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カミナシで取り組んだ6ヶ月。SaaSスタートアップのGo-To-Market 実践編

※こちらの記事はカミナシ公式noteからの転載です(2021年1月3日掲載)

顧客に求められる素晴らしいプロダクトを作れたスタートアップは、次は何に取り組むべきなのでしょうか。

こんにちは、ノンデスクワーカー向け現場管理SaaSを提供するカミナシの河内です。
今回は、そんなお題の記事を書いていきたいと思います。

先日カミナシは数多くのスタートアップ企業が参加したIVS LAUCHPADで優勝することができました。


評価いただけた理由としてプロダクトのUIUXや市場のユニークさに加え、リリース後の約6ヶ月でリード数や受注数、MRRなど事業成長を証明するトラクションを伸ばすことができた点があると思っています。


本記事では、 SaaSスタートアップのGo-To-Market戦略をテーマに初期トラクションを獲得するためにカミナシで取り組んできた実践例を公開していきたいと思います。

はじめに

自己紹介
カミナシには20年7月に入社し、約6ヶ月が経ちました。現在は事業責任者としてビジネスサイド全般に責任を持っています。スタートアップあるあるですが、人事・マーケター・Bizdevなども兼務してます。

これまでのキャリアは、大手上場企業とスタートアップ双方でプロダクトマネジャーや事業責任者などを経験し、プロダクト開発・ビジネスサイドがハーフ&ハーフの幅広めなキャリアを送ってきました。SaaSビジネスとの付き合いは長く、関わり出して早7年目になります。

カミナシについて
カミナシは工場や店舗など現場を持つ全ての企業を対象としたSaaSプロダクトです。
・20年3月にβ版をリリースし、20年6月末に正式リリースしました。
・当時のビジネスサイドの体制は4名(セールス1名+カスタマーサクセス/サポート2名+自分)です。

プロダクトの次に取り組むべきGTMの検証

7月に入社した自分に与えられたミッションは、ビジネスサイドを早期に立ち上げ、この2つを達成することでした。
1.シリーズAで10億規模の調達をするための再現性あるトラクションを作る
2.将来的にARR100億円を目指すための市場選定と戦略を立てる
(※ARR=年間経常収益)

そして、この2つを入社から10ヶ月以内に達成する必要がありました。
なぜなら3年間をつぎ込んだプロダクトを捨ててピボットしたため、ランウェイも多くは残っておらず、早期に資金調達の必要があったからです。
そう、お察しの通りヤバイ状態でした。

↓ピボットに至った詳しい経緯はこちらの記事をご覧ください。


プロダクト・フィットを達成したSaaS企業が、次に考えるべきは『GTM』だ。

当時のカミナシは、半年のβ版期間でプロダクトの価値検証を終え、次に事業成長に向けたGTM戦略(Go-To-Market)を検証していくフェーズでした。
しかし、カミナシでは過去にマーケティング投資をほとんど行っておらず、ターゲット市場にどのようにリーチすればよいか全く未知数。

自分自身、BtoBマーケの経験は多少あったものの「工場長リードってどうやって取れば良いの・・・?」という状態からのスタートでした。

また、単にリードを獲得するだけではなく、次のような事項も検証していく必要がありました。

1.チャネル
どのようなチャネルでどのような見込み顧客層にリーチできるか
2.エコノミクス
そのチャネルでの顧客獲得はLTVとCACのバランスがとれた投資効率性の高いものか
3.市場規模
リーチできる企業数と想定顧客単価を掛け合わせた際に、狙える売上規模は十分か

パイプラインの上から優先的に取り組む

限られたリソースの中でGTM戦略を検証するためには、最初からすべてに取り組もうとするのではなく、優先度を決めて取り組んでいく必要があります。
カミナシでは、パイプラインの上から順に施策を決めて取り組んでいきました。


その理由は、改善サイクルをまわすためには一定数のサンプルが必要なためです。
リード数が足りないと商談の改善はできませんし、顧客数が足りないとカスタマーサクセスの改善はできません。
まずは、リード数を増やし、歩留まり率をみながら順に後工程のボトルネックを潰していくという作業を繰り返しました。

一見単純に見えますが、実際にはそう簡単ではありません。顧客の解像度や各工程の実務理解がないとボトルネックは見えてこないからです。

自分自身、マーケターを兼務しながらセールスとしてアカウントを持ってクロージングし、受注企業のカスタマーサクセスまで一連の流れをやってみることで、短期間で解像度を上げていきました。(打席数が少ないので受注率は1位ですw)

可能な限り小さく、施策の数をまわす

最適なトラクションチャネルは市場・購買者・プロダクトなどの前提条件が変われば異なるため、「やるべきかやらないべきか」の議論に時間を使うよりも、まずは手数を打って自社にフィットするチャネルを見つけていく方が結果的に近道なことが多いと思います。

そのため、先入観に捉われずに幅広くチャネルを洗い出した上で、各チャネルを検証する施策を可能なかぎり最小限の単位でやってみて、施策の手数を増やすようにしました。

当然かけられる人的・金銭的コストも限られていたので全てのチャネルを一気に検証することはできません。
・有効チャネルにできた際の影響度
・最小限の検証にかかる工数
を加味して優先度づけを行い、ローラー作戦で検証していきました。

↓施策の洗い出しを行った際のドキュメント


行った施策は、やりっ放しではなく、データ(事実)を測定して評価していく必要があります。

入社初月からデータの基盤となるシステム導入とオペレーション設計を進め、各環境から主要なKPIを自動集計し、日次でレポーティングすることで、チーム全員が感覚ではなくデータ起点で検証した施策の良し悪しを評価できるようになりました。

自分自身、数年間プロダクトマネジャーをしていた経験があるのですがこの進め方はプロダクト開発初期のMVP(Minimum Viable Product)を作る感覚に近いなと感じます。

最速で体制を構築する

このように回し始めた施策数が増えてくると、いよいよ自分1人でできることには限界が出てきます。しかし、正社員採用の場合、入社まで早くて3ヶ月程度のリードタイムが発生します。
短期間で結果を出す必要があった自分にとっては貴重な期間のロスです。採用できるまで、待っている余裕はありません。

スピードを落とすことなく、体制を作るにはどうすればよいか。
今回は採用活動と並行しながら外部リソースの活用を積極的に行うことでスピードを落とさずに最速で体制を構築するという方法を選択をしました。

外部リソースの活用は、次の2通りの方法で行いました。

1.「施策検証」に外部リソースを活用する
まずは知見ある外部パートナーに業務委託で入ってもらい、成果に繋がるかを検証した後に、正社員採用に踏み切るという形で進めました。インサイドセールスの導入にあたっても、最初は業務委託のパートナーに3ヶ月間だけお願いをして、上手くいったのでその後正社員を採用しています。

2.「施策運用」で外部リソースを活用する
反対に、最初は自分が手を動かして検証した上で、成果に繋がった施策の運用を副業社員の方にお任せしていくことも行いました
例えば、マーケティング施策として広告運用やコンテンツSEOを自分で試してみて、狙うべきクエリやCPA、十分なトラフィック量が見えたタイミングで、その後の最適化は副業で知見を持つ人材をソーシングしてどんどんお任せしていく、という形でトラクションを伸ばしていきました。

結果的に7月に10名だった社員数は6ヶ月で正社員18名+副業・業務委託9名という体制になり、トラクションの成長を支えることができました。

(採用担当も自分が兼ねていたのですが、半年でお会いした候補者の方は約70名。スカウト送信〜日程調整〜面談実施〜合否連絡まで全て自分でやっていたので、なかなか大変でした…)

アクセスできている市場を検証する

トラクションを作れるオペレーション・体制を作れたとしても、目標とする売上規模を達成できるだけの市場にアクセスできていなければ、意味がありません。

カミナシでは、ARR100億円という売上規模をベンチマークにおいているため、その観点での検討が必要でした。

・獲得できているリード
・案件化できているリード
・受注したリード
などの属性データから、どの業界/ユースケースに対して、どこまでPMFができているかを洗い出しました。

そこから、将来見込めるであろう売上規模を推定していきます。

例えば、こんなイメージです。
1.PMFできているA業界のうち中規模以上の企業は日本国内に1万社存在
2.ターゲット企業がうち20%と仮定した場合、2,000社がターゲット
3.うち20%のシェアを獲得できた場合、A業界で見込める契約数は400社
4.ARPU(顧客単価)を10万/月とした場合、A業界で見込めるARRは4.8億


※あくまでざっくりした規模見積もりですので、精度はあまり意識していません。

現状の市場規模を推定できたら、不足分を埋めるための市場・ユースケースの開拓を計画していきます。

直近2ヶ月はカミナシで実績がない業界に対して、ビザスクや知り合い経由でインタビューを重ね、プロダクト開発チームと一緒に有望な業界でのPoC検証などを進めています。

そのトラクションは、本物か偽物か

最後に、カミナシの場合、年間契約のサービスになるので利用継続 or 解約という結果が出るのは1年後になります。
そのため、一見順調そうに見えてもプロダクトに満足していない顧客層ばかりを増やしてしまうと、目の前のトラクションは積み上がっても1年後の解約増で痛い目にあうことになります。

今回は顧客数が一定に達したタイミングでチャーンレート(解約率)の先行指標となるプロダクトの利用状況を分析し、順調にリード獲得〜受注ができても、うまく利用できていない業界/ユースケースがないかを確認していきました。


※運用しているダッシュボードの一部。ビジネスチームがSQLを書いて利用状況を分析できる環境を作っています。

問題があった場合には、
・カスタマーサクセスのオペレーションを改善できるか
・プロダクト開発で解決するか
・そもそも今後積極的に開拓をしていくべきユースケースか
などを議論をし、GTM戦略の見直しを行うようにしています。

まとめ

ほぼ何もない荒野のような状態から、悪戦苦闘しながらこの6ヶ月でこんなことを考えながら取り組んできました。


もちろん事業に依存する部分もあると思いますが、今後GTMに取り組む企業にも参考になりそうな部分を紹介してきました。

いつかどこかのスタートアップで同じように悪戦苦闘する同志の参考になる日がくれば幸いです。

これからの取り組み

これまでの取り組みを通して、ある程度再現性を持ってトラクションを生める体制を作ることができました。

一方、カミナシのユニークさは、ユースケースごとに異なる現場管理業務に対して業界横断なホリゾンタルSaaSを提供している点にあります。

例えば、人事業務や経理業務は業界によって行われている業務自体に大きく差はありませんが、食品工場と警備業で行われている現場管理業務では行われている業務が全く異なります。

そのため、本記事で紹介したような
・PMF済ユースケースに対するGTM戦略の実行〜スケール
・新規ユースケースの発掘〜GTM戦略の検証

を繰り返していく必要があります。

もし、この記事を読んでカミナシに興味を持って頂けたら、ぜひご連絡ください!
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