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ヒトと組織の未来はどうなっていくのか? ~アッテル✕ハッカズーク対談~【後編】

前回に続いて、アッテルとハッカズーク社の対談をお届けします。

後編では、ヒトに関わる課題・現状についての議論とともに、ヒトと組織の未来はこれからどうなるのか、アッテルとハッカズーク社が描いている世界観を語り合いました。

<前編はこちら

【プロフィール】

■塚本 鋭  : 株式会社アッテル代表

■鈴木 仁志 : 株式会社ハッカズーク代表

■實重 遊  : 株式会社ハッカズーク セールス&マーケティング責任者

【目次】

  1. 辞める側の「ヒト」の課題とは?
  2. データ分析で見たときの「会社を辞めるヒト」の特徴
  3. 時代の変化とともに、ヒトも組織も変わっていく
  4. 「より活躍できる場所がある人材」はどうすべきか?
  5. 個人にとって「最適な環境」を可視化できる世界へ
  6. いつでもどこでも転職できる世界。二極化していく世界
  7. 対談をおえて

辞める側の「ヒト」の課題とは?

塚本 : これまでのお話で、組織課題があることはよくわかったのですが、辞める側のヒトにも課題はありますか?

鈴木 : ありますね。

塚本 : 「会社を辞めることがよくないもの」となんとなくみんなが思っている、という問題は一つあると思ったのですが、それ以外にもあるのでしょうか?

鈴木 : 退職の仕方のところですね。具体的にいうと、上司や周囲に何も相談せずに転職してしまうなどで迷惑をかけてしまうケースがあります。たとえばですが、会社を辞めた場合に自分の持っているプロジェクトに穴ができて、会社や取引先、エンドユーザーに迷惑がかかるかもしれない、ということがありますよね。

そのリスクを最小限に抑えるためには、「転職を考えはじめました」と早めに相談して、半年後などに辞めればいいんです。しかし、何も言わずに裏で動いていて、転職先が決まったときに「来月に辞めます。転職先とも握ってきました」といきなり報告する人がいます。

これをされてしまうと、送り出す側も「いやいや、お前は会社のことを考えたの?」と感情が出てしまいます。辞める側も「なんで会社のことを考えなきゃいけないの?」と。

塚本:なるほどですね。

鈴木:そういうやり取りを、社内で見ている人が他にもいます。「会社を辞めるってなったら、ああやって文句を言われるんだな。じゃあ俺もギリギリで言えばいい」となって、他の人も同じように、相談せずに辞めることになります。

これが続くと、退職者へのイメージも「会社のことを考えない悪いやつ」になってしまいますよね。もちろん個人側だけの責任ではなく、もっと早いタイミングで相談できる状況にしていなかった会社側にも問題はあります。

實重 : 管理職の方や人事の方の中には、「やっぱり退職者ってよくない人ばかりだよね」という認識でお話しされる方もいらっしゃいます。

そういった会社では、社員に退職の相談を持ちかけられたタイミングで、「いやいや、今までお前にいくら投資したと思っているんだよ。これから回収するタイミングなんだけど」のように、上司や人事の方が言ってしまっているケースが少なくありません。その時点から、相談ではなくなってしまいますよね。

そうなると、相談する側も「いかにうまく辞めるか」という思考に切り替わってしまって、関係性を続けようという発想にはなりません。その結果、お互いにとってネガティブな退職に繋がってしまいます。

塚本 : とはいえ、ちゃんと辞めていく人もいるようなイメージが個人的にはあります。そういう人は少数派でしょうか?

鈴木 : 確実に増えてきてはいるけど、まだまだ少ないですし、組織によりますね。組織という単位も、たとえば「このチームは、みんなきれいに辞めるし、辞めても繋がっているよね」というところもありますし、逆に「このチームは常に揉めて」みたいなこともあります。それは会社全体の場合もあれば、チームごとに違うこともありますよね。

ベースにあるものは、個人個人の考え方や、その組織にいることによって醸成されるものだとは思います。個人から始まったものが、組織のカルチャーや制度になって、最終的に影響していると思っています。

だからといってそれは、変えられないわけではありません。なので私たちハッカズークは「#辞め方改革」が重要だと考えています。一人ひとりの考え方やそれに基づいた行動で変わっていくところが、非常に大きいかなと思いますね。


データ分析で見たときの「会社を辞めるヒト」の特徴

塚本 : 退職は組織の仕組みにも影響を受ける、という話ですと、アッテルは「どういう人が会社を辞めているのか?」を分析することが多いんですが、例えばある会社の中途を調べると、給与が上がっていない人は当然辞めやすいんです。しかし意外と若手は、給与が上がっている層が辞めているという事実がわかったりします。

さらに色々な会社を調べていくと、若手でも、評価トップの層が辞めている会社と、評価2番手層が辞めている会社の2パターンあることがわかっていて、これは各社の人事制度の違いに紐付いている可能性があるのかなと。若いうちに差がつかない会社はトップ層が辞めていて、差がつく企業は2番手層が辞めている、という傾向ですね。

鈴木:それは、優秀層に適切な給与が払われていても辞めているのですか?

塚本:はい、その企業は平均給与高めの会社です。2番手層が辞めている会社の人事の方と議論したのですが、評価トップはよく表彰とかされていてきちんとフォーカスが当たるんです。逆に評価が低い層は、実はかなり人事や上長が気にかけています。

評価が中間の層はそれなりに仕事ができて、手をかけなくても実績を出すから、手をかけないそうなんです。でも仕事ができる層だから、外にいくのではという話をしました。

データをみていくと辞めやすい人材が、評価制度に紐づいているなぁと感じていて、組織課題と退職が密接に紐づいていると思っています。


時代の変化とともに、ヒトも組織も変わっていく

鈴木 : 最近は本当に変わってきていて、 人事も「外で通用する人間になれ」と言っているじゃないですか。なので、外で通用する人間に成長したら、出ていくというのはおかしなことではないんですよね。外で通用する人材になってもらうことに成功しているのは、すごいことだとも思います。

塚本 : たしかに。人事としては、良いことをやっているわけですよね。

鈴木 : それで成功して、いなくなってしまうのはもったいないからと、リテンションを頑張ろうとする気持ちもわかります。しかし、辞めたらゼロになる、引き止めたら100という話ではなくて、業務委託でも副業でもいいですし、20%か30%くらい残る関係になるといいなと思いますね。

弊社のクライアントでは、アルムナイが社員に向けてのセミナーに登壇したり、スピーチしたりする機会が増えてきました。そこでは、「皆さんが中にいるからこそ、私たちが活かされるから、もう好きなように使い倒してください」と言っているアルムナイの方が多くいます。

中にも強い人間が残っていて、外に仲間が増えていく。それが非常に良いかなと思っています。

塚本 : なるほどですね。

鈴木 : 退職者がゼロだと私たちのビジネスは成り立ちませんが、退職を増やしたいわけではないんです。言い方は変かもしれませんが、出ていった方がいい人もいるし、残った方がいい人もいます。残ったほうがいい人が退職してしまうことは止めたいですし、結果辞めてしまっても繋がったほうがいいと考えています。再入社かもしれませんし、事業提携かもしれませんが、切れてしまった縁を繋げたり、縁を切らないということを実現しようとしています。


「より活躍できる場所がある人材」はどうすべきか?

塚本 : 今の流れで結構難しいなと思ったところが、自社でハイパフォーマーとして活躍していて、もっと活躍する場所がある人材はどうなのだろうかと。

鈴木 : そこに関して言うと、どういう環境でその人がパフォームをするかって、今まで組織の中でしかわからなかったじゃないですか。それを外でもわかるようにすれば、中の人も、その人がどこで活躍するのかを見える化できますよね。

あとは逆に、絶対に残したいハイパフォーマーの人がいて、育成中であれば、その人と同じタイプの人が「外でこういう環境で活躍している」とわかれば、似た環境を作ってあげることもできます。

實重 :今の会社にいたほうがいいか、外に出たほうがいいかを判断できなくて、不安になっている方が増えているように思います。会社から外を見るなと言われ過ぎるがゆえに、「外を見なくていいんだろうか」と考えてしまうんですよね。

そういう場合は、実は外を見ることによって、「外から見た今の環境は、こういうところが恵まれているんだ」といったことや、「もっと今の環境で挑戦していいんだ。リスクもとれるんだ」ということに気づけたりするんですよね。そうやって「やっぱり今の組織で頑張ってていいんだ」と判断もしやすくなります。

自己選択できない状態の人も、外を見たからこそ、中を選べるようになるケースが今は多いかなと思いますね。

鈴木 :データを活用することで、より幸せな人が増えるのかなと感じます。


個人にとって「最適な環境」を可視化できる世界へ

塚本 : 今のお話って、まさにアッテルの考え方に近いんです。

私の実体験の話になるのですが、前職で採用をしたときに「この人はどう見ても大企業で活躍するタイプだけれど、今は人手が足りないからとる」という経験をしました。個人を考えれば、絶対に大企業に残ったほうがいいけれども、うちに入ってくれたら戦力になるなと、打算的な思考で採用したんです。その後、当然その人は活躍しなくなってしまったんですよ。

その経験から、個人的には、その人が世の中のどこで活躍するのかを定量化したいと思うんですよね。そうすれば、今の会社に残ったほうがいい人材と、活躍する環境が外にある人材を見極めることができます。そういう世界観は、日本全体として良いんじゃないかなと思っていますね。

實重 : 最近よく言われるのが、トップじゃない人材をジョブローテーションで適切な配置に当てにいったら、ハマる部署があってトップになれた、という話ですね。活躍できるところを明確にする取り組みは大事ですよね。

同じように、例えば営業としての評価がトップだったわけじゃないけれども、転職して新規事業開発のポジションに就いたら、そこで大活躍するということもあります。会社の事業内容が変わったりして新規事業開発のポジションが必要になり、そのような退職者に戻ってきてもらおう、というような取り組みも増えてきています。

ジョブローテーションでもそういうインパクトを出すことはできて、社内異動でもそれはできるのですが、退職して外で経験を積んだ方が再入社するということも非常にインパクトがあります。それはある意味、会社のお金をかけずに育成できた人材かもしれないわけで、退職者をそのように捉える企業さんも少しずつ増えてきています。

塚本 : 今のお話も、まさに社内・社外問わず「最適なところに行くべき」という世界観がありますね。

鈴木:そうですね。海外の全てがそうだというわけではないですが、タレントの最適化やタレントマネジメントについて、「市場全体でタレントの最適化」という考え方をしますよね。

しかし、日本では「組織内での最適化」です。基本的には、外は見ませんし、絶対に見させません。それが最近は変わってきています。人事も「外を見ろ」と言い出しているなかで、アルムナイの重要性も高まってきていると思いますね。


いつでもどこでも転職できる世界。二極化していく世界

塚本 : 最後にハッカズーク社にお聞きしたいことで、アルムナイが広がっていった先について、どのような世界を想像されていますか?

實重 : 僕がイメージしているのは、個人的につくりたい世界でもあるのですが、最終的にはみんなが自分のやりたいキャリア・やりたいことがあったときに、自分の意思で選択できている状態です。この会社がベストだと思って残っていて、そうでなければそれぞれの判断で、一人ひとりのキャリアを選んでいる世界ですね。

ライフスタイルやキャリア観の変化に合わせて、最適な環境を選んでいるといいなと思います。企業も当然人材を選ぶので、お互いに選び選ばれる関係性になっている状態です。転職できないからしないわけではなくて、「する必要がないからしません」と思っているような世界観をイメージしています。

そうなるためには、転職や退職もポジティブなものにならないといけないと思います。退職者が裏切り者扱いされていたら、そういった世界にはなりません。退職後もアルムナイとして繋がり、個人と会社のお互いにとって資産になっていることが重要だろうと考えていますね。

鈴木 : 私はアルムナイの話に関して、二極化していく社会になっていくだろうと思っていて、そうなるといいなと考えています。

いまの組織のあり方みたいなものが、私たちの取り組んでいる「繋がる退職」が増えてきて、「退職による損失がない世界」というのが一部でできあがってくると思います。

そうなると、組織の境界が非常に曖昧になってきます。「この人結局、中の人なの?どうなの?」とわからないくらいにですね。よく言われる通り、「複数のコミュニティに所属している」人が増えてくると思いますし、そうなるべきだと思います。また、転職をすることだけが意思決定ではなく、毎日今の組織で続けるという意思決定をしていることを認識するだけで大きく変わると思います。常に外を見ながら、一つの組織に所属し続けるという意思決定を自分自身ですることが大事ですね。

ただ、全ての人が多様なキャリアを求めていたり、複数コミュニティに所属するわけではなくて、会社やキャリアに変化を求めない人も多くいます。

ですから、全部が変わるというよりは、先ほど話したような世界が一部でできながら、それとは逆に「うちの会社に入ったら一生出ることを考えないで、外も見ないでください」みたいな組織もあってよくて、それが私は理想かなと思います。それこそが多様性のある社会だし、みんなにとって選べる場所があるじゃないですか。

その中で適材適所ができるようにすればいいですし、残ってきた人たちの中でも「こっちのほうが合うよね」という人たちがあぶり出されると、一番良いかなと思いますね。

塚本 : 今のお話だと、会社の中にも住み分けがあってもいいのかなと個人的には思いますね。組織が分かれていてもいいですし、ひとつの組織のなかで残るチームもあるのかもしれません。流動性の高いグループとも言えるでしょうか。

鈴木 :同じ組織の中で色々なカルチャーを作ることって、それはそれで対立する部分もあるので、簡単ではないだろうなと思っていますが、それくらい同じ組織なのかどうかわからないくらいでいいと考えています。

塚本 : 境界線がなくなっていく、ということですよね。


対談を終えて

塚本 : 今回お話しさせていただいて、ヒト起点で考えると、実は順番が逆だったなと感じました。我々は採用なので入り口をやっている感覚があって、ハッカズーク社は退職なので出口をやられている感覚があったのですが、ヒトを軸に考えるとそれは逆なのかなと。

ヒト起点の話と、法人起点の話は分けて考えていかなければいけませんし、ヒト起点の未来って何なのかな、というところも興味を持ちました。

鈴木 :ヒトを採用したり、何かしらのエンゲージメントが始まるときって、終わりを考えるかどうかで全然変わるじゃないですか。

塚本 : そうですね。やっぱり、循環しているんだなと思います。循環した先の世界がどういう世界観なのか、ぜひ描いていきたいですね。

鈴木 : これ面白いですね。事業的にやりたいですね。

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