによってはアドバイザリーとしてSEO領域での意思決定をサポートしてもらったり、僕らの考えた方向性や施策アイデアに対して意見をもらう、セカンドオピニオンとしてプロジェクトに参加してもらったりと、いろいろ相談させてもらっています。

吉野:まあSEOって極論、ランキングが上がるか下がるかのどちらか。それなのに、たまたまランキングが上がっただけにも関わらず、それを自身の成功体験だと思ってしまうのは危険ですよね。

ただ、SEOの難しいところはフィードバックが得難いところ。広告領域であれば、入札した翌日には結果がわかり、すぐにPDCAを回していけますが、SEOは施策を実行した翌日になにかが変わるというのは、ほぼないわけで。

さらにはGoogleのアルゴリズムアップデートがあったりして、知見を積んでいくことが難しい領域ではあるなと思っています。

SEO担当者だけで解決できないケースは多くある。時には他部署を巻き込んだ動きが求められる

―― 過去にどういったプロジェクトを、そめひこさんと吉野さんが一緒になって進めてきたのか教えて下さい。

そめひこ:ある医療系メディアでは、3年ほどずっと一緒にやってきましたよね。月間10万UUの状態から伸び悩んでいるメディアで、コンテンツは医師の監修を入れて他のパートナーが制作していき、SEO領域は吉野さんにコンサルタントとして入っていて、私はグロースさせるために関わる。結果として1年10ヶ月で月間400万UUへ成長するメディアになっていきました。

吉野:Googleは医療や金融といったYMYL領域に対して、通常の評価基準よりも厳しく評価しています。そのためSEOの知識がないと、どのラインが危険なのかを踏み間違えてしまい、SEO依存の事業であれば事業崩壊レベルのインパクトがある領域

そこで、どこまでが大丈夫で、どこからがアウトなのかのクオリティコントロールを私の方で担当させていただきました。ただ、非常にシビアで、どれだけ正しく誠実に情報発信を行っても、また危ないラインを見定めて進めていっても、下がったり上がったりが繰り返される状況でした。落ちたけれども、また回復する―― そういう現象が起き続けていました。

また、どのメディアでも順調に検索流入が増え続けるということはなくて。途中で2〜3割ほど下がってしまう時期というのが必ず訪れます。そうしたときに、どのようにリカバリーしていくべきかといった意思決定においても、そめひこと連携してコンサルティングさせていただきました。

そめひこ:他には、あるオウンドメディアのコンサルティングにも吉野さんに加わってもらいました。そのメディアは編集部2〜3人で運営しているとかではなく、100人を超える社員全員がコンテンツ制作に関わるという会社であったため、僕ひとりだけでは全員を動かしていくため「確実にこうすればいい」と言えるような自信を持った意思決定が怖かった。

特に課題としては漠然と「年々検索流入が下がっている」ということで、コンテンツに起因するものなのか、それともテクニカルなことに起因するのかがわからなかったんですね。そこで吉野さんには、そもそもの課題把握のところから入ってもらいました。

吉野:そして調査を進めていくと、テクニカルなことよりも、純粋に過去トラフィックを集めていた優良コンテンツの質が落ちて順位が下がっていたことに要因があると判明。これまでビッグワードで上位表示されていた記事コンテンツが、軒並み順位が下がっていたんです。普通にコンテンツの質が外部に負けていて、むしろサイトとしては高評価で、欠陥となるテクニカル要素はなかった。

そこでどう巻き返すべきか、また事業成果に紐づく形でリソースの選択と集中をどうすべきかを、そめひこと一緒に設計していきました。

そめひこ:そうした全社員が関わっているメディアや、サービスに紐づくメディアなどは、最初の戦略設計でGoogleと向き合うだけでなく、組織や人を柔軟に戦えるようにしていく必要があることが多いですよね。

時に経営判断を仰ぐこともありますし、現場担当よりも、事業責任者とディスカッションを重ねることが多くなる、みたいなこともあります。

吉野:そうですね。Googleは検索ユーザーのニーズに応えるよう設計しているわけですから、簡単な例でいうと、基本的な施策を既に実施済みのサイトの場合、タイトルやディスクリプションなどを改善したりするだけでは、さほど効果が期待できません。

イメージが沸きやすい求人サイトの過去の例を用いると、検索ユーザーは当然求人が多く掲載されているページから選びたいわけで。そのため、いかに求人件数と職種のバリエーションを増やすかがSEOにも影響してくるので、攻めるべき地域や領域を定めて求人件数を増やすべく、実際に営業部門にも動いてもらうよう提案し、実行してもらったこともありました。

事業成果を追求すべく、時には社内人事について提案することも

―― 様々なプロジェクトを進める上で、SEOの難しさはどういったところにあるとお考えですか?

吉野:先ほどの話にもつながりますが、SEOで重要なのはユーザー起点で設計することであるのに対し、会社都合でユーザーのエクスペリエンスが毀損されてしまうケースは多く、そこでいかに適切な経営判断をしてもらうかが難しいところだなと感じています。

たとえば事業部単位で集客施策を行うような大企業の場合、事業部ごとにメディアやサービスを立ち上げ、各々でSEOを行っていたりしますが、ユーザーからすると事業部なんて関係ないわけで、ユーザーのニーズに合うものがたまたまその事業部であった、というだけ。

それにも関わらず、ユーザーニーズが重なる別々の事業部があった場合、SEOの観点からすれば社内競合になってしまっていたりするんですね。本来部署の垣根を超えて統合すべきであるのに対し、それぞれの予算の持ち方が違ったり、部署ごとに大きな垣根があったりすると、外部のコンサルティングしている立場では、なかなかその判断に責任を持てないこともあります。

また統合してしまうと、仮に事業部長が3名いたけれども1名になってしまい、他の2名は降格といった判断を迫らないといけないことも難しいですよね。

そめひこ:わかります、むしろ僕はどんどんクライアントの中に入っていって、根回しめちゃくちゃします(笑)。たとえば現場とコミュニケーションをとることが中心のプロジェクトであっても、もちろん規模にもよりますが、月に1度は経営陣や事業責任者と打ち合わせをして、社内人事や予算の組み方についてのディスカッションをさせてもらうことも。そこで構造や問題が新たに見えて、SEO観点だけで捉えるのでなく、どうすれば事業が最大化になるかを考えてバランスを取りに行く。

当然いままでのやり方を変えていこうとすると、どうしてもハレーションが起きてしまうので、そうした根回しを含め、成果に繋げていくためには何でもやるというのが僕のスタンスです。

やっぱり成果は最大化した方が面白いですし、そのために必要なことであれば、デジタルマーケティングの領域を超えても僕はやっちゃうんですよね。ただ、部署を超えて展開するというのは大抵が重大な意思決定になるし、推進していくにはパワーが必要で、自分の中に絶対の自信がないとできない。だからこそ、自信が持てないときは吉野さんにいつもアドバイザーとして話を聞いてもらう、という進め方をしています。

「餅は餅屋だと気づかされた」二人の補完関係が、クライアントの事業を加速させる

―― 様々なプロジェクトを一緒に進めていく間柄として、おふたりはお互いのことをどう思っていますか?

吉野:そめひこをさすがだなと思うのは、そういったクライアントと伴走していき、成果を追求する熱意がすごいところ。だからこそ、コンサルタントという立場でありながらも、どんどんプロジェクトを前に進めようとする推進力もある。むしろ、内部の人間?みたいな。

その上、コンテンツ領域のプロフェッショナルでもあるから、いい感じに私とそめひこは補完関係にあるなと思っています。

なぜなら、私ができるのはデータを用いてひたすら提案の妥当性を説いていくというところ。エビデンスをどんどん出していき、クライアントの担当者しかり、そめひこが動きやすい状態をつくることが私が介在する価値でもあると思っています。

そめひこ:僕の提案に説得力と自信を持たすために、吉野さんの考え方とGOサインは必要ですしね(笑)。

ただ、昔はSEOについてわかったつもりでいた時期もありましたけど、僕自身がプロジェクトを経験すればするほど、やっぱり餅は餅屋だなと。知れば知るほど、同じSEOでも分類されていき、吉野さんのレベルの高さを思い知らされます

というのも、吉野さんのすごいところは情報量がまず半端ない。過去の大中関わらず様々な経験と知見、海外の情報はもちろん、「オフレコだから言えないけど、実はね……」といったネタがたくさんあって、引き出しがめちゃくちゃ多い。そして抽象化と構造化のスキルが高いから、再現性のある形で渡してくれるのは本当に感謝しています。

―― 最後に、今後ふたりでチャレンジしていきたいことは何かありますか?

そめひこ:いま業界でトップを走っているようなプロダクト、サービスを、吉野さんと一緒に塗り替えたいんですよ。たとえば、いま話題の比較情報サイトとかを塗り替えたいなとか。それはクライアントワークでも、自社の事業でも。

吉野:本当、そういう熱意がすごいなと思うんですよ。ただ、業界トップが塗り替えられるタイミングって、そのトップが化石化したときで。

5〜10年くらいサービスを続けていると、一強だった業界構造に対してライバルが現れてくるけれども、トップの企業は規模が大きくなって新しい進化がしづらくなり、結果ライバルに塗り替えられるというパターンがほとんど。あとはスマホシフトだったりのルールが変わるタイミングとか。

まあ、こんな感じで「こんなことをやりたい!」というそめひこに対して、「こういう考えもあるよ」というのが私の役目だし、いい補完関係が成り立っているなと思います(笑)。

そめひこ:いつもの案件みたいで笑いました、締まりがいいですね(笑)そもそも僕らはデジタルマーケティング領域じゃなくて、もともと7年前ほどサウナで出会って北海道を始め様々なサウナを廻りに行ったサウナー仲間だったりするので、ちょくちょくまた、サウナでディスカッションさせてください(笑)。今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました!

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