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rootらしいクライアントとの伴走のあり方とは?【伴走型デザインパートナー】rootメンバーインタビュー

rootでは、「芯を問い、成長に貢献する。」というミッションのもと、プロダクトやサービスの成長を、デザインを通じて支援しています。

事業成長に貢献するためには、事業の本質=「芯」を見出し、成長過程を意識したプロダクト戦略やマイルストーンの設定、ユーザーインタビュー等を行い、デザインに落とし込むことが必要だと考えています。
rootでは、ミッション実現のため、従来のクライアントワークに多く見られる納品型ではなく、事業の立ち上がりから成長過程において、継続的に支援を行う伴走型のスタイルをとっています。

前回は立ち上げ期から伴走した事例をご紹介しました。今回はプロダクトのUIデザインリニューアルから、継続的な改善支援や関連する新規のサービスの立ち上げ支援まで伴走を続けている事例についてとりあげてみたいと思います。

プロフィール古里 凌哉rootのUXリサーチャー・デザイナー。大企業からスタートアップまで様々な顧客とともに、新規事業立ち上げからグロースまで幅広いPJを主導する。HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト。奥沢 舞rootのデザイナー。富山県富山市出身。toB、toC問わずさまざまな業界の新規事業立ち上げ、運用を担当している。

1年半の伴走で行った既存サービスの改善

─ 今回はマネーフォワードケッサイ株式会社(以下、マネーフォワードケッサイ)との事例についてお話をお伺いさせてください!すでに1年半ほど継続支援を行っているプロジェクトかと思います。最初はどういう経緯で相談があったんでしょうか?

古里:
マネーフォワードケッサイさんは企業間後払い決済サービス「マネーフォワード ケッサイ」と売掛金早期資金化サービス「マネーフォワード アーリーペイメント」の開発・運用をされています。ご相談時は「マネーフォワード ケッサイ」を担当されているデザイナーさんが産休に入られるため、その引き継ぎ先としてデザイン会社を探されていました。

サービスを利用する売り手・買い手という2種類のユーザーや与信審査や法人間の取引といった特定領域の知識の理解に時間がかかるだろうことを先方が想定されていたため、中長期的なお付き合いを前提にご相談をいただきました。

ー実際にプロジェクトが動き出した初期はどんなことから取り組まれたんですか?

古里:
具体的にプロジェクトが動き出したのは2020年の4月頃ですね。最初は「マネーフォワード ケッサイ」のUIデザインをリニューアルしました。「マネーフォワード ケッサイ」の場合、ユーザーの多くがグループウェアとのAPI連携でグループウェアの画面から操作をされます。

API連携をせず、「マネーフォワード ケッサイ」の画面から操作する方は傾向として高齢でITリテラシーがあまり高くない方が多いことがわかっていましたが、当時のUIはそういったユーザーを想定したデザインになっていなかったんです。まずはその解決から取り組みました。

ーそれまでマネーフォワードケッサイさんは社内のデザイナーとのやりとりがメインだったかと思います。外部のパートナーとしてrootがプロジェクトへ参画することで起きた変化はなにかありましたか?

古里:
いろいろあったかと思いますが、具体的なところでいうと、使用するデザインツールを変えました。マネーフォワードケッサイではもともとAdobe XDが使われていたんですが、共同作業に向かないことやコンポーネントの管理がしづらいことからFigmaの導入をご提案しました。

ちょうど新しく原田さんとまるさんというデザイナーの方がお二人入社されてきたタイミングでもあったので、お二人へのオンボーディングも含め、スタイルガイドやコンポーネントシートをFigma上に整備していきました。

奥沢:
私がジョインしたのもちょうどこの時期でしたね。

ー奥沢さんがプロジェクトにジョインされたあとはどのような関わり方になっていきましたか?

奥沢:
UIデザインのリニューアルが終わり、次は顧客満足度の向上に取り組もうとなっていました。具体的には、顧客満足度向上において課題となっていた否決体験の改善の検討がはじまりました。

古里:
否決体験の改善は、原田さんとまるさんにデザインプロセスを一通り体験いただけたプロジェクトだったんじゃないかと思います。そのプロジェクトを起点に、社内で改善を行う体制やフローが整ってきて、同じチームメンバーのようにお話できる関係性も築けていったように感じます。そのタイミングで新たに立ち上げる「マネーフォワード 法人ナビ」というサービスのご相談もいただきました。

プロダクトを顧客目線で改善し続けるサイクルがチームへ定着。「マネーフォワード ケッサイ」におけるインサイトの発見や課題解決を支援 |ブログ|root|芯を問い、成長に貢献する
rootは、マネーフォワードケッサイ株式会社が運営する企業間後払い決済サービス「マネーフォワード ケッサイ」のUI改善を支援しています。また、インタビュー調査を通して、ユーザーに関するインサイトを集める活動へも伴走しています。 今回は、同サービスにおける与信審査否決時の体験の改善について、共に取り組んだマネーフォワード 法人ナビ プロダクトマネージャーまるさんとマネーフォワード ケッサイ ...
https://ic-root.com/blog/mfk-interview/


不確実性の高い新規サービス立ち上げにも伴走

ー新しいサービス「マネーフォワード 法人ナビ」の立ち上げプロジェクトではかなり試行錯誤を重ねたと聞いています。具体的にどういったところに苦労があったんでしょうか?

古里:
「マネーフォワード 法人ナビ」は法人情報に特化した検索サイトです。法人の信用情報などを検索することができます。世の中に類似サービスや競合サービスがある一方で、マネーフォワードケッサイとしては一度もやったことがないカテゴリーのサービスになるので、手持ちに参考情報が少ない状況でした。どんな人にニーズがあるのか、どんなユースケースが存在しているのかがわからないところからスタートしたんです。

ーまずどんなことからはじめましたか?

古里:
まずはマネーフォワードケッサイ社内のメンバーにインタビューを行いました。企業の法人情報を調べたり、反社チェックを行う担当の方がいらっしゃるので、その方々にお話を聞きに行きましたね。そういえば、奥沢さんはこのインタビューでモデレーターに初挑戦しましたよね。

奥沢:
実はUIデザイナーとしてつくる部分に注力しようかと迷っていたんですが、振り返ると挑戦してよかったです。インタビューをすることでユーザーとなる人がどんなことを考えているのか、どういったことを気にされているのか実際に肌で感じることができるので、デザインの作業にも活かされました。直接お話を聞くとインタビューした方が話していた言葉も頭に残るのでデザインを説明するときの言語化にも役立ちました。

古里:
インタビューのあとは、「マネーフォワード 法人ナビ」をどんな体験にするのか発散するアイデアワークショップを実施したんですが、このワークショップも試行錯誤の1つでしたね。

ーアイデア発散ではどんな点が難しかったんでしょうか?

古里:
ワークショップではとても多様なアイデアがでてきたんです。でも多様すぎて、どう収束させるべきかが難しかったですね。最初はありとあらゆる層に向けたものとして考えていて。例えば保育園を探すお母さんが保育園の運営会社が信頼できる会社かどうか調べるユースケースもあれば、仕事の問い合わせをもらった企業が取引先として信用できるかどうか調べるユースケースもありました。

ー結果的にはどのように絞り込んだんですか?

古里:
ビジネスの要件に立ち戻り、ターゲットの課題を絞るようにしました。もともとサービス構想の背景には、マネーフォワードケッサイという会社の認知をあげていきたいという目的がありました。「マネーフォワードケッサイ」に対するニーズがあり、顧客になる可能性が高そうな層はどこか?という観点で絞り込み収束させることができましたね。

ちなみに、奥沢さんはその後のUIデザインへの落とし込みも大変だったんじゃないですか?

奥沢:
UIデザインの検討はまるさんと一緒に1ヶ月くらい迷っていましたね。特に、調べた企業が信頼に足る企業かどうかを測る指標をどう表示するべきかは難関でした。指標は企業を調べるユーザーからすればわかりやすく便利です。ただ数値で出してしまうと企業側からネガティブな印象を持たれてしまう可能性もあります。定量ではなく定性的に伝える方法を模索するためにたくさんアイデアを出しました。

古里:
採用されたアイデアはまだ実装されていませんが、奥沢さんのアイデアに対し事業責任者の方から「自分たちからはでてこないアイデアだった」というコメントがありましたね。エンジニアが多く、実現性や定量的な効果測定で捉えがちなチームの傾向に対して、外部のデザイナーだからこそ提供できる視点を意識した素敵な提案だったんじゃないかと思います。

相手に向き合うコミュニケーションで、共創関係を築く

ーこちらからご提案をしたり、アイデアを試したりといった柔軟な進め方をとるためにはクライアントとの共創関係が重要になるかと思います。そのような関係を築くために、意識されていた点はありますか?

古里:
受発注的な関係にならないようにrootならではの価値を発揮していこうという意識をもっていました。こちらから積極的にユーザーインサイトを得るためのリサーチの実施をご提案したり、内部のデザイナーである原田さんとまるさんとの役割の違いを意識してコメントをしたり。

ーrootのバリューの1つである「人に向き合い共創する」にも通じますね。

奥沢:
私はコミュニケーション「量」にも気をつけていました。一時期は、Slackでの発言を意識的に増やしていました。

古里:
確かに、奥沢さんはマネーフォワードケッサイの正社員かな?というくらいSlackに登場していた時期がありましたね(笑)

奥沢:
root社内のSlackを開いている時間よりもマネーフォワードケッサイのSlackを開いている時間のほうが長かったかもしれません(笑)あとは、そうした非同期のコミュニケーション以外にも、同期で振り返りをする時間も大切にしていました。

ープロジェクトの振り返りはどんなふうにされていたんですか?

奥沢:
直接やり取りを行う原田さんやまるさんとは月に1回もしくは3ヶ月に1回程度実施していました。あとはエンジニアさんとまるさんで実施されていたマネーフォワードケッサイ社内の振り返りにも参加していました。どちらも振り返り期間を振り返って、思うように進められなかったことや気にかかっていることは些細なことも含め出し切って、みんなで解決策を考えるんです。

ーマネーフォワードケッサイ社内の振り返りへはどういう経緯で参加することになったんですか?

古里:
もともと僕と奥沢さんで社内振り返りを週次で実施していて、そこで出たアイデアでした。それまでエンジニアさんとのやりとりはまるさんを通じて行っていたんですが、直接話さないことでどうしても意図が掴みきれないことや手戻りが増える部分がありました。エンジニアさんの考えや意見を理解し、チームとして動けるようにもっとコミュニケーションをとっていきたいというご提案をしたんです。

奥沢:
結果的に、まるさんやエンジニアさんとの振り返りを通じて一緒にデザインプロセスを学んでいけた実感があります。エンジニアさんから開発フェーズでもデザインに対する目的や意図を確認するようなコミュニケーションをいただけるようになっていって嬉しかったですね。

古里:
確かにそうですね。特に「マネーフォワード 法人ナビ」の立ち上げでは、振り返りの成果が活きていたように感じます。臆することなくお互いに意見を言いあえていたし、まるさんと僕らの間でもなるべく早い段階でアウトプットして議論するということが習慣化できていたから不確実性の高い立ち上げプロセスにも柔軟に対応できました。あと、開発フェーズに進んでも、エンジニアさん含めてスクラムを組めていたのはデザインプロセスへの共通認識ができていたからだと思います。

自身も学びながら伴走を続けていく

ー最後に、伴走型支援というスタイルの中でマネーフォワードケッサイのプロジェクトに限らず挑戦していきたいことがあれば教えて下さい。

古里:
僕はマネーフォワードケッサイのmikiさんみたいになりたいなと思っています。
mikiさんは「マネーフォワード 法人ナビ」の開発フェーズでスクラムマスターを担ってくださった方で、基本はフロントのエンジニアです。スクラムマスターとしての振る舞いが素敵で、チームの中に潜んでいる触れたくないことや些細なもやもやに対して、スポットライトを当てていくのが上手なんです。チーム全員をまんべんなく引き上げてくれるような存在で、僕自身もmikiさんから学ぶところがすごく多かったですね。

ーまさにrootのバリューの1つである「信頼し誠実な行動をとる」にあてはまるような方なんですね。奥沢さんはいかがですか?

奥沢:
私はマネーフォワードケッサイの案件に限らず、アイデアワークショップの場でアイデアをだしやすい環境をつくれるようなファシリテーションスキルを身に着けたいなと感じています。今回の案件でアイデアを発散させ、収束させることの難しさを実感しました。今も別の案件でファシリテーションに挑戦していて、次はこうしてみようという学びを重ねています。

参考記事:プロダクトを顧客目線で改善し続けるサイクルがチームへ定着。「マネーフォワード ケッサイ」におけるインサイトの発見や課題解決を支援望しくない結果をどうユーザーへ伝えるべきか?伴走して課題を紐解きながら柔軟な対応を実現

rootでは一緒にはたらく仲間を募集しています。

rootではクライアントの事業に伴走し、成長へ貢献するため、中長期的な支援を前提としています。今後は創業期からの伴走をますます増やしていき、次の挑戦として 0 → 1 ステージ、事業構想以外に何もないステージから、事業の種を育て、芽を開かせる活動に注力していく予定です。rootという組織を拡大、成長させるフェーズでもありますので、組織づくりにチャレンジしたい方は是非エントリーください。

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