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Modelmap 事業内容解説 ~問題編②~

<Modelmap 事業内容解説 ~問題編②~>

この記事では、前回の問題編①に続き、不毛なエクセル作業の根本的な原因ついて詳しく説明をしていきたいと思います。問題編①から問題編②を合わせて結論だけ短くまとめると以下のような形になります。

① 金融業界、特に M&A 業界では、エクセル職人達が毎回0から数式を頑張って書いている。
② 世界中のエクセル職人は 200 万人以上いると推定され、人件費ベースで毎年 2 兆円以上のコスト!
③ 諸悪の根源はエクセルだ!自由すぎるフォーマットと、見えないデータリンクに振り回されている。


<諸悪の根源>

前回の問題編にて、金融業界だけでなく、世界中の企業内でエクセル職人達が活躍し、スパゲッティが大量生産され、毎年世界規模で 2 兆円が費やされているという問題について解説しました。どうしてこうなってしまったのでしょう。諸悪の根源はどこにあるのでしょうか。数千時間を財務モデリングに費やしてきた私達の結論はこうです。

犯人は「エクセル」です。



エクセルは非常に便利なソフトです。電卓代わりにもなるし、買い物リストだって作れるし、在庫管理だって出来ちゃいます。ワードのような文章を作ることもでき、グラフも作れる。ピボットテーブルでデータ集計まで可能です。あまりに高機能なため、皆がこぞって多種多用な使い方をしています。何が言いたいかというと、エクセルは、少なくとも当初の目的として

「複雑な計算のために開発されたソフトではない」


ということです。少なくとも財務モデリングを行う上で、エクセルのインターフェイスは致命的な欠陥が 2 つあると考えています。

①フォーマットがきちんと定義されていない
②データ間のリンクが極めてわかりづらい


<①フォーマットがきちんと定義されていない>

エクセル上では、ありとあらゆるセルに、大抵のデータ入力をすることができます。あそこに文字列、こちらに数値、あっちには%が入っていて、そっちには数式を入力。ここにグラフがあって、そこにはデータテーブルがあって...。これでは紙(神)資料を作成するには万能ですが、データを統一的に扱うことは極めて困難です。

財務モデリングにおいても、明確なルールというものが存在せず、世界中のエクセル職人が俗人的に作ります。フォーマットもバラッバラです。「うそだろ...」と思う方のために、「Financial Model Excel」を Google で画像検索してみました。バリュエーション豊かな作品集をお楽しみください。


<Sample 1 - オシャレ系>


<Sample 2 - ストイック系>


<Sample 3 - テーブル系>



<②データ間のリンクが極めてわかりづらい>

エクセル内では、他のセルの情報を、縦横無尽に参照することができます。しかし自由度が高すぎるため、どのセルからどのセルを参照しているのか、表を眺めているだけでは分かりません。エクセルにはデフォルトの機能として、参照先を矢印で示す機能がありますが、それを用いて表示をすると、以下のような表示となります。



スパゲティ状態ですね。シートをまたがった参照も多用されているため、これらの計算を確認するためには、肉眼で1つ1つ参照されているセルを、エクセル上で追いかけていくしか方法がありません。大事なことなので、もう一度言います。

肉眼で、1つ1つセルを追いかけていくしか、確認方法がありません。


直感的かつ、視覚的にもっと分かりやすい表示は、絶対にあるはずです。しかし、エクセルのインターフェイスはそういう風に出来ていません。なぜか?もともとそういう目的で開発されていないからです。私達は、財務モデリングに特化したソフトウェアには、エクセルとは異なるインターフェイスが必要だと、以前から感じていました。


<最悪の結末>

もう一度、前回の問題編①で、例として示した財務モデルを見てましょう。



前回見たエクセルですね。エクセルを使っている以上、フォーマットがきちんと定義されていないため、各シートごとに自由なデザインが用いられています。また、シートの中身も、もう一度見てみましょう。



1つ1つのセルが、縦横無尽に参照し合っています。しつこいようですが、エクセル上表示できるのは矢印のみで、最終的かつ唯一の確認方法は、肉眼で数式とセルを追いかけていくこと、です。最後に、セルの中身の数式を見てみましょう。

=IFERROR(HLOOKUP (Return!G2,BS!$F$2:$Y$24,ROWS (BS!G2:G21),FALSE) ,0) *(Assumption!$F$227="investor") *(G2=DATE (YEAR (Assumption!$F$18) + Assumption!$F$13,MONTH (Assumption!$F$18), DAY (Assumption!$F$18)) -1)


上記は数式の1つであり、合計で 6,318 個の式が全部で入っています。ここまで来れば、私達が何を言いたいのか、だんだんお分かりいただけたでしょうか?

こんなエクセルは、誰も編集したくないんですよ。


仮に、似たようなプロジェクトを運よく行うことになったとしましょう。幸い、自分にはこの前作った財務モデルがあります。過去、自分が作ったものであればギリギリ保守できるかもしれません。しかし、6,318 個の数式が自由なフォーマットで縦横無尽に繋がっているファイル(厳密には、繋がっているかどうかすら判別できないファイル)なんて、1ヵ月経てば絶対にどこかのロジックを忘れます。もし、これが先輩が作ったモデルで、上司に「これをベースに改修をしてくれ、ついでに中身に間違いがないかチェックしろ」何て言われたら、デスマーチ確定です。そんな訳の分からないものを紐解いて改修する時間があるなら、普通の人はこう思います。

「1 から自分で作り直そう★」


これが繰り返されることで、「作成者にしか分からないモデル」が、世界中で量産されていきます。

根本的な問題は、使い回せないことです。

プロジェクトごとに数千個の数式が縦横無尽に繋がっているため、分解することができません。例えて言うならば、1つの Class 内に 6,000 ステップが全て詰め込まれており、Go To によって数百回至るところであちことへ飛ばされてしまいます。それでも、上下移動のみで、左右の移動がないだけエクセルよりマシだと思いますが...。このため、財務モデルというものは、基本的にプロジェクトごとに使い捨てられ、誰かが過去に数百回作ったであろう計算を、また1から自分で打ち込みなおす、という事態が起こっています。

これが2018年現在、エクセル職人達が未だに活躍している理由です。しかし、問題点がクリアになった以上、絶対に解決策があるはずです。次回は、Modelmap がどのようにこの問題を解決しようとしているかについて、詳しく解説をしたいと思います!

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