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「ヒト」を軸に考える──freeeのUXデザイナーが自ら体現する価値とは

freeeで新卒のUX(User experience)デザイナーとして活躍する服部 有里は、freeeの製品・サービスを通じて、ユーザーが得られる体験を設計・構築しています。服部がデザインを生み出す上で意識し、「freeeらしさ」をデザインに取り入れるために心がけていることとは──

どう表現したら、どう伝わるか──人間中心設計を体現した学生時代

(バンド活動をしていた大学時代)

服部が自分の考えや想いを『どう表現すると、どう伝わるか』に興味を持ったきっかけは、高校時代にありました。

服部 「音楽系の部活で指揮者として部全体を引っ張る役割でした。基礎を踏まえた上で、表現は自分で考えていたんです。そこで指揮者として『どう体で表現したら、演者にもお客さんにも伝わるか、自分の思っている通りの演奏になるか』を考え抜きました。

また、部員に配る資料も手作りで、言葉遣いや構成を工夫した記憶があります。そのころから『どう表現したら、どう伝わるか』という視点を大事にしていました」

大学に進学した服部は『UX』という言葉に出会います。さらにはゼミを通して、freeeでも大切にしている『人間中心設計』という考え方を学びました。

服部 「大学は、情報学部に進学し、CGや動画製作などのクリエイティブから、プログラミング・社会学などさまざまな分野の情報に関する勉強をしました。

その中で『UX』や『ユーザビリティ』という言葉に出会ったとき、『あ、私がやっていたのはこれだったのか』と腑に落ちたんです」

さらに3年生になると、人間中心設計に関する研究をしているゼミに入った服部。志望書にも『ユーザーの使いやすいものを作りたい』と書いたと言います。

服部 「ゼミでは、学部サイトのリニューアルなどを体験したことで、お客さんにわかりやすく伝わるものを直接、自分の手で作りたいという気持ちが高まっていきました」

そんな中で、あるイベントを通してfreeeを知ることになります。

服部 「ゼミの同期のオススメで、エンジニアやUXデザイナーを積極採用している企業が集まるイベントに足を運びました。そこでfreeeのブースがあったんです。それまでまったく知らない会社でしたが、会社説明を受けているうちにワクワクしてきました。

『スモールビジネスを、世界の主役に。』というミッションにも共感し、可能性を感じたので積極的に質問もしました。あのイベントに参加していなかったら今の私はいなかったと思います」

freeeのミッションに共感したのは、アルバイト先での経験が影響していると言います。

服部 「アルバイトで売上管理やレジ締め、バックオフィス業務を一部担う中で、売上計上シートとレジの現金が合わず、退勤できないとことがしばしばあったんです。

当時は『なんでこんな面倒なことしてるんだろうな』って思っていましたが、そこで感じていた課題を、世の中全体に向けて解決していたのがfreeeだったんです」

「この会社しかない」インターンで感じたfreeeらしさ

(入社式での服部)

夏休みに1dayインターンに参加した服部は、その後1weekインターンにも足を運びます。

服部「1weekインターンでは、freeeの社員が行うものと同じレベルの業務をやらせてもらえました。

具体的には新しくリリースするプロダクトの機能を考えるというものでした。メンターに質問してたくさんアドバイスをもらいつつ、業務のキャッチアップから情報設計まで行いました。一週間という短い期間でしたが、UIの原型となるものを少し作ることができました」

1weekインターンを通してfreeeに入社したいという気持ちが高まった服部は、そのまま面接へと進みます。

服部「インターンで仕事内容・組織の風通しの良さ・人の優しさに触れて、『この会社しかない』と思ってしまったんです。会社がやろうとしていることにも強く共感できたし、率直にfreeeで働きたいと思いました。またインターンを通して、ユーザー体験を直接生み出す側に行くことで、社会に貢献している実感も持つことができました。

面接では、インターンの成果発表の振り返りから始まり、最終面接でも自分のやりたいことやUXへの想いをフランクに話すことができました」

こうして2019年、freeeに入社した服部。3カ月の研修を終えたのち、会計freee上のワークフロー(「申請→承認」の流れ)の機能を担当することになりました。

服部「ワークフローは、会社によっては『エクセル資料を紙に印刷して、それを上司に見せ、ハンコをもらって、承認が通ってやっと完了する』という運用をしているところもあります。そこから画面上で全て完結するfreeeのシステムに乗り換えるのは、全社員に関係する既存のルールを根こそぎ変更するため、人的コストが高いんです。

freeeは経理担当者や管理者の利便性を中心にしたサービスを開発してきたので、従業員にフォーカスした機能はまだ多くないんです。その中で、ワークフローは管理者だけでなく従業員もよく利用する機能なので、誰でも使いやすいと感じるような画面を設計しようと考えています。

『申請→承認』という流れ自体は単純ですが、それをシステムに慣れていない人もすぐに使えるようにするのはけっこう難しいんです。この『誰にとっても使いやすい』ことは、今後のfreeeのプロダクトの成長にとっても重要だと考えています」

freeeらしさとユーザビリティの両立。協働と細分化が向上のカギ

(ワークフローに関わるメンバーと)

服部はfreeeで行われている、人間中心設計(=ユーザーの使いやすさを中心において設計する考え方)をベースにした開発フローにならって業務を行ってきました。

服部「まずは、よりよい体験をデザインする上で、利用者のことを知らないといけません。プロジェクトごとに対象を決めてインタビューや業務観察をしっかり行い、ユーザーの業務とニーズの理解に努めます。

次に調査から見えたことを踏まえ、ユーザーがどんな体験をすれば価値を提供できるか、それが満たせるように画面設計をします。最後に作成した画面が使えるかユーザービリティテストで検証し、エンジニアが実装できるようにするまでが一連の流れです」

服部はプロジェクトを進める上で、メンバーと相談しながら「できること・できないこと」を細分化していると言います。

服部 「もちろん事業の方向性や開発の状況と照らし合わせながら、PMと相談しつつ作ること、作らないことを決めています。さらに後の実装も考えて設計する必要があるので、都度エンジニアと相談しながら、出来ることと出来ないことを判断します。

『こうなったらいいな、使いやすいな』を、どうすれば作れるか細分化して落とし込んでいっています」

入社して一年半、自身の代表作は、会計freeeの従業員用のホーム画面だと言います。

服部 「経理の人は自社の財務情報を見ることが出来ますが、一般従業員にまでその情報を見せられないので、表示に制限がかかります。だから今まで一般従業員の会計freeeのホーム画面は表示要素がなく真っ白でした……。でもそれって『この画面いるの?』って状態でもったいない。プロジェクトにはなっていない状態でしたが、個人的に従業員に有益なホーム画面について考え始めていました。

経費精算プラン開発のプロジェクトでホーム画面も対応することが決まったので、リサーチを行うチームと一緒に、最適な要素、構成を検討しました。スピード重視で工数は限られていたため、要素を落としてもギリギリ価値が出るように話し合いを重ねました。

そこからのブラッシュアップは私が担当しました」

その中で、freeeらしさと、わかりやすさのバランスを取る大変さが印象に残っていると言います。

服部 「freeeの良さは、いろんな動線から情報にたどり着け、作る側が制限しないようなモードレスな画面設計です。人によって自由な使い方ができるので、慣れてくると使いやすくなります。

一方、こういったシステムに慣れていない人にとっては、モードレスはわかりにくく感じてしまう可能性があります。『自分のしたいことがどうすれば出来るのか』がわからない場合に、ひとつの道を示してあげたほうが納得度は高いからです」

服部は、慣れていない人でも何をしたら良いか一目でわかることを最優先に設計する中で、どこまでモードレスを取り入れた見せ方をするのか重視していました。

服部 「UXメンバー内での相談・レビューや、PMとの議論も踏まえ、ユーザーにとって自分のやることがすぐにわかる形にしつつ、行動は制限させないという落とし所を見つけることができたんです。

よく使われる申請や経費精算の作成画面にすぐアクセスでき、自分の申請状態や承認すべき件数の一覧もすぐに見られるデザインにしました」

私が会社の顔を作っている──デザイナーとしての責任と課題とは

服部は機能を開発していく上で、自分自身に課題を感じることがありました。

服部「私は実務経験がないまま入社したので、実践が不足していました。技術的な課題は経験によるものが多いので、フィードバックを受けつつ、一歩一歩積み上げていくしかないと感じています」

現在服部が最も悩んでいるのは、「伝える・汲み取るコミュニケーション」だと言います。

服部 「デザインを作っていく過程で自分の考えを適切に伝えることは、デザイナーとして必要な能力です。

しかし私の場合は、自分の言いたいことを的確に伝えるのが苦手で、気づいたら長く喋ってしまい、伝えたいことがイマイチわからないということがあります。相手がデザイナーやUXに知識の深い人であれば、伝えたいことをニュアンスで汲み取ってもらえることもありますが、前提が抜けていてうまく伝わらず、反省することは多々あります」

服部は会社の風通しの良さが魅力である反面、意見を交わす上で難しさを感じることにつながるとも言います。

服部 「freeeはミッションに共感して入社してくる方が多い分、ユーザーにとって良いものを作るために、自分の考えを持っている人が多いんです。活発な議論が繰り広げられる中で、自分の意見に納得してもらうことは難しくて……。

それでも入社当初と比べて、自分の大事なことを譲らないように、他者の考えも入れながらバランスを取れるようになりました。これからも、相手の本当に伝えたいことを理解し、自分の意見が妥当であると言えるようにできることを意識しようと思います」

服部は大学時代から人間中心設計という考え方に触れていたこともあり、『ユーザーを大事にしたい』という気持ちは入社前からありました。そして入社後、その考え方に変化が生じたといいます。

服部「ユーザー・売り手・作り手、みんなをハッピーにしたいと思っています。そのためには売り手にも作り手にも色々な事情がある中で、全員が納得した形で最終的に出すものを作らないといけません。

それに、一般的にfreeeの印象ってプロダクトだと思うんです。だからプロダクトの画面は、いわば会社の顔。自分はそれを直接作っているので、良い意味で責任を感じながら業務に励んでいますね」

服部はこれからも課題に向き合いつつ、freeeのプロダクトを成長させたいと考えています。さらにはデザイナー個人としてもある目標がありました。

服部「ゆくゆくはもっと広く会計freeeに関わっていきたいと思います 。freeeの環境が後押ししてくれて、自分のしたいと思うことができる立場にいて、幸せなことだと思っています。しかし、今後はこの環境がなくてもデザイナーとしてバリューを出していけるような人になりたいんです。

そのための手札として、freeeでより技術や経験を培っていくのはもちろん、人間中心設計専門家の資格をとったり、外に発信していけるように成長していきたいです」

人間中心設計を軸に、服部はこれからもfreeeのプロダクト向上を目指し、UXデザイナーとしてまい進していきます。

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