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ラテンアメリカと現代の主人公の描き方

こんにちは。映画を語るサロンのKKです。

新年になって皆さんいかがお過ごしですか?私は寒さで布団から出られない日々です。

映画を語るサロンの活動として今回は『ミラベルと魔法だらけの家』を紹介します。



内戦がおこったコロンビアである赤ん坊3人を抱えた夫婦が森へ避難をしていましたが、妻を守ろうとした夫が殺されてしまいます。妻が絶望していると森が彼女を守り、魔法で森の中に家が建ちました。
そこから何十年も過ぎて、その森には村ができてマドリガル家を中心に村人が豊かな生活を送っています。
マドリガル家には魔法の力の源であるロウソクがあり、この家に生まれた人間はみんなそれぞれ魔法を身に着けその力を使って村人を助ける役目を負いますが、主人公のミラベルだけが魔法が使えないです。
ある日、魔法の家にひびが入っているのを見つけた彼女は魔法が消えかかってることに気づいて、家族を助けるために立ち上がります。


主人公が今までのディズニー映画と違ったタイプだと感じて新鮮な印象な映画でした。
ディズニー映画の主人公は才能があり特別な存在というタイプが多いですが、ミラベルはそれとは真逆です。
彼女はある年齢に達すると魔法の力を代々授かる家系に生まれましたが、何故か魔法を授かる儀式を行っても彼女は何の力も与えられませんでした。ミラベルは魔法がなくても自分は特別な存在と信じていますが、内心では魔法を使える家族に対して劣等感を抱えています。
彼女は特別な家族の中に生まれた「普通」の人です。
しかし、それゆえに彼女にとても親近感を持ちました。ネットを通じて自分より優秀な人を見て自分が劣った存在と感じてしまうという人は現代では彼女にそういった感情を持つ人は少なくないのではないでしょうか。
普通の存在であるミラベルが必死になって家族を救うとするのは多くの人にとって感情移入がしやすい作りとなっていました。

また、ミラベルだけでなくこの映画で個人的に気になったのがミラベルの姉のイザベラです。
彼女の魔法は自由に花を咲かせられます。それに加えてディズニープリンセスのようにとても美しく、魔法と彼女自身の美貌で周囲を華やかにすることが彼女の役割でした。
イザベラはプライドが高くてミラベルのことを邪険に扱うので、ミラベルはこの姉のことを苦手にしていますが、家族を助けるためにいやいや彼女と話していくと、苦手だった姉の知らない一面を目にします。
本当は彼女は自分自身がプリンセスのようになることを望んだのではなく、周りから求められて美しい理想の女性を演じていたのでした。家族のためなら好きでもない男性と結婚するし、バラなどの美しい花ばかりを咲かせます。
プロポーズをミラベルに台無しにされて彼女に激怒しますが、その際に初めてサボテンを咲かせて自分の知らない自分を発見し、初めて自分が綺麗であるという役割以外にも何にでもなれる可能性があると思うようになります。

イザベラの存在はディズニーが昔作っていたプリンセスのアンチテーゼなのかと考えさせられました。
今では様々なタイプのディズニープリンセスがいますが、何十年も前の白雪姫やシンデレラなどは美しい女性で個性らしい個性もなく、最後は王子様と結婚という結末しかありませんでした。
その典型的なディズニープリンセスであるイザベラが自分の可能性に気づくというのは、昔ながらのプリンセスにも感情や個性がある一人の人間だとメッセージがあるように思いました。


現代の価値観を作品に落とし込もうとするのがディズニー作品の特徴ですが、特に女性の描き方が大きく変わってきていることをこの映画から感じました。他にも家族との不和や歴史上実際に起きた内戦をうっすらと描写しているなども他のディズニー映画とは違った特徴がある作品です。
それだけでなくとてもカラフルな映像と陽気な音楽がたくさんあってラテンらしさが味わえるので明るい気分にさせてくれる一本でした!

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