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カミナシがノンデスクワーカーSaaS市場にフルベットする理由

※こちらの記事はカミナシ公式noteからの転載です

こんにちは、カミナシ代表の諸岡です。

今日はこれまでと毛色が違う記事を書いてみたいと思う。僕らが戦っているブルーカラー領域の可能性の話だ。カミナシは次の10年で確実にこの領域が大きく伸びると考え、全力でベットしている。

当事者である僕らが多くを語るより、投資家の意見の方が説得力があるかもしれない。まず、以下の記事を見てみよう(見なくても下に要点が書いてある)。

あるVCがファンドの規模を急激に拡大しないワケ――業界の流れに逆行するEmergence Capital | TechCrunch Japan
テック業界への投資を強化しようとする機関投資家が増えたことで、シリコンバレーでは実績のあるベンチャーキャピタル(VC)が資金調達で困ることはない。今年の3月にはSECに提出された書類によって、 General Catalystが 13億7500万ドルのファンドを立ち上げたことがわかった。これは同社の18年におよぶ歴史の中でも最大規模だ。設立から35年が経つBattery ...
https://jp.techcrunch.com/2018/05/24/2018-05-21-this-top-silicon-valley-venture-firm-just-made-a-contrarian-move-with-its-newest-fund/?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly9ub3RlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAH7ElWYcp4FTXkBXcrDZAidAB7lMnzoI_sJscu-uwH-mX15CZRQqvpYK1wijDGopDb0kZRVKxekcKHx9Tccq3xFkW_bX9LBZM_xtS8iM1DVb1XHECDO6eBtmg5wQzCfkMAcsUk3l8T8CxAVVVnA4PdxuAiZADmY1JmKOKaaVOHqH


この記事にあるEmergence Capitalは、アメリカのSaaS分野におけるトップVCの1つである。彼らが注目している分野として、デスクレス労働者向けのサービスを挙げている。

またEmergenceは、“デスクレス”労働者にも注目している。デスクレス労働者とは、世界の労働者の80%にあたる、オフィスの外で仕事をしている人たちのことを指す。

ありがたいことに、デスクレス労働者(カミナシではノンデスクワーカーと呼ぶ)向けの考察をレポート化してくれているので、簡単にご紹介したい。


1. 80%に対して1%の資金ギャップ

このレポートの要点を最初に言うと、

「市場の大きさに対して、供給されている資金が少ない。このギャップは、めっちゃチャンスじゃない?まだちょっと早いけど、そのうち変曲点が来ると思うよ!今2018年です!」

ということを書いている。今から2年前に書かれたレポートでも、既にこのようなことが言われていた。レポートの中身を一部だけ紹介しよう。

まず、世界の労働人口のうち80%にあたる27億人がノンデスクワーカーとして働いている。先日の記事で書いた日本の比率は3,000万人約50%だった。どうやら、世界のほうが多いらしい。

対象となるマーケットは巨大。農業、教育、ヘルスケア、小売、ホスピタリティ(ホテル、外食など)、製造、輸送、建設といった業界が対象だ。

一方で、VCなどによるソフトウェアへの投資のうち、この領域には1%程度しか資金投下されていない。Emegence Capitalはこの資金ギャップがチャンスじゃないか?と言っている。


※出典:Emergence Capital

そして、タイミングもそろそろ良い頃合いだ。古い産業でも、ミレニアル世代が労働力の大部分を占めるようになった。ITリテラシーの問題がデジタル化の障害になっていたが、その点も1年ごとに改善されていく。

よくよく考えてみてほしい。日本だって初代iPhoneが発売されて13年だ。当時、45歳の人は現在58歳だ。後2年すれば60歳になる。45歳以降で一度もスマートフォンを使ったことがないという事は考えにくい。少なくとも、時間は我々の味方だ。進むほどに、僕らに有利になることは間違いない。

だから、徐々にトップVCのノンデスクワーカーに対する投資も増えてきている。以下は、シード・シリーズAでのこの領域への投資回数だ。2年前の情報なので、今はもっと増えているはずだ。


※出典:Emergence Capital

2. 戦い方は2通り

少しずつ興味が湧いてきましたか?いいですね!次にこの領域での戦い方について見ていきましょう。

攻め方として、2つの選択肢が存在している。

・ホリゾンタル(業界問わず水平展開可能なサービス)
・バーティカル(ある業界特化のサービス)

カミナシはホリゾンタルSaaSとして戦うことを決めている。しかし、どちらかと言えば日本で多いのは、バーティカルで戦うプレイヤーだろうToreta、Andpad、コドモン、Shippio、ロジレス・・・などが業界に特有のユースケースを深堀りして事業を推進している。

ここでも、上で紹介したレポート内で素晴らしいアドバイスがあるので紹介しておこう。

水平VS 垂直
多くのデスクレスアプリケーション領域は、水平(業界にとらわれない)アプローチよりも垂直(業界固有)のアプローチに適しています。

私たちの経験では、水平方向の戦略を使用している企業と競合する場合、垂直方向に焦点を当てたアプリケーションが勝ちます。これは、これらのアプリケーションが顧客の問題をより効果的に解決するために作成されていることと、サービスのメッセージが顧客に伝わりやすいという事実によるものです。

なんと・・・ホリゾンタルSaaSであるカミナシは、バーティカルSaaSとバッティングした場合負けると言っているのだ。いち消費者としては、メッセージが明確な「自分の業界のためのサービス」を使いたい気持ちになるのも分かる。

でも、僕の見立ては違う。それでもホリゾンタルにチャンスがあると考えている。

3. カミナシは何故ホリゾンタルへ行くの?

理由はシンプルだ。とにかく、大きなマーケットで戦いたい。ARR100億円を本気で目指せるマーケットで戦おうと思ったら、やはりホリゾンタルを選ぶのがいい。この辺りの市場選択の内容は過去の記事に書いた。
※(「カミナシ」ローンチ。残り資金10ヶ月からの反撃開始)

僕らは易しい課題を安い値段で、大量に解決することを戦略の要にしている。下の図で言えば、①と②に取り組むスタートアップだ。


逆に、各業界特有の難易度が高い課題は僕らには解けない。それらは、大企業なら大手Slerが、中堅・中小企業はバーティカルSaaSが解決してくれる。
(※当然、大企業がSaaSを使う場合もある)

じゃあ、お前らの存在意義はなんだ!?と言われてしまいそうだ。しかも、レポートでは戦えば負けると書いている。

じゃあ、戦わなければいい!

僕らはバーティカルSaaSと戦うつもりは一切ないのだ。彼らは固有のユースケースを切り取り、最適な入力インターフェイスからアウトプットまでを一気通貫で提供する。そんな必殺技みたいなものを出されたら、到底勝ち目なんて無い。

「VS」じゃなくて、「&」でやっていく。水平&垂直。実はこの2つはノンデスクワーカーの市場において、競合ではなく補完的な関係だと考えている。

4. 水平&垂直の補完性

なぜそう言えるのか?

それは、現にカミナシが業界特化のシステムと共存する形で使われているからだ。基幹業務を特化型のサービスが担当し、そこからこぼれ落ちる部分をカミナシが拾うという補完関係が成り立っている。

ある惣菜メーカーでは、生産工程では特化型サービスを利用。その周辺部に溢れている工場特有(もはや同じ企業内でも統一されていない!)の帳票はカミナシを使ってデジタル化している。

書いてて思ったが、おそらくカミナシを利用しているユーザーの全てが特化型のサービスを併用している(SaaSかどうかはさておき)。

この水平展開が業界特化に負けるという話は机上の空論な気がしている。一見、ペーパレス文脈でガチンコになりそうなカミナシでも当てはまらないのだ。少なくとも現時点では「&」戦略で攻めることが出来ている。

将来的には危ないか?といえば、それも微妙だ。バーティカルSaaSは、業界で括れるケースには対応するが、個社別のフォーマットに対応するモチベーションを持たない。

次から次へと出てくる、会社ごとに全く異なるフォーマットに対応したところで、コストばかり掛かり旨味がない。そんな煩雑で、面倒で、大変な仕事はカミナシが拾うから、任せてほしい。


※上図のように、カミナシはバーティカルSaaSからこぼれ落ちる、共通化出来ない「帳票」「チェックリスト」を対象にしてプロダクトを作っている。

5. プロダクトづくり

そんなことが可能なのか?サービスの説明をすると、最も多くの受ける質問がある。

「業界ごとにカスタマイズするんですか?」と必ず聞かれる。

カミナシでは、全てを設定で対応している。少し表現を変えると、ノーコードで各社の現場を管理するためのアプリを作成することができる、というイメージに近いかもしれない。

バーティカルSaaSでは拾いきれない、各企業がバラバラで作っている「帳票・チェックリスト」と、それにまつわる業務フローが存在する。

それを業界ごとに複数の現場に何回も通い、実際の帳票を確認して、業務フローを理解し、コツコツとプロダクトに反映している。集めてきた帳票の種類は1,000以上だ。こうした泥臭い積み重ねが、強いプロダクトを作っている。


※Slack上でも業界ごとのユースケースを常に議論している

手前味噌だが、カミナシではこの「現場に通う」ということをとても大事にしている。自分が作ったサービスがどう使われているのか?ユーザーの表情から自分の目で見たいというエンジニアが多い。

&戦略でホリゾンタルで・・・と簡単に書いているが、彼らのユーザーに真摯に向き合う姿勢があってこそ、なんとかプロダクトが形になっている。
(いつもありがとう!!!)

6. ノンデスクワーカーの可能性

冒頭に書いた通り、この記事の目的は、ノンデスクワーカーの領域のチャンスについて知ってもらうというものだ。少し遠回りしてしまったが、今カミナシが取り組んでいるものも以外に、他にどんなチャンスがあるのか?最後にいくつか記載してみたい。

1,コミュニケーション
多くのノンデスクワーカーは電子メールアドレスを持っていない。僕らの世界ではあり得ない!それが故に、インスタントメッセージングから社内ニュースレターの受信まで、内部コミュニケーションからほとんど除外されている。そんな話を聞くとヨダレが出ちゃうというアナタはSaaS起業家に向いている。

最近、こんなニュースがTechcrunchに掲載された。

ノンデスクワーカーのためのSlack、Beekeeperが48億円を追加調達 | TechCrunch Japan
スイスと米国に拠点を持つスタートアップBeekeeperは、ブルーカラーやサービス従事者とコミュニケーションを取るためのモバイル向けプラットフォームを提供している。このほど同社はシリーズBラウンドで4500万ドル(約48億円)を新たに調達した。 ラウンドをリードしたのはThayer VenturesとスイスのSwisscanto Invest by Zürcher ...
https://jp.techcrunch.com/2019/09/17/2019-09-16-beekeeper-series-b/

ノンデスクワーカーのSlack。まさに、コミュニケーションの問題を解決しようとしている。48億円・・・夢がある!

2,教育・ラーニング・スキル管理
事務部門にいる管理者が、遠く離れた大量の現場スタッフを如何に効率的に教育するか?という問題は既に顕在化している。この領域は、マニュアルの電子化というソリューションで、既に多くの企業が参入している。

ここは、少し飽和状態な印象を受ける。が、まだまだ工夫次第で勝負できる。何より、市場が大きいのでNo.1にならなくても十分太いサービスが作れる。

最近では、製造業向けのスキル管理などを効率化するサービスも登場していたりする。

「計画的な人材育成」を実現するスキル管理クラウド|SKILL NOTE(スキルノート)
SKILL NOTE(スキルノート)は、製造業・建設業などで選ばれている、スキル管理クラウドです。スキル・教育訓練・資格を一元管理し、法令規格の遵守・計画的な人材育成を実現します。
https://www.skillnote.jp/

3,目標管理
現場で働く人たちの目標管理という目線もあるだろう。HRTechで、どんどんこの手のサービスが出てきているが、今後はノンデスクワーカーに対する評価や目標管理の仕組みが出てくるのではないだろうか?

管理している人間から離れているので、僕自身も家業でやっているときの評価制度の設計は大変だった。というか、ほとんど途中でうまくいかなくなってしまった。

上記のように、ノンデスクワーカーの領域には、ホワイトカラーで既に解決され切っている当たり前の前提がない。まだまだ、ホリゾンタルで戦える余地が残っている金脈だ。

私たちは、その中で最も難易度が高い「オペレーション実行」部分を最初のターゲットとし、現場で使われる帳票やチェックシートをデジタル化するプロダクトを提供している。その理由は粘着性だ。マストハブと言っても良いかもしれない。

ここを取れば、毎日作業をする際に、100%アクティブに使われる。つまり「常に正確」、「常に最新」のデータが揃うということだ。

365日必ず現場スタッフとのタッチポイントを持てるということは、次の手を打つ際に大きなアドバンテージになる。「オペレーション実行の結果」という希少なデータで抑えることで、上記の1〜3含め、今後の様々な展開が考えられる。

7. ARR100億円を一緒に目指しませんか?

今、ノンデスクワーカー向けの領域で、カミナシは良いポジショニングが取れています。1年経つごとに、モバイルネイティブな世代が増えていき、変曲点が近づいてくる。大企業を中心に、その足音も聞こえてきました。

僕とらと一緒にARR100億円への道を一緒に歩いてくれる方を募集しています。もし、この記事を読んで興味を持って頂けたら、ぜひご連絡ください。

\一緒にノンデスクワーカーの働き方を変革する仲間を募集中/

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