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「家族の健康を支え 笑顔をふやす」ための道しるべに――カラダノート創業の背景

妊娠・育児期の女性向けスマホアプリやWebサイトを運営する株式会社カラダノート。「健康を支える」というビジョンを掲げ、時代ごとにビジネスモデルを変えながら事業を行なってきました。今回は代表取締役・佐藤竜也の創業ストーリーをお伝えします。創業のきっかけは、佐藤が当時感じていた社会への課題感にありました。

ママ向けサービスをつくることで、ほかの家族にも波及する

▲創業時、自宅のデスクを使って文字通り“ひとり”でスタートした

昨今、少子高齢化や健康寿命の延びなどによって、健康に対する関心は高まり、ヘルスケア系サービスもより求められています。株式会社カラダノートは、2008年に創業し、生活支援やオウンドメディアを通して、「家族の健康を支え 笑顔をふやす」というビジョンの実現に向けて事業を行なっています。

現在のメインは、ママ・プレママ向けのアプリやメディア事業で、妊娠・育児中だけで計12アプリを開発(2018年5月現在)。毎日のママと赤ちゃんの情報を届ける「ママびより」、陣痛間隔を測る「陣痛きたかも」、授乳やオムツ替えなどの赤ちゃんのお世話を記録する「授乳ノート」など、月間50万人以上に利用されています。

カラダノートの社員は7割が女性で、管理職比率も4:6(女性)で女性が多いのが特徴。平均年齢は32歳と若く、自社サービスのユーザー層である妊娠・育児期のメンバーが多いこともあり、時短勤務やフレックス制、子連れ出社など、働き方にも柔軟に対応しています。

創業時から健康というテーマで事業を行なってきたものの、本格的に現在の「妊娠・育児期のママ」にフォーカスしはじめたのは2016年頃から。代表取締役の佐藤竜也は「ママ」にサービスを使ってもらうメリットをとても感じています。

佐藤 「健康に関するサービスは、ママがハブになっているケースが多いんです。以前、製薬会社さんに聞いた話では、医師が話す講演会には奥さんが旦那さんのために来るというものもありましたし、血圧管理のアプリを出したときも、『旦那の管理をするから複数人機能をつけてほしい』という声があった。様々なジャンルの中で、一番アクティブ率が高いものも妊娠系のアプリでした。そこで、もちろんその先も考えた中で、まずは奥さん自身の妊娠・育児からやっていくのが一番波及効果は大きいのでは?と考えたんです」

妊娠や育児というテーマは、実は佐藤が起業を決める前から気になっていたもの。ガラケーのSEO事業を行なう会社員だった佐藤が、健康事業の経営者になった背景には、ある思いがありました。

人に相談しにくいからこそ検索される「妊娠」「性病」「うつ」

▲佐藤の小学校時代の文集。正義感の強さは当時から変わらず。今でも「人の役に立ちたい」という思いは一緒

佐藤は学生時代からIT企業でインターンをしており、大学4年のときに新規事業の責任者として、SEO事業の立ち上げを行ないました。起業したいという思いを持っていた佐藤は、事業の種になるものがないかと、ガラケーの検索ワードを調べていました。そのときに上位にランクインしていたのが、心身の健康に関する検索ワードだったのです。

佐藤 「当時流行っていた『着うた』とか『デコメ』といったサービスや有名人の名前よりも、『妊娠』『性病』『うつ』などが上位にありました。当時は携帯電話で何個も検索ワードを並べないだろうと言われていた中で、『小児科 地域名 深夜』みたいなものも結構あって。エンタメ系よりも、そういう“人に相談しにくいこと”の方が気になる人が多いと知って、そこで事業をやってみたいと」

2008年に健康分野での起業を決めた佐藤はまず、製薬会社の知り合いを見つけ、サポートをもらいながらサービス開発に着手します。最初に行なったのは、禁煙の支援や肺疾患の啓発を行なうサービスでした。

佐藤 「タバコ関連の病気に『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』というのがあります。ユーザーが、痰が出る、咳が出る、息苦しいという風に症状で調べたときに、製薬会社が提供するセルフチェックができるサイトにつないで、もし疾患が疑われる場合は病院に行きましょう、という“疾患啓発”の流れを製薬会社さんと一緒につくりました」

そして、製薬会社からの受託開発などで収益をあげつつ、並行して多くの自社アプリを開発。一時は、アプリストアのヘルスケアやメディカル部門のランキングでトップ25に10個以上のアプリをランクインさせるなど、業界内で一定の地位を確保していきました。

その後、アプリに誘導する目的で健康情報サイトを提供しはじめたものの、量で圧倒する他社メディアの勢いに押され、ビジネスモデルの見直しやターゲットの選択と集中を強いられます。そこで選択したのが「ママ」というユーザー属性と、教育や保険、住宅など家族生活に寄与する企業と連携した「生活支援事業」だったのです。

佐藤 「創業時から変わらないのは、人の悩みや不安を解消したいという気持ちです。僕は、小学校のときから警察官になりたかったんですよ。困っている人を助けたいという気持ちがどこかにあって。
大学生になって、『俺はコネで会社に入れる』とか言っているイケイケの同級生に出会ったときに、カルチャーショックというか、挫折してしまったんですね。でも、一緒になってそういう方向に進んでいくのは自分の正義に反する気がしました。そのときに色々と本を読んでいたら、経営者もいいなと思って、勉強のためにベンチャー企業に入ったんです。『人の役に立つことをしたい』という思いは、そのときから変わっていません」

この思いを実現するため、本当にユーザーの役に立つサービス、そしてビジネスモデルを模索した結果、自らがユーザー層になるサービスをつくることになりました。

人をマネジメントする難しさ――事業の停滞期をどう乗り越えるか

▲2018年5月現在の社員。“うまくいかない時期”を乗り越え、社内の働きやすさと働きがいの両軸の追求をしている

2018年現在まで妊娠・育児期にフォーカスして、ある程度支持を得てきた当社ですが、その途中には、うまくいかない時期もありました。特に大きかったのは、社内でのビジョンへの懐疑的な意見だったと佐藤は振り返ります。

佐藤 「当時から健康全般の悩みを解消します、その中でも妊娠・育児にフォーカスしますというスタンスではいたんですが、やっていることが妊娠育児ばかりだったので、『これでは妊娠育児の会社じゃないか。ビジョンもおかしくないか』という声が社内から出てきて。当時のビジョンは長かったので、覚えられないし、社長が勝手に言っているだけだろうと。全社員から責め立てられるみたいな時期はありましたね」

こうした社内からの声は、事業が停滞しているときに上がってくるのだと佐藤は分析します。創業から9年過ぎた今でも感じているのは、人の心の難しさです。

佐藤 「事業が成長している時期は事業そのものや成長性に目が行くんですが、停滞してくるとみんな自分の待遇に目が行くんですね。給料を上げてくれとか。もともとひとりではじめた会社なので、単純に、会社に入って一緒に働いてくれるだけで、ありがたいんです。だから、やりがいを感じられる環境づくりは意識しないと失礼だと思っていますが、売上や利益が出ていないのに給料を上げるのは難しい。そういった事業の踊り場、停滞期を耐えられない人はそのたびに辞めていきました」

佐藤は、社員の給料を上げてあげたいという思いから、役員報酬を削って社員の昇給原資を捻出する経験もしています。しかし、それによって社員の期待値が上がりすぎ、事業成長が追いつかなかったことで辞めてしまうメンバーもいました。

佐藤 「僕の考え方としては、金銭的・精神的にメンバーに報いたいけれども、ビジョンに向かって進んでいって、成長していることが前提。だから2015年くらいに、一緒に考えて定め直すことにしました。決して妊娠育児だけやりたいわけではないということを明確にしようと、社員約20名みんなで一語一句考えたのが今のビジョンです」

働いてくれるありがたさは変わらないものの、社長が成長よりも社員への“奉仕”に意識を傾けることは正しくないと気づき、今のビジョンとミッション(在り方)を作成。これによって方向性が浸透し、ビジョンに向けて前進していく会社に少しずつ変わってきました。

自分の実感値を大切に、全世帯が使えるサービスをつくりたい


▲佐藤家の夫婦会議のアジェンダ。佐藤自身の子育てから事業のアイデアも生まれている

佐藤がサービス開発にあたり大切しているのは、生活の中での自分自身の実感値。これまで開発してきたアプリも、佐藤自身の子育てからアイデアが生まれているものも多くあります。

佐藤 「たとえば『ママびより』(当時の名前は、妊娠なう)というアプリは、うちの奥さんの第1子妊娠時にテストをしていました。妊娠初期って毎日赤ちゃんのことが気になるんですよ。でもアプリで提供している情報量は当時まだ少なかったので、社員に、『妊娠初期は絶対情報量増やした方がいい』と言って、1週間に1回から毎日に変えました。そんなふうに、自分の気づきを活かしています」

そして、こうした気づきをより高いレベルで全員が持てるようにすることが、今後追求すべきこと。当社の採用基準で重視しているのは、スキルよりもマインド(考え方)の面です。しかし、一人ひとりが生産性を高めるためにも、サービスに活かせる日常生活での気づきをより多く見つけ、結果につなげていくスキルを身につけてほしいと佐藤は考えています。

佐藤 「せっかくそのユーザー層であるメンバーが多いので、普段の生活と絡めて、サービスや事業の種を探してくる、アンテナ感度を高めるというスキルは必要だと感じています。
僕はこういう事業をやっている以上、育児に関して普通の人よりはできないといけないというプロ意識は持っていて、たとえば子ども2人ワンオペしてみたりとか、夫婦会議を毎月第4土曜日の22時からやったり(笑)、家庭内で試した育児の極端な事例を、事業に活かそうとしています」

これは当社のバリューである、「仕事もプロ 家族もプロ」という部分に根づいた行動でもあります。実感値を大切にすることで、使う人からの共感も集まるのです。

カラダノートの今後の目標は、全家族(5,000万世帯)に使ってもらうことです。そのためにも、まずママ部門に集中し、中高年などにユーザー層を拡大していこうと考えています。必要に応じて、ビジネスモデルは変えながら、家族の健康を支えるというビジョンは変わらず、今後もユーザーに本当に必要なサービスを届けていきます。


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