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プロジェクトの値決めも全て一任。全員が独立採算で成り立つ会社の「個人の収支の作り方」

※この記事はMOLTSのコーポレートにて、2020年4月6日に投稿した記事の転載となります。(https://moltsinc.co.jp/blog/6154

株式会社MOLTSでは、メンバー全員が自身の数字を組み立て会計を管理していく「独立採算制度」を採用しています。個人で数字を組み立てるということは、すなわちメンバーが一人で生きていけることを意味します。

弊社が大切にしていることの一つに、「本当は一人で生きていける奴らがそれでもMOLTSでやっていく」というカルチャーがあります。会社とメンバーがお互いを拘束せずに、自発的にそして自分自身で仕事量をコントロールしながら、クライアントへ最大限のバリューを提供したい。

そんな想いから生まれたのが、メンバー全員が自身の数字を組み立て会計を管理していく「独立採算制度」です。

当然ですが、”一人で生きていく”ためには、自ら案件を獲得して収支を黒字にする必要があります。また、案件を獲得する際には、自分の価格を自分で決める「値決め」もしなければなりません。

自ら案件を獲得すると聞くと、テレアポをはじめとする「アウトバウンド営業」をイメージするかもしれませんが、弊社はそのような手法ではなく、インバウンドの引き合い獲得に重きを置いています。

値決めに関しても、市場の相場観やクライアントの意向に沿うのではなく、あくまでも自分の提供できるバリューを基準とした値決めを浸透させています。

そこで本記事では、個人収支を組み立てる上での大事なポイントや、引き合いの獲得の仕方、そして値決めを行う上で意識すべきポイントはどこにあるのか、といった点について、私が考えていることをお伝えしていきます。

会計をシンプルに捉え、個人収支を組み立てる

個人で収支を組み立てるために、弊社ではメンバーが自ら会計の管理を行なっています。会計の管理と聞くと、「財務会計」「損益計算書」「貸借対照表」などをイメージするかもしれませんが、個人の収支という観点から見ると非常にシンプルに捉えることができます。

個人の会計管理において抑えるべきポイントは、

・いくらお金が入ったのか(売上高)
・いくらお金が出ていったのか(売上原価)
・いくらお金が残ったのか(売上総利益)

の3点だけです。

フリーランスの方は、売上総利益からPCやスマホにかかる備品や通信費や、オフィス代、給与などが引かれていくと考えていただけると良いかと思います。これらのポイントを押さえて、弊社ではメンバー個人が1年後まで個人収支を記入できるGoogleスプレッドシートを用意し、最低でも向こう3ヶ月の組み立てを管理しています。

当月や来月の売上を急ピッチで立てるのは、本来注力すべき業務のパフォーマンス低下を招きます。向こう3ヶ月といった、長期的な視点で、安定的に個人収支を組み立てていくのが、一人で生きていくための第一歩と考えているからです。

「値決めは経営」自分の価格をいかに決めるのか

個人で収支を組み立てていくには、自分の価格を自分で決める「値決め」が欠かせません。

値決めは、言わば経営そのものです。自分の発揮できるバリューを正確に捉え価格に落とし込むことによって、自分自身の給与額が決まり、よりバリューを高めていくためには何をすべきかという発想に至ることができます。

弊社では、会社としての値決めは一切行なっておらず、クライアントへのコンサルティング業務をいくらにするかといった価格設定は、メンバー自身に一任しています。クライアントに提供できる価値は、メンバーそれぞれで異なりますし、値を決めるというアクション自体が、自分のバリューを見つめ直す大切な機会であると考えているからです。

ここからは、値決めをするにあたり具体的に考慮すべきポイントついてご紹介します。

自分の価格を決める上で、最初にやるべきことがコミットラインの設定です。コミットラインとは、自分が最低限達成すべき「売上総利益の額(売上高ー売上原価)」を指します。

仮に、売上高が1,000万円あっても、売上原価が990万円かかってしまうと、売上総利益は10万円にしかなりません。売上高ベースで考えるのではなく、まずは最終的に手元に残る売上総利益をいくらにするのか、というコミットラインから考えていく必要があります。

コミットラインを最初に定めることによって、そこから逆算し、目指すべき売上高やかけることのできる売上原価の費用が決まってきます。

弊社では、メンバーが定めたコミットラインの約40%が給与に反映されるシステムを採用しています。すなわち月40万円の給与であれば、コミットラインは100万円に設定されます。当然ですが、給与額を上げるには、コミットラインをより高く設定しなければなりません。

コミットラインを設定したら、1日あたりに必要な稼ぎである「人日単価」を計算する必要があります。人日単価は、コミットラインで定めた額を、営業日数で割ることで算出できます

例えば100万円をコミットラインとして20営業日の勤務をした場合、人日単価は下記のようになります。

当然ですが高いコミットラインを設ければ、人日単価を高める、つまり1日あたりの生産性を上げることが求められるわけです。

次に考えるべきは、算出した人日単価を達成するために、どのようなバリューを発揮する必要があるのかです。

例えば、人日単価5万円のメンバーが、丸一日かかる業務をクライアントから3万円受けてしまうと、個人の経営は赤字となり、収支を組み立てが困難になります。

この時に、「人日単価を3万円から引き上げるためには、何が必要なのか」という発想が非常に大事になってきます。実績を積むことによって、クライアントと単価交渉を行うこともできますし、案件自体を断るのも手段の一つです。

例えば、記事を1本3万円/日で書くWebライターがいたとします。ただ与えられたテーマで記事を書くだけで、自分の書いた記事でクライアントの成果がどのように上がっていくのかを考えられていなかったとしたら、自分のバリューを高めていくことはできないでしょう。しかし、記事とクライアントの成果が結び付く設計を学び、実践に落とし込むことでバリューを高め、結果的に単価を上げることができます。

また、「外部に依頼し自分の稼働時間を抑えることで、人日単価を満たす」という発想もできます。自分で手を動かすと丸一日かかる作業を、外部パートナーをうまく活用し半日で済ませられるのであれば、人日単価ベースで黒字にすることも可能です。

ここで大事になってくるのが、自分の価格を自分で決める「値決め」です。多くの人は自分の価格を決めるのに抵抗があり、市場の相場価格やクライアントの言い値から自分の価格を決めてしまいます

そうすると、コミットラインを達成するために、営業日数を増やしてカバーをする働き方に陥ってしまいます。しかし、時間が有限である以上、労働集約的な働き方には限界があります。

一方で、自分の提供できるバリューという観点から値決めを行うと、いかに限られた時間で、最大限のバリューを発揮できるかという発想の転換を図ることができ、働き方が大きく変わります。考え方によっては、人日単価を5万円から10万円に、そして15万円に引き上げていくことも可能です。

自分がクライアントに与えることができるバリューを考えずに、業界水準や業界平均から値付けをしてしまうと、個人の成長に繋がりにくくなります。人日単価5万円のメンバーが、いかにバリューを最大化し、人日単価を上げて高いコミットラインを達成するのかといった、そのプロセス自体に意味があると私は考えています。

とりあえず生きていくために、今は安く案件を取ろうという考えは大切です。ただし、目先のことだけ考えているのであればその考え方は悪です。今は安く、しかしながら、どうバリューを上げていくのかフェーズを分けて考えているのであれば良いです。あくまでも、定めたコミットラインに対して、自分で値決めを行い、クライアントに提供できるバリューを高めていく必要があります。

目先のお金を考えることは、自身の成長に繋がりません。コミットラインを達成させるために、また上げていくために、バリューを高める視点は大切です。

自分で値決めをする3つのポイント

ここからは実際に、私が個人でどのように値決めをしているかについて解説していきます。

私は、週3.5日をクライアントワークに、残りの1.5日を自社の経営や新規事業への投資に充てています。週3.5日で収支を組み立てる前提で、自身のコミットラインを220万円に設定し、クライアントとは、週1.5h(月4回訪問)のコンサルティング契約で、月30〜50万円という値決めをしています。

最初にお伝えしたいのは、個人収支を組み立てる上で、営業にかかるコストは無駄であるということです。テレアポや外回りといった営業で、新規案件を獲得するためには、多くの労力や時間を要します。

新規の訪問〜提案を繰り返しても、売上に繋がる保証はありません。そのため、できるだけ新規の営業に時間をかけず、継続型の案件を基本としています。

私の場合は、最低3ヶ月での契約をベースとして、1社あたり平均1.5年程度の長いスパンで案件を行なっています。こういった案件を6〜7件同時平行で進めていくことで、営業コストをかけずに安定した収支が成り立つ仕組みを作っています。

220万円というコミットラインに対して、1社で150万円、残りで70万円といったように1社に強く依存して案件を獲得することはしません。これは、依存度の強い案件がなくなってしまった時に、安定的に収支を組み立てることが難しいからです。

またコミットラインに対してある程度、余裕を持って案件を受注するように心がけています。コミットラインへの達成度合いがぎりぎりになると、人日単価を下回るような案件であっても、数字のために妥協して仕事を受けてしまいかねないからです。

コミットラインを達成するために、いかに提供できるバリューを向上させるかという文脈に置いて、数字を満たすためだけにバリューの低い業務をこなすという行為は本質的ではありません

3.提供できる価値に対して、クライアントがリターンを得られるかを考える

弊社の仕事は、クライアントの成果を最大化することです。そのためクライアントの言うことをそのまま鵜呑みにするのではなく、クライアントがいかにリターンを得られるかという観点で仕事をしなければいけません。

時には、クライアントと対立することもあります。しかし、それは成果を追い求めた結果に過ぎません。あくまでもクライアントの成果を最大化するために、自分のバリューをどう発揮すべきなのかを考える必要があるでしょう。

一人で生きていける奴らの仕事の取り方

ここからは、具体的にどのように効率的に案件を獲得して、収支を安定的に組み立てるかといった方法論に関して、説明をしていきます。

個人で収支を組み立てる時に、多くの人が考えるのが「どうすれば新規のお問い合わせを獲得できるか」ということです。それ自体は間違った考えではありませんが、効率的かつ継続的に収支を組み立てるためには、友人や知人といった知り合いからの案件紹介、つまり「引き合い」をいかに取るかが重要になってきます。

そもそも新規のお問い合わせは、どうしても営業コストや時間がかかり、受注率自体も10%程度と高くありません。ここで勝負を仕掛けるよりも、信頼関係が成り立った上で相談してくれる知り合いからの引き合いであれば、40〜50%と高い確率で受注へと繋がります

無駄な営業コストをかけずに案件を獲得できるので、引き合いを重視して案件を獲得して行くのが大切になってきます。

※受注率はあくまでも弊社の相場です。

では、実際に知り合いから引き合いを獲得するためには、どうすれば良いのでしょうか。その答えとして、私は周囲の人の「脳内SEOで1位を獲得すること」が大事であると言っています。

脳内SEOでの1位獲得とは、例えばデジタルマーケティングで困ったら〇〇さん、コンテンツ制作で困ったら△△さん、デザインで困ったら◻︎◻︎さんと言ったように、何か特定の悩みや課題が生まれてきた時に、真っ先にこの人なら何とかしてくれるだろうと思ってもらえるポジションを築きあげることです。

このポジションを確保できれば、相談という形で多くの人から引き合いを獲得することができます。まずは、友人や知人・会社の先輩や後輩、TwitterやFacebookで繋がりがある人達の中で、自分のポジションを築きあげることを意識しましょう。

私は「オウンドメディア」というキーワードで脳内SEOを獲得するために、「オウンドメディアで困ったら寺倉そめひこに相談しよう」という人脈を築いてきました。

この際に重要なのが、どういう感情で認知をされるかという点です。例えば「寺倉そめひこなら安く解決してくれる」という感情で認知をされれば、安い案件での引き合いしか獲得できません。

一方で、「寺倉そめひこであればオウンドメディアでの結果を残してくれる」「大きな案件でも任せられる」といったプラスの感情での認知があれば、引き合いの質が飛躍的に向上します

引き合いは、お互いの信頼関係が成り立っている上で発生するものです。当然ですが、成果にコミットできなければ、引き合い自体も減ります。引き合いを貰うこと自体がゴールではないので、常に成果の最大化を目指さなければいけません。

営業は、テレアポをしたり無理に商談にこぎつけなくとも、「この人なら何とかしてくれる」という信頼関係さえあれば引き合いは生まれるものだと考えています。

弊社では独立採算制を採用しているので、メンバー全員が同僚でもあり、またクライアントでもあります。そのため、メンバーそれぞれが社内外問わずに、自分はこういった価値を提供できるということを積極的にPRしていく必要があります。

例えば、自分の過去の実績をコンテンツとしてまとめSNSにシェアする、最近取り組んでいる案件の進捗を周囲に報告するといったことは、周囲の人に脳内SEOで1位を獲得するために大切な手段です。

周囲の人が何かしらの課題を抱えた時に、脳内でポジティブな感情と共に、思い浮かべてもらうことができれば、引き合いは必ず入ってくるでしょう。

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