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【スクエニLife】在宅勤務でゲーム開発は可能なのか?

スクエニLife

こんにちは、スクウェア・エニックス 人事部 採用担当 平山です。

これまで「スクレポ」シリーズでは、スクウェア・エニックスで働く社員の声をお届けしてきましたが、今後新たに「スクエニLife」として、スクウェア・エニックスで働く環境にフォーカスした内容を発信していきます!

今回はゲーム開発部門のMMORPG『ドラゴンクエストX オンライン』を運営しているプロジェクトのプロデューサーに、在宅勤務の取り組み、工夫、課題などをうかがいました。

(当社は2020年4月に自宅待機期間を経て在宅勤務への移行を開始、2020年12月に在宅勤務を制度化し、現在は約8割の社員が在宅で勤務しています。 )


青山 公士 第二開発事業本部  ディレクター

『ドラゴンクエストX オンライン』プロデューサー。1999年3月にスクウェアに入社。技術関係の特許担当から『PlayOnline』のディレクターを務めたのち、『ドラゴンクエストX オンライン』チームへ。開発初期からテクニカルディレクターを担当し、現在はプロデューサーとして活躍中。

© 2012-2021 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

在宅勤務でゲーム開発はできるのでしょうか。

まずみなさんが気になるのは、「在宅勤務になって業務進行は本当に問題無いの?」ということだと思うのですが、やはり在宅勤務の環境が整うまでには遅延が発生しました。

遅延状況はこんな感じですね。

コロナ過における遅延状況

・2020年4月の自宅待機時に5週間遅延

・その後の在宅勤務へ対応する調整で更に1週間遅延

→合計週間遅延

『ドラゴンクエストX オンライン』は運営タイトルで定期的に大型アップデートをリリースしているのですが、あのときは予定より合計6週間くらいリリースが遅れました。その後は持ち直してコロナ禍前と同様のペースに戻しています。

どのように乗り越えられたのですか?

実はうちのチームは、在宅勤務に適した要素をもともと持っていたんです。

以下の3つの仕組みがあったことが、結構大きかったと思っています。

コロナ禍以前より在宅勤務に適していた要素

【管理】裁量労働制の勤務形態であること
【現場】在宅勤務の仕組みがすでにあること
【開発・運用基盤】ツールを活用したプロジェクトマネジメントの基盤があること

まずはマネジメントの部分で、裁量労働制の勤務形態を取り入れていたこと。在宅勤務でしばしば問題となるのが、『メンバーの労働時間管理が難しい』という点ですが、基本的にメンバー各自の裁量で業務を進めることができること、また成果主義ということもあり、この点懸念はありませんでした。

ゲームのメンテナンスメンバーは以前より、メンテナンス時には在宅勤務を実施していました。ですのでチーム全体でチャットを利用して仕事を回すことが普通だったんですよね。在宅勤務者が一人でもいるとチーム全体でテキストチャット進行が必要なので既に慣れていました。

実務的な部分で良かったことはありますか?

以前よりRedmine(レッドマイン)というプロジェクト管理用ソフトウェアを使用しており、タスク管理を口頭で済ますことは原則としてありませんでした。そのため、在宅勤務に移行したことで対面で話す機会は減りましたが、タスク管理への影響はほぼ無かったのが大きかったです。

このツールでは、タスクやバグの進捗・情報共有などを全てチケットとして管理します。サーバー上で一元管理できて、複数人が同時アクセスして参照・更新を行うことが可能です。いつでも担当者や各タスクの進捗状況がわかるようになっているんです。

うちは大きなチームなので情報共有を徹底しないと漏れてしまうので、その対策として導入していました。Redmine導入後の約7年で現在チケット数は15万超になっています。

これらの前提があったおかげで、組織体制やワークフローの根本的な変更をせずに済んだことが、在宅勤務への移行がスムーズだった大きな要因だと思っています。

在宅勤務で変えたことはありますか?

相手がその場にいないコミュニケーションの仕方、ですね。

『ドラゴンクエストX オンライン』開発・運営チームでは、チーム全体として取り組んでいるもの以外にも、各セクションやメンバーが自主的に円滑なコミュニケーションが図れるように工夫をしてくれています。その一部をご紹介します。

① 受動的な情報の消失への対処-ホウ・レン・ソウは関係者全員に

一つは『発信範囲を広げる意識』です。出社が普通だった時の、その場の空気から得ていた情報って結構大きかったんじゃないかと思うんです。リーダーは解決方法を知っているけど現場担当者が全員気づいていないケースなんかには、側にいることは大きな意味がありました。

でも今は受動的な情報を得るチャンスがなくなってしまいました。そのため担当者間で悩んでいることがあっても、解決方法を知っている人にその情報が届かないといったことが発生します。ですので、業務報告や相談は担当者個人宛にせず、上長や関係者が入っているチャンネルに書き込み、必要な関係者全てに発信するという工夫がされています。いきなり上司や関係者全員に情報共有するのは、気が引けてしまう時もあると思いますが、ここは時代に合わせて意識を変えるべきところだと思っています。実際、これをしてもらっているケースでは情報を取りこぼすことは減っているように感じていますね。

②能動的な情報劣化への対策-便利な機能を活用して認識のすり合わせを

Web会議で作業確認や報告をする際は、画面共有を活用して説明が伝わりやすくなるようにしている人は多いです。また、細かいところではありますが、Slackのチャットのステータス表示の応答可否を明確化するようにしている人も結構います。変更をルール化しているセクションもあります。

あと、テキストチャットだけでは伝わりにくいと感じたら、すぐにSlack通話に切り替えてスムーズに情報伝達しているケースも多いです。最近追加されたハドルミーティング※も良いですね。

※チャットツールのSlack上で、音声ミーティングを簡単に行なえる機能

③ 仲間意識の希薄化の改善-交流の機会や場をみんなで増やす

新規入社者が合流した際、しばらくセクション内の全員顔出しでZoomに繋げたまま作業する時間を設けたセクションもあります。これによって新規入社者との交流は深まったと思われますね。また毎朝セクション内全員Zoomに接続したまま朝会実施後も午前中は雑談しながら個人作業するようにしているセクションもあります。「出社時はまわりに遠慮して話せなかったりもしましたが、在宅なら周りを気にしなくてよいので、むしろプラスになりました」とそのセクションリーダーは話していました。いろいろな個性のメンバーがいるので、こればっかりは企画倒れになることもありますが...。でもそもそも対面だって合う・合わないがあって当たりまえですから。チームにあった様々な取り組みをまずは試してみることが大事だと思っています。

仕事外で言うと、チャットにあえて雑談チャンネルを作ったり、業務以外でも交流ができるZoom飲み会等の定期的な会話の機会を設けてチーム内交流を深めていますよ。業務時間外に希望者でゲームのプレイ会を行ってチームを盛り上げたりもしています。

『ドラゴンクエストX オンライン』内でできる大富豪をみんなでプレイ。
ゲームプレイ会では、自社のタイトル以外にも話題のゲームをみんなでプレイしてみるのだそう。

青山さん発のメルマガがあるとお聞きしたのですが...

メルマガ...ではないのですが、コロナ禍の前から全員の週報を必ず読んでいて、気になるトピックや多くでた話題などを取りまとめて月に1回、メールでチーム向けに共有しています。週報の内容は、仕事上の問題点や改善点、雑談などなんでもOKで、一部のセクションでは全員毎週1項目は書く、というルールがあったりします。複数書いている場合は、翌週はお休みしてもいい、という貯金制になっています。それらを取りまとめてメールをしているのですが、雑談の一つとして機能しているようです。メールだとあまり反応が見えないので、みんなが本当に読んでくれているか、少し心配になることも(笑)。たまに、あの話題面白かったです、とか言ってくれる人はいるので読んでくれてはいるようです。

一番効果的だった取り組みは何ですか?

テキストチャットの雑談チャンネルですね。『好きな映画』や『今はまっていること』等、雑談テーマのトピックを立てて、気が向いた人が反応するだけなんですけど、それぞれの個性が出ていてこれが結構盛り上がっていますよ。相手の人間性が見えること、それが次世代コミュニケーションに求められる要素なのかな、と思います。

失敗談もあれば教えてください。

失敗談というか、思わぬ反応、エピソードなのですが...。チーム内でオンライン飲み会を定期的に開催しているのですが、ある回で、Web会議を使うとクロストークが難しいのでZoomの『ブレイク&セッション機能』(大人数でのWeb会議の中で少人数に分かれてグループミーティングを行うことができる。)を使って小グループに分かれようと予告して実施したんです。そうしたら参加者が激減してしまいまして...。聞いているだけの方がいい人や遠い距離感が心地いい人も多かったんですね。

これからの課題は何でしょうか。

まだまだ考えなければいけないことはたくさんあります。

①問題発覚の遅延

側にいられる時間が減ったことで、先輩や上長には気軽に連絡しにくくて、話す機会を逃してしまう...なんてこともあるでしょう。その結果、問題発覚が遅くなってしまうことを懸念しています。このあたりは、気軽に発信できる・発信したくなる空気を作ることが大事だと思うので、まずは私たちマネジメント層が率先してやっていくべきことだな、と思っています。

②多様性の尊重

あと、オンライン中心の様式に慣れない・合わないと考えるメンバーもいると思います。例えば、定例会の参加や顔出しにストレスを感じる人に対し、どこまで強制していいのかが判断しにくいことがありますね。また、メッセージに反応がなかったり、チャットのみでのやり取りが苦手な人もいるでしょうから、そういった場合の対応をどうしたらいいかも考えなければいけないと思います。

オンライン化は慣れていくしかない、と捉える一方で、絶対に受け入れるべき、と押し付けるのも違うので、色々な立場での最適解を模索していく必要があると思います。

なかなか簡単ではないですが。最近、距離が遠くなったことの弊害かな、と思ったこともあって...。3か月に1回、テストプレイを兼ねて開発中のゲームを遊ぶ会をやっているんです。いつも多数の意見が集まるんですけど「在宅勤務になってちょっと書き方きつくなってない?」という声があがりました。

これは私の解釈なのですが...。顔が見えなくなり作り手が見えづらくなったことで発言がきつくなっている可能性はあるかもしれないですね。また逆に、受け手も言ってる側の顔が見えないから、同じ文章でもきつく感じることがあるようです。

うちみたいに長くて関係性ができているチームですらこういうすれ違いが起きてますから、まだ新規のチームなんかは余計に難しいかもしれませんね。

③チーム外・業務外交流の減少

チーム単位もそうですが、セクション間でのコミュニケーションの取り方も次の課題だと思っています。気軽に話せる場がなくなり、ゆるやかな連携が取りにくくなっているのを感じています。

特に雑談できる機会が減りましたよね。タバコミュニケーション...なんていう言葉もありますが、喫煙ルームや休憩中の会話から情報が得られたり、雑談からいい企画が生まれたりすることも珍しくありません。私は前の会社で社内のメンバーと世間話をしている時に「こんなゲーム作りたいと思ってるんですよねー」という話を振られて「考え一緒じゃん!」と意気投合。その時はお互いに別の仕事があって無理だったのですが、数年後にそのメンバーといっしょに実現したこともありました。

カジュアルな雑談って結構可能性を秘めていると思うんですが、それが無くなっていくことは、危機感を感じますね。制作に携わる身としては、これ(チーム外・業務外交流)が、在宅勤務時代のラスボスなんじゃないか...とすら思っています。


これから当社へ応募される方へのメッセージをお願いいたします。

在宅勤務制度の導入も含めて、当社は、ゲーム開発・運営チームであれば開発・運営に集中するための環境が整備されているので、各スタッフが能力を発揮しやすい環境にあると思います。そのぶん求められるレベルが高くなりますので気軽にというのはなかなか難しいかも知れませんが、重要なのはやる気、パッションです。私たちといっしょに良質なエンターテインメントコンテンツを開発・運営しませんか?ご応募お待ちしております。

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