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東北開墾が注目度ランクングで8位に!

「世なおしは、食なおし。」の旗を掲げ、東北開墾を起業してから2年半。今回、事業拡大と新規事業立ち上げのため、広く天下に人材を求めようと、「ウォンテッドリー」という人材募集サイトに数日前に登録しました。そしたら、あれよあれよという間に注目度ランキングで8位まで駆け上がりました。3586社のごぼう抜きです。公開されているトップ30で、NPOはうちだけ、食関連事業もうちだけです。名だたるベンチャー企業の中に、われわれのような社員5人の弱小ベンチャーNPOが分け入ることができて、身が引き締まる思いです。応援していただいているみなさん、感謝です。

口先ひとつで生きてきたぼくは事業計画が書けません。ビジョンを掲げて、人に火をつけるアジテートしかできません。平たく言えば、「うちわ」みたいなものです。うちわを一生懸命あおぎ、燎原の火のごとく、種火を広げていく。もし広がらなければ、立てた旗(ビジョン)が間違っていた、世の中に必要とされていなかったとあきらめる他ありません。もし、社会が求める旗なのであれば、人材もお金も自然に集まってくる、と。それくらい、ビジョンにこだわっています。ビジョンとは、大きな絵のことです。先日、対談した生物学者の福岡伸一先生も、この「大きな絵を見る」視点の重要さについて語っていました。全体から部分を見る目のことですね。

福岡:人間みんなそうなんです。教育もそうなっていますが、人間の脳の構造自体、そんなに全体を一挙には見られない。どうしても部分でものを見て、部分最適を考えやすい。でもやっぱり、「大きな絵を見る」視点はとても大事です。私たちの分子生物学もそう。極めて小さな単位の中における分子のロジックで、AがBを成し、BがCを成す・・・という反応からものを考えるわけですが、やっぱり「生命とは何か」という大きな問いを常に忘れないようにしないと。部分最適によって実は全体が不幸になる・・・例えばガン細胞はやっつけられたけど、個体は死んじゃった、みたいなことは起こり得るわけですから。

福岡先生はまた、「人生」という全体から「今」という部分を見る目も大事だと言われました。

福岡:「動的平衡」は、生命を長い時間軸で考えることを根本にしています。近代科学というのはどうしても、時間を止めて断面で切り、そこで起こっていることを説明しようとするので、短いスパンで最大効率を求めてきました。効率というのは、常にあるひとつのパフォーマンスを「時間」で割って考えます。1時間あたりの出来高とか、一ヶ月の売り上げだとか。この考えに基づくと、その時間においてはパフォーマンスはあがっているかもしれない。けれども、もっと長い時間軸で見たら、逆に低下しているかもしれない。だから、人生全体の時間軸で何が得か何が損かを見たら、消費行動も変わっていくと思う。

福岡先生の言っていることを今の日本にあてはめると、こうなります。このくにでは、日頃食べるものにほとんど関心を払わず、あるとき病気になり、多額の医療費を払い、最後は病院のベットにくくりつけられて悲惨な終わり方をする人が増える一方です。同じお金を払うのであれば、日頃の食生活にもっと気を使い、健康寿命を伸ばし、最後は慣れ親しんだ家で死ねる方が、個人にとっても、社会にとっても、幸せなことではないでしょうか。ぼくは、人生全体を見える化するためには、「死」を考えることが必要だと思っています。終わりを意識することで、全体最適の思考が生まれ、50円高い食材でもそれは安全のコストだと受け止められるようになる。つまり、ネガティブコストじゃなくてポジティブコストを払えるようになる。

ぼくらが今、多くの生産者や消費者からの声を受けて開発中のスマホアプリは、消費者が生産者からダイレクトに旬の食材を買えるようにするものですが、同時に、食べものの裏側が見える化されることで、安全コストへの理解も得られるようにしようとするものです。さらに、私たちの口に入れる食べものが工業製品ではなく、他の生きもの命だったことも見える化します。自分は他の生きものの命をいただかなければ生きていくことができない。そのことを実感することで、自分自身も生きものなのだということ、そしていつかは終わりがくるのだということを自覚していく。完成されたバーチャルな消費社会の中で、生きる実感を失い、リテリティの崩壊という化け物に悩まされる都市生活者にとって、これはリアリティ再生装置になると、ぼくは思っています。

話を元に戻します。そう、ビジョンの話です。このスマホアプリにしろ、食べる通信にしろ、東北開墾の事業は、常にビョジョンを実現するための手段という位置付けです。人間はどう生きるべきか、社会はどうあるべきか、世界はどこに向かうべきか、という「全体」から、ではそうなるために自分たちが取り組む"食"という「部分」はどうあるべきかという思考回路でやっています。こういう思考回路で事業をやっている人に、どういうわけか出会った記憶があまりありません。大局的に見て、小さく勝ってるところはそれなりにあるけれど、大きく負けることをこの経済社会はしているような気がしてならない。ぼくは、ガウディの設計図のない未完の最高傑作"サクラダファミリア"のような300年がかりの大仕事をやりたいです。

潜在するエネルギーの井戸を汲み、思想の乳房を吸い続けた谷川雁はかつて「世界の映像を裏返さないかぎり永久に現実を裏返すことはできない。イメージからさきに変われ」というアジテーションをやり、若者や知識人に着火しました。ぼくも、やっぱり柳田國男と宮沢賢治だと思うんですよね。「死を読む」ことを突きつけているところも重なる。そして、下山の時代において、社会全体が広く深く液状化し、だれもが難民としての自分をみつめることが必須になると、フランスの社会学者・バウマンが言ってるリキッド社会のようなことも言い残してます。そして、社会はまさにその方向に向かっている。世界の映像を裏返すような、より鮮明で大きな絵を東北から示し、これからもうちわでばんばん扇いでいきたいと思います。

一緒に扇いでくれる仲間をこちらで募集しています。

https://www.wantedly.com/companies/kaikon/projects

参考までに、ぼくの「大きな絵を見る」視点集です。

◉東北開墾ビジョン

http://kaikon.jp/concept.html

◉東北食べる通信ビジョン

http://taberu.me/tohoku/about/

◉今、なぜ食べる通信か。

https://www.facebook.com/hiroyuki.takahashi.102/posts/591111900971361

◉都市住民にかけている共感力

http://logmi.jp/30754

◉都市と地方をかき混ぜる

https://www.facebook.com/tohokukaikon/photos/pb.659153250766702.-2207520000.1452593901./974340502581307/?type=3&theater

◉平成の参覲交代

https://www.facebook.com/tohokukaikon/photos/pb.659153250766702.-2207520000.1452593971./778015772213782/?type=3&theater

◉リアリティの崩壊

https://www.facebook.com/hiroyuki.takahashi.102/posts/935508963198318

◉死に向き会う

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=938062292942985&set=a.794256860656863.1073741827.100002176685743&type=3&theater

◉生きるを取り戻す

http://taberu.me/post/feature/20160307/589.html

◉世界を変える冒険へ

http://taberu.me/post/column/20160308/632.html

◉山に木を植える漁師

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=430196630396223&set=a.905730569509491.1073741828.100002176685743&type=3&theater

◉宮沢賢治と宇多田ヒカル

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=449671798448706&set=pb.100002176685743.-2207520000.1458189784.&type=3&theater

◉生産者と消費者が起こした奇跡①

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=711385645610652&set=pb.100002176685743.-2207520000.1452594310.&type=3&theater

◉生産者と消費者が起こした奇跡②

https://www.facebook.com/hiroyuki.takahashi.102/posts/953700751379139?pnref=story

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