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「あるタイミングで、この会社は解散します」それでも私がMOLTSをやる理由 | 寺倉そめひこ

※この記事はMOLTSのコーポレートにて、2019年9月5日に投稿した記事の転載となります。(https://moltsinc.co.jp/news/4631

2016年3月にデジタルマーケティングファーム MOLTSを設立、個人としてオウンドメディアを軸に累計30社以上の事業成長に貢献し、複数の事業構築に関わるのは、MOLTS代表取締役 兼 CSOの寺倉そめひこ

「美味い、酒を飲む。」という理念を掲げ、「誰と、何を成し遂げるのか」を大事にしているそめひこであるが、一方で「あるタイミングでMOLTSを解散する」とも語る。

なぜ彼はMOLTSをつくり、そしてなぜMOLTSは解散を決めているのか――。その理由に迫る。

「仲間たちと一緒に喜びを味わいたい」理想の環境は自分でつくるしかないと思い、MOLTSを立ち上げた

―― あらためて、これまでのキャリア遍歴を教えて下さい。

大学時代は組織論やマネジメント論、会計など、経営学を全般的に学んでいました。そして京セラが実践しているアメーバ経営と出会って、その思想と経営管理システムに惚れてしまって、大学卒業後は京セラグループのコンサルファームに新卒入社しました。

ただ、そこはすぐに辞めてしまって。次に入社した広告代理店も1年程度やって退職。それからわけあって知識、人脈、経験なにもないところに飛び込もうと思い職人の道を選び、藍染を1年半やりました。あらためて振り返ると、やばい人生ですね(笑)。

藍染時代にWebを使ったマネタイズを考えていた時に、検索して出てきたのが前職のWeb制作会社LIG(今は様々に事業を展開している)が運営しているオウンドメディア『LIGブログ』。すぐに「この人たちとなら凄いことができそう!」と思って、2013年にエントリーしてLIGに拾っていただきました。

はじめはWeb制作の案件獲得が目的だったLIGブログを、メディア単体でマネタイズしたり、そこで培ってきたノウハウを活かし新規事業を作ったりしていました。そしてメディア事業部長、人事部長を経て、同年9月からは執行役員を務めました。もう毎日が楽しすぎて、チャレンジングで、自主的に深夜まで仕事をして帰って寝て起きて5分で出社する、みたいな働き方を続けていましたね(笑)。


―― そこからなぜMOLTSを立ち上げるに至ったのでしょうか?

「消去法で自分でやるしかない」と思ったからです。LIGに自分がいない方がいいと思い、退職を決めました。退職を決めたあとに次のキャリアを考えたのですが、具体的に「これがしたい、こういうキャリアを歩みたい」というのがなく、「誰と一緒に、何を成し遂げるんだっけ」というのが自分の中では昔から大事だったことに改めて気づいて。

何かを成し遂げたときに、そこにいる仲間たちと一緒に喜びを味わいたいし、そういう人生の点となるタイミングが、振り返れば多く濃くあったほうがいい人生になるなって思っていて。

だけどコンサルのときも代理店のときも、仲間と喜びを味わえるような機会がなさそうだと感じて、若気の至りですぐに辞めてしまいました。

LIGを退職すると決めたあと、複数の会社さんからオファーをいただいたりもしました。 でも実際に何度も話し合いを重ねるうちに、「自分はその事業に腹の底から共感しているか?」「今が本当に転職のタイミングなのか?」といった迷いも生じるようになって。 あと、LIGで自由にやりすぎていたので、転職先でちゃんと馴染めるか?みたいな部分でも、最後まで悩んでいました(笑)

なので、悩んでいる要因を一つずつ洗い出して取捨選択していくと、結局「独立」が最後まで残ったんですよね。だから、消去法で独立しました。

ただ、当時会社を立ち上げるために必要な20万円ほどのお金がなくて。誰か出してくれないかな…と思って考えていたら「会社設立freee」を見つけて。会社に事前に許可を取った後に提案書を作って「会社をつくるので、会社設立freeeの記事広告やりませんか!記事広告代と必要経費として20万ほどかかります!」と持って行ったら、通ってしまって。

そんな経緯があるので、MOLTSは消去法と、freee株式会社によって作られました(笑)。

※MOLTSを作った時に書いた記事広告
【保存版】株式会社を設立したので登記方法や手順、費用などを解説します

誰よりも愛を持っていたメディアが閉鎖。不甲斐なさから眠れない日々が続いた「あんな涙はもう流したくない」

―― MOLTS創業時は、どのような事業でスタートしたのでしょうか?

仲間と一緒に喜びを味わえるような体験をしたい」ことしか頭になかったので、「喜びを分かち合ったら大人なら酒を飲むよね」みたいなことから「美味い、酒を飲む。」という理念を決めました。でもそれ以外ほとんど何も決めてなくて。

そもそもどうやって飯を食っていくか、どうやって稼ごうか、と考えるところからのスタートでした。

とりあえずできることから始めようと思い、まずはこれまでやってきたオウンドメディアマーケティング、そしてダイレクトリクルーティングやリファラルリクルーティングといった採用系の2軸でクライアントへ価値提供をして生きていこうと決めました。その間、いろいろな方にお声がけさせてもらいながら案件獲得をし、ご飯を食べていました。

設立して最初の3〜4ヶ月はずっとひとりだったんです。採用活動をしてなかったわけではなく、設立初日からWantedlyで求人コンテンツを公開し、初日でWantedlyランキング1位になったり、70名近くの方からエントリーをいただいたりと反響は大きくありました。

そこから採用に繋がる方はいなかったのですが、コンテンツの反響から知人たちが直接声をかけてくれて、最終的に半年立たない期間で一人目のメンバーを迎えることができました。

やはり、最初のメンバーって嬉しいんですよ。自分の会社に人が来てくれることってこんなにも嬉しいのかと思いましたね。入社の手続きとか初めてなので超絶めんどくさかったんですが、それでも嬉しさが勝ってたので全然苦にならなくて。

初めてのメンバーが入社して2週間くらいの時に喜びのあまり「今期はこれだけ利益が出そうだから、1円も残さず海外へ社員旅行に行こうぜ!」と意気揚々と伝えてたのと同タイミングで、社員の子から「私行けません。飛行機乗れません。…妊娠したので。」と妊娠報告をされました。とてもおめでたいことでしたけれども、あの時は「おめでとう!」より先に「…えっ」という言葉が出てしまい。

創業期のドタバタ感は妊婦にはやはり危なく、そのまま退職届けをいただいて。結局初年度の社員旅行はなくなり、今も社員旅行に行けてません。いつか行きたいですね、その子も誘って(笑)。

―― 創業して今にいたるまで、MOLTSを振り返ってみていかがですか?

この3年半、2週間でオフィスを強制退去させられたり、クライアントに迷惑かけてしまって全額返金させてもらったり、新規事業を開始しては止めたり、まあいい意味でも悪い意味でも出会いも別れもありました。

そういうことがありながらも、ありがたいことに今いる取締役の松尾、永田、菊池などがMOLTSに入ってくれて、他にも自分よりも優秀な方々に恵まれ、自分一人だとできなかったようなことも仲間がいることで実現できることが増えました。メンバーも増え、最初はオウンドメディアしかクライアントに貢献できる手段がなかったですが、事業戦略からマーケティングポートフォリオを組み、解析から運用型広告、LPO、CRMなど、クライアントへの価値提供の幅は増えました。

現在13人のメンバーで、自分たちが関わるプロジェクトの、デジタルマーケティングを通して創出するクライアントの売上規模は月130-140億円(2019年9月現在)となりました。3年半前は1円もクライアントに還元できていなかったと振り返ると、えらく遠くに来た気もするし、まだまだ全然近場で騒いでいるだけのような気もするし。

正直にいうと歯を食いしばる量も質も年々あがってきていますが、それでも深夜ワクワクして眠れないような日々がまだまだあったりして、ずっと青春を感じ続けられているというか。終わりが見えないくすぐったい心のありようをもって前に進めさせてもらっているので、とてもありがたい日々をMOLTSと、そしてみんなと共に過ごさせてもらっています。

―― 逆にプレイヤーとして活躍されている領域ではどうでしょう?

多くのクライアントへ価値提供ができていると思う反面、不甲斐ない思いをした案件もあります。

それは、MOLTS創業時からアドバイザーとして入らせてもらっていた『フミナーズ』という睡眠専門メディアなのですが、関わってから2年かからず実質10万UUから400万UUへのメディアへと成長することができた矢先、様々な事情があって、最終的にはメディア閉鎖という意思決定をクライアントにさせてしまいました。

事情に対する打開策はあったのですが、ただただ時間が足りなかった。振り返れば意思決定の速さや、人や企業を動かす強さが足りなかった。メディアを継続させるという意思決定に持っていけなかったことに、本当に不甲斐なさを感じました。

この5年で、閉鎖した日ほど泣いた日はないし、申し訳なさで押しつぶされそうになった日もないし、成長させてもらった日もないです。

アドバイザーとして関わらせてもらって、事業が終わってしまう。対価をもらいながらも、成果を出す機会を潰えさせてしまったのはつらすぎました。クライアントはとても良くしてくれましたが、自分自身の未熟さを憎みました。あんな涙はもう二度と流さないという想いで、今は前以上に強気に攻めるようになった気がします。

視座を高く持つこと。辛くて、しんどいことを乗り越えたとき、大きな達成感を得たときの酒はやっぱり美味い。

―― MOLTSの理念である「美味い、酒を飲む。」とは、そもそもどういうことなんでしょうか。

美味い酒って、自分たちができるかどうかわかんないことを成し遂げたり、期待以上の成果が出たりした時に、ようやく飲めるものだと思っていて。

僕らがすでにできることで、クライアントの課題解決をしたとしても、それでは美味い酒が飲めない。クライアントは飲めても、ユーザーは飲めても、僕らは飲めない。「より美味い酒を飲むには」という考えから物事を発想し、視座を高く持って取り組むことが大事だなと考えています。

なので、クライアントが求めることに対して「もっと上を目指しましょう」というコミュニケーションをとる機会は多いんです。たとえばtoBリード獲得の最大化を行うオウンドメディアを立ち上げて、1年目で月100件を超えるリードを獲得できたため、クライアントから「2年目の目標は倍の月200件のリード獲得にします」と言われた時がありました。

しかし、それじゃ美味い酒は飲めないなと思い。1年で2倍にするとか、僕はやったことあるし、会社や事業や組織体制をみて、まだまだやれると思った。そこで「月1,000件のリード獲得を目標にしましょう」と提案したんですね。実際は400件の目標に落ち着きましたし、400件も思っていた以上に難しくて。「1,000件の目標じゃなくてよかった(笑)」と思うくらい容易な取り組みではありませんでしたが、様々に頭を捻って動いて、なんとか400件を達成することができて。

4倍は結構難しかった、でもできた。だから、美味い酒が飲めた。これが200件だったら、お互いに中途半端な感じで終わっちゃっていただろうねって、今でも思いますね。

そういう「クライアントが求めている成果レベルも、全体をみて、背伸びしたらいけそうじゃないかと思ったらガンガン持ち上げていく」こともMOLTSがクライアントに関わる価値の一つだと思っていて。

無茶することはひずみが生まれてしまうのでよくないですが、背伸びした目標は、人とチームを育てていきますし、目標を一緒につくるのも我々の仕事。クライアントも含めたチーム全体の視座が高くなり、取組みがどんどん濃くなっていくんですよね。

実際、中長期的に関わるクライアントから「これだと美味い酒は飲めないですね」「美味い酒を飲むために、こうしましょう」という会話が起こるケースもあります

そうなると、目標達成をしたときに「達成しましたね」だけではなく「次はさらなる高みを目指しましょう」とより高いステージを見るコミュニケーションが追加される、つまりは美酒に酔うんですよ。

そして、一度できたことは再現性を持たせていくことで「できること」が増えていきます。できることが増えていくと、美味い酒を飲むためによりレベルの高いチャレンジに挑めるようになります。

その繰り返しによって、さらなる美味い酒を飲むことができると思いますし、クライアントや自分たちが求めていたこと以上の事柄が起きていきます。最高ですよね、そういう関係性のクライアントが何社もあって、頭抱えることも多いですが、ワクワクしますね。

予想もできないことにチャレンジし続けていき、X年に仲間たちと世界一美味い酒を飲むことだけ考える

―― MOLTS設立時の「MOLTSのメンバーたちと一緒に喜びを味わいたい」という想いは、この3年半で達成できましたか?

3年半で得られる喜びは、たかがしれていると思っていて。そんな喜びのためにMOLTSを立ち上げたわけじゃないです。

メンバーには具体的な年まで伝えているのですが、MOLTSは永続的に企業存続させようとは思っておらず、あるタイミングで解散するつもりです。

そのため、いまは個々のプロジェクトで、クライアント、パートナー、そしてプロジェクト単位で関わる他のメンバーとチームを組み「美味い、酒を飲む。」ということに重きを置いていて全体が動いています。その積み重ねの先に、全員で最後の勝負をしかけて、解散する年にみんなで世界一の美味い酒を飲もうと言っています。つまり、いまは「世界一美味い、酒を飲む。」というMOLTSというストーリーの過程なんですね。

解散した後にまたMOLTSっていう会社を立ち上げるかもしれないですし、全員リタイアしているかもしれない。でも「美味い、酒を飲む。」のは毎日ではなく、一時の話。だから、どのタイミングで世界一の酒を飲むのか、ズルズル行かないように終点を決めることに、弊社の理念だと意味があると思っています。

まあ、正直どうなるかっていうのはわからないですし、なんならその前に終わっているかもしれませんが、今はそこだけをめがけて、戦略を練って走っています。

―― 解散のタイミングは、直近5年以内とかでしょうか?

もっと先です(笑)。

―― 今後の展望について教えて下さい。

まず個人の展望でいうと、オウンドメディアという領域において僕もプレイヤーとして実案件をもっています。そしてこれまでの経験を通じて、オウンドメディアは様々なことを解決できるものだと感じており、支援側か事業を作る側は別にして、これからももっとオウンドメディアの可能性を突き詰めていきたいと思っています。

実際、ある程度の企業規模でも「利益が5倍以上になった」「売上のトップラインが3倍以上になった」「事業のコアコンピタンスが変わった」「チーム規模が10倍以上になった」「株価があがった」みたいな事象に「オウンドメディアがあったから」と言える実例をいくつももっていて。そして、成果の先に企業が、チームが、人が変わっていく姿があって。それを見ているのは個人としてとても嬉しく

「シュリンクしていく業界を変える」「赤字危機の企業を救う」「マイナス成長の市場をプラスに変える」とか、そういう観点でオウンドメディアってどうあるべきでどう作っていくべきかを考えたり手がけたりするとわくわくして。

そしてMOLTSとしては、実は新規事業を立ち上げたのですがストップしていて。デジタルマーケティングファームとしてクライアント貢献し続けてきたからこそ、我々ならすぐにでも、なんでもできると思っていましたが、エージェンシーが事業を生み出す難しさを改めて理解しました。

お金が必要だし、人が必要だし、その二軸に対して思いっきりが必要ですね。この思いっきりを、エージェンシーから入ると、片手間になりがちで。

着実に前に進めることはできても、中途半端になりがち。それだと、美味い酒なんて飲めるとは思えない。そう思えないなら滾らないし、滾らなければうまくいかない。

なので、今期は出資先とMOLTS全体の土台作りに専念して、来期には思いっきって、新規事業に挑戦していければと思っています。早くて今年、来年、再来年には大不況がくると我々は思っていますが、その様子も見計らって、ですね。

どこに勝負をしかけるかは既に決まっていて。あとは、やり切りるだけですね。ワクワクしていますよ。

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