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第5話 人材紹介事業のスタート 創業一年目

~第5話 人材紹介事業のスタート 創業一年目~

そもそもベトナム企業に日本人材をマッチングするといったハードルの高いところから行うのではなく、日系企業に日本人を紹介しようと方向性を少し変えた。
当時、既に5-6社はホーチミンに、日系人材紹介会社が存在していた。
自分自身に、人材紹介業の業務経験がなかったため、何かのポイントを尖らせないと生き残ることができないのではと想定し、「日本人材に強みを持つ人材サービス会社@ベトナム」でコンセプトを持つことにした。

コンセプトが固まったので、早く実践に移すために、日系企業向けにアポを試しに取ってみた。
最初に取れたアポが日系の製造業だった。製造業は郊外の工業団地にあることをなんとなく知り始めていた。その企業が入居していたのは、ベトナムシンガポール工業団地(通称VSIP)だった。2008年当時、グーグルマップなどのインターネットマップはベトナムには整備されていなかった。

ホーチミン市内やハノイ市内をそれまでにも営業で回ることは多かったため、書店で1万-2万ドン(約50-100円)のペラペラの紙の地図を、ボロボロになるまで使い込んでいた。しかしながら、日系企業向けに営業を開拓するとなると、郊外に行くことになることをこの時気づいたのだ。タクシーで行くと往復するだけで多額のお金がかかるため、当然自前のバイクで営業する。

自前で行くためには、道を知っていなければならない。

ベトナムの紙の地図は、ホーチミン中心部(1区、3区、5区ぐらい)までしか記載がない。探し回ったが、郊外のマップがどこにも売ってないのだ。それでもアポは翌日に取ってしまったので行くしか無い。過去に一度だけ名前は覚えてないが工業団地を見学訪問していたことを思い出した。

その工業団地は、Bien Hoa工業団地だった。なぜ勘違いしたか本当に今でも不思議なのだが、自分は大きな有名なベトナムシンガポール工業団地をBien Hoa工業団地と勘違いしてしまった。

Bien Hoa工業団地はDong Nai省の中心部に位置している。
ベトナムシンガポール工業団地はBinh Duong省の中心部に位置してる。

東京で例えるなら、
Dong Nai省→千葉県
Binh Duong省→埼玉県

地図のない自分は、とにかく工業団地に行けばなんとかなると、Binh Dong省に行かなければならないところDong Nai省に向かってしまったのだ。

Ho Chi MinhからBien Hoaに通ずる道はHanoi High Wayでその名の通り、Hanoiまで通じる大通りだ。あの有名な北海道のローカル番組で大泉洋が水曜どうでしょうで走り抜けた道だ。

当然大通りは、無数のトラックが高速で飛ばし、品のないバスが今にもぶつかりそうな勢いでクラクションを鳴らしながら突っ込んでくるような道だ。砂埃も舞えば、日差しもきつい。そんなこんなでなんとか、記憶をたどり1時間程してバイクでBien Hoa工業団地に、到着した。

問題だったのは、そこがベトナムシンガポール工業団地ではないことだけだった。

工業団地の前にたむろしているおっちゃんたちに、ここはベトナムシンガポール工業団地だよね?と念の為尋ねてみた。

おっちゃんたちは、「(・・?????」という顔。

当然だ、ここはBien Hoa工業団地でありベトナムシンガポール工業団地ではない。

多少焦り始めた自分は、ちなみにベトナムシンガポールはどこだと聞くと、

「あっちの方でメッチャ遠いぞ!!!」と答えてきた。

まじか・・・・

一発目のアポイントで思いっきり別の省に来たことを認識した。

因みに、やり取りは当然、全てベトナム語だ。もう一つ因みに、自分は今でもベトナム語は片言だ。

気合のベトナム語で地図なし旅行が始まった。ポイントは、おっちゃんのあっちと指差す方向性を信じるのみだということ。

15分毎に、道端で立っている人達に、

「ベトナムシンガポール工業団地はどこ?」

と聞き続け遂に、そしてなんとアポの時間内に間に合った。1時間想定の場所を2時間前に出発していたのが良かった。ようやく着いたのだが、問題は汗だくで砂埃まみれのキッタナイ状態だったがここは仕方がない。路肩のお店でウェットティッシュを買い、何とか営業面談に臨んだ。

そのころの写真を貼っておくが、やはり真っ黒だった。


意気揚々と、日本人採用に特化した日系人材紹介として会社資料を準備し、望んだ一発目の面談で先方から「日本人採用は考えてなくて、ベトナム人の品質管理の人で良い人いませんか?」とニーズを拾ってきた。

ターゲティング当てた需要ではなかったが、一発目からお客さんのニーズをヒアリングできた。

と、同時に「やっぱり、そっち(ベトナム人)の優秀な人材をほしいだよな・・・・」

オフィスに戻り考え込んだ。そもそもどうやってベトナム人を集めればいいんだ??マーケットのことばかり考えていた僕はどのようにサービスを提供するかをちゃんと考えてなかった事にここで気づいた。

一人で創業すると事業は立ち上がらない。数名のコアメンバーで足りないところを補ってチームとして事業を立ち上げるべきだ。こんなアドバイスをしてくれる人もいなかった僕は、独立精神が強すぎた結果、一人で事業を立ち上げていたのだった。そのため、こんなアタリマエのことさえもわからない。

一人で唸っていても答えは出ない。

夕食の際に、奥さんに行き詰まっている点を伝えたところ、ベトナム人の就職の仕方はベトナム人に聞けばいいんじゃない?とナイスアドバイスを頂いた。事業を立ち上げたタイミングで採用した新卒の日本語ができるベトナム人女性、つまり社員第一号の彼女に聞いてみた。すると、大手の求人媒体にレジュメを登録したら、転職エージェント(人材会社)から電話がかかってきて仕事を紹介されるらしいことがわかった。

こんな人材ビジネスにおいて、基礎中の基礎さえわかっていなかった状態で創業するなんて今考えたら無謀だ。当初のビジネスプランは、ベトナムにターゲティングを当てた日本人向けWEBサイトでの転職登録を促し、検索順位ですぐに1位を取ればたくさん応募者が来ると思い込んでいた。

ベトナム人材はどうしようか考えていなかった。

すぐにその大手の求人媒体企業に連絡をいれサーチがスタートした。

人材ビジネスのテニヲハを全くわかっていなかったがそこから、がむしゃらに求人を獲得し、ベトナム人スタッフに候補者を探してもらった。

1週間に20社以上は回っていたと思う。
何もかもが初めてで、生きてる充実感を感じると同時に、生き抜くことにまず必死だった。

(第6話へ続くhttps://www.wantedly.com/companies/iconic/post_articles/276481

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