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【対談】組織の差別化に重要なのは「人」 ──ログラス代表布川友也×前田ヒロ

今回は、今まであまり公表してこなかった、弊社投資家前田ヒロさんがなぜログラスに魅力を感じて投資して頂けたのかについて、私、代表の布川と、ログラスに投資してくださっているALL STAR SAAS FUNDの前田ヒロ氏との対談をお届けします!!!

ヒロさんがログラスに投資を決めたポイントや、成長するSaaS企業に必要なこと、私が大切にしていることや今後のビジョンなど、さまざまなことをじっくり語りました。

タイトルにもありますが、企業そして組織はやはり「人」で構成されていますので、ここにこだわり抜くことが大事だよね。という話もしていきます。

目次

  1. 前田ヒロとログラスの出会い
  2. 前田ヒロが語る伸びるスタートアップと投資のポイント
  3. 異次元のエンタープライズ進出を実現するログラス
  4. 大事なのは売上よりもリテンション
  5. プロダクトが難しいからこそエンジニアを刺激する
  6. 自分からボールを拾いにいく意識があるか
  7. 「ログラスマフィア」が生まれる組織に
  8. ログラスでは多数のポジションで募集をしています!!

前田ヒロとログラスの出会い


布川:
ヒロさんとは、ラクス取締役の松嶋祥文さんがきっかけで知り合ったんですよね。私が飲み屋で松嶋さんに「資金調達したいんです!!」と話したら、ヒロさんを紹介してくれました。

今思い返せば、あれば全ての始まりでした。松嶋さんありがとうございます!!!!

前田:
それはうれしいね。松嶋さんから「すごい起業家がいるよ」と紹介されたのを覚えてます。


※最高値を更新し続けるラクスさんの株価・・・5,717億円凄すぎます

布川:
そんなリップサービスをされていたとは(笑)。はじめて会ったのは2019年の3月。最初にZoomで少しお話しして、後日、東京駅の新丸ビルでCTOの坂本と3人でお会いしたんでしたよね。

前田:
当時を思い返すと、初めて布川さんに会ってみて、少し地味に感じる経営管理・会社の財務プランニングのことをここまで熱量を持って語る人ははじめてだと感じました。しかも、熱量が高いだけじゃなくて理解も深い。あとで詳しく話しますが、この点がログラスに投資する決め手になりました。

布川:
ありがとうござます。僕はベンチャーキャピタリストの方々に詳しいわけではなかったのですが、起業をしている知り合いが「SaaS界隈のトップVCといえば、ヒロさんかあと数人しかいない」と言っていて、ラクスの松嶋さんにバイネームで紹介していただいたのもその話を聞いていたからでした。

当時は複数VCと会っていたのですが、皆さんビジネスモデルを深掘りして聞いてくる人が多い印象でした。

一方、ヒロさんはそれ以上に「人」を見ることに力点があると感じましたね。「なぜこれをやりたいのか」、「布川さんはどうしていきたいのか」といった、ロングスパンかつ起業家としての僕自身にフォーカスした質問をしてくれたことが印象に残っています。

スタートアップは、短期的な業績は会社の事業によって差があるけれど、とにかく「やり続けること」が一番大事。ヒロさんとはその視点を共有できていて、今も昔もログラスを信じて支え続けてくれていると感じます。

前田:
VCを10年も続けていると、短期的なイグジットが面白くなくなってくるんです。それよりも、歴史に残るような会社とどのくらい関われるかが今の自分のモチベーションになっていて。

ALL STAR SAAS FUNDは「起業家とともに、100年続くSaaS企業をつくる」をスローガンに掲げています。だから自分がいなくなったあとも存続しているような会社に投資していきたいんです。

前田ヒロが語る伸びるスタートアップと投資のポイント

布川:
スタートアップに投資をする時はどんな点をみて判断しているんですか?


前田:
大きく3つあります。一つ目は、時とともに需要が増していくかどうか。50年後もニーズが拡大しているかどうかを見ています。その意味では、ログラスが背負っているものは株式会社が存在している限りずっと続く課題ですよね。

二つ目が、経営者に熱量や長期的な視点があるかどうか。布川さんとの最初のミーティングで、キャラクターやモチベーションをしっかり確認したのはこのためです。話すなかで、この人は簡単に諦めないだろうなと感じたし、仮に誰かが「30億円で買います」と言ってきても売らないだろうという熱量が伝わってきました。

三つ目が、顧客理解の高さ。SaaS企業の差別化要素は、最終的には顧客に寄り添ったプロダクトとカスタマーサクセスを作れるかどうかにかかっています。お客様が大好きで、彼らの属性を深く理解していて、良いプロダクトと組織を作っていくモチベーションがあることが大切ですね。この点も、ログラスはしっかり持っていたと思います。

異次元のエンタープライズ進出を実現するログラス

布川:
なるほど。とはいえ、当時のログラスは売上がまったくありませんでした。投資にリスクは感じませんでしたか?

前田:
もちろん不安もありましたよ(笑)
でも、ログラスならなんとかするだろうと思っていました。プロダクトのデモの完成度が高かったし、細かい機能にもユーザー目線が行き届いている。「このチームなら絶対に良いプロダクトを作る」と感じさせるポテンシャルがありました。

ただ、マーケットサイズのリスクは気にしていたかな。中小企業だけで使われるプロダクトになって、売り上げ30億ほどで頭打ちになっちゃうんじゃないかとは思っていました。

今となってはまったくの杞憂でしたけどね。ほとんどのSaaS企業がプロダクトのACV(年間契約金額)で1,000万円を超えるのに4〜5年かかる中、ログラスはたった3ヶ月で達成した。この時点で、不安は完全に払拭されました。

布川:
ACV1,000万円超でご契約頂いた会社様とご契約頂いた時は、その会社に何度も通って熱弁を繰り返していました。「機能は他社に負けているかもしれませんが、御社に合った開発をできるのはうちだけです」と言い続けました。それだけ、私の中ではその企業様に貢献できる確信がありましたし、絶対にお取引して欲しいと思っていました。

結果的にとても満足してくれていて、最近もアカウントの追加、つまり追加契約をしていただきました。

当時はリリースからわずか3ヶ月だったので、機能面では本当に競合に遅れをとっていたと思います。それでもお客様に自信を持って全力で向き合い、その姿勢を徹底し続けることで契約を獲得できたのは良かったと感じていますし、今では全社での活用に向けてステップアップしています。

前田:
最近はエンタープライズへの導入も進んでいるしね。だから今はまったく心配していません。

大事なのは売上よりもリテンション

布川:
ヒロさんからみて、成長するSaaS企業にはどんな特徴がありますか?

前田:
トップの時価総額を獲得している企業をみた時、共通しているのはNRR(売上継続率)が高いこと。それはお客様がすごく信頼してくれていて、その会社の新サービスをどんどん購入して使いこなしていきたいというニーズの表れです。

ログラスのNRRも100%をはるかに超えていて、高い数値ですよね。信頼が数字に反映されていますし、グローバルな指標で見てもクリアできていると思います。

エンタープライズにいけるかどうかもグローバルトップ企業の特徴の一つ。やっぱり、中小企業だけで成り立っているサービスはすごく少ない。ログラスは早い段階からエンタープライズへの導入が進んでいて、これはトップクラスのSaaS企業と共通する特徴だと思います。

布川:
お客様との信頼関係を大切にしているのは、私自身がもともと経営企画だったことが関係しているかもしれません。本当に悩んでいる企業と、そうでない企業はすぐに見分けがつきます。買いたくないお客様に無理に売っても、NRRは上がらないですし。

それから、営業するうえで最初から全アカウントを展開するのか、ミニマムで経営企画だけで使うのか、二通りの方法があります。企業様によっては、後者で対応しています。

お客様側からすればミニマム導入ができることは嬉しいはずです。
弊社側としても一度使い始めたら、お客様側で手放せなくなる自信があるので、まずは入れていただいて、徐々にアカウントを広げてもらうんです。ログラスのNRRが高いのはこのおかげかもしれませんね。

ヒロさんもNRRを重視している通り、大事なのは売り上げよりもリテンション。新しく入社した営業にも、前向きでないお客様にゴリゴリ売らないよう指導していますし、そういうカルチャーは作れているのかなと思います。

プロダクトが難しいからこそエンジニアを刺激する

※左からエンジニアの松岡、澤田、CTOの坂本、奥には商談する布川


前田:
ログラスはエンジニアチームが非常に強いのも特徴ですよね。業界トップクラスのメンバーが揃っています。

布川:
そうですね。
チーム全体に対するエンジニア比率が高いことに加え、一人一人がめちゃくちゃ強いと思っていますね。創業メンバーの3人目の勝丸がインフラエンジニアなんですが、彼はインフラだけでなくアプリケーションのコードも書きます。その後のメンバーも得意領域を持ちながらその他の領域もカバーできるフルスタックな人材を採用できており、このフェーズでそこがうまくいっている企業は少ないと思います。

※創業3人目で入社したインフラ×アプリケーションエンジニアの勝丸


前田:
今いるエンジニアのほとんどが、プロダクト開発に関わるのはこれで2つ目か3つ目だよね。経験者が多いから、みんな先回りしてリスクやパフォーマンスを意識しながら開発できている。なかなかスタートの段階でこういうチームはいません。

布川:
組織の急拡大を経験したエンジニアが多いことも特徴ですね。
元クラウドワークスの開発執行役員を務めた経験もある飯田が創業期に入社したことで、組織的に起こり得る課題に前もって対処できていることも強みです。

※何の意味もない図を書いているエンジニアの飯田


あと、「これ作りたい」と言った時に、エンジニアチームから「無理です」と言われることがほとんどないんですよ。一般的にSaaSがエンタープライズに売れない原因の一つはプロダクトのパフォーマンスにありますが、ログラスではこの心配は一切していません。

私自身も、例えばエンジニアが「工数を使って技術的負債解消をした方が良い」と言えば素直に従います。プロダクト開発においては、彼らの方が何枚も上手なので言うことを聞かない理由がありません。

※左からエンジニアの大島、飯田、坂本、松岡、布川

前田:
強いエンジニアが採用できている理由は?

布川:
これはCTO坂本の功績です。彼は元ビズリーチの人間で、採用へのモチベーションが本当に高いんです。坂本はエンジニアとしてもハイレベルな人材ですが、今は採用にフルコミットしていて、コードはまったく書いていない。そういう人材が創業メンバーにいたことは大きかったですね。

※ログラスCTOの坂本

組織の差別化に重要なのは「人」だと思っています。ビジネスモデルはSaaSで概ね決まっていますし、ペインポイントが見つかれば後はあるべき姿に近づけるために高速で課題を解いていくことが重要です。そんななかで優れた組織を作るには、徹底して良い人を採用し続けることが大切ですよね。

創業期はエンジニアの比率を上げた方が良いと考えていたこともあります。シリコンバレーで活躍しているAnyPerk(現Fond)創業者の福山太郎さんも、「最初はエンジニア8:ビズ2でいい」とずっとおっしゃっているんですよ。

(詳細版)「ARR 一億円を超えたSaaS企業が立ち向かう壁」〜 FOND 福山太郎とBEENEXT 前田ヒロのセッション メモ|伊藤浩樹(H.Ito)|note
9/26(水)に 前田ヒロさん主催の SaaS特化カンファレンス「SaaS Conference Tokyo 2018」のプレイベントに参加しました。 「ARR 一億円を超えたSaaS企業が立ち向かう壁」〜 FOND 福山太郎とBEENEXT 前田ヒロのセッションということで、FOND 福山太郎さんが圧倒的な情報量で色々至言を尽くされていたのでメモ。かなり載せたので頑張って読んで ...
https://note.com/itokin/n/ne81c4e6387f9
##ARR1億達成時の組織構成:営業は少なくする。営業マンの数に売上を依存する組織にしないこと
・ファウンダー+エンジニア6-7名、営業2名、CS(カスタマーサクセス)1-2名の10名くらい
- プロダクトに一番投資をすることが大事

実際に周りを見ていると、契約ばかり取れてしまってプロダクトが進んでいないという状況に陥っている企業も少なくありません。これは地獄で、負のサイクルに入ってしまいます。契約が取れてしまうから採用に時間を使えない、採用ができないと少ないエンジニアを開発だけに回さないといけない、でもエンジニア採用はエンジニアにしかできない、開発が遅れて解約が出る・・・という負のサイクルです。

ログラスはそうなりたくないと思って、資金調達をするならまずはプロダクトをしっかり作ろうと決めていました。そのおかげで、採用にコミットしてエンジニアをきちんと採用できたのはあるかもしれません。

前田:
プロダクトに興味を持って入社する人も多いんじゃないですか?

布川:
それもありますね。ログラスのプロダクトって、めちゃくちゃ難しいんですよ。創業期にメルペイの青柳さんに「開発するの難しそう・・・」って言われました笑。
だけどエンジニアの中には複雑で構造が難しいものを作りたい人が一定数いて、そういう人に刺さっていると感じます。

※エンジニアの松岡

それから、ログラスには松岡幸一郎(@little_hand_s)という素晴らしいエンジニアがいるのですが、彼は「ドメイン駆動設計(DDD)」という手法を積極的に広めている一人です。面接でも「松岡さんの記事見てきました!」というエンジニアが多く、そうした競争力もあると思っています。

自分からボールを拾いにいく意識があるか

前田:
ログラスでは、今後どういう人を採用しようと考えているんですか?

布川:
最近、採用基準を作り直しているんです。
今も悩みながらたくさんの候補者とお会いしていますが、採用したいと思う人に共通しているのは、自ら情報を取りに来て仮説構築ができることですね。ログラスが戦っているのは、情報が雑多で正解がないシードラウンドの世界。だからこそ仮説を立てたり、必要なファクトを集めたりできる人に来ていただきたいです。

他に重視しているのは、創業当時にヒロさんから聞いた「素直さ」。誤解を恐れずに言うと、経験がある人ほど素直さは失われていく気がしていて。経験と素直さの塩梅をどうとるか、日々悩みながら採用と向き合っています。

前田:僕は優先すべきは素直さだと思います。学習能力が高ければ、採用時にスキルフィットしなかったとしても、時間がかかったとしても、何かしら活躍できるようになるので。僕だったら、採用時の経験値が高いことよりも素直で自分を成長させられる人を選ぶと思います。

布川:なるほど。ヒロさんはいろんな投資先を見ていますが、伸びる組織の傾向はありますか?

前田:成長力や素直さに加えて、助け合いの気持ちを持っていることが重要ですね。SaaSは部署間の連携が多く、時には自分の仕事の外に出ていって積極的に調整しないといけない場面もあるので。

今のログラスはすごいペースで成長しているし、組織もあっという間に100人規模になるんじゃないかと思います。そうすると、多分色々なボールが落ちてくると思うんですよね。その時、一人一人がボールを拾っていかないと、課題だけがどんどん積み上がってしまう。課題を意識して自分からボールを拾いにいく意識があるかどうかで、組織の質は大きく変わると思います。

布川:すごく納得感のある話ですね。ログラスではスクラム開発をしているんですけど、助け合いの精神がすごくあって、同じ画面を見ながらコーディングしたり、わからない点があったら忙しくても助けに行ったりすることが日常的にあります。

※現在はリモートワークを中心に開発しています

Wantedlyへのポストも、エンジニアが積極的にシェアしてくれるんですよ。ビズ側採用の求人シェアってエンジニアからしたらどうでもいいことかもしれないけど、ちゃんとやってくれる。貢献意識が強い人が集まっていると思います。とはいえ、職域を超えて相手が何をやっているかを理解する場づくりにはまだまだ課題も感じています。日々模索していますね。

「ログラスマフィア」が生まれる組織に


前田:
ログラスはこれから会社を作っていくフェーズなので、当事者意識を持って一緒に組織を考えたい人にとってはチャンスでもあると思います。そういう人がこれからも集まるといいですよね。最後に、ログラスという会社の将来像をどう考えていますか?

布川:
まず、ログラスは「テクノロジーで、経営をアップデートする。」がミッション。最近は「企業価値を上げる」という言葉で社員に説明することも多いのですが、大きい会社の黒子になり続けるような企業だと思っています。ソニーや任天堂のように表舞台に立つプロダクトは作らないけれど、いろんな企業の底上げをしていく立ち位置です。

一方で、直接サービスを届けるBtoCの会社等もすごく偉大だと思っています。ログラスはあくまでもこのプランニング領域の課題を解決したり、僕や社員のやりたいことを実現したりするための「箱」にすぎません。だから将来的には「PayPalマフィア」みたいに、ログラスに関わった人が外に出て経営者として活躍していく流れが生まれたら素敵だなと考えています。

ログラスで面白いなと思っているのが、会社のSlackで、僕や坂本が他社の株価とかをよく共有するんですよ。ビジョナル社が上場した時も、「うおー!2500億円だ!」みたいに。“株式会社”は人類史上最高の発明で、知れば知るほど面白い。他にもエンジニアが簿記を取得したら報酬を出す制度を作るなど、会社という枠組みに興味がある人を醸成しています。

経営の知識を充足することはその人自身のエンパワメントになるし、ログラスの価値にもつながる。これはすごく良いカルチャーだと自負しています。

前田:「ログラスマフィア」が生まれることを期待しています。今日はありがとうございました。

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